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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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書籍『特撮と怪獣 わが造形美術 増補改訂版』 成田亨

Tokusatsu to kaijyuu naritatooru ウルトラマンやウルトラセブン、そしてその怪獣や宇宙人のデザインをした事で知られる造形美術作家の成田亨さんの本です。恐らくインタビュアーさんがいて、それに答える形で文字起こしされたもの(とはいえインタビュアーのコメントは削除されてました)。たしかに円谷プロでの特撮での仕事を中心に書かれてはいましたが、なかば自伝でした。僕はウルトラマンとウルトラセブンにどっぷりつかった世代なもので面白くないわけがなく、半日ほどであっという間に読んでしまいました(^^)。

 ウルトラマンやウルトラセブンを見ていると、オープニングにクレジットされている人の肩書きを見ても、何をしている人なのかよく分からなかったりしませんか?脚本とか監督とか出演者はまだ分かりますが、監修、制作主任、効果、光学撮影、特殊技術…僕はぜんぜん分かりませんでした。でもって、成田さんが怪獣のデザインをした人だという事は知っていたのですが、実際には美術総監督で、怪獣デザインだけでなく、隊員の制服や装備品のデザインからセットのデザインからレイアウトまで決めていたんだそうで。ただ、他の本(たとえば『ウルトラセブン研究読本』)なんかを読むと、成田さんがすべてのデザインだったわけでもなかったみたいです。

 面白かったのは、造形芸術に関わる人の人生がどういうものなのか、垣間見えた事でした。成田さんは武蔵野美大に絵画で入学するも、途中で彫刻科に転科したんだそうです。なんでも、ジャコメッティやファッツィーニが出てきたころで、時代が絵画から彫刻に移っていた頃でもあったんだそうな。で、大学の後輩から「仕事が間に合わないから手伝って」とゴジラの撮影に呼ばれ、ここから映画や舞台やテレビでの美術の仕事をやるようになっていったんだそうです。
 で、彫刻家というのはまずそれだけじゃ食べられない世界で、だから先生になる人が多いんだけど、先生になってしまうと周りはみんな「自分以下」の人たちになるから脱落してしまうので、なんとか先生にならずに…みたいな生き方になるんだそうです。ああなんか分かります、音楽もジャズやポップスなんかの西洋ポピュラーやってればまだ食えるけど、ガチで芸術音楽の作曲やったら、日本代表区レベルの人でも先生でもやらないと食えないですもんね…。映画やテレビの美術をやって、「美術総監督」みたいなクレジットを入れられるのは、気恥ずかしくてできなかった、みたいな事を言われてましたが、それって、ガチで美術やっている人への引け目なのかも知れません。分かるわ…。

Yata_NaritaToru.jpg この本の中には、特撮ものではない、芸術家としての成田さんの作品の写真が何点か写真で入っていましたが、これが見事で驚きました。造形芸術で具象も半抽象もありましたが、半抽象の「八咫」(やた)という作品にはゾクッと来ました…ああもうこれは本物だよ。なんでもこの作品、新作家賞受賞作なんだそうです。あと、京都のどこかにある3体の鬼の像は、具象でしたがこれも素晴らしかったです。
 あと、本筋とは違いましたが、美術や音楽を考えるにあたって、すごくヒントになった言葉が。成田さんは、風船を膨らました美術や、ウォーホールのポップ・アートあたりを、「美術ではなくデザイン」と呼んでいました。成田さん自身も、じゃその境界に何があるかは難しいみたいなことを仰られていましたが、これは僕にとってはひとつの答えを導き出すヒントになる言葉でした。真剣に道を追ってきた人の言葉って、ためにならないものはないんですよね。。

 僕は今も迷いながら生きています。成田さんと同じで、食べるためにう成田さんでいうウルトラマンみたいな仕事もして、それだって手を抜いているわけじゃなく全力で仕事して、でもそういう事をやっていると「本当にやらなきゃいけないのはこれじゃないんだ」という忸怩たる思いを毎日抱えて…みたいな。そういう苦悩の部分もこの本には隠さず書かれていたので、人によっては読んでいてちょっときつく思える事もあるかも知れないけど、僕は同じような人生を選んだ大先輩としてリスペクトを覚える本でした!


