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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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小説『時の石』 栗本薫

Toki No Isi パンデミックで人類が滅びてしまう物語では、栗本薫さんが書いた「黴」という話も覚えています。子供のころ、栗本さん作の「グイン・サーガ」というヒロイック・ファンタジーとクトゥルフ神話が混じったよう長編小説が好きで、彼女の小説をむさぼるように読んでいた事があります。この本は、「黴」を含む栗本さんの短編小説集。僕がこれを読んだのは中学生。他に、「時の石」と「BURN~紫の炎~」という話も入ってました。最後の小説は完全にディープ・パープルですね(^^;)。そういえば、小説「グインサーガ」のあとがきで、栗本さんはキーボードを弾いていたとか書いてあったっけ。ブルーノートがまったく理解できなかったそうで。そうそう、僕が栗本さんを初めてみたのは、中島梓(栗本さんの別名)としてクイズ番組の「ヒントでピント」の女性チームのリーダーとして出演していた時でした。「ヒントでピント」、覚えてる人も少ないだろうな(^^;)。。

 「時の石」。ある石を握ると過去の幸福だったころの自分を思い出してしまい、色々と事件が起こります。主人公の友人は自殺し、学校の女教師もおかしくなって…みたいな。

 「黴」。黴が世界で大繁殖してしまって人類がほぼ滅亡。ただ、病院にいてアルコール消毒していた人など、一部だけが生き残って、新しい世界で生きていくという話。

 「BURN~紫の炎~」。これも世界滅亡もので、どうして滅んだんだっけな?覚えてません(^^;)。でも、様子の変わった世界の中で、わずかに生き残った主人公やほかの人がサバイバルしていくという話でした。たしか、ロボという犬が出てきて、生きるためにその犬に毒見係をさせていたら、羽が生えて飛ぶようになっちゃったんですよ(^^;)。

 栗本さんは器用な人で、SF小説でもホラーでもファンタジーでも推理小説でも何でも書いてしまう人で、子供の頃の僕にとっては栗本さんが書いたものはどれもこれも面白かったです。でも、今にして思えば、そのすべてが何かの小説の模倣のようで、しかも軽い内容。つまり、読み捨てる大衆小説を書く職業作家だったんですね。そういう小説なので、僕は人生のどこかで栗本さんを卒業しちゃいました。それでも読んでから30年以上たっても読み直さずにこれぐらい思い出せちゃうんですから、優れた職人だったんじゃないかと。


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書籍『メルケルと右傾化するドイツ』 三善範英

Merukeru to ukeikasuru doitu これもヨーロッパやアメリカや日本など、なんで今世界の先進国が右傾化してるのかを知りたいと思って読んだ本です。『EU騒乱 テロと右傾化の次に来るもの』がかなりフランス視点での本だったので、ドイツ視点の本も読んでみたいと思いまして、「ドイツ」「右傾化」でググったらこの本がヒットした次第(^^)。グーグルやアマゾンでの検索を考えると、本のタイトルって重要ですね。著者の三善範英さんという方は、読売新聞で長年にわたってベルリン特派員を務めていた方だそうです。

 タイトルから「メルケルによって右傾化していったドイツ」という事が書かれてるのかと思ったら、それ以上に「メルケルの話」と「右傾化するドイツの話」でした(^^;)。首相になる前のメルケルのプロフィールだけで7章中4章が割かれてましたが、この部分はわざわざ本を買わなくたってウィキペディア見れば充分だった(゚ω゚*)。
 というわけで、「右傾化するドイツ」、の理由を知りたい僕にとっては、1~5章は前提の理解のためには読まないわけにはいかないけど、内容は薄かったかな?読むべきは6~7章でした。メルケルさんは才女で、あのEUが吹き飛ぶんじゃないかという危機を乗り越えたのも、原発停止を決断したのも、シリア難民の受け入れを決断したのも全部メルケルさん。

 ただ、この本の主張は、メルケルさんが周辺国に気を使わずに決断するので、ドイツとは違う状況のEU加盟国までドイツの決断に引きずられてしまってそれは倫理的独裁だ、というものでした。難民を救うはいいけど、人道的見地だけで判断して制限なしに受け入れたもんだから、治安は悪化するわテロは起きるわ財政は圧迫されるわで、それに反対する形でヨーロッパ各国で極右政党が票を伸ばしちゃったじゃねえか、という事でした。なるほど、ひとつの正義だけでものを判断してはうまく行かない事もあるという事か、一理あるのかも知れません。

 まあとにかく、起きた事をどうとらえるかは個々人が判断すればよい事だと思いますが、EU危機がどのように回避されたか、難民受け入れの経緯、ここ10年でヨーロッパ各地で次々に起きている実態などなど、ヨーロッパやドイツがこの10年でどう動いているかを知る事が出来たという意味で、良い本でした!


