ハイドンの交響曲に何度も挫折した僕ですが、縁あってこんなCDが家に舞い込んできました。さて、室内楽はどうか…おお、最近
モーツァルトばかり聴いていたからか、メッチャいい!いや~40代後半になって初めてハイドンを良いと思いました(^^)。。
ハイドンは18世紀から19世紀初頭に活躍した人で、
時代はチェンバロからピアノへの過渡期です。
ハイドンのピアノ三重奏曲は、11番まではチェンバロを意識して書いていたけど、12番からはピアノを意識したそうで、このCDもチェンバロでなくピアノで演奏しています。
ピアノ3重奏曲は、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの三重奏の事ですが、ハイドンの頃はこの三者が対等というわけではなく、ピアノがメインで、他のふたりはピアノに対メロを当てたり、追奏したり、バスを補強したりという感じ。しかしそれでもヴァイオリンとチェロが抜けたり入ったりしながらの三者のアンサンブルが実に見事!ついでに、
主役がピアノから動かないので、複雑に絡んでいる割には構造が分かりやすいです。このCDに入ってる曲はほとんどが3楽章形式でした。
12番ホ短調、これはどの楽章も素晴らしい!1楽章の1主題こそ古典派の短調曲というムードですが、全体は長調的。2楽章は緩徐楽章でアンダンテのワルツ。3楽章のロンドは、最高にワクワクする感じです。全体として古典派の曲想ガチガチですが、しかしアンサンブルが見事で聞き惚れてしまいました。この12番が素晴らしくって3回も4回も聴いてしまい、先に進めません(^^;).
26番嬰へ短調、第1楽章の主題が美しい、いいメロディだなあ。そしてこれは変奏曲。僕が持っている楽譜だと、主題2回、変奏2回演奏するのですが、このCDは主題2回変奏1回の演奏です。たしかにこの方がまとまりがいいかも。2楽章は12番と同じように緩徐楽章、これも効果抜群です、うっとりしてしまう(^^)。3楽章はモチーフをひたすら使い倒す感じ…なのかな?アナリーゼ出来ませんでした、今度ちゃんとアナリーゼしてみよう(^ㇿ^;)。
28番ホ長調、このへんまで来るとけっこう色彩感というか、構造だけではないところにも意識が向き始めたのかな?って感じがしました。第3楽章は拡大ロンドかな?
演奏は文句なしです!いや~3者のアンサンブルのシンクロ率がヤバいです、クールすぎずエスプレッシーヴォすぎず、絶妙の品格という感じ。そして、さすがに
シフは良いですねえ。元々はシフを信頼していたからこのCDを聴いたんですけどね。
録音は…なんというんでしょうか、すごく残響が多く録音されてるんですが、これだけワンワン鳴ったらそれだけで邪魔でうるさいと感じそうなもんですが、そういう事がなくて、むしろものすごく心地よく感じます。このCDの裏に、「This recording was made using B & W Loudspeakers」なんて書いてありました。僕はB&Wのスピーカーを持ってないので制作者の意図通りの音で聴く事は出来ませんが、要するに「ちゃんといいスピーカーで聴いてね、ヘッドフォンやチャチなスピーカーで聴いても意味ないよ、そういうレコーディングじゃないから」という事なんじゃないかと。いやあ、プロの録音の世界ってすごいです。
というわけで、緻密なアンサンブル、それでいて耳に難しく感じる事がなく優雅とすら感じてしまう凄さ。素晴らしい音楽と演奏、録音でした!個人的には12番と26番が好きかな?いや~ハイドンは交響曲作曲家と勝手に思い込んでましたが、室内楽曲がこれほどいいとは思いませんでした。このCDを聴いてなかったら知らないまま死んじゃうところでした、あぶなかった。。