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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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書籍『グスタフ・マーラー 全作品解説事典』 長木誠司

GustavMahler_ZensakuhinKaisetujiten_ChoukiSeiji.jpg クラシックの音楽学者の長木誠司さんが書いたマーラーの作品解説書です。ハードカバーのA5判、譜例も多く、マーラーの楽曲自体のアナリーゼの参考書にするならうってつけの本ではないでしょうか!

 音響の構造分析は、これまで僕が読んできたマーラー本の中では最強クラス…いやあ、作曲家でない人にここまできちんとアナリーゼされると、敬服してしまいます。。形式のアナリーゼ、譜例を用いた主題などの明示など、本当に参考になりました!すげえ。
 また、各楽曲の創作背景なども実に詳しく書かれていました。他の作曲家や詩人などとの関連は脚注を用意してビッシリ書き込まれていて、マーラーの音楽を聴くなら、この本を片手に聴けばかなり理解が深まりそうです。あ~もう少しこの本に早く出会いたかったな。。
 一方で、村井翔さんや柴田南雄さんの本のような、独創的な踏み込みはありませんでした。これは学術本に近いものにするために、正しいとは言い切れない独創的な推論には踏み込めないのかも知れませんね。

 いやあ、これはすごい…現代音楽方面の書籍で僕は長木さんにずいぶんお世話になったことがありますが、長木さんっていったい何者なんでしょうね。マーラーが好きな人は、ぜひ持っておきたい本ではないでしょうか。いやあ、マジでもう少し早くこの本に出会いたかったな…。


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書籍『グスタフ・マーラー ~現代音楽への道~』 柴田南雄

GustavMahler Gendaiongaku heno Michi_SibataMinao これもマーラーについての本で、著者は作曲家の柴田南雄さんです!最初に現代(と言ってもこの本が書かれたのは1984年)のマーラー・ブームと、マーラーの簡単な略歴が書かれ、以降は作品の解題という内容でした。

 さすがは作曲家さんだけあって、きちんとアナリーゼされた作品論でした。そのうえで、音楽を学んでいない人でも理解できるよう解説を平易に書いてあるので、すごく読みやすかったです。

 またそのアナリーゼが音響内の構造だけではなく、マーラーの思想や意図との繋がりにまで踏み込んでいるのが素晴らしかったです。村井翔さんのマーラー本もそうですが、こういう所は推測を含むので絶対にはなれないと思いますが、でも知性ある人の考えって、読んでいるだけで「なるほど~」って思わされるものがあります。こういう本をいっぱい読んでたら、自分も引き上げてもらえるんだろうなぁ…。

 クラシックって、演奏する時は最初に作曲家やその作品について調べてから取り組むんですが、若いころにこの本を読んだ時は、それをどうやればいいのかよく分かっていなかったもので、すごく勉強になりました(^^)。ページ数は少ないけど内容が深い、実にいい本でした!



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書籍『マーラー(作曲家・人と作品シリーズ)』 村井翔

Mahler_MuraiShou.jpg 作曲家マーラーについての本です。前半がその生涯を追っていて、後半が作品についての筆者の作品評となっていました。筆者の村井翔さんは早稲田大学文学部教授で、専門は20世紀オーストリア文学などだそうです。

 前半の生涯編は、読みやすいながらもかなり深く踏み込んでいて、これを読むだけでかなりのマーラー通になれた気分 (^^)。フロイトとの関係も、アルマ・マーラー(マーラー夫人です)の事もよく知らなかったもので、なるほどそういう関係だったんだなあ、みたいな。
 特に面白かったのは後半の作品評でした。楽曲のアナリーゼではなく、その作品の背景について述べられていました。たとえば、「マーラーの全作品は一人の人間の人生の軌跡をそのままたどっている」(p.172)とか、シンフォニー3番は永遠回帰がモティーフになっているとか、そういう事を論考を積み上げて書きあげている感じ。いわば標題音楽としての文学的な読み解きでしたが、このへんは筆者さんが音楽家ではなく文学部の教授先生である事によるのでしょうね。
 ただ、この作品論は、僕とは反りが合いませんでした。だって僕が好きなマーラーのシンフォニーは2番と8番なのに、そのふたつを論外としてますからね(^^;)。このへんは、後期ロマン派音楽を文学的に眺める人にはそう映るという事かな、なんて思ったりして。

 高くもなく、大きさもコンパクトな本でしたが、内容はかなり濃かったです!いかにも音楽家じゃない人の音楽論でしたが、そういう人じゃないと見えてこないものもいっぱいあるんだ、と思わされました。ただし文化脈絡的な読み解きメインなので、多かれ少なかれ異論反論を感じる類の本と思いますが、仮に自分とは違う意見であったとしても、きちんと論考を積み上げて書かれた本って面白いですよね。素晴らしい本でした!
 

