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心に残った音楽♪

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『CAPTAIN BEEFHEART and his magic band / THE LEGENDARY A&M SESSIONS』

CaptainBeefheart_AMsessions.jpg フランク・ザッパとつながりのあるミュージシャンということで、続いてキャプテン・ビーフハートも書いちゃおうかと。しかし、交流があったというだけで、音楽性はそれほど似てません。しいて言えば、マザーズの頃のザッパがリズム&ブルース系のやった時の音楽なら近いかも。きっと、サイケデリックの時代に突入していく瞬間のアメリカのクラブバンドという点が、その僅かな共通点を作り出してるのかもしれません。

 キャプテン・ビーフハートというのは、リズム&ブルース系の音楽をやっていた濁声ヴォーカリストです。ただこれを「ブルース」と言い切っちゃうのは違和感を覚えます。ブルースやリズム&ブルースから始まったとは思うのですが、そこに自分の個性がどんどん入っていって、ブルースの物まねをやめて自己流の音楽になじませていった結果、えらく個性ある音楽になってしまった、という感じでしょうか。ブルースハープはうねりまくるわ、ベースは低音でうねりまくってるわ、ギターはマカロニウエスタンのサントラのギターみたいにビャンビャンしたエコーがついて格好いいわ、そしてど真ん中にもの凄い声のヴォーカルです!!はっきりいって下世話な音楽なんですが、それがいい!!

 このアルバムは、ビーフハートがデビューする前のセッション録音をまとめたものだそうです。セッションとはいっても、マルチマイクでものすごく良い音で録音をされているので、レコード会社のスタジオで録音したデビュー候補アーティストのテストレコーディングだったんじゃないかなあ。デビュー後はけっこう凝って作った曲をやったり、それこそフランク・ザッパがディレクション下アルバムなんかもあるんですが、僕にはそれが逆にダサく聞こえちゃうんですよね。ほら、知的な事をやろうとしたら、本当に知的な事を出来たらカッコいいんだけど、知的じゃない人が知的な事をやろうとすると…まあそういう感じです。しかし、このデビュー前のセッションは、ボ・ディドリーの曲なんかをやっていたりしていて、このシンプルな曲のプレイがメチャクチャかっこいい!!ビーフハートさんは、ヘタにクリエイティブな事をやるよりも、シンプルな曲を泥臭く叫び続けていた方が、僕は好きだなあ。
 で、このアルバム、ヴォーカルだけでなくってバンドも格好良くって、どの曲も素晴らしいパフォーマンス。中でも「MOON CHILD」という曲の、得体のしれないヤバい感じが大好きです!学生の頃にこのアルバムを買ったのは、中古盤屋で特売されていたからなんですが…いやあ、あの時の衝撃は忘れられません。





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『Frank Zappa: The Mothers of Invention / FREAK OUT!』

