『Nina Simone / Little Girl Blue -Jazz As Played In An Exclusive Side Street Club-』

NinaSimone_LittleGirlBlue.jpg ひとつぐらい、ジャズ色が強かった時代のニーナ・シモンさんのアルバムを取りあげておこう、そうしよう(^^)。1958年発表のデビュー盤です。レーベルがベツレヘムという事もあり、この前まで紹介していたフィリップス盤と比べるとかなりジャズです。シモンさんがピアノ&ヴォーカル、それにウッドベースとジャズドラムがバックにつきます。ジャズの弾き語りヴォーカリストとして聴くなら、このレコードがいちばんいいかも。「Love Me Or Leave Me」なんて、ビブラートのかけ方が思いっきりジャズ、しかもメッチャうまいです。日本に綾戸智恵さんというピアノ弾き語りのジャズヴォーカリストさんがいますが、絶対このアルバムを聴いてると思う。

 ただ、ジャズという縛りがあるからか、けっこうジャズの枠にガッツリはまってる感じで、曲も表現もジャズのTPOからはみださないです。これをどう思うかは聴く人次第かも。スタンダードとメインストリーム以外はジャズじゃない、みたいな吉祥寺かどこかのジャズ喫茶のマスターみたいな人にとっては、最高の一枚かも。でも、以降のボーダーレスにディープな世界を突き進んだニーナさんのアルバムを知っていると、無難にまとめたようにも聴こえたりして(^^;)。

 ベツレヘムという真っ黒なジャズレーベルからも作品を出し、フィリップスやRCAにも籍を置いたというのが、そのままこの人の音楽のすそ野の広さをあらわしていると思います。「Little Girl Blue」といえば僕はジャニス・ジョプリンの感情こもりまくりのあれが大好きですが、このアルバムのニーナさんの抑えた表現もしびれます。 あと、「Good Bait」の黒っぽいピアノ演奏は、マル・ウォルドロンとかビリー・ホリデイあたりの黒いジャズブルースに繋がる独特の深さがあって、思わず引き込まれました。あ、そうそう、この人のピアノ、クラシックも学んでる気がします。ジャズや黒人教会系の音楽だけやってたら、こんな対位法的なアレンジなんか出来ない。どうしても高速プレイとか派手な所に目がいってしまいがちですが、こういう渋い所で職人技が出来るというのが、実はいいミュージシャンなんだと僕は思ってます(^^)。というわけで、ジャズ方面のニーナ・シモンを聴くなら、これが一番ジャズっぽいアルバムだと思います。

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『Nina Simone / Let It All Out』

NinaSimone_LetItAllOut.jpg 前の記事で書いた『パステル・ブルース』と同じ1966年に発表されたニーナ・シモンのアルバムです。ジャズのピアノトリオで歌っているものがメイン(ピアノはシモンさん本人)なので前作の姉妹盤みたいな感じ。でも、それに管弦を加えて劇的な音楽にしてる「For Myself」とか、カウボーイソングっぽいアコースティックギターのカッティングだけで聴かせる「The Ballad Of Hollis Brown」(これ、詞もすごい!)とか、こちらのアルバムの方がバラエティに富んでるかな?
前作はめっちゃディープなスピリチャルっぽい曲が入っていてこっちにはないとか、曲想とか、歌い方とか、演奏とかのぜんぶが、直前2作と比べると、すこしだけ軽い感じです。あんまりドロドロのところまで突き進まずに、小粋に軽く流してる感じ。これはこれでいいんですが、やっぱりあのニーナ・シモン独特のディープな世界を聴きたいなら、このアルバムじゃないかも(^^;)。あと、なんていうんでしょうか、この時代のニーナ・シモンさんは、ジャズに近かったころに比べると深みが出たのとひきかえに音痴になった(゚∀゚*)。。

