fc2ブログ

心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

Category: CD・レコード > ラテン   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『Astor Piazzolla & Jorge Luis Borges / El Tango』

Astor Piazzolla Jorge Luis Borges El Tango 1965年リリース、ピアソラボルヘスの詩や散文に音楽をつけ、語りと歌を組み込んで作ったコンセプト・アルバムです。編成は曲によって弦がつくものもあり、コンボでも編成が色々と変わりましたが、大枠を作っているのはこの頃のアストル・ピアソラ五重奏団のメンバー(ピアソラbn/アントニオ・アグリvln/ハイメ・ゴーシスp/オスカル・ロペス・ルイスg/キチョ・ディアスb)でした。そして歌は超大物エドムンド・リベーロ…スペイン語の名前ってかっこいいですね、粋さとやさぐれ感がいい具合に混じってる感じ(^^)。

 A面6曲は、それぞれボルヘスの詩に音楽をつけたもので、詩は朗読か歌のどちらかでした。音楽面でいうと、独創的な音楽ではなく、古いタンゴそのものだったり、もろにミロンガだったりと、演出的に既存の音楽スタイルを充てたものが多かったです。ただ、最後の「ODA INTIMA A BUENOS AIRES」は、バンドに弦とコーラスがついた独創的なアレンジで面白かったです。

 B面は、「EL HOMBRE DE LA ESQUIN ROSADA」(薔薇色の街角の男)という散文からいくつかを拾い出して組曲化したものでした。こちらは弦を入れた曲が多く、アレンジが独特で面白かったです。アリエル・ラミレスと詩人フェリックス・ルナの作った戯曲を思い出しましたね。なるほど、管弦楽法を学んだ作曲家でもあるわけですね。

 詩の方ですが…僕はボルヘスという作家が大好きです。『不死の人』なんて何度読み直したか分からないほどだし、散文詩も好きです。でもこのアルバムにセレクトされたものは、正直言ってあまり面白く感じませんでした。ボルヘスの詩って、内容よりも修辞法に感心する事が多いのですが、それがないというか。好きな詩の趣味は人それぞれだから、この詩をいいと思う人もいっぱいいると思うのですが…スマヌス。

 50~60年代のピアソラのレコードは、全般的に録音のレベルが低くて迫力に欠けました。このレコードもそうで、僕が持っているのは98年に日本で再発されたCDですが、モノラルですし。ボルヘス作品の戯曲化なんだから、当時のピアソラからすれば一世一代の仕事だったと思うんですよ。でもこの音のショボさが痛恨、こじんまりとした作品に聴こえてしまいました。


スポンサーサイト



Category: CD・レコード > ラテン   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『Astor Piazzolla Y Su Gran Orquesta / La Historia Del Tango Vol. 2 - Época Romántica』

Astor Piazzolla La Historia Del Tango 2 第1集と同じ1967年リリース、ピアソラがタンゴの名曲に挑んだアルバム第2集です。日本語タイトルは『タンゴの歴史第2集 ロマンティック時代』で、1集から徐々に現代に近づいていく仕様。なんでも、本当は第4集まで作られる予定だったのが、ピアソラが途中で放り出し、3集の途中まで録音したところで頓挫したそうな。僕は第2集を日本盤を持っているのですが、それにはボーナストラックとして第3集の録音分も入っていました。やったね。

 あ~さすがに少し現代に近づいただけあって、1集よりこちらの方がモダンに感じました。取り上げているのがエンリケ・デルフィーノフリオ・デ・カロ、オズバルド・プグリエーセという人たちなので、もうピアソラ直前といっても過言ではないモダンさを感じる音楽でした。まあそれも、ピアソラのアレンジもあった上の話なのでしょうね(^^)。キンテートに弦などを足したこのグラン・オルケスタのアレンジが素晴らしくて、サウンドもアンサンブルも見事でした。ただ、古いアルゼンチン録音なので、低音はスッカスカなんですけどね。

 僕がこの第2集を買ったのは、実は最近(2021年)です。なにせ僕が持っていた、大好きな『アストル・ピアソラ・ベスト』が、このシリーズの第1集だと知ったのがけっこう最近だったもんで(^^;)>。僕はこのシリーズで、ピアソラと古典タンゴを同時に体験できたもので、古典タンゴにもモダン・タンゴのどちらにも苦手意識を持たずに済んだんですよね。何だったら、ピアソラの曲よりこのシリーズで取り上げられた曲の方が好きだと思う時もあるほどです。ピアソラに狂った僕ですらそう思ったぐらいなので、ピアソラ以外のタンゴを聴き始めたいと思っている方は、この『タンゴの歴史』シリーズから聴き始めるのはなかなかいい手かも。カッコいい編曲に素晴らしい演奏なので、最高におすすめです!