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書籍『能への誘い 序破急と間のサイエンス』 金春國雄

NouhenoIzanai KonparuKunio 昔は予備知識なしでいきなり能楽堂に行ったらチンプンカンプンだったもんで(でも狂言は面白かった!あんなに面白いものとは思いませんでした)、今度は『能鑑賞二百一番』という本を読んで予習してから能楽を見てきました!いや~面白かったし凄かった!だって、ある能なんて(その日は能2つと狂言1つがセットだった…本当は5つセットが普通みたい)、主人公が亡霊なんですよ!そしてあの面をつけて…もうね、エンターテイメントなんてもんじゃなくて、芸術というか哲学というか、そういう凄さでした。メチャクチャ興味が出たので、もう少し能の深い所を知りたくて、こんな本を買って読んでみました。この本、ものすごく深いです。

 この本は、能の基本知識と、その背景にある思想や文化についての解釈を書いてありました。このバランスがすごく良いので、能をある程度知ってる人じゃないと読めない芸術論にはなってなくて、僕みたいな初心者でも読めて良かったです(^^)。
 でも、初心者でも読めるからと言って浅い内容ではなく、メチャクチャ深かった!!能は、演目も、舞台装置も、音楽も、色んなものが5つに分けてるそうなんですが、なぜそうなのかとか、その背景にある思想とか、ものっすごく詳しく描かれてるんです。

 もう、この本一冊あれば、芸術論的な能の本はいらないんじゃないかと思えるぐらいの内容の濃さでした。きっと、著者の金春國雄さんというのが、単に能のファンというだけの人ではなくて、能をやる側の人なんでしょうね。詳しい事は知らないんですが、能って5流あって、そのうちのひとつが金春流というので、本家の人なんじゃないかと思うんですよね。その人が、生涯かけて蓄えてきた能に関する知識や見解などを余すところなく書いたという感じで、本当にすばらしい本でした。能って深いです。


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書籍『能鑑賞二百一番』 金子直樹(文)、吉越研(写真)

Noukanshou201ban.jpg 能楽は、観阿弥・世阿弥のころの猿楽も含めるとすると、室町時代から残ってる日本の伝統芸能です。それ以降の日本の伝統芸能のすべてに影響を与えたと言っていいほどで、しかも芸術性で言ったらブッチギリで筆頭。やってる事がすごいです。でも能って普段はなかなかお目にかかれないので、僕には分からない事が多すぎ。東京に行った時に何度か能の舞台も見たけど、狂言は現代語に近くて面白かったけど、生で見た能はセリフですらよく聴きとれず、パンフレットと舞台を交互に見ている状態でした。というわけで、こんな本で勉強してみました!

 この本は、最初と最後に能についての基礎知識が簡単にまとめてあって、残りは能の演目のあらすじがドバっと書いてあります。
そしてこの本のいい所は、写真が満載な所!カラー写真も多くて、メッチャクチャいいです。能って、あの般若とかの能面も魅力のひとつじゃないですか。それが文章だけだとぜんぜん分からないので、写真入りは実用的!「ああ、この能はこんな真っ赤な髪をした鬼神が登場するのか!」とかね(^^)。僕はこの本と「能鑑賞二百六十一番」という本のどちらを買うか迷ったんですが、写真入りというのが大きく、こちらにしました。261の方は文章だけなんですよ…。

 能楽は古い言葉を使っているので、僕だけじゃなくて聴き取れない人が多いみたいです。というわけで、見に行くならあらすじを把握してからいくのがいいんじゃないかと。というわけで、能を観たいなら、こういう本を一冊持っておくと便利かも(^^)。これは超おすすめです!


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書籍『グレープフルーツ・ジュース』 オノ・ヨーコ 南風椎訳

gurapefruits Juice_Yoko Ono フルクサスの思想にいちばん近い活動をしていたアーティストって、ジョン・ケージとオノ・ヨーコさんだったんじゃないかと思っています。そんなオノ・ヨーコで有名なのって、ジョン・レノンの奥さんだった事と、「グレープフルーツ」という詩集のふたつじゃないかと。これは、詩集「グレープフルーツ」の言葉をととのえて、写真家による写真を織り交ぜた改訂版みたいな本です。

 昔、ビートルズの特番を見ている時に、オノ・ヨーコさんの「グレープフルーツ」の一節が紹介されました。素晴らしくて、感激してしまいました。その詩を知るまでの僕にとってのオノ・ヨーコは、「ジョン・レノンをたぶらかした女」「ビートルズ解散の原因」「公開ベッドインとか、ちょっとずれた事ばかりやるアート気取りの女」みたいな感じ。それが、いくつか紹介された詩を聴いただけで、「ああ、これはビートルズなんかよりやってる事が全然上だわ」と思ってしまったのでした。でも、そのまま詩は読んでなかったのです。
 そして最近、古本屋でこんなものを見つけ、ようやくオノ・ヨーコさんの詩を読みました。いやあ、やっぱり素晴らしかった…。いくつかを紹介すると…