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書籍『EU騒乱 テロと右傾化の次に来るもの』 広岡裕児

EU souran イギリスがEUを離脱したタイミングでこんな本を読みはじめ、ようやく先ほど読み終わりました。イギリスのみならず、欧米も日本も思いっきり右傾化、今の日本なんて極右と言ってもいいほどの状態。テレビや新聞のニュースを見てもそれらの理由なんてろくに話されませんし、話されてもその説明が色んな事実と食い違って感じるので、「本当にそうなのか?」と信用できなくなってる自分がいます。というわけで、「テロ」「右傾化」というキーワードを検索したらヒットしたこんな本を読んでみました。書かれたのは2016年、著者の広岡さんはフランス在住のフリージャーナリストだそうです。

 簡単な感想は、フランスの視点から見たEU騒乱の解説で、日本の新聞やテレビニュースが伝えてる事とはニュアンスがまるで違いました。日本の大手マスコミとこういうフリージャーナリストの見解のどっちが実態に近いのかは分かりませんが、実際に起きてる事の説明は、こっちの本の方が矛盾なく感じました。たとえば、パリ同時多発テロ。フランス在住の移民たちの子孫がISに入信してのテロ…なんてところで新聞やテレビの報道はは止まっていましたが、この本ではその背景を、巨大化したファンドに呑みこまれたフランス国家が、生産性の低いものを郊外に捨てる事でグローバリズムについていった代償として、社会に持つ者と持たざる者がはっきり分かれ、郊外では「フランスを憎む」と言ってはばからない若者であふれるようになり、彼らがフランスの変革を目指してテロを起こす…みたいな説明。もちろん、新潮社が出すような本ですから、いい加減な推測ではなく、いろんなデータを示したちゃんと根拠を説明していました。なるほど…。

 戦後のヨーロッパ史からECやEUの成立、その中での画国間の経済差などから生じた問題、そこに絡む移民問題、「社会的亀裂」とまで言われるようになった持つ者と持たざる者の格差拡大、そして持たざる者が支持する極右政党の台頭…こんな感じ。ものすごく詳細に述べられていて、学生の時に倣った世界史とゴルゴ13ぐらいでしか世界情勢を知らない僕には、「そうなの?!」という事が多くて、情報量がものすごく多く、そこが素晴らしかったです。実にいい本でした!

 ただ…2回読みなおさないと、僕はこの本を理解出来たと思えませんでした。まとめるのがうまくなくて、分かりづらかったのです。たとえば、EU騒乱の理由のひとつに移民問題をあげていましたが、その移民問題の章を読んでも、細かく色んな事が書かれてるんですが、読み終わっても「え?で、移民問題って何が原因で何が問題となって生じてるの?」とピンと来なかったり。そして読み返して、「つまり○○が問題なんだな」と自分で言葉で補わないといけない、みたいな(^^;)。

 まとめ方はうまくないにしても、詳細なデータや書かれてる内容は本当に素晴らしい!実にいい本でした。思うんですが、情報ってタダで人が与えてくれるものだけを信用していてはダメなんですね。国際NGO団体「国境なき記者団」の調査では、日本の報道の自由度は2017年で世界72位、G7では最下位です。こういう本を読むたびに、本当に「日本の社会の教科書や新聞やテレビニュースは信用できないな」と思ってしまいます。事実を知らずに正しい判断をするなんて絶対に無理。年に数冊でもいいから、こういう本は読むようにしよう…。


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書籍『今日は死ぬのにもってこいの日』 ナンシー・ウッド著、金関寿夫訳

Kyouha Sinunoni Mottekoi no hi 北米インディアンに関しては、こんな本を読んだ事があります。ニューメキシコ州に居住しているプエブロ・インディアンと深く関わったらしい白人女性のナンシー・ウッドという女性作家が、プエブロ・インディアンの老人たちから聞いたた言葉をまとめたものです。