Category: CD・レコード > ラテン   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『Astor Piazzolla Y Su Gran Orquesta / La Historia Del Tango Vol.1 - La Guardia Vieja』

Astor Piazzolla_best 日本語タイトル『タンゴの歴史第1集 グアルディア・ピエハ』、1967年リリース、ピアソラがタンゴの名曲に挑んだアルバムです。高校時代に聴いたこのCDが僕のピアソラ初体験で、その日本盤CDのタイトルは『アストル・ピアソラ・ベスト』で、第1集を全曲と第2集の中の4曲を合わせたものでした。というわけで、ピアソラの曲は1曲も演奏されていなかったんですが、これでタンゴとピアソラを初体験した僕は、この音楽に猛烈に感激したんですよ!「え、タンゴってジャズで言うデューク・エリントンぐらいの古色蒼然とした音楽だと思ってたのに、こんなにカッコいいの?!すげえええ」みたいな。まあ、時代は確かに感じるんですけどね(^^;)。

 若い頃に聴いて思ったのは、「タンゴって、曲中で長調だったら短調に、短調なら長調になってシーンを変えるんだな」という事。いま聴いて真っ先に感じたのは、キンテートと弦のバランスとアレンジが素晴らしい事。そして、かなり西洋音楽の教養を感じるというか、曲の中でいちばん盛り上がる場所が演奏でしっかり表現されていました。ロックやジャズだと、楽曲のピークを作っていない演奏って意外と多いんですよね。

Astor Piazzolla La Historia Del Tango 1 これらをひっくるめて言うと、タンゴってポピュラーではあるけど非常に劇的な構造を持った音楽なんですよね。ロックもジャズもそうですが、若い頃は英米発のリート形式の曲ばかり聴いていたものだから、こういう劇的構造や編曲を施したポピュラー音楽があるという事自体が鮮烈でした。しかも、クラシックと違って1曲がコンパクトなので、良さ分かりやすかったのも大きかったです。

 編曲や演奏も込みとして、曲で衝撃を受けたのは、タンゴの大名曲「El Choclo」はもちろん、フランシスコ・カナロ作曲「Sentimiento Gaucho(ガウチョの嘆き)」、あとは…やっぱり書くのをやめます、みんないいので(^^)。で、その良さの大半がアレンジで、途中で転調は入れるわ、元のメロ自体に手が入るわで、かなり大胆。これは単なる名曲集じゃないですね、ピアソラのアレンジで生まれ変わった面もあったんじゃないでしょうか。

 僕のタンゴ初体験がこのアルバムで本当に良かったと今でも思っています。もし初体験がもっと古典寄りのカルロス・ガルデルとか、逆にもっと現代よりのモサリーニだったら、タンゴにのめり込むのはもっと遅くなっていたと思います。古すぎず新しすぎず、簡単すぎず難しすぎず、楚歌もタンゴの名曲がいっぱい聴けるという、タンゴ初心者が聴くにはまさにドンピシャのレコードでした。そして久々に聴いた今でも、聴くと「ああ、これはいいわ…」とジ~ンと来てしまいました。これはマジでいいです、企画盤だと侮るなかれ、素晴らしいタンゴのレコードだと思います!


Category: CD・レコード > ラテン   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『Astor Piazzolla Y Su Quinteto Nuevo Tango / Concierto en el Philharmonic Hall de New York ニューヨークのアストル・ピアソラ』

Astor Piazzolla Quinteto en el Philharmonic Hall de New York 1965年リリース、アストル・ピアソラ五重奏団のアルバムです。タイトルからするとライブ・アルバムのように思えますが、客の声はいっさい入っておらず、音もオンマイクでタイト。というわけで、これはスタジオ録音じゃないかと僕は疑っています(^^;)。それともゲネプロを録音したのかな?
 メンバーは、ピアソラ(bdn)、アントニオ・アグリ(vln)、ハイメ・ゴーシス(pf)、オスカル・ロペス・ルイス(eg)、キチョ・ディアス(cb) というわけで、黄金のキンテートです。日本盤は『ニューヨークのアストル・ピアソラ』というタイトルでリリースされていて、ポリドール発売のピアソラのCDを買ってくると、どのCDのライナーにも、申し合わせたようにこのアルバムが最高傑作として紹介されていました。絶対に他のレコード会社からリリースされたものを誉めないあたり、評論家さんの忖度っぷりは半周まわってあっぱれです(^^;)。

