
シューマンのピアノ協奏曲と、ショパンのピアノ協奏曲について連続して書きました。書いていて思ったのですが…僕がこのふたつのコンチェルトを最初に聴いたのはいつなのか、という事。シューマンは間違いなくウルトラセブンの最終回でしょうね(^^;)。そうそう、この前、妻がウルトラセブンを見たことが無いというので「それは昭和30~40年代生まれの人間としての一般教養に欠けている」と説教をして、いくつかのハナシを見ました。「ノンマルトの使者」「セブン暗殺計画」「第4惑星の悪夢」、そして最終回「史上最大の侵略」。変身したら自分が死んでしまうと分かっていながら、最後の変身に踏み込むシーンでシューマンが流れるのですが、ここで妻が号泣。横で僕は「泣くなよ」と笑っていたのですが、しかし子供の頃の僕も号泣していた事はここだけのハナシです( ̄ー ̄)。
…どうも最近は話が逸れちゃうなあ。ああそうそう、ピアノ協奏曲のハナシでした。シューマンはウルトラセブンでしたが、ショパンは松田優作主演の「野獣死すべし」が初体験だったんじゃないかと。ショパンのピアノコンチェルト、映画の中でしつこいぐらいに使われます。実際のコンサートシーンまで何度も出てきます。恐らく、当時の日本のエリート層の符号として使われたんじゃないかと思うんですが、しかし僕の心を捉えたのは、ショパンではなくて、「野獣死すべし」のメインテーマ。ストリングスの前で、ジャジーなトランペットが朗々と鳴り響きます。和声進行も実に切ない感じのもの。訥々と響くエレクトリック・ピアノの音、主題再現部で一気にフォルテとなるストリングス…この音楽だけで、映画の世界に一気に引き込まれていったのを覚えています。
しかし、このテーマ音楽が交響曲的なスケールのものに発展するのかというと、そうはなりません。テーマパートが終わったら、トランペットのアドリブパートにして、最後にテーマに戻すという、ジャズのような作り。映画では、編集されてトランペットのソロパート自体がざっくりカットされています。まあ、サントラなので、音楽だけで20分の曲にするとかいうのは、意味がないんでしょうね。
とはいえ、それがまた良かったのかもしれません。ふたつ前の記事で書いたように、僕の今のライフスタイルでは、交響曲や協奏曲は聴くことができないのです。そんな時に、弦楽の悦楽をニュアンスだけでも楽しもうと思ったら、このぐらいのサイズの音楽が丁度よいのかも。そして、この見事な曲は、ペットではなくヴィブラフォンがメインのバージョン、最後に野獣が射殺され、崩れ落ちるシーンに流れるストリングス単独のバージョンと、3つのバージョンがありますが、そのどれもが秀逸。他にも、ストリングスのないバンドだけによるBGMや、ショパンのピアノ・コンチェルトも入っているのですが、僕にとっての野獣死すべしの音楽はメインテーマのバリエーションが全て。このレコードを聴くときは、メインテーマの3バージョンばかりを何度もリピートして聴くのでした(^^)。
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