 読んでいて、どの言葉もおおむね以下3つのどれかにカテゴライズできると思いました。第1は人生観や死生観を示したもの。第2は自然の中に自分が生きているという世界観や生命観を示したもの。第3は、プエブロ・インディアンと白人との考え方の差を示したものです。

 第1の死生観は、死が視野に入っているだろう老人たちから聞いた事も大きいかも。でもって、この死生観がまったく人間本位ではなく、そこが素晴らしかったです。たとえば、こんな言葉がありました。

 どちらを向いても、悲しみというものはありません。というのは、すべてはそのとき、そうあるべき姿、そしてそうあるべきだった姿、また永久にそうあるべきだろう姿を、とっていたからです。ねえ、そうでしょう、自然は何ものとも戦おうとはしません。死がやって来ると、喜びがあるのです。年老いたものの死とともに、生の新しい円環が始まります。(P.66)

 こういう死生観って、「死んでも自分は何かになって生まれ変わるから大丈夫だ」という人間本位なものじゃない所が素晴らしいと感じます。だって科学的知識がある現代人としての僕は、「また別の命になって…」と言われても、今自分が持っている意識がなかったら意味ないじゃんと思うわけですが、でもそういう事を約束しないで「何かほかの形になる」と言われればそれはそうだし、その状態でそれで良いのだといわれたら、納得がいった状態で死を迎え入れる事が出来そうな気がするんですよね。

 第2は世界観や生命観は、第1と繋がっているものと感じました。

 わたしの部族の人々は、一人の中の大勢だ。たくさんの声が彼らの中にある。様々な存在となって、彼らは数多くの生を生きてきた。熊だったかもしれない、ライオンだったかもしれない、鷲、それとも岩、川、木でさえあったかもしれない。誰にも分からない。とにかくこれらの存在が、彼らの中に住んでいるのだ。
 彼らは、こうした存在を好きな時に使える。木になっていると、とても気持ちのいい日々がある、あらゆる方向が、一度に見渡せるからだ。岩になっているほうがいいような日々もある、目を閉ざして、何も見ずに。日によっては、できることはただ一つ それはライオンのように猛烈に戦うこと。それからまた、鷲になるのも悪くない理由がある。ここでの人生があまりにもつらくなったとき、鷲となって大空を飛翔して、いかに地球がちっぽけかを上から見ることができるからだ。すると彼らは大笑いして、巣にまた戻ってくる。(P.78)


 つまり、こういう自然すべてでひとつである、みたいな共生感や一体感が、第1の死生観に繋がっているのではないかと感じました。これですよね、現代人が日常に追いまくられているうちに忘れている感覚って。

 第3の白人の考え方との差は、これらプリブロ・インディアンの世界観と比較してのもので、要約して言えば「白人はそのうち自滅してしまうだろう」、なぜなら「彼らにはルーツがない」(p.6) という論理でした。ルーツというのは解釈が色々できそうですが、彼らの世界観から推察すると、彼らを成立させている根幹の正しい理解という所じゃないかと。これを理解できていないから、自分を成立させている自然を平気で破壊したり、神でもないものを神と崇めたりするわけで、そんなやつは自滅しないわけがないだろ、という事なんじゃないかと。

 そして、正しく生きて正しく死ぬことを判断できるようになるための「究極の理解への鍵」(P.5) というのが、こういう世界観や死生観なんじゃないかと感じました。書かれている言葉は単純だし、正直いって「そんな事知ってるよ」と通り過ぎそうになってしまいそうになった自分もいたんですが、知識として「知っている」事と、こうした自然観を身をもって「知っている」事はまったく別と思います。そして「あ、知識だけじゃダメなんだな」と理解させてくれたのが、実は訳者の金関寿夫さんという方が書いた、むちゃくちゃ詳しい解説つきのあとがきでした。本文よりこっちの方が素晴らしかったです(^^)。訳者や編集者の方って、作家よりも博学だったり理解が深かったりする事がありますが、この本なんてその典型じゃないかと。

 故事成句や詩の類だったりしますが、お金や職業に振り回される現代人の僕にとってはグサリとくるものでした。北米インディアンの思想は西洋思想の反省点として注目される事があって、これはそういう流れの中でベストセラーとなった1冊。あんまり深く哲学している本じゃなくて、1日もあればサラッと読めてしまうので、北米インディアン思想への入門書として最適の一冊じゃないかと!


