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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『Brotzmann, Van Hove, Bennink plus Mangelsdorff / LIVE IN BERLIN '71』

PeterBrotzmann_Berlin71.jpg ひとつ前の記事で書いたペーター・ブレッツマンの出世作「マシンガン」は、フリー系のジャズのコンボとしては結構大規模な編成でした。これでぶっ飛んだ私は、ブレッツマンの中古盤を見つけるたびに手を出していた頃がありまして、特に狙っていたのがトリオ~カルテットぐらいの編成のもの。そして…おお!!ドラムがハン・ベニンクのライブ盤があるではありませんか!!というわけで、見つけた途端にすぐに飛びついたのが、このレコードでした。僕的には、ブレッツマンにとってもベニンクにとっても、これがベスト・パフォーマンスだったのではないかと思っています。実際、マシンガンの3倍はこのレコードを聴いている気がします。

 始まった瞬間から強烈すぎます。ハン・ベニンクって、フリー・インプロヴィゼーションの世界では最強のドラマーのひとりだと思うのですが、一体何なんだこのテクニックは!!しかも、押すばかりでなくって、シーンに応じて演奏を止めたり、自分から他のシーンを作りにいちゃったりします。神がかった超絶プレイばかりに目が行きがちなんですが、インテリジェンスなんだよな。。そして、ブレッツマンのテナーサックスとマンゲルスドルフのトロンボーンがすごい事はいつもの事なんですが、その後ろで怪しげな和音をポロンポロンとえんそうしているフレッド・ヴァン・ホーフというピアニストの演奏がまた素晴らしい!音楽を凶暴なブレッツマンやベニンクのカラー単色にせずに、もの凄い色彩感を与えています。シーンが変わればサムピアノのパーカッションみたいな演奏、サックスソロ、そこに重なってくる上昇していくピアノ…。よくぞこれだけ音楽を自在に操れるものだと感動してしまいます。フリージャズには到達できなかった、西洋音楽を全て引き受けた上での新しい音楽のあり方としてのフリー・インプロヴィゼーション、その最高のパフォーマンスがここにあるんじゃないかと。
 これは、死ぬまでには絶対に一度は聴いておくべき音楽なんじゃないかと思います。こんなすごい音楽、10年に1度出会えるかどうかというレベルなんじゃないかと。フリーというのは崩れてしまうと本当にダメな音楽になってしまうので、これは奇跡の瞬間を捉えた歴史的録音だと思います。



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『THE PETER BROTZMANN OCTET / MACHINE GUN』

PeterBrotzmann_MachineGun.jpg 音大生の頃、ジャズバンドに参加した頃がありまして、日本をグルグル回っていたことがあります。とはいっても全然食えないし、泊まる所と言えばカプセルホテルばかりだったんですが、それでも毎日演奏できる生活って、楽しかったなあ。そんな旅先での楽しみのひとつに、空き時間に行くレコード屋めぐりがありました。特にショッキングだったのが、東京で行ったディスクユニオンというお店。今はどうなのか知りませんが、昔のディスクユニオンのアナログ盤ジャズコーナーがかなりマニアックで、なんとフリージャズがメインなんじゃないかというぐらいの品揃え。フリージャズは大好きだったのでけっこう聴いていたつもりだったのですが、ジョン・コルトレーンやアルバート・アイラーなんていうのは序の口もいいところで、コーナー分けは「INTAKT」とか「FMP」とか、僕にとっては聞いた事もないようなジャンルのオンパレード(T_T)。昔は、スイングジャーナルも読んでいたしレコードガイドみたいな本もけっこ読んでいたし、フリージャズのレコードもかなりたくさん持っていたのですが、聞いた事もないようなミュージシャンやレコードだらけで本当に驚かされました。「こういうレコードを買う人って、一体どこから情報を仕入れているんだろうか?」と…。

