テディ・ペンダーグラスが在籍していたフィリー・ソウルのコーラスグループ、ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツが1975年に発表したアルバムです。このグループ、50年代から活動していたらしいんですが、名前に「ハロルド・メルヴィン」が冠されるようになったのは70年代から。でもって、
バンド全盛期となった70年代中ごろのメイン・ヴォーカルはハロルド・メルヴィンじゃなくてテディ・ペンダーグラス(^^;)。このアルバムは、まだテディ・ペンダーグラスが在籍していた頃のアルバムです。この後、ペンダーグラスはグループを去ってソロデビュー、そして大ヒットしてしまうのでした。黒人コーラス・グループのメイン・ヴォーカルって、バンドが売れると絶対やめますよね(^^;)。バンマスは辛いよ。
音楽の雰囲気は、サム・クックやフォー・トップスの頃から続く、バンドやストリングスやブラスセクションをバックに歌う黒人コーラス・グループのノリ。でもフィリー・ソウルらしくちょっとだけニュー・ソウルなギターやラテン・パーカッションが入っていて、これで少しだけモダンに感じるのが味でしょうか。あーこのいかにもフィリー・ソウルなムード、心地よくていいなあ(^^)。
ファンク色の薄い甘い系のフィリー・ソウルのバンドでは、実はスタイリスティックスよりいいグループなんじゃないかと思ったりして。
このアルバムは、「Bad Luck」とか「Hope That We Can Be Together Soon ft. Sharon Paige」とか、ヒットした曲が何曲か入ってます。でも僕がいちばん好きなのはミディアムスローの優しい曲
「Pretty Flower」。語るように歌い、後半で少しだけ盛り上がって、その後ろで何度も「Pretty Flower」というコーラスがリフレインします。また、さりげない曲だけど、和声進行も素晴らしいし、曲も単純な繰り返しでできたコーラス形式じゃないです。いやあ、この浮遊感ある曲想と相まって、これは素晴らしい。。
歌って色んなものがありますが、人生を厳しいものと見ているか素晴らしいものとみているかで分けることも出来ると思うんですよね。ブルーノーツに限らず、
フィリー・ソウル全般に言えるのは、人生を素晴らしいものと見ているような幸福感に満ちあふれた雰囲気。いつか自分だって死にますが、その時に振り返って、
ベートーヴェンの運命みたいな響きの人生だったと思うより、フィリー・ソウルみたいに「素晴らしい世界で幸福に生きたなあ」と思えたらいいな、な~ん思ったりする今日この頃です。若い頃は、ぜったいこんなこと思わなかったんだけどな。。