1曲目「ホワッツ・ゴーイン・オン」は大名曲。ソウル・ミュージックをオーティス・レディングやベン・E・キングやアレサ・フランクリンみたいな音楽だけだとばかり思っていた僕はこれにびっくり。熱すぎず、しかし情感のこもった歌、ベースとパーカッションの作り出す独特の軽いグルーヴ、そして極めつけはストリングスの気持ち良さ。 そして、この「ホワッツ・ゴーイン・オン」のアレンジの方向性でアルバムのすべての曲が統一されます。A面2曲目からはメドレー状態で一気に行きますが、これが徐々に登り詰め、心がグッとくるような絶妙な和声進行、転調…じつはこの2曲目以降の圧倒的な流れが"What's goin' on" 以上の素晴らしさ、感動してしまいました。途中に挟まる曲「Flyin' High (In the Friendly Sky)」がどこに行きつくのでもない揺蕩うストリングスの連続なんですが、これはドリアンを主としたモードです。ドリアン調のポップスというと、サイモン&ガーファンクルの「スカボロ・フェア」など、いい曲が多いですね。Ⅱm7がベースになるドリアンのスケールだけ見れば自然短音階と6度が入れ替わってるだけなんですが、隣接するⅢm7とのコンビネーションが絶妙なんじゃないかと。
ボーカルを習ってます、という人が
『Donny Hathaway / LIVE』や
『Marvin Gaye / What's goin' on』
を聞いたことないというのは、大いにがっかりしますね。
(むしろ不思議なくらい。)
好みの音楽ジャンルにかかわらず、永遠の名盤ですね。