 その頃に出会った衝撃の一枚が、これです。ペーター・ブレッツマンのマシンガンというレコード。ブレッツマンという人は頻繁に来日もしているので今では有名になりました(とはいっても「その筋で」という意味ですが…)が、当時は今ほどの知名度は無かったと思います。もの凄いブローでテナーサックスを吹きまくるんですが、この破壊的なサウンドが脳を直撃!いっぺんに持って行かれてしまいました。。また、音楽の内容も凄くて、もう一般でいう所の音楽ではないんですよね。音階とか旋律とか、そういう概念は通じません。音圧、サウンドの変化…音楽を構成するためのベクトルが違うんですよね。これはスゴイと思いました。
 しかし、フリーって、やって見ると分かるんですが、演奏しても聴いても、すぐに飽きるんですよ。サウンドのインパクトはそれこそ絶大なんですが、即興が故に音楽の構造がどうしても単純になってくるので(たぶん構造というものを考えてない人も多いんじゃないだろうか)、構造面で飽きてきて「もういいや…」ってなっちゃうものが多いです。ここが、即興系の音楽家の良し悪しを分ける境になると個人的には思っています。で、この「マシンガン」というレコードは、フリーではあるんですが、全体の構造は最初から作曲してあって(もしかしたらコンダクションだけかも…)、ブロー炸裂の最中に、いきなり他のアンサンブル要員が一気に「ギュジャアアア~~~ン!!」とか、トゥッティしたりします。フリーにおいての構造面の問題というのは、優れた音楽家ならやっぱり気づいているんですね。

 このレコードをきっかけに、僕はドイツを中心としたヨーロッパのフリージャズにのめり込んでいく事になりました。いやあ、これはマジでカッコいいですよ(^^)。




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『MESSIAEN / THE TECHNIQUE of my MUSICAL LANGUAGE』

Messiaen_MusicLanguage.jpg メシアンが、自分の作曲技法について書いた本です。邦題は「わが音楽語法」。近現代以降の調音楽の作曲を勉強しようと思ったら、絶対に避けては通れない本です!

 今の日本では、音楽の勉強というと、まず西洋音楽の事を指していると思います。また、その中でも「ドミソ」の和音と「ドレミファソラシド」の旋法に代表されるような、「機能和声法」というものを学ぶのが殆ど。日本の歌謡曲、英米のチャート音楽、ハリウッドの映画音楽、ジャズ、タンゴ…。僕が普通に生活していて耳にしてきた音楽というのは、みんな機能和声で作られた音楽でした。でもこうなると、サウンドがみんな同じなんですよね…。音楽大好きで音楽を聴きまくっていた僕ですが、高校生ぐらいになると、こうした音楽に食傷気味になってしまい、飽き飽きしてきていました。色んな音楽を聴いているつもりが、全部同じ物のバリエーションに思えてきてしまったんです。そんな時に出会ったのが、メシアンという作曲家。この作曲家、やっぱり和声を色彩豊かに使うんですが、そこで使う作曲システムがぜんぜん違う!音楽はものすごい色彩感覚で、たくさんの音楽を聴いて来たつもりだったのに、まったく聴いた事のないようなサウンドのオンパレード!!完全に魅了されてしまいました。特に「世の終わりの為の四重奏曲」は、僕の人生を変える事になったほどの衝撃。以降の僕は、音楽の勉強なんて全然していなかったくせに必死に音楽の勉強をして、何とか音大に滑り込み、そこでメシアンの作曲を選択するほどに、メシアンにのめり込んでいったのでした(^^)。

 この本は、体系的に作曲システムを記述してあるわけではないです。メシアンという作曲家が、どういうふうに作曲しているかをトピック別に書いてる感じ。例えば、リズムではインド音楽のリズムを参考していてそのリズムはこうなってるとか、ドビュッシーの作曲技法をどういう風に解釈して自分の作曲に活用してるかとか、リズムを変形していく時にメシアンが使ってる変形の手法とか、メシアンが使ってる特殊和音とか、そういうのを書いてあります。このへんは、メシアン以前にある対位法の手法とか4度和声とか音列技法なんかを前提に書かれているので、そのあたりの勉強が終わってない人が読むのはきついと思います。たとえば、リズムの拡大・縮小に関する手法とかは、カノンのリズムの拡大・縮小や、音列技法での反行あたりが前提になっているので、そこが分かってないと理解不能、みたいな。
 そして、リズムや和声のあとの16章に書かれているのが、この本でいちばんの目玉、あの有名な「移調の限られた旋法」です。いま一般に使われている長調とか短調というのは、旋法的に言うと7音音階のうちのひとつです。メシアンは、作曲で7音音階以外の旋法も作曲に用います。それも機能和声の7音音階への組み込みだけでなく、単独で使ったりもするわけです。その1番はジャズでいうホールトーン、2番はコンビネーションオブディミニッシュド、3番は9音音階(!)、…みたいな感じです。さらに、それぞれの旋法の転調の可能性がどうなってるかも調べてあって、これでそれぞれの旋法を使っての作曲の素材が揃う、みたいなかんじ。そして17章は、それらと長音階との関係。長音階っぽく鳴らすのか、もっと浮遊して鳴らすのか、みたいな、その考え方。そして最後の19章は、ふたつの旋法を積み重ねたり、3つの旋法を積み重ねたりという、その実例。いやあ、リズムの章でも、ふたつのリズムを共存させる手法が紹介されたりしていましたが、旋法も重ねるのか、これはすごい。。

