
僕はあまり裕福ではないので、全集モノのようなCDボックスみたいなものは、なるべく買わない事にしています。全集モノって、買うときは盛り上がるのですが、いざ買ってしまうとすぐにお気に入りのディスクしか聴かなくなっちゃったりして、なんかついでに要らないものまで買わされただけの気がしてきてしまう事が多くって。。しかし稀に、あまりに好きすぎて、バラで買うより全集を買ってしまった方がお得という場合もあったりします。そのうちのひとつが、グラモフォンが出したこのアルバン・ベルクの8枚組CDセット。「ルル組曲」とか「7つの初期の歌」とか、ベルクの有名どころの作品は片っ端から入っています。前の記事で書いた「室内協奏曲」も入ってます。こちらは、ズーカーマン(vln)&バレンボイム(pf)&ブレーズ指揮アンサンブル・アンテルコンタンポランによるものでした。これも素晴らしい演奏ですが、やっぱりあのスターンのヴァイオリンに勝つのは難しいかな。。
ベルクというのは、聴けば聴くほど、本当にいい作曲家だと感じさせられてしまいます。古典の美と前衛の刺激が見事に融合している感じ。このバランス感覚が絶妙すぎます。月並みな表現になってしまうのですが、本当に名曲ぞろい。しかし、僕がこのCDを買った本当の理由は、名曲がいっぱい入っているからではなくて、「アルテンベルク歌曲集」が入っていたから。演奏はアバド指揮のウィーンフィル。
アルテンベルクという曲は、無名というほどでもないと思うのですが、かといって頻繁に演奏される曲でもないので、ちょっと突っ込んで聴いている人じゃないと、名前しか知らないという事もあるんじゃないかと思うんですが…これが大名曲。特にオーケストラのアレンジがもの凄くって、奇を衒ったようなことは何もしていないんですが、ちょっと神がかってます。よくぞこれだけのアレンジを…という感じで、ただでさえいい曲なのに、アレンジが故に、これがとんでもない構造美を生み出しています。オーケストラ団員でもないくせに、あまりに素晴らしくて、楽譜まで買ってしまいました。。しかし、楽譜きたねえ…(^^;)。オケの人は、こんな楽譜を読んじゃうのか。更に、とんでもない連譜とか、しかもそれが他のパートと入れ子細工で演奏されていたりするんですが、オケの人ってこれを初見で弾いて、しかも初見で合わせるんですよね。…やっぱり、プロは凄いな。。演奏も、とんでもなく素晴らしいんですが、少しだけ残念なのは、オケが薄くなったところで「カツッ、カツッ…」と音が聞こえるところがある事。いや、これは良いスピーカーで大音量で聴かないと分からない程度で、それでも気づかない人は気づかないと思うので(一緒にオーディオマニアの方と聴いていた時に、その方ですら気づかなかったぐらい)、気にするほどのものではないんですが、たぶんこれって、メトロノームの音なんじゃないかと。…やっぱり、ウィーンフィルでも、これをメトロノームなしで合わせるのは大変だったんでしょうね。ちょっと安心しました(笑)。
少しだけ注意しないといけないのは、このボックスは「コレクション」であって「全集」ではないという事です。例えば、先の「アルテンベルク歌曲集」には、室内楽版というのもあるんですが、そういうアレンジ版とかまではケアできていません。しかし、よほどのベルクマニアでもない限り、これを押さえればまず大丈夫なんじゃないかと。本当に素晴らしい音楽体験が待っていると思います(*^ー゜)v
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