
60年代後半にデビューした、パンク/ハードロック系のバンドの、デビュー作だったと思います。デビュー盤がライブ録音というのも、すごい。とにかく演奏が強烈です!
このバンドを知ったのは、パンクという脈絡からだったと思います。ところが私は、パンクという音楽(?)が肌に合わない人間でした。パンクと言えばセックス・ピストルズとかクラッシュとかラモーンズなんていうグループが有名で、パンク好きの友人がレコードを貸してくれて体験してはいたのですが…どのバンドも、悪そうなルックスに相反して、全然当たり障りのない音楽ばかり。音楽的には、はみ出している部分なんて何もない。それで「パンクっていうのは、政治的な姿勢だったり、主張だったり、そういうところが大事な文化なのかなあ」なんて考えるようになっていました。
な~んて思っているところで、このバンドです。初めて聞いた時の印象は…すごすぎて絶句です。私が無意識のうちにハードロック系の音楽に求めているものが、全部入っている感じでした。グランド・ファンクに通じるジャンクさを感じて調べてみると…やっぱりアメリカのバンドでした。アメリカ、あぶないです。
とりわけすごいと感じたのが、ドラムです。私の場合、ドラムゆえにロックやフュージョンをつまらなく感じるという事がよくあります。8ビートにせよ16ビートにせよ、「ドッ、タッ、ドドタッ…」とやられると、もう退屈。芸もなくて、あれは音楽のためにあるんじゃなくて、他の演奏者のガイドの為にあるようにしか聞こえなくなってしまうのです。ジャズなんかと比べると、技術差が歴然としてます。だから、いくら音数が多かろうが、音量が大きかろうが、8ビートや16ビートの延長線にあるドラムは退屈で仕方ありません。ところが、このバンドのドラムは凄まじいです。リズムパターンは多彩、音楽はドラムが故にうねりまくり、疾走しまくり、基本リズムよりもフィルの方が多いんじゃないかってぐらいに挟み込んできます。3連系の変化もバシバシ入ってきます。
このバンドのやっている事を、音として表れている部分だけで捉えるのは少し違うのかもしれません。ベトナム戦争、人種差別問題、民権問題、ヒッピー文化なんかに表れてくる、アメリカに住む人たちが、どう生きればよいのかが分からなくなってきた時代の枠の中でのひとつの生き方の方法論というか、主張のようなものが、このバンドの中心にあったのではないかと思うのですが…若い頃の私は、その圧倒的な音の中にただただ溺れるばかりでした(^^;)。そのぐらいに、凄いサウンド体験だったのです。
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