 というわけで、一般的な和声法、対位法とカノン、12音列技法あたりの勉強が終わってる人にとっては、アイデアにとんだメシアンの音楽がどうなっているかのヒントを貰える、すごく参考になる作曲の参考書じゃないかと!問題は…メシアンはフランス人なので、原本はフランス語なんです。日本語訳は大昔に出ていたのですが、とっくの昔に絶版。僕が行っていた音大の図書館にはあったのですが、ボロボロでした。。というわけで、今となってはこの英訳本を読むのが、いちばん現実的なんじゃないかと思います。楽譜がメインですので、そんなに難しい英語はありませんでした。

*2018.2.16 追記:なんと、日本語新訳が出ました! 細野孝興訳 「音楽言語の技法」です!日本語訳は1954年に刊行されたきり長らく絶版だったので、これはうれしい翻訳じゃないでしょうか!



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『ZZ TOP / Tejas』

ZZtop_Tejas.jpg いつもそうなのですが、「ファンダンゴ」をターンテーブルに乗せると、白熱してしまってZZトップのレコードを片っ端から聴く羽目に陥ります(^^;)。で、いつも最後の箸休めとなるのが、この「テハス」という5thアルバム。今まで紹介してきたZZトップのアルバムは、2ndから5thまでという事になります。区切りの1枚という事になりますね。6th以降のZZトップはあんまり好きじゃなくって、僕にとってのZZトップはここで完結です。

 「テハス」というアルバム、他のZZトップのアルバムとは少し雰囲気が違います。他のアルバムが「ブルース」「ロック」「ブギー」という押しの印象が強いのに対して、このアルバムはそれに加えて「カントリー」という匂いが結構あります。雰囲気でいうと、大人しいんですよね。だから、「ZZトップ」的なものを求めてこのアルバムを聴くと、肩透かしに合う気がします。ところが…この「大人しい」というのが曲者で、よく聴くとすごい。例えば1曲目の"It's Only Love"。ミディアムスロー気味のテンポで、ハードロック万歳というガキの頃に聴いたものだから、最初は物足りなく感じていたんです。しかしよく聴くと…ドラム、すげえ細かい事やってる。うますぎだろう、これ。。シンセドラム時代がZZトップ初体験だった僕にとって、ドラムは下手だと思ってたんです。しかし、これはうまい。。とくにB面でのドラミングはどれもこれも見事です。他には、オブリで入ってくるスライドギターも、ブルースじゃなくってカントリー/テックスメックス調だし、すごく味わい深くって素晴らしい。
 カントリー要素というのは、カントリー調のフィドルの使用とか、他にも色々と出てくるんですが、極めつけはアルバムラストに入っているインスト・ナンバーの"ASLEEP IN THE DESERT"。あまりに綺麗なインストナンバーで、西部劇のラストで流れていてもまったく遜色のない感じの哀愁が漂っています。この曲が持っているしっとりと物悲しい感じ、大好きです。他にも、他のアルバムでは聴く事の出来ないような曲想の曲とか、色々な面がこのアルバムには出てきます。"EL DIABLO"のBパートなんて、ZZトップどころか、他の音楽でもちょっと聴く事の出来ないような不思議な世界観を作り出しています。

 味わい深さという意味では、実はZZトップの作品中ナンバーワンのアルバムなのかもしれません。でも、最初の1枚がこれだったら、渋すぎて良さが分からないまま、ZZトップにあまり深入りせずに終わっていたんだろうなあ。



