
ジャズのユニットとして僕が一番好きなのが、1950年代から64年あたりまでの
チャールズ・ミンガスのコンボです。このコンボ、とにかく滅茶苦茶にカッコいい!曲はグイグイ来るし、プレイはキレッキレ。これだけ格好いいジャズ・コンボというのは、後にも先にも無いんじゃないでしょうか。
チャールズ・ミンガスはバンド・リーダーで、ベーシストで、作曲家。その全てに秀でている人なんですが、個人的に特に凄いと感じるのが作曲のセンス。作曲技法はおおむねジャズなんですが、ベースにはバッハ研究の跡が見えたりして、曲の印象はジャズ・スタンダードと言われる物とはかなり印象が違います。リズムは変幻自在、ブラスアレンジもすごい鋭い。えらく攻撃的な音楽なんですよね。で、ミンガスはビ・バップの時代から活躍しているベーシストで、その後もずっと活動を続けているんですが、時に60年代前半に演奏していた音楽は、どれもこれも素晴らしい。曲も凄いんですが、コンボのメンバーがまたすごいんです。
で、このアルバムは、そのミンガス・バンド最盛期の64年のライブ盤。アルト・サックスにエリック・ドルフィー、テナーがクリフォード・ジョーダン、ペットがジョニー・コールズ、ピアノがジャキ・バイアード、ドラムがダニー・リッチモンド。いやあ、長く続いたミンガスの3管ユニットの中でも、最強の布陣じゃないでしょうか。ドルフィーは一度ミンガスのバンドを離れていたのですが、64年にミンガス・バンドに戻ってきて、この
1964年4月4日のニューヨークのタウンホールでのコンサートを皮切りにヨーロッパツアーに出て、
この一連のコンサートが今ではジャズの語り草になっている強烈な演奏の数々なのです!で、そのツアーが終わった後にドルフィーはヨーロッパに残り、そして6月に死んでしまいます…。
ドルフィーの演奏がとんでもないのは言うまでもありませんが、他の人もソロをとって良し、アンサンブルして良し、いきなり独奏になっても全部一人で持って行ってしまうし、アンサンブルパートではリズムが変幻自在に変わったり、こんなに凄いバンドもないでしょう。マイルスのバンドと比べると、あちらが個人技に頼っているのに対し、ミンガスはアンサンブルも物凄い良く出来てるんですよね。
いやあ、このアルバム、今までに何回聴いた事でしょうか。ミンガスのレコードは好きなものが多くて困ってしまうほどなのですが、これは僕の中ではベストの1枚に入りそうです。そうそう、僕はこれをアナログ・レコードで持っているのですが、レコードだと2曲目が途中で終わってしまい、B面にして途中から聴く感じです。しかし、CDだと…どうやら曲中で切れないみたいですね。これはCDに買い直すべきだろうか…お金がないしなあ(泣)。