ショスタコーヴィチの最後の交響曲である15番と、歌曲集「ユダヤの民族詩から」を収録したCDです。指揮はいつものごとくハイティンク。僕がショスタオーヴィチのシンフォニーを聴きまくっていた頃、西側の指揮者でショスタコの録音をしていたのってハイティンクぐらいしかいなかったんですよね。
「
交響曲第15番」op.141(1971)。ショスタコ版「
大地の歌」のような変化球気味の交響曲だった後に来た15番は、4楽章のシンフォニーでした。ところが従来の4楽章ソナタとはひと味違った作り方をしていて、僕にはアレグレットの1・3楽章がペア、短調のアダージョから始まる2・4楽章がペアといった構成に聴こえました。2楽章や4楽章に「おお!」と思う所もあったんですが、全体としては茫洋としたシンフォニーに聴こえました…スマヌス。
1楽章は「ウィアリアム・テル序曲」のモチーフが出てきたりと、まるでおもちゃのマーチのよう…これって何か標題があったんでしょうか。本当にお遊びのような第1楽章でした。で、3楽章もこれに似ていました。
2楽章へ短調(アダージョ~ラルゴ)はうって変わって重厚。恐らく3部形式ですが、第1部は戦争を悼んでいるよう…以前のシンフォニーに引っ張られ過ぎですかね(^^;)。
4楽章も2楽章に似た雰囲気でスタートしましたが、途中からクライマックスに達するまでが見事!でも大きなヤマが終わった後にまた音楽が始まっちゃうのはどういう意図があるんだろう…難しいです。第4楽章は他の曲からの引用がチラホラきこえたので、(僕に分かったのはシンフォニー7番「レニングラード」のモチーフと、
ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」)、何か意味があるんでしょうね。こういうのって、クラシックや西洋文化に詳しくないと謎解きすらできないのが悔しいっす。。
歌曲集「ユダヤの民族詩から From Jewish Folk Poetry」op.79。おお~これは独特な音楽で面白かったです!!これって
ユダヤ音楽に元ネタがあるんですかね、それともユダヤの詩編にショスタコが曲を充てたんでしょうか。いずれにしてもロマと中東とスラヴの音楽が混ざったようなエキゾチックなムードの曲が並んでいて最高でした!特に第2曲「Fussy Mummy and Auntie」、3「Lullaby」、4「Before a long separation」は最高。それからソプラノ、コントラルト、テノールの3声の絡み(常に全員入っているとは限らない)も面白かったです。
家にあるCDやLPを聴くだけでも、僕はもう1周聴いている暇はないと思っています。まして自分で作曲も続けるとなると…。そういう観点から、このCDをもう一度聴く際の備忘録として、「交響曲15番は第4楽章、ユダヤの民族詩からは全部聴き直していいけど、特に2,3,4 が最高」とだけ書き残しておこう(^^)。