FrankZappa_FreakOut.jpg フランク・ザッパのデビュー・アルバムです。バンドは「いたち野郎」と同じくマザーズ・オブ・インベンション。CDだと1枚らしいですが、LPの時は2枚組でした。デビューアルバムが2枚組って、すごいな。。
 前々回の記事で書いたように、ザッパさんの音楽って色々な要素が混ざっているので、ひと言で説明するのが難しいです。しかし、強いて色分けすると、前々回の記事で書いた『いたち野郎』がフリージャズと現代音楽寄りのコラージュ音楽、前回に書いた『黙ってギターを弾け』がジャズロックなフュージョン風インスト音楽とすると、このアルバムは60年代のハウスバンドが演奏したサイケ色のあるリズム&ブルース、という感じでしょうか。アルバム発表が1965年ですので、ロックバンドの楽器の完成度が低くて、特にエレキギターなんかの電気楽器のサウンドが古臭いです。そんなものだから、ベンチャーズみたいな音でヘタクソに聞こえるんですが…よく聞くと、バンドのクオリティが高い!とくにギターのソロなんて、何だこりゃと思うほどにうまい!!う~ん、このテクニック、当時のポピュラー音楽産業界のセンターにいるビートルズやストーンズなんか相手にならない、それどころかクラプトンやジミーペイジよりも数段上じゃないだろうか。…しかし、音楽の肝はそこじゃなくって、R&Bが凄く気持ち悪い音楽に変形されているところにあるんじゃないかと。ヴォーカルがツインで、しかも気持ち悪い(^^;)…って、そこじゃなくって、曲自体が50年代ポップスやビートルズ系の音楽とは明らかに違って、えらく病んだような曲が混じっています。日本のロックバンド「頭脳警察」のバンド名の由来となったナンバー"Who are the brain police?" とか、テレビから流れてくるバッド・ニュースまみれのアメリカ社会を揶揄した"Trouble Everyday"…いずれも、当時のポピュラーシーンになじむものではありません。また、ドゥ―・ワップ調の曲なんかも、バカにしたような歌い方をしていたり、けっこうシニカルです。
 まあそれでも、音楽としては箱バンが演奏したポピュラーと言えるかと思うんですが、問題はLPの2枚目です。…超アヴァンギャルド。声で行われるコラージュとか、とにかく見事。なるほど、LPの1枚目と2枚目が対比になっているんですね。1965年と言えば、ビートルズが『HELP!』を出した年で、ホワイトアルバムなんてまだまだ先の話。ヘンドリックスなんてデビューすらしていません。この2枚目を聞くと、ビートルズのホワイトアルバムや、ストーンズのサタニックが子供の遊びに聞こえてきます。マザーズは、ポピュラー産業の傍流だったかもしれませんが、実はサイケデリック興隆となった60年代後半のポピュラー音楽の大本流だったんじゃないかと思います。大おススメ!



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『Frank Zappa / Shut Up 'n Play Yer Guitar』

FrankZappa_ShutUpGuitar.jpg ひとつ前の記事で書いたように、フランク・ザッパというのは、色々な要素を持った音楽を作る人なので、定義しにくい人だとは思うのですが、高く評価されている事のひとつが、ギタリストとしての才能です。実際、ソロ・アドリブという点からいうと、ジミー・ペイジとかエリック・クラプトンというギター・ヒーローよりも、明らかにレベルが高いんですよね。テクもそうなんですが、使える音のバリエーションが比較にならない。ソロの発想が凄いんです。ジェフ・ベックなんかにも感じる事なんですが、どういう発想をしたらこういうソロを組み立てられるんだろうか…というソロを弾いちゃうんです。で、このアルバム、タイトルを直訳すれば「黙ってギターを弾け」ですか。。いやあ、凄いです。

 フランク・ザッパのライブのビデオを見た事があるんですが、ライブでザッパは、必ずインストの即興演奏をしてます。で、ここでギターを弾きまるんですが、これが凄い。インプロヴィゼーションというのは、プレイヤーは結構やりたくなる事のひとつで、普通の曲を演奏していると、クラシックでもロックでも、既にあるものをうまく再現する事ばかりになっちゃうんですよね。で、即興性が強いと思われているジャズですら、実は再現音楽という点に変わりなかったりする。こうなってくると…プレイヤーって、「何も考えずに、思いっきり自分の演奏をありったけ弾いてみたい!!」とか思っちゃたりします(僕がそうでした)。で、ライブも片っ端から録音していたというザッパは、そいういうインプロヴィゼーション色の強いパフォーマンスから、最良のギターソロだけを抜き出してアルバムを作ったという訳です。それがこれ。CD2枚組(レコードはなんと3枚組だった!!)、いやあ、凄いです。
 実は、ザッパは似たようなコンセプトのアルバムを他にも作っているんですが、パフォーマンスのまとまりの良さは、これがベスト。よくぞこれほどまで曲想を変えられるものだなと思えるほどに、実に良く出来ています。で、プレイも、ロックやジャズによくありがちな、ワン・パフォーマンスに使うスケールがお決まりのアイオニアンとかドリアンとか、そういうありふれたものばかりじゃなくって、実に多彩。マジで、これはフュージョン・ギターの教科書としても使うべきという完成度です(って、僕はギターはろくに弾けないんですが^^;)。

 というわけで、ギタリストとしてのフランク・ザッパの凄さを聴きたいなら、これが最適のアルバムじゃないでしょうか。また、ロック/フュージョン・ギターの大名盤としても語り継がれてしかるべきアルバムだと思います!