想像しなさい
千の太陽がいっぺんに空にあるところを。

ある期限で名前を変えなさい。

道を開けなさい。
風のために。

この本を燃やしなさい。
読みおえたら。


 半分はものすごく信頼したと同時に、もう半分は悪い方に出た時のアーティストのごまかしもあるんじゃないの、とも感じました。信頼し、感動できたところは、上に書いたような詩を読んだ素直な感想。オノ・ヨーコさんの事を僕はよく知りませんが、つまり仏教的な考えをしているのではないかと思いました。それを、たとえばおばあちゃんが子どもに分かりやすいよう言葉を変えて話しているようなものではないかと。例えば、「風のために道を開ける」は、人は自然の一部であって、いずれ自然に帰すという考えが背景にあるもので、「読みおえたらこの本を燃やせ」は諸法無我、「ある期限で名前を変えろ」は無常の換言ではないかと。人って、年相応のレベルの知見まで届いていないといけないと思うんですが、この本の知見は、立派な大人の領域でしょう、みたいな。自分をどういうものとして認識して、生きる上でどうあるか、という事ですよね。

 一方で、美術系のアーティストっぽいごまかしをしてるのではないか、という疑いも拭い去れませんでした。あくまで一例ですが、美術系の人が音楽をやると、美術的な文脈で音楽を理解しようとすると思いませんか?音楽の理解の仕方は、音楽という理解の仕方以外には、正しく受け止める事が出来ないと思います。音楽っていうのは、ある種言語的なところがあって、たとえばアーティキュレーションとか要素のつながりとか、ある一定以上の音楽では文化的に断絶された地域の音楽でも似た言語機能を持ってるんですよね。でも、美術家とかダンサーって、こういうところをまるで読み取らずに、印象だけで「癒された」とか「ちょっと○○だ」といってしまう時があります。これに近いものをこの本にも感じました。こういう疑いって、ランボーやマラルメツェランにはまったく感じないので、言葉の使い方が相応しくないなり、そもそもやっぱり分かってないなりといった事があるんじゃないかと思ってしまうのです。

 とはいえ、引用したような詩では、本当に「ああ…」と気づかされるような感覚がありました。素晴らしい詩だと思いました。そんな中、僕にとって一番グサッと来た詩は…「掃除をしなさい。」…うわあ、どさくさに紛れて普通に怒られた気分になってしまいました(^^;)。


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『FLUXUS Anthology』

Fluxus Anthology  フルクサスとは、1960年代に起きたダダイスティックな芸術運動です。音楽に限らず、詩、美術、ダンスなどにまたがった運動というところもダダに似ていて、あまり大きな流れを作れないまま終息したところも似てます。これはフルクサスの音楽として超有名なオムニバスCDです。というか、フルクサスを冠したCDって、僕はこれしか知りません。

 フルクサスをダダっぽいと言いましたが、それはこのCDにもあらわれてます。1曲目なんか、ガサゴソという物音がきこえるだけ。2曲目は、プリペアドしたピアノがデタラメに演奏されるだけ。あと、喋ってるだけのやつ、レコードの針が飛ぶ音…ね、ダダっぽいでしょ(^^)。さらにダダっぽいのは、こういう所にただのロックンロールみたいなのが入ってたり。僕はクラシックの勉強をしていた事があるのですが、クラシックって見事に体系化された世界で理論ガチガチ、現代音楽なんてその極みみたいだったのに、ジョン・ケージの登場あたりから偶然性を導入し始めました。そのジョン・ケージもフルクサスに参加していて、このCDにも入っています。混線したラジオの音が入ってる有名な「ラジオの音楽」です。このCDに入ってる他の有名どころは、オノヨーコ、ラ・モンテ・ヤング、エリック・アンダーソン、ナム・ジュン・パイクあたり。オノヨーコのパフォーマンスは、トイレの音だし(^^;)。

 これがつまらないかというと、想像力をかき立てられてメッチャクチャ面白かったです!若い頃は最高に面白く感じたのはもちろん(そういう時代でもありました)、いま聴いてもやっぱり刺激的でした。ただ、こういうのって、「面白い」で終わったら、しょせんはその程度のものだと思うんですよね。デタラメやっといてアーティスト面したがる人を増殖させてしまった面も実際にあった気がします。というわけで、フルクサスは、それ自体が面白いのではなく、考えが硬直して画一的になった時に反動として常にあらわれる現象みたいなものと思ってます。だからフルクサスは、ベートーベンじゃないと音楽じゃないとか、ポップスとロックしか理解できないとか、そういう脳が硬直しかけちゃった人にとって素晴らしい薬。でもデタラメでいいとかオモシロけりゃいいと安易に考えてしまう人には毒なんじゃないか、な~んて思ったりして(^^)。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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