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『ZZ TOP / Rio Grande Mud』

ZZtop_RioGrandeMud.jpg 大名盤サードアルバムに並ぶ、ZZトップの大傑作セカンドアルバムです!!個人的には2曲目"JUST GOT PAID"があまりにカッコ良すぎて、こちらの方がたくさん聴いているかも(^^)。。この曲、イントロからAまで同じリフでブッ通すんですが、これが中毒になるほどカッコいい!!それに続く長いスライドギターソロが凄い!!いやあ、この1曲だけでもお釣りが来そうです(^^)。それに続く3曲目はアコースティック・ギターを使ってのミシシッピ・ブルースなんですが、ここで「プオ~ン」と鳴りまくってるブルースハープがこれまたカッコ良すぎる!!サニーボーイウイリアムソンよりもうまいんじゃないか、これ…。。4曲目で遂にZZトップの本領発揮、ファズに歪みまくったギターによるリフが決まりまくる曲が来ます。う~ん、これまた素晴らしいアルバムだなあ。。B面の冒頭、ほのぼのブルース(しかし上手い…)から突然アップテンポのハードブギ"BAR-B-Q"が斬り込んできた瞬間も鳥肌モノ。ここでのギターソロがまたすごすぎ。

 ZZトップというのはテキサス出身のバンドで、大まかに「テキサス・ロック」とか「サザン・ロック」なんていう区分けで纏められる事があります。で、僕の場合、サザン・ロックというと、ブルースをベースにした、若干どんよりとしたネチっこいロックを想像してしまいます。オールマン・ブラザースとかね。でも、ZZトップの印象はちょっと違う。「どんより」なんてしている暇はなく、疾走、疾走、疾走!という感じ。で、ガツガツ来るから、感覚的には結構おおざっぱかと思いきや(まあ、曲の作りは大雑把なんですが^^;)、じっくり聴くとべらぼうにテクニカル。このアルバム、バンドの方向性が徐々に固まり始めてきたころのアルバムという感じで、ある方向を目指しながらも、バラエティに富んでいます。これも一生付き合うだろう、大好きなアルバムです(^^)。



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『ZZ TOP / Tres Hombres』

ZZtop_TresHombres.jpg ZZトップのスタジオ録音盤は、セカンドアルバム以降が傑作続出のスゴイ事になります。中でもこの第3作は最高傑作の誉れ高いんですが…まったく異論ありません!!特に、外れ曲ナシというのは、彼らのキャリアの中でもこのアルバムだけなんじゃないかというほどの完成度。

 こういうブギー的なノリの良さとブルースロック的なアタックの強さのアルバムを言葉で説明しようとするのがナンセンスだとは思いますが、それじゃ紹介になりませんね(^^)。まず、曲の並びが秀逸。編集で強引にメドレー化した1~2曲目の流れなんて、これで燃えないわけがありません(^^)。ブルースハープの凄いブローの後で、ビリー・ギボンス必殺のギターソロ、そこからバシッと繋がる2曲目で最初に叫ばれるセリフが"Jesus just left Chicago"!!うおお、カッコいい!!中学生の僕は、友人がサザンオールスターズや中森明菜を聴き、洋楽マニアがメタルやジミヘンに走っている中、ZZトップというアメリカのトラック野郎ご用達の音楽に突き進んでいたのでした(^^)。

 こんなふうに書くと、まるで馬鹿がやっているロックのように聴こえてしまうかもしれませんが(^^)、しかしこのアルバム、本当に素晴らしい。ブルースハープはうまいし、ヴォーカルはすごいし、コーラスはやさぐれてカッコいいし、ギターはブルースばかりじゃなくって、スライドギターから難しそうなコンビネーションのアルペジオまで、生きたように弾きこなします。これもロックの大名盤、70年代のアメリカで絶大な人気を得ていたバンドというのもうなずける話です。。


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『ZZ TOP / Fandango!』

ZZtop_Fandango.jpg 来ました来ました、いつか絶対に紹介したいと思っていた、ロックの大名盤です!!!FOGHATのライブ盤と、ZZトップのライブ盤は我が家でヘヴィーローテーションなのです。30年以上、ずっとその状態(^^)。

 僕がロックを聴き始めた頃、時代は既に80年代。そのころのZZトップというのは、「ドッタッドドタッ」という単調なデジタルドラムに、これまた「ボンボンボンボン…」という単調なベースという印象で、死ぬほどつまらない音楽だと思っていました。しかし、僕の大好きな日本のミュージシャンが「ZZトップが最高だ」と言っていたし、なんとジミヘンまで「ZZトップのビリー・ギボンスのギターは最高だ」なんて言ってるので、昔の名盤と言われているものぐらい一度は聴いておこうと思ったら…カッコいいい~~~~!!!いやあ、これは白熱します!!