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『Frank Zappa (the Mothers of Invention) / Weasels Ripped My Flesh』

FrankZappa_Weasels.jpg 来ました、フランク・ザッパです!僕はこの人が好き過ぎて、若い頃はアルバムも見つけるたびに片っ端から買ってました。…が、僕が若い頃というのは、フランク・ザッパのアルバムはかなり手に入れ難かったです。だから、片っ端から買ったといっても、そんなに買えなかったんですよ。これだけのロックのビッグネームなんですが、なんか、日本ではあまり紹介されていなかったんですよね。レッド・ツェッペリンの「ハードロック」とか、ビートルズの「ポップス」なんかとは違って、言葉では説明しにくい音楽だったんでしょうね。説明しにくいというのは、凄く理解できます。

 フランク・ザッパの音楽って、たしかに説明しにくいです。なんというか、色々な音楽がごちゃ混ぜで、また音楽家としての姿勢もちょっとひねくれている感じで(いや、これは褒め言葉なんですが)、けっこう思慮深い人じゃないと、たしかに理解しにくいかも。アメリカのロックのヤバさ加減が強烈に出たアーティストのひとりと思うんですが、バカな方面のヤバさじゃなくって、頭のいい方面のひねくれたヤバさ。例えば、バンドも初期の頃(このアルバムも初期に入れて考えてます)はクラブ・バンドみたいで、上手いんだかヘタなんだか分からないような感じなんですが、これが後期になるとフュージョン・バンドみたいなテクニック集団になります。音楽の要素も、アメリカン・オールディーズみたいな曲も結構あって、一方ではジャズ・フュージョンみたいなテクニック曲、フリージャズ調の曲、サイケ、現代音楽っぽい曲…つまり、音楽性という所で括ろうとすると、脈絡がないんですよね。で、よく聴くと、オールディーズみたいな曲は、オールディーズみたいな価値観を茶化して演奏していたり。…しかし、ザッパ自身は茶化すと同時に好きでもあると思うんですよ。こういうシニカルさって、エンターテイメント的な視点からは、ちょっと分かりにくいじゃないですか。まして、日本人がそれを理解しようとすると…う~ん、これがリアルタイムには日本で理解されなかったのは、ある意味当然かも。

 で、このアルバムです。当時の日本タイトルは「イタチ野郎」。…素敵です。このアルバム、音楽的にも、読み解き的な脈絡からも、本当に面白いアルバムなんですが、ちょっとそれを説明し切るのは難しいかも。ここでは、フリージャズ、アヴァンギャルド、現代曲、皮肉…こういう分かり易いキーワードだけに注目して聴き始めてるだけでも、相当に楽しめるんじゃないかと思います。例えば、冒頭の"Didja Get Any Onya?"。リズムチェンジを繰り返す、ロックのハウスバンドの上を、フリージャズばりのサックスが疾走します!で、突然ブレイクしたかと思うと、オカマ口調で「んあ~~ん」。で、現代音楽ばりの不協和音パートに突入し、その後ろでいきなりコントラバスが4ビートのウォーキンベースを刻んで、詩の朗読が始まり…だいたいマザーズの音楽性というものが、そろそろ伝わったんじゃないかと思います。で、この『いやち野郎』は、分かり易く言うと、ザッパがデビューしてからしばらく結成していたマザーズ・オブ・インベンションというバンドの中では、フリージャズ方面の傾向が強く出たアルバムなんじゃないかと。初期のザッパのレコードの中では、いちばん好きな1枚です。



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『Charles Mingus / PITHECANTHROPUS ERECTUS』

CharlesMingus_Pithecanthroups.jpg いやあ、ミンガスのレビューをし始めたら止まりそうにありません。。うちにあるミンガスのLPやらCDやらを数えたら…ざっと見ただけでも30枚以上あるじゃないですか!!もしかして、メシアンのレコードより多いかも。う~ん、確かに大好きだったんですが、貧乏な学生時代にここまで小遣いを注ぎ込んでいたとは、とんでもなくハマっていたんだなあ。

