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『ストラヴィンスキー:《ペトルーシュカ》全曲、《プルチネルラ》全曲 シャイー指揮ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団』

「ペトルーシュカ」。ストラヴィンスキーは時代によって作曲技法や作風を変えていくので、「カメレオン作曲家」なんて呼ばれる時があります。いつか紹介した晩年の「洪水」なんてセリーですしね。3大バレエの頃は原始主義なんて呼ばれていて、変拍子を含むリズム強調の傾向が強くて、またヒンデミットもビックリの復調(同時にふたつ以上の調が演奏される事)になったりします。バレエ音楽なのでリズムを強調したとか、色んな事情があるんでしょうね。ペトルーシュカも「火の鳥」と同じようにこういう傾向にある音楽です。純音楽ではないからなのか、やっぱりシーンの移り変わりが激しくて、映画音楽のように色んな音楽がつながっていきます。これ、音楽だけ聴くと、僕はすごくまとまりがなく感じてしまうんですよね。バレエって、コンテンポラリーになるまではストーリーがついてるのが普通ですが、「ペトルーシュカ」は魂を持った人形の話。最後は惨殺され、その恨みを、自分に魂を吹き込んだ魔術師にぶつけて終幕。この筋を追いながら音楽を聴くと聴こえ方が変わってくるから、劇音楽は音だけで判断できないなあと(^^)。
一方の「プルチネルラ」は、1920年に作られたバレエ音楽です。前作から時間が空いたのは、第1次世界大戦のため。戦争は良くないよ、みんなやめよう。バレエ自体は仮面劇で、誰が誰だか分からなくなるという台本(^^;)。CDのジャケット、上がペトルーシュカで下がプルチネルラというわけですね。この音楽はちょっと変わっていて、ペルゴレージという古典期のイタリアのオペラ作曲家の未発表曲をアレンジしてバレエ音楽にしたものです。このアイデアはストラヴィンスキー自身ではなくて、バレエ・リュスのディアギレフのものだったそうで、曲まで指定されていたそうです。そんなわけで、「プルチネルラ」は原始主義な3大バレエとは違い、新古典主義の作品に位置づけられています。そりゃそうですよね、古典派の音楽を使ってるんですから。古典派というには斬新な和声とかが出てきて、僕はこれをバレエ音楽というよりも古典派リバイバルのメドレーとして聴いてます。ストラヴィンスキーがどこまで真面目にやってるのか分からなくなる所もありましたが(^^;)。
このCD、演奏も録音もいいです。そして、ストラヴィンスキーというと、みんな「火の鳥」と「春の祭典」は持ってると思うので、もうひとつの3大バレエと、原始主義から新古典に移った最初の作品が入っているのは、うれしいカップリングの1枚でした。リッカルド・シャイーはイタリアの指揮者で、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団はオランダのオケ。この組み合わせの録音では、以前にブラームスのシンフォニー2番について書いた事がありましたが、重くなく溌剌とした演奏で、聴きやすかったです。オペラやバレエ音楽での演奏も巧み、いいCDでした!僕が好きな指揮者はイタリア人に多いなあ。
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『KC and the Sunshine Band / The Best of KC and the Sunshine Band』

ワイルド・チェリーを知らない人にサンシャイン・バンドの音楽を伝えるなら、アース・ウインド・アンド・ファイアーとジンギスカンを混ぜたような音楽と言ったらイメージしやすいでしょうか。いちばん有名な曲は、聴けば誰もが「ああ、この曲か」と知っているだろう「That’s the way (I like it)」。なんでしょう、ちょっと聴いただけで「ディスコ行きたい!」って思ってしまうこのワクワク感は…って、70年代や80年代前半みたいなディスコってまだあるのかなあ…あるわけないか(^^)。
いなたいイントロのインパクトはこの頃のディスコ・ミュージックの特徴で、この曲とか、アラベスクの「In For A Penny, In For A Pound」、ジンギスカン「ジンギスカン」あたりは、イントロを聴いただけで心がウキウキしちゃいます、どこまで本気でやってるのか分かりませんが(^^)。70~80年代のディスコは最高ですが、90年代になりジュリアナ東京とかエイベックスが出てきたあたりからディスコってつまらなくなったな。ディスコは軽薄なだけじゃだめで、もっとうきうきしてアホっぽくて夜遊びの楽しさや下心みたいなものを醸し出してないと(^^)。他では、「I'm Your Boogie Man」とか、ソウルとファンクとディスコの良さが見事に詰まっていました。
僕がこのCDを買ったのは、仕事でファンクバンドの仕事をお手伝いさせてもらった時でした。「ザーツザウェー(アーハーアーハー) アイラークイッ」なんてやったんですよ、シンセ弾きながら「アーハー」をコーラスして (^^)。あの「A ha」ってところ、1回目と2回目で違う人が歌ってステレオ効果を出すんです、知ってました?アホでいいですよね。聴くだけで気分爽快になる70年代のディスコ/ファンクな軽音楽、ばんざい!
『Wild Cherry』