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小説『完訳アンデルセン童話集1』 大畑末吉訳

Kanyaku_AnderusenDouwashu1_Oohata1.jpg 「ある母親の物語」を読みたくて買ったアンデルセン物語の第3集でしたが、これが深い読み解きを必要とする物語の数々で、宗教心を感じさせる話もあれば、マリ〇ァナでも吸いながら書いたんじゃないかというぶっとんだ話もあって、なかなか凄かった!というわけで、第1集にも手を出してみたのでした。以下、印象に残った話だけ抜粋して感想なんぞを書き残しておこうかと。

 「いたずらっ子」。大雨の日に、やさしい老詩人がずぶぬれになった子供を家に入れてあげてあげます。でもこの子が悪がきで、老詩人の心臓を矢で撃ち抜いてしまいます。このいたずらっ子は人をだますのがうまくて、みんなだまされて心臓を撃ち抜かれてしまいます。この子どもの名前はアモール(キューピッドの事)。

 「旅の道づれ」。何を言いたい話なのかは分かりませんでしたが面白かった!ある心のきれいな若者のお父さんが死んでしまいます。悲しんだ若者が父親の死体の近くで寝ると、父親が少女を連れて「お前のお嫁さんを見てごらん、世界一の美人だよ」と言います、でも目覚めると少女は消えしまいます。他に身寄りのない若者は旅立つ事にします。ある村で、死体を墓の外に放り出そうとした悪人を見て、「全財産をあげるから、その死体をお墓の中に反してあげてください」とお願いします。こうした善行を行ないながら旅を続けていると、旅に道連れが出来ます。ある大きな街に着くと、お姫様が王子を募集していました。しかし、お姫様の3つの質問に答えられないと、求婚した男は殺されます。ひどいお姫様だと思ったのですが、いざ見てみると夢の中で見たあの世界一の美人の少女でした。俄然やる気になった旅人は婚約者に立候補します。そして…ね?先が読みたくなるでしょ?面白かったです!

 「親指姫」。これは名前はきいた事がありましたが、内容を知ったのは今回が初めて。子どもの欲しい女が、魔法使いに相談します。すると種をひとつ貰い、それを育てると花の中から親指サイズの女の子が登場。そんなばかな、頭湧いているな…じゃなかったロマンチックだな。でもって、親指姫はみにくいカエルにさらわれ、カエルの息子と結婚させられそうになります。逃げ出して野ねずみに助けを求めると、野ねずみは親切にしてくれましたが、こんどはネズミのお隣さんのモグラと結婚させられそうになります。義理を欠くわけにはいかないのでげんなりしつつ運命を受け入れようとしたところで、今度はツバメに救われます。ツバメは親指姫が好きだし、親指姫もツバメが好きでしたが、今度は親指姫と同じ小さな人と出会ってめでたしめでたし。でも親指姫を救って、しかも両想いだったはずのツバメの気持ちは…。これって、向こうから勝手に幸せが飛び込んでくるシンデレラストーリーじゃなくて、昨日まで「あなたが好き」と言っていた女にわけも分からないまま振られる男の話なんじゃ…。

 「人魚姫」。これは深い話でした。人魚が人間の王子に一目ぼれ。魔女に相談すると、自分の魚のような尻尾を脚に変えてくれる薬を作ってくれるが、ひきかえに舌を切られて喋れなくなります。ついでに、その魔法は王子が自分を選ばず他の人と結婚してしまうと、自分は泡になってしまいます。結末は、自分より王子の命を選んだ人魚姫の悲劇で終わります。
 この話、アンデルセンの生命観があらわれているようで、そこに深さを感じました。人魚の世界では、「人魚は300年生きられるが死んだら泡になり、あとには何も残らない。だから、与えられた300年を楽しく暮らすのだ」「人間は私たちよりもずっと早く死ぬ。でも人間の魂は永遠で、死んだ後も魂が天に昇って行くのだ」というもの。前者が無慈悲な現実、後者はキリスト教が用意した死の恐怖を和らげる世界観。そして、人魚姫の臨死体験の描写が異様に細かいです。光が死のように冷たい泡をおだやかに照らし、自分は少しも死んだような気がせず、空中に無数のキラキラしたものが漂い…死ぬ時って、実際にこんなものなのかも。