 で、これは『THE CROWN』よりも更に古く、1956年の録音。邦題は『直立猿人』で、ミンガスのレコードでは1番有名なんじゃないかと。メンバーもNY周辺のバップ系の黒人ミュージシャンを中心に編成されていて、例えばアルトサックスがジャッキー・マクリーンで、ピアノがマル・ウォルドロン。…もう、演奏の傾向というのはこれだけで大体分かるかと思うんですが、多分想像通りの演奏です。ちょっと重めなんですよね。しかし、マクリーンとテナーのJ.R.モンテローズの相性が凄く良くって、アーティキュレーションがバッチリ合ってます。ああ、これで演奏に切れさえあれば…。

 うーん、もしかすると、50年代の時点で、ジャズ・ミュージシャンにこのアレンジを演奏し切る事に無理があったのかも。タイトル曲の「直立猿人」にしても、恐らく車のクラクションや救急車の音といったNYの喧騒をアンサンブルに持ち込んだ「FOGGY DAY」にしても、これは固定メンバーのバンドでけっこう長い事活動しないと、音楽を物にするのは難しいかも。そのぐらいに、ジャズとしては練り込まれたアレンジなんですよ。初見で演奏しろと言われたらちょっと手こずるだろうし、バッパーならなおさらの事なんじゃないかと。56年の時点で、ミンガスのアレンジャーとしての才能は既に全開です。しかし…プレイヤーが追い付かない。僕の印象としては、ミンガスが自分の音楽性を掴んだ最初の一歩かとは思うのですが、これがミンガス音楽の最高峰とは思いません。まるでミンガスの代表作のように扱われていますし、確かに素晴らしい音楽なのですが、ミンガスに初めて触れるのであれば、ドルフィー参加後の脅威のミンガス・コンボの音楽を先に聴いた方がいいと思います。…いや、だいすきなんですけどね、いかんせん演奏がデザインを表現しきれていない。。あ、そうそう、1曲目の「直立猿人」があまりに有名ですが、アルバムのラスト曲「LOVE CHANT」は、曲想の美しさと、プレイヤーの自由度に配慮した緩いアレンジが相まって、実に素晴らしい音楽だと思います。





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『Charles Mingus / THE CLOWN』

CharlesMingus_Clown.jpg 日本タイトルは「道化師」。ドルフィー参加後の60年代ミンガス・ユニットの強烈さは前までの記事で書いた通りですが、ミンガス・ミュージックの脅威の作曲技術は50年代中ごろには既に確立されたものになっていたように思います。その楽曲の凄さにとにかく魅せられまくった曲が、このアルバムに収録されている""Haitian fight song(ハイチ人の戦闘の歌)"。タイトルからして格好良すぎですが、コントラバスソロから始まる曲がテーマになだれ込む瞬間の格好良さと言い、減5度を含むテーマメロが一気に加速したところで叩き込まれる不協和音とか、ある意味でタンゴの強さに共通するものも感じちゃったりします。こんなに格好いい曲、ジャズの中で他にないんじゃないでしょうか。
 他にも、"Reincarnation of a lovebird"という、あまりに素晴らしい曲が入っているのもこのアルバムです。かなりフリーキーな、しかしインタープレイのしっかりしたインプロヴィゼーションが、いきなりあの有名なテーマメロディになだれ込んだ瞬間の見事さといったら…。また、Aメロ直後のBメロで、いきなりテンポが落ちてバラード調になったり、テーマをそのまま転調した直後に元キーに戻してソロを始めたり…いやあ、本当に編曲者としてのミンガスの才能には聴いていて惚れ惚れしてしまいます。

 で、いまさらなんですが…あまりにアンサンブルが格好いいと思っていたので、3管かと思っていたら…このアルバム、サックスとトロンボーンの2管だったのか。。いやあ、2管でここまで重層的なコーラスが作れるのか、信じられん。これだけ素晴らしい音楽に若いうちに出会えて、本当に良かったなあ。


