アニタ・オデイではない人で、白人女性ジャズ・ヴォーカル物で聴きまくったのが、このレコードです。ヘレン・メリルというヴォーカリストさんの大名盤です。女性ジャズ・ヴォーカルの大スタンダード曲に"What's New"とか"You'd be so nice to come home to" なんて曲がありますが、数えきれないほどに多く歌われきたこれらの曲で誰もが思い浮かべるのは、このレコードなんじゃないかと。ヘレン・メリルと同じような歌い方のものもあったりするほどで、これがジャズ・ヴォーカルの歌唱法の基準のひとつになっちゃったぐらいの大名盤です。
このアルバム、アニタ・オデイの歌に対してビッグバンドがオブリ上に絡むことが多くて、そのアレンジにしびれます。 そして、主役のアニタ・オデイのヴォーカルが本当に素晴らしい!一曲目の「Rock'n Roll Blues」は僕が好きなアニタ・デイのレコーディングの中でも上位に入る大好きなものですが、歌の最初の4小節を聴いただけで、「あ、このヴォーカルはメッチャクチャいい!」と虜になりました。ちょっとフラット目にルーズに歌って…ああもうこれは音を聴かないと良さを伝えきれないです。2曲目のコール・ポーター曲「Love for Sale」も名唱。4曲目「Lover Come Back to Me」はアレンジも歌唱も見事…いやあ、歌が素晴らしいです。白人ジャズヴォーカル独特の、ブレス多めの声の作り方とか、ジャズヴォーカルの醍醐味のアドリブフレーズとか、徐々にかけていくヴィブラートとか(アニタさんはヴィブラートをかけられないなんて言われてますが、見事だと思うけどなあ…)、本当に素晴らしいヴォーカル。