 「皇帝の新しい着物」。タイトルは違いましたが、要するにこれは「裸の王様」でした(^^)。

 「しっかり者の錫の兵隊」。恥ずかしながら「錫」を読めませんでした(゚ω゚*)。この機会にしっかり覚えたいと思います。子どもにプレゼントされたおもちゃの兵隊が、紙で出来たダンサーに思いを寄せます。実はダンサーも兵隊が好きみたい。しかしひょんなことから兵隊は窓の外に落ち、紙の船に乗ってどぶ川を流されます。どぶの蓋の中に入るとネズミが出てきて「通行税を払え」といいますが、すずだから話せるはずもなくどんどん流されます。最後には魚に食われますが、その魚が釣られて食卓にあがると、なんとびっくり元の子供のもとへ。でも、子供のひとりが兵隊をつかんでストーブの中に放り込み、ついでに風に飛ばされたダンサーもストーブの中に入って、どちらも燃えてしまいました。最後には、ハートの形をした錫だけが残りましたとさ。…ぶっとんだ話だな(^^;)。

 「幸福の長靴」。履くと、その人が望むどの時代のどの場所にも行けるという長靴があります。これで色んな人がいろんな時代のいろんな場所に行ってしまうのですが、脱ぐと元の場所に帰ってくるという仕様。素敵だね。色んな人が長靴を履いていろんな世界を見てくるのですが、深かったのは最後のふたり。ひとりは警察署の書記係で、「詩人の心の中に入って、ああいう人になってみたいもんだ」と願います。すると、普段は感じないようなものの見え方がしてきます。植物学者が何時間も抗議してようやく説明できるような事が、そのへんにあった花を1分見ているだけで理解できます。水のしずくを見ているだけで、その中に入っている無数の生物に思いが馳せるようになります。おお、これは素晴らしい。。
 最後のひとりは大学生。大学生が「すべてのものの中で一番の幸福を」と望むと、大学生は棺の中に入り、棺の中で息を引き取ります。…いやあ、棺の中の永遠の眠りが一番の幸福という世界観がすごい。ちょっと考えさせられました。

 「野の白鳥」。11人の王子と1人の王女が幸せに暮らしていましたが、悪い魔女のお妃が来て、王女は貧乏な家に売り飛ばされ、王子たちは白鳥に変えられてしまいます。王女は兄さんたちを元の姿に戻したいと望みますが、その為には棘だらけのイラクサで鎧を11人分編まなくてはならず、またそれを編み上げるまで口をきいてはいけません。王女は棘で手から血を流しながら鎧を編み…まあこんな感じで、ファンタジーで面白かったっす(^^)。

 「パラダイスの園」。王子が森で迷子になると、年をとった女に助けられます。そして、女の4人の子供達が帰ってきます。ひとりは北風、ひとりは南風、ひとりは西風、ひとりは東風。それぞれ自分が行った世界の話をしますが、東風がパラダイスに行ってきたと話すと、王子はがぜんやる気満々。そして東風にそこまで連れて行ってもらうんですが、そこにある知恵の木の林檎にも触っちゃいけないし、仙女にキスしてもいけません。しかし王子は…
 ようするにこれ、旧約聖書のアダムとイブのいた失楽園の事ですよね。キリスト教圏ならこの話は意味が通りそうですが、日本だと子供に読んであげるにしても補足が必要だろうなあ。この話の中に、ひとつ印象的な記述がありました。それは、東風と一緒にパラダイスに向かう途中で、寒い世界を通り抜けるのですが、そこで王子が東風に行ったセリフ。「死の道を通ってパラダイスに行くんだね。」いやあ、「幸福の長靴」同様に、これは実にキリスト教的な世界観だと思いました。死の先を用意してない世界観って多いじゃないですか。でも、キリスト教では死の先に別の世界があるんですよね。

 3集は大人でもうならされる話が多かったですが、1集は子ども向けのファンタジーな童話が多かったです。含蓄のある話もあるけど、基本はいろんな世界を見たり、先が知りたくなるようなファンタジー。「しっかり者の錫の兵隊」や「裸の王様」あたりはその典型で、特に訴えたい何かを童話に託したわけではなく、人や子供が楽しんでくれるものを描いた印象です。でもこれ、子供の時に聴いたらワクワクするような話なんだろうなあ、紙の船に乗ってどぶ川を流されるのなんて、冒険談としてめっちゃくちゃワクワクしそうですし。この本、幼児が読むのは不可能。逆に中高校生にもなったらもうちょっと高度な文学を読みたいところ。じゃ、対象年齢はどれぐらいかというと…小学校中高学年、そして実は壮年期以上の大人が読む本なんじゃないかと。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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