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『Charles Mingus / IN AMSTERDAM 1964』

CharlesMingus_InAmeterdam.jpg 同じく、1964年のミンガス・コンボのライブ録音で、こちらはCD2枚組です。発売は日本のディスク・ユニオン。ドルフィーの参加した64年のチャールズ・ミンガス・ワークショップは、ひとつ前で紹介したニューヨークのタウンホールでのコンサート(4/4)を皮切りにヨーロッパツアーに出て、アムステルダム(4/10) →オスロ―(4/12) →ストックホルム →コペンハーゲン →ブレーメン →パリ(4/19) →リエージュ →マルセイユ →ボログナ →ヴッペルタール(4/26) →シュトゥットゥガルト(4/28)、という日程だったみたいです。で、この録音は、4/10 のオランダのアムステルダム公演の録音です。

 録音が恐ろしく良い!ひとつ前の記事で紹介したNYのタウン・ホールのライブ録音とは比べ物にならないほどの録音のクオリティです。他にも僕は4/19パリ公演と4/26ヴッペルタール公演の録音を聴いたことがありますが、このCDがぶっちぎりで音がいいです!きっと、放送局が録音したんでしょうね。昔のジャズのレコードって、アメリカのジャズハウスの録音より、ヨーロッパ・ツアーの録音の方が録音が良かったりするものがあったりしますもんね。

 メンバーは、ひとつ前のタウンホールでのコンサートとまったく同じで、最強の布陣。必殺のナンバー"So Long Eric" も入っていて、相変わらずもの凄いパフォーマンスです。タウンホールのコンサートとどちらが良いか…なんて比較は無意味というぐらいの白熱したプレイ。バンド全体のグルーブしまくるアンサンブルも物凄い。いきなりバンド全体が演奏を止めてピアノの裸ソロになるシーンとか、曲にもいろんな仕掛けがしてあって、聴いていてだれる暇がありません。20分超えの曲がいくつもあるんですが、ドラマ展開がしっかりしていて、本当に息つく間もないぐらいです。
 そして、トランペットのクリフォード・ジョーダンが入っているのがいいです。ミンガスのコンボは、どの時代もスコアがしっかり書いてあって、2管や3巻のアンサンブルが絶妙です。でも、このヨーロッパ・ツアーの途中でジョーダンが病気で入院してしまうもので、3巻がしっかり聴けるのって、NYタウンホールの音源とこれぐらいなんです。そんなわけで、ドルフィーが参加したミンガスの伝説の64年ヨーロッパ・ツアーの録音でどれか一つだけ聞くというのであれば、ぶっちぎりでこのCDが推薦です!

 しかしこのCD、どうも今では入手困難みたいなんですよね。アマゾンで見たら中古が1枚あるだけで、しかもそれが2万円を超えてました(;;)。インディーズ系のレーベルが出したCDは、本当に聴きたいのであれば、ある時に買っておかなくちゃダメって事ですね。僕にとっては必殺の1枚なんですが、安く手に入るまでは、タウンホールのパフォーマンスを先に聴くという感じでもいいのかも。曲目も重なったりしてますし。いやあ、それにしてもすごいパフォーマンスです。大推薦!


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『Charles Mingus / TOWN HALL CONCERT』

CharlesMingus_Townhall.jpg ジャズのユニットとして僕が一番好きなのが、1950年代から64年あたりまでのチャールズ・ミンガスのコンボです。このコンボ、とにかく滅茶苦茶にカッコいい!曲はグイグイ来るし、プレイはキレッキレ。これだけ格好いいジャズ・コンボというのは、後にも先にも無いんじゃないでしょうか。

 チャールズ・ミンガスはバンド・リーダーで、ベーシストで、作曲家。その全てに秀でている人なんですが、個人的に特に凄いと感じるのが作曲のセンス。作曲技法はおおむねジャズなんですが、ベースにはバッハ研究の跡が見えたりして、曲の印象はジャズ・スタンダードと言われる物とはかなり印象が違います。リズムは変幻自在、ブラスアレンジもすごい鋭い。えらく攻撃的な音楽なんですよね。で、ミンガスはビ・バップの時代から活躍しているベーシストで、その後もずっと活動を続けているんですが、時に60年代前半に演奏していた音楽は、どれもこれも素晴らしい。曲も凄いんですが、コンボのメンバーがまたすごいんです。