 1975年発売のこのアルバム、A面がライブ、B面がスタジオ録音となっています。どちらもいいんですが、特にA面のライブの白熱ぶりが凄い!!この手の白熱って、ジャズやクラシックじゃあり得ない質のもの。ブッ飛ばしてます。一曲目「サンダーバード」から2曲目のプレスリーの「監獄ロック」になだれ込む勢いが凄い!ディストーションなんて生ぬるいものではなくファズを2重にかけた上にアンプでもブーストさせたんじゃないかというような野太いギターの歪み方がカッコいい!!ヴォーカルも物凄い迫力、当時中学生だった僕は、一発で持って行かれてしまいました(^^)。。

 自殺したいほどの欝な気分が10分でぶっ飛んでしまうというロックのアルバムを、僕は2枚持っています。ひとつがフォガットのライブで、もう1枚がこれ。なんでもアメリカのトラック野郎は、全員このアルバムをカーステレオで流していたそうで。。


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『T-BONE WALKER / THE HUSTLE IS ON』

TBONEWALKER_HUSTLE IS ON 同じく、Tボーン・ウォーカーさんのレコード。前に書いたレコードがあまりに素晴らしすぎ、中古盤屋でこのレコードを見つけた時は、ティーボーンさんのレコードというだけで即買いしてしまいました(^^)。インペリアルというレーベルに残した録音集みたいです。ブルースの録音って、酒場のジュークボックスとか、黒人向けラジオ番組用の吹込みが多かったみたいなので、アルバムという形での発表は少なかったようなので、こういうまとめ方になるんでしょうね。

 さて、このレコードも相変わらず素晴らしいです。ギターの演奏でいうと、ひとつ前の記事で書いたレコードよりも名演を聴くことが出来るかも。ただし、こちらの方が、ブラスセクションのフューチャーが大きくって…なんというか、観光客向けのショーバンドみたいな装いになっちゃってます(^^;)。ほら、聴く側としてのボクの勝手な要求としては、お客様向けのエンターテイメントじゃなくって、その音楽家本人の本音だったり主張だったりを聴きたいと思っちゃうわけです。それが、ちょっとエンターテイメント・ショーになっちゃった、みたいな残念さは若干あります。エルヴィス・プレスリーなんかがそうですよね。若い頃は小編成のバンドで、もう本人のエネルギーをガシガシぶつけて来るみたいな感じだったのに、売れてからはショービジネスの世界の商売道具に嵌められてしまって、ハワイのホテルとかでビッグバンドを後ろに、ビラビラの衣装を着て、金持ちの道楽の道具に堕ちてしまった…みたいな。でも、これだけのバンドを擁することが出来たという事は、絶大な人気のあるブルースマンだったのかもしれません。やっぱり歌とギターはホンモノ。6曲目の"RAILROAD STATION BLUES"なんて、歌とギターとピアノが絶品すぎ。ああ、これで、やっつけ仕事っぽいブラスセクションさえついていなければ。。


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『T-BONE WALKER』

TBoneWalker.jpg オーティス・ラッシュにハウンド・ドッグ・テイラーと、ふたつ続けて書いたブルースマンは、どちらかというと「暑苦しい」系。戦後のバンドブルースって、僕にとってはこの「暑苦しい」系の印象が強かったのですが、その印象はこのTボーン・ウォーカーを聴く事で打ち砕かれました。歌も、簡単に叫んじゃったりする事はなく、はっきり言って美声。抑揚も、古いジャズ・シンガーみたいな歌い方をします。ギターも、実に洗練した演奏をします。このレコードですが、邦題で「モダン・ブルース・ギターの父」なんていうタイトルがついているのですが、これは内容を的確に言い当てていると思います。