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コピー譜『Joe Pass Omnibook』 

Joe Pass Omnibook ジョー・パスのギター演奏33曲のコピー譜です。300ページ近くて分厚いし、そもそもプロのジャズ・ギタリストだって33曲ぜんぶ演奏する人はいないでしょうから、充分じゃないかと(^^)。僕はある曲が目当てでこれを買ったんですが、3曲ほどしか拾いませんでした。でもそれでいいんだと思います。ジャズの演奏をマスターしたいなら、何曲かは好きなプレーヤーの演奏を完コピすべきと思いますが、逆に言うとそれは何曲かだけでいいと思うんですよね。あとはおいしいフレーズだけいただく、みたいな(^^)。

 このコピー譜、5線への採譜だけでなく、TAB譜もついてるしコードネームも書いてあるので、僕みたいなジャズギター初級者には超絶に嬉しかったです(^^)。あと、普通の本のようにのり付けで閉じておらず、バインダー状になっているので、ページ数が多くても特定のページを開きやすく、使いやすかったです。

 僕にとってのギター演奏は、暇な時についつい始めてしまう趣味。いつまでたってもうまくならないけど、弾いていて楽しいです (^^)。で、どうやればジャズ・ギターを弾けるようになるかを考えると、もしピアノと同じであれば、ある程度は汎化されたメソッドを身につけるのが先でしょうが(ジョー・パス自身のギターのメソッド本も何冊かあります)、そこさえ過ぎれば、あとは好きなプレーヤーのソロをいくつか拾っていい運指やフレージングを増やしていって…みたいな。こういう本は後者の段階でとっても役に立ちます。自分で耳コピすればいいんでしょうけど、こういう本があると作業を少し減らせるのが良いです(^^)。
 ジョー・パスをコピーしていると、単独で動くバスのテクニックも身につきますし、バンドではなく独奏にも対応できますし、オーソドックスなジャズ・ギターの手本にするには、ジョー・パスとジム・ホールは最高の教科書だと思っています。

 僕はジョー・パスのトランスクライブ本を何冊か持っていますが、何曲かダブりはあるものの、どの本も、その本にしか載っていない曲があって良いですね。その中でも、もっとも曲数が多いのがこれなので、1冊だけ選ぶならこれがいいんじゃないかと!


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書籍『新ウィーン楽派(作曲家別名曲解説ライブラリー16)』

ShinWienGakuha_SakkyokukabetsuLibraly16.png シェーンベルクのオペラ「モーゼとアロン」のアナリーゼが載っている数少ない日本の本です。新ウィーン楽派を形成するシェーンベルク、ベルクヴェーベルン作品の解説が掲載。これって恐らく、昔出されていた『名曲解説全集』を作曲家別にまとめ直しただけですよね…大手出版社って商売上手だなあ(^^;)。ちなみに、「モーゼとアロン」の解説は16ページにわたる立派なもので、具体的な音列の提示もしてありました。解説は批評家の上野晃さん…それはちょっと違うんじゃないかと思う所もありましたが、そんなのはアナリーゼやってればいくらでも出てくるものだし、あくまで誤差の範囲。見事なアナリーゼでした。

 このシリーズのいいところは、楽式や技法や和声分析といった簡単なアナリーゼにまで踏み込んだ解説がけっこうある事です。ほら、CDの解説だと、「そんな事は聴けばわかるよ」というぐらい単純な楽式の解説しかなかったりすることも結構あるじゃないですか。あれよりかなり踏み込んでます。作曲家さんが担当した解説もけっこうありますしね。
 音楽って馴れてくると「これは音列技法っぽいな」「これは4度積みの並行和音だな」「これは多調っぽい」「これは単純フーガ」みたいに、聴いてなんとなく判断がつくようになっていったりするじゃないですか。でも、自分があまり馴染んでない種類の音楽となると、音や音楽自体に感動しても、そのアナリーゼをどうやってしていっていいか分からなかったりしませんか?僕は若い頃、オネゲルのとある曲を聴いて、「これって半音階?基音を定めた無調?」と大いに迷って、自分で一生懸命アナリーゼしてみたけどわけわからなかった事があります。ところが、ある作曲家さんが言った「多調」の一言で、スルスルと紐がほどけるように謎が解決。さっき少し書きましたが、結局アナリーゼって自分が感動した部分を中心に始める事が多いと思うんですよね。感動したから「どうやったの?」と調べたいわけですし。だから、注目点が違うのは当たり前のことで、他人のアナリーゼはあくまで目安。その目安がありがたいのであって、目安になってくれたらそれ以上はどうこう言うものじゃないと思うし、その先が欲しいならあとは自分だと思うんですよね。

 そして、新ウィーン楽派のアナリーゼの何が有難いって、やっぱりなかなか学ぶことのできない音列技法の具体的な作品を解題できること。探してみると分かりますが、たとえば音列技法の手引書って、異様に少ないと思いませんか?シェーンベルクの書いた『作曲の基礎技法』だって音列技法の本じゃないですし。概論書にのっている「音列技法には逆行と反行と…」ぐらいの理論で作曲しろと言われたって、いい曲を書くのは難しいと思います。やっぱり名作をいくつもアナリーゼしてからですよね。その実施訓練をできるのが素晴らしいです(^^)。

 僕は、このシリーズだとドビュッシーも持っていますが、それも素晴らしいです。なんてったって印象派和声の解題ですから(^^)。また、このシリーズの元になった『名曲解説全集』も、近現代のいくつかは持っています。これも素晴らしいです。クラシックを聴き始めてしばらく経ったら、この本のシリーズはぜひ手元に置いておくといいんじゃないかと。スコアを見ながらアナリーゼして聴けるようになるまでは、とても有益な本だと思います!


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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