 で、このアルバムは、そのミンガス・バンド最盛期の64年のライブ盤。アルト・サックスにエリック・ドルフィー、テナーがクリフォード・ジョーダン、ペットがジョニー・コールズ、ピアノがジャキ・バイアード、ドラムがダニー・リッチモンド。いやあ、長く続いたミンガスの3管ユニットの中でも、最強の布陣じゃないでしょうか。ドルフィーは一度ミンガスのバンドを離れていたのですが、64年にミンガス・バンドに戻ってきて、この1964年4月4日のニューヨークのタウンホールでのコンサートを皮切りにヨーロッパツアーに出て、この一連のコンサートが今ではジャズの語り草になっている強烈な演奏の数々なのです!で、そのツアーが終わった後にドルフィーはヨーロッパに残り、そして6月に死んでしまいます…。
 ドルフィーの演奏がとんでもないのは言うまでもありませんが、他の人もソロをとって良し、アンサンブルして良し、いきなり独奏になっても全部一人で持って行ってしまうし、アンサンブルパートではリズムが変幻自在に変わったり、こんなに凄いバンドもないでしょう。マイルスのバンドと比べると、あちらが個人技に頼っているのに対し、ミンガスはアンサンブルも物凄い良く出来てるんですよね。
 いやあ、このアルバム、今までに何回聴いた事でしょうか。ミンガスのレコードは好きなものが多くて困ってしまうほどなのですが、これは僕の中ではベストの1枚に入りそうです。そうそう、僕はこれをアナログ・レコードで持っているのですが、レコードだと2曲目が途中で終わってしまい、B面にして途中から聴く感じです。しかし、CDだと…どうやら曲中で切れないみたいですね。これはCDに買い直すべきだろうか…お金がないしなあ(泣)。


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『メシアン: トゥーランガリラ交響曲 小澤征爾指揮、トロント響』

Messiaen Tourangalila メシアンはピアノ曲や室内楽に名作が多い気がするのですが、作曲家としての名声を勝ち取るためには交響曲を書かないわけにはいきません。書かなくったっていいのにね。このあたりがクラシック業界の権威主義的なイヤなところ。で、メシアンも交響曲を書き、その代表作と言われているのが「トゥーランガリラ・シンフォニー」。この録音は小沢さんの指揮によるもので、昔はトゥーランガリラの録音といえばこれぐらいしかありませんでした。大オーケストラにピアノにオンド・マルトノですから、録音どころか演奏だけでも大変です。ましてや、やたら緻密そうに聞こえますし、きっと演奏も困難なのでは?

 しかし…メシアン好きの僕なのに、この曲はあまり好きではないのです。無理して大げさにしてる感じもあるし、なによりクラシック音楽業界に媚びている感じがしてしまうのです。「オーケストラ曲っていうのは、こういうものだろ?」って感じで書かれたように聞こえちゃうんですよね。で、この曲、クラシックの評論家筋では「現代音楽のオーケストラ曲の中では代表作と呼ぶに相応しい」なんていう人もいます。う~ん…つまり、現代曲の良さが分からず、いまだにベートーヴェンを至高と思っている評論家にとって、現代曲の中で理解しやすい曲、という事なんじゃないでしょうか?まあ、そういう意味ではメシアンの思惑が当たったという所なのかもしれませんが。
 で、フランスのクラシック界の重鎮であるブレーズですら、この曲の録音は全然しませんでした。インタビューでその理由を尋ねられると「小沢の素晴らしい録音があるじゃないか」と答えたという有名な逸話があるんですが…いやいや、ブレーズもこの曲が好きじゃなかっただけなんじゃないかなあ。