 編成こそ違いますが、音楽はアルバム『Tango Contemporaneo』に近く、えらくプログレッシヴ・ロックなタンゴだと感じました。それはアルバム構成もそうで、全9曲のうち、最初の3曲のタイトルにDiablo(悪魔)という単語が入り、終盤に2曲Angel という単語の入った曲が置かれていました。そうそう、有名な「Milonga del Angel」(天使のミロンガ)が入っているのもこのアルバムです。

 というわけで、進歩的な音楽にコンセプト・アルバム的な構成と、いかにも僕の大好物そうなアルバムなのに、若い頃はこれが面白く思えなかったんですよね。理由はおそらく演奏に迫力を感じなかったから。音楽が全然サウンドしないんですよ。。これは演奏だけでなく録音やミックスも悪いんじゃないかなあ、いかにもダイナミック・レンジの広そうな演奏をしているのに、音量は常に一定だし、タッチでの音色変化もほぼなし。ジャズならともかく、クラシックやタンゴみたいに演奏表現の強い音楽でこういう録音はちょっと。。60年代のキンテートは、ピアソラの音楽の中で特に評価が高いですが、とにかく良い録音がなくて、これで相当に損していると感じます。

 とはいえ、「Tango Diablo」(悪魔のタンゴ)、「Romance del Diablo」(悪魔のロマンス)、「Vayamos al Diablo」(悪魔をやっつけろ)、「Todo Buenos Aires」と、好きな曲が色々入っているので、スコア代わりとしてこのアルバムを手放すわけにはいかないのでありました。音さえ良ければもっといいアルバムだったんじゃないかと。ピアソラって、録音に恵まれなかったですよね。。


Category: CD・レコード > ラテン   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『Astor Piazzolla y su Nuevo Octeto / Tango Contemporaneo』

Astor Piazzolla y su Nuevo Octeto Tango Contemporaneo 1963年発表、アストル・ピアソラ新八重奏団のアルバムです。アレンジもそうですが、ヴァイオリンのアントニオ・アグリやピアノのハイメ・ゴーシスが参加もしている事もあり、同時期に活動していた五重奏の延長にある八重奏と感じました。

 バンドを拡大したのは、やってみたいアンサンブル・アレンジがあったからですよね、普通に考えれば。このアルバムですが、アレンジがタンゴから離れ、その離れ方がクラシック系ではなくプログレッシヴ・ロックやフュージョンのそれに近く、この芸風がアルバムの評価の分かれ目になるかも。僕がこれをどう感じたかというと、すごくカッコよく感じる部分が半分、こけおどしというかガキくさいと感じる部分が半分でした。
 カッコいい部分は同時期のキンテートのアルバム『Tango Para Una Ciudad』あたりとまったく同じ。この時期のピアソラ楽団が確立したモダン・タンゴのあの匂いが炸裂しまくりでした。イエ~イ!
 一方のちょっと受け付けられない部分は、例えば弦チームのオブリとか、フルートのラインとか、ド~ンと来る仕掛けの作り方とか、そういう所。詞のリーディングが挟まるところも、いいと感じずにむしろガキくさいと感じてしまいました。なんというのかな…たぶん、ピアソラさんの美感で言えばもっといいと思っている方法があるのに、聴衆に寄せているようにも思えたんですよね。最高の音楽を目指しているのではなく、聴衆が分かってくれる場所を模索している部分を感じる、みたいな。

 クラシックや現代音楽と、タンゴやミロンガの強力なリズムをミックスして、それを強烈な演奏で表現していくピアソラが好きだった僕にとって、これはまだ頭の中でざっくりと相好を組み立てた段階の音楽に聴こえてしまいました。音楽が鳴ってこないんですよね。フュージョンやプログレなんかに、楽譜だけ書きこんで指だけチロチロ動いてるけどぜんぜんなってない音楽っていっぱいあるじゃないですか。あんなかんじ。
 でもスコア自体は悪いわけじゃなく、演奏がもっとグルーヴしていれば色んな弱点をカバーできてカッコよく感じた音楽なのかも知れません。ちなみに、このヌエヴォ・オクテートはこのアルバム1枚で消滅…実はピアソラも失敗したと思ったのかも(^^;)。


06 2023 « »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

月別アーカイブ
検索フォーム
これまでの訪問者数
最近気になってるCDとか本とか映画とか
ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
アド
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Archive

RSS