いま聴くと、この曲の特徴である転調部分が、オハイオ・プレイヤーズの「Fire」とクリソツだったりするんですが、地域も時代も同じなので、そのぐらいオハイオ・ファンクが好きで作られたバンドだったんじゃないかと想像。ギターはJB’S 並みのカッティング、クラヴィはスティーヴィー・ワンダーみたい、ホーンセクションが入ればソウル寄りにもなって、ヴォーカルのねちっこさはスライ級。70年代の南部で白人がこれをやったら、けっこうヤバかったでしょうね。それが出来たのは、ワイルドチェリーがアメリカ北部のバンドだったからかも。この頃はチャートやディスコを意識した黒人のソウル/ファンク系のバンドがうじゃうじゃいましたが、本家よりグルーヴ重視の姿勢を貫いている所がカッコよかったです。
このレコードを入手したのは中学生の時で、中古屋で300円ぐらいの捨て値で売られていました。スコーピオンズのヴァージン・キラーでも、あるいは本屋でエロ本を買うのですらまったく躊躇しない中学生でしたが、このジャケットはさすがにレジに持っていくのが恥ずかしかったです。だってこれ、完全にキ〇タ〇を舐〇ちゃって(以下自粛)。こういう露骨なエロは、アメリカ人の馬鹿っぽさ全開な感じがして、僕は好きです(^^)。
『Ohio Players / Fire』

7分超の曲がずらっと並んでひたすらレア・グルーヴな『Skin Tight』に比べると、こっちは4~5分のテレビ/ラジオ向けにアレンジされたような曲がずらっと並んでました。エレピとギターとベースとドラムのグルーヴがひたすら気持ち良いのは変わってないんですが、ブラスアレンジとかコーラスとか曲想あたりにディスコ要素が入ってきたかな、みたいな。フィリーソウルみたいな軽めのソウル・バラードも入ってました…これは売りに行ったんですね(^^;)。。
というわけで、僕にとってのオハイオ・プレイヤーズの夢は『Skin Tight』1枚で終わってしまったのでした(T-T)。ちょっと興味あるのは、60年代のアルバム。どういう音楽をやってたんだろう、もしかしてカッコいいかも…興味はあるんですが、一生聴く機会はないんだろうなあ。
『Ohio Players / Skin Tight』

アルバムの最初の2曲がヤバすぎるぐらいにかっこいい!これがレア・グルーヴというヤツか?!コーラスやつぶやくようなヴォーカルは入っているものの、基本インスト。エレピやベースやドラムが絶妙なグルーヴを生み出して、ギターが激しくなりすぎずに絶妙に乗ります。そして、呪術的に同じブルーヴが繰り返されて、1曲7分以上なんて曲はざら。もしかすると、クラブとかでは延々と演ってたのかも知れず、聴いているとどんどん気持ち良くなっていきます。ああーこの格好良さは後期のスライ・ストーンと同じだ、カッコよすぎる、これは音楽のドラッグですね(^^;)。
でもアルバムの半分はフィリーソウルみたいなちょっとエロくて甘々のバラードで、聴いててちょっと恥ずかしかったです(^^;)。耳もとでささやくように「Love」とか「Ah」とかいうんですよ、この時代のブラック・ミュージックの露骨なセックス賛美は日本人の僕には恥ずかしすぎて聞いてられないっす(^^;)。
恥ずかしいと言えば、僕はこのアルバムをLPで持ってるんですが、LPは2つ折りジャケットで、裏が表ジャケットと繋がっていて、生尻にレザーブーツです。内ジャケットはさらに過激で、完全にバックから(以下略)…素敵です。
ファンクって、子供の頃のイメージではベースがうねりまくって、ドラムがタイトで、エレピやクラヴィがいい味出していて、ギターがワカチコ鳴っていて、すごくかっこいいイメージでした。ところが実際に聴くと、ディスコだったりポップだったり、意外とイメージと違うチャラいものが多かったりして。そんなわけで、スライやジェームス・ブラウンは好きだったけど、Pファンク系やブラザーズ・ジョンソンはいまいち合わなかった僕が、オハイオ・プレイヤーズのこのアルバムを聴いて、「オハイオ・ファンクというのがあるのか、メッチャかっこいいわ」と思ったのでした。で、他のオハイオ・ファンクはチョロっと聞いた限りチョロかったんですけどね(^^;)。これはおススメ!