 久しぶりに聞き返してみて、やっぱり途中で聴くのを止めちゃいました。演奏云々じゃなくって、曲自体が僕は好きじゃないみたい。おかしな話ですが、メシアンって「トゥーランガリラ交響曲」とか「幼子イエスに注ぐ20の眼差し」とか、つまらない曲ほど評価が高いですよね。



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『メシアン:主題と変奏 バルトーク、ヤナーチェク:ヴァイオリンソナタ クレーメル(vln), アルゲリッチ(pf) 』

 kremer argerich messiaen メシアンは優れた曲をたくさん書いていますが、作品に使われている作曲技法そのものが違っていたりするので、すべての作品を単純に比較する事は難しいです。で、メシアンの曲の中で僕が惹かれるのは、やはりメシアン・サウンドが前面に出てきている曲。特に「移調の限られた旋法」を使った曲は、サウンド自体が独創的なものになるので、個性出まくり。中でも第2旋法あたりのフワーっとした感じのサウンドは個人的なツボで、嬉しいとか哀しいとか、感情をあらわすどんな言葉にも当てはまらないような独特な感覚。で、それがまた素晴らしいです。神秘的、静謐、荘厳、どこか不安になるようなサウンド…音楽以外では体験する事の出来ないような感覚なのです。ひとつ前の記事で書いた「世の終わりの為の四重奏曲」なんかもこの傾向にある作品ですが、「ヴァイオリンとピアノのための主題と変奏」もやはり素晴らしい。初めて聞いた時、「死ぬ前に頭の中に鳴り響く音楽って、案外こんな音なのかもしれないな」と思ったものです。

 で、この録音はメシアン縛りのCDではなくって、ギドン・クレーメルという超有名なヴァイオリニストと、マルタ・アルゲリッチというこれまた超有名なピアニストの共演という縛りで制作されたもの。このデュオは他にもたくさんのレコーディングを行っていて、これは近現代曲集という位置づけなのでしょう。バルトークヤナーチェクメシアンという3人の作曲家の作品を取りあげています。そして…曲も演奏も鳥肌モノの大傑作、大名演。メシアンの「移調の限られた旋法」というのは、旋法(スケール)が先に決定されているので、和音はその旋法を構成するために選び出された音を重ねて作る事になります。で、普通の感覚なら、1・3・5…と重ねていきそうなものなんですが、1・4・7…と積んだりするんです。この「4度積みの伝統」にある音楽って、僕らが慣れ親しんでいる西洋音楽の和声機能から外れてしまうので、表現がちょっと難しくなると思うのです。簡単に言うと、19世紀のクラシック音楽はロマン派と言われるものがほとんどで、官能的で情熱的な音楽です。でも、フランスから印象派という音楽生まれてからの音楽は、音の重なり方自体が凄い色彩感を持っていて、これをロマン派音楽のように情感こめてたっぷり演奏しすぎてしまうと、なんか変になっちゃいます。さらにメシアンとなると…この独特な響きを持つ曲、演奏をどう表現すれば良いものとなるのかが、かなり難しいと思うんです。
 そしてこのふたりなんですが、クラシックのスペシャリストなだけあって、基本的にエスプレッシーヴォな表現を好んでいて、この録音でも基本的にベースは「情熱的」な表現です。しかし、さすがにプロ中のプロというか、この作品をどう受け止めるのかという所にいい加減な所は全然なくって、単純に劇的な表現にはしていなくて、。非劇性にある所と、ある程度エモーショナルな表現にした方が面白くなりそうな部分を混在させているように聴こえます。う~ん、これはうまい事考えたな。いやいや、まずこれを表現できる時点で演奏の技量がとんでもないという事は間違いないんですが、それ以前に、ここまで掘り下げて考えた解釈から表現をデザインしたこと自体が、さすがの頭脳だと思うのです。

 メシアンの「主題と変奏」は、他にも録音があり、どちらかというとこのクレーメルとアルゲリッチの解釈は異端的かも知れませんが、僕はこれが一番好きです。本当に素晴らしい音楽であり、また名演でもあると思います。神秘と人間性が出会う瞬間の音楽、ぜひご一聴あれ!!


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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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