 今回まとめて書いたニーナ・シモンの3枚のアルバムは、60年代なかばに彼女が契約していたフィリップスで発表したもので、僕的にはこの時代が一番好きかも。でも、その前のベツレヘムやコルピックスというジャズ色の強いレーベルで残したアルバムも、この後のRCAビクターというブルースやスピリチャルに強いレーベルに残したアルバムも、いいモノがいっぱいあります。ジャズからもソウルからもブルースからも異端視されがちな人ですが、いいミュージシャンというのはたいがいボーダーレスなもんですよね。この人のアルバムは全部聴いてもいいと思うぐらいにのめり込んだ事があるんですが、すっごくいっぱい出てるので、いまだに達成できてません^^;。あ、そうそう、ジャズを聴く人にとっては、ベツレヘムやコルピックス時代のニーナ・シモンがベストでしょうし、、ブルースやゴスペル系が好きな人にとってはRCA時代が好きかも。でも、どれもいいんですよね~(^^)。。コルピックス時代のアルバムはけっこう持っているので、いつかまた紹介したいとおもいます。

『Nina Simone / Pastel Blues』

Nina Simone - Pastel Blues 歌心がある系の黒人ヴォーカリストとして、ジャンル問わず真っ先に僕が挙げたいヴォーカリストのニーナ・シモンさんですが、ひとつ前に紹介したアルバムより、こっちの方が有名かな?というのは、映画で使われた曲が入ってるからなんですが…これまた素晴らしいアルバムです。素晴らしすぎる。歌が好きな人は、夜にバーボンでも飲みながらこれを聴いて欲しいです。もう、涙が止まらんですばい。。ジャケットが古臭いとか、顔が怖いとか、そんなことをいってこの1枚をきかずに通り過ぎてはいけない1枚です。

 ひとつ前に紹介したアルバム「I put a spell on you」との違いは、あっちがオーケストラバックで、こっちはほぼピアノ伴奏というすごくシンプルなものである事。そして扱ってる音楽は、黒人霊歌みたいなものから、ジャズといってもニューオリンズジャズみたいなもの、まあまあモダンなジャズ、ビリーホリデイナンバー、独特なアレンジのブルース、アヴァンギャルドと紙一重みたいな無伴奏アカペラやラストの「sinner man」…すごいです。歌やそれぞれの曲の演奏や歌のスバラしさに耳を奪われがちですが、このアルバム構成がすごい。アバンギャルドだけだったら絶対つまんないと思うんですが、逆に少しだけ入れてあるアバンギャルドのおかげで狭いジャンルの枠を一気に取っ払っちゃってるかんじで突き抜けてます。アルバムは40分弱で終わりますが、ずっと圧倒されっぱなし。なんでこんなにスゴイのにジャケットはチープなんだろうか…いや、1965年発表のアルバムなので、当時としてもこのジャケットは古臭いはず、奴隷時代の黒人音楽を表現したとか、なんかの理由でわざと古臭くしたジャケットなのかも。こんなヴォーカルミュージック、他ではなかなか聴けないっす。今は語られる事すらなくなってしまった1枚ですが、アメリカが生んだヴォーカル音楽の大名盤のひとつと思います。歌好きの方はぜひ!!

『Nina Simone / I put a spell on you』

Nina Simone I put a spell on you  久々に音楽に戻ってきました(^^)。というわけで、せっかくなのでいつか絶対に紹介したいと思っていた音楽を書くことにしよう!黒人ヴォーカリストのニーナ・シモンさんです!感動って、個人的なものじゃないですか。自分にとってはその感動は絶対なんだけど、もし他の人に紹介して「あんまり良くなかった」なんて言われたらすごく嫌なので、紹介したくない気持ちもあったりしてなかなか書けなかったんですよね(^^)。なに言ってるんだかわからなくなってきましたが、そのぐらい好きなヴォーカリストです。はじめてこのレコードを聴いた時は心が震えました(´;ω;`)。。うまいんですが、そんなのどうでもよくなっちゃうぐらいに心がある歌で、ジ~ンときてしまいます。いつ聴いても、ジーンと来てしまうんですよ、ぼく。。

 ニーナ・シモンさんは、いちおうジャズ・シンガーに区分けされてますが、ゴスペルとかソウルの感じもあって、しかも経歴を見るとなんとジュリアード音楽院を出てるので実はクラシックもきっちりやってるんじゃないかと思います(もしかすると、歌じゃないものを学んでたのかも)。やっぱり、素晴らしいミュージシャンって、どっかでクラシックを学んでるとか、いくつもの音楽を学んでる人が多いですね。ひとつのジャンルしかやってない人は音楽が型にはまってるというか…音楽にかぎらず、色んな事をちゃんとめぐってきた人の方が、人間が深いという事なのかな?そしてニーナさん、まるで黒人霊歌を歌うかのように、高揚させすぎず、打ち震えた声でとつとつと歌い続けるんですが、すごいです、僕は鳥肌が止まらないよ。「Feeling Good」のイントロのアカペラなんて、言葉が出ないです。1965年発表のこのレコードは、フィリップス発表のレコードだけあって、しっかりアレンジされたプロ楽団をバックにしたものなんですが、そういうレコードにありがちの「ショーアップされた歌謡ショー」みたいな感じは全然なくって、言葉を大事にしている感じ。技術ばっかり出して「歌上手いでしょ?!聴いて聞いて!」なんていうエンターテイメントに走ってしまう所は一カ所もなし。心がある歌がずっと続きます。ジャズ好きな人は勿論ですが、それ以上にロックやソウルや歌が好きな人の心に届く1枚なんじゃないかなあ。一度は是非とも聴いて欲しい1枚です。

『Charlie Parker / On Dial Completed』

CahrliParkerDialComplete.jpg チャーリー・パーカーはダイアル、サヴォイ、ヴァーブという3つのレーベルに録音を残してますが、一番古いのがダイアルでの吹き込み。10インチ盤全盛のころなので、LPやCD時代になると収録時間の都合なんかから再編集されることになって、これで色んな編集がいっぱい出てきて、どうやって聴いたら良いかがよく分からない事態に(;_;)。音大生の頃の僕も混乱しました。LP時代でいちばんいいのは1から7までナンバリングされた全集を買う事だったんでしょうが、それだと何番が一番いいのかとか、買い始めたら結局全部買う羽目になるんだろうけどそれは嫌だなとか、ダイアルのセッションが一番古いから一番音が悪いだろうから後にすべきなんじゃなかろうかとか、ジャケットがあまりに古臭くって購買意欲が削がれたとか(^^;)、色々考えたもんでした。結局、ジャズバンドで一緒になって仲良くしていただいたアルトサックスの先輩ミュージシャンから、7枚ばら売りの完全盤のなかの1枚を聴かせてもらったのが最初。録音こそモノラルでしたが、意外と音がつぶれてなかったのは驚きで、しかもウッドベースもちゃんと聴こえるバランスの良さにビックリ。

 これはダイアルの録音を全部収録したCD4枚組。中古なら、今はそんなに高くないみたいなので、よく分からないんだったらこれを買っちゃうのが確実かも。僕はそのクチで、先輩から聴かせて貰った1枚が良かったので、「これは全部聴くべきだな」と思ってゲットしたのでした。4枚組のCDとかって、買った後に家に持って帰る時のワクワク感がスゴイですよね(^^)。演奏は、初期パーカーだからまだ発展途上・・・という事は全然なくって、完成されてます。完璧です。いや~これはすごいわ。。よく、「チャーリー・パーカーの演奏はムズカシイ」「よくわからない」なんて言われますが、音楽そのものはいかにもエンターテイメントなジャズなので、難しいという事はまったくないです。むしろ、アドリブの肥大したハード・バップ以降のモダンジャズよりはよっぽど親しみやすい音楽だと思います。じゃあ、なんで昔の日本のジャズ評論家たちが口をそろえてそう言ったかというと、ジャズ喫茶文化に生きていたモダンジャズの日本のリスナー特有の「ソロをエラそうに語るために聴く」みたいな視点で聴くと、とってもシステマチックだから、歌うより先にバカテクが前面に来る時があって「何を考えてこういうソロをしてるんだろう」と思っちゃうんじゃないかと思うんですよね。それは、メロディを口ずさむように歌い上げるタイプのアドリブ演奏とは違います。僕的には、パーカーの演奏はすごく歌ってると思いますが、同時にジャズでのアドリブのシステムを完成させたパイオニアという側面もあって、時としてこのシステムの中でどれだけ高速に演奏できるか、というところに行く時もたしかにあります。ここが評論家さんを困惑させると同時に、ジャズマンたちをいまだに熱狂させ続けてるんだと思います。「チュニジアの夜」のオープンパート頭で無伴奏で一気に吹き倒すところがあるんですが、ビバップでよく聞かれるこういう所でもあまりにすごくって「うわ、すげええええ」ってなっちゃいます。暗いキャバレーで演奏していた天才が、レコードを通じて世界的有名になる事になったのが、このダイアル録音なんだと思います。ジャズ好きな人なら、マストです!!

プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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