 タネを明かすと、他のブルースとは、実際に使っているコードとか、コード進行に当てている代理進行とかが違うんですよね。ムズカシイ話にしてしまうのは好きではないので簡単に言うと、例えばコードでいうと9thとか6thなんていうエクステンションを加えてきます。で、暑苦しい系のブルースだと、こういうコードは使わない。なぜ使わないかというと、趣味で使わないんじゃなくって、多分知らないんですよ。しかし、こういうコードを使えるというのは、Tボーンという人、実は少しだけジャズの素養があったんじゃないかと。ただし、旋律はペンタトニックから外れる事はほとんどないので、じゃあジャズが演奏できるのかというと、そこまでは行けていないのかも。9thとか6thというコードって、サウンドが複雑になって、感覚でいえばマイルドになるんです。それは、モダンに聴こえて当然なんですよね。こういうサウンドは、エリック・クラプトンなんかも使う時があるので、洗練されたシティバンド・ブルースのルーツにあるのは、このティーボーン・ウォーカーさんなんじゃないかと思っています。2曲目の"Mean Old World" なんて、モダンブルースを演奏する人で、この曲を知らない人なんていないんじゃないかというぐらいの大名曲。詞の世界観も素晴らしいし、イントロのギターの和声進行なんて、当時のブルース・ギタリストに衝撃を与えたんじゃないかと想像します。

 僕にとってのバンドブルースの印象が180度変わった名ミュージシャンです。大人になってしまうと、ブルースなんて子供っぽくて演奏する気になれないんですが、こういう音楽であれば付き合いたい。非常にレイドバックして洗練されたサウンドで、大人のためのブルースといえるんじゃないかと。美しくて、少し切なくて、大好きな音楽です。



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『Hound Dog Taylor / Hound Dog Taylor and the HouseRockers』

HoundDogTaylor.jpg これも戦後のバンド・ブルースに入れて良いものだと思うのですが、カッコいい!!何度も聴いた、お気に入りの一枚でした。面白いのは、その編成。じいさんのダミ声絶叫系のヴォーカルに、歪みまくったエレキギター2本とドラムという変則トリオで、ブルースをやるのですww。で、曲はブルースなんですが、ギターは全然溜めないし、歌も全然哀愁はなくって暑苦しくって、全然ブルージーじゃない。しかし、それがいい!!歌ナシでギター弾きまくりの曲なんかもあるんですが、ぜんぜん技巧的ではなくって気合で弾き切っちゃってる感じ。う~ん、ロックだ。ブルースをベースにした新種のロックだ。。セカンド・ギターも、曲によってサイドギターを務めたり、ベースを刻んだりと、実に良い仕事をしています。

 このレコードが録音されたのは1971年という事なので、ブルースのレコードとしてはかなり新しい部類に入るかと思います。しかし、ハウンド・ドッグ・テイラーというひと、1915年生まれという事なので、きっと戦前ブルースを通過してきているんでしょうね。生まれはミシシッピーで、若い頃はオープンEのチューニングでスライドギターを演奏していたという事なので、本当はドロドロのどブルースから始まったんじゃないかと。それが流れ流れてシカゴまで辿りつき、その過程で歪みまくりギターの変則バンドスタイルになって、ロックよりもロックっぽい音楽になっちゃってます。聴いていて気分が良くなるという、珍しいブルースのアルバムです。これはおススメ!

 ところで…これは71年録音で、ブルースの中では結構ヒットしたらしいんですが、ハウンド・ドッグ・テイラーさんは75年に他界しているのか。…死ぬ直前に傑作を残したという事ですね。人生って、人それぞれだなあ。


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『Otis Rush / The Cobra Sessions 1956-1958』

OtisRush_Cobra.jpg 以前、ライトニン・ホプキンスとかスリーピー・ジョン・エステスとか、第2次世界大戦前のブルースのレコードを、いくつか取りあげました。実際に僕が取りあげたのは戦後録音のものもあったのですが、僕の中では、アコースティック・ギターの弾き語り形式のものは「戦前ブルース」という事になっているのです(^^)。一方で、戦後になってくると、ブルースというのが黒人のたむろするミシシッピなんかの酒場で歌われる物ではなくなってきて、ラジオ放送で流され、多くの観客の前でも演奏される音楽になっていったみたい。その過程で、他のアメリカ音楽との相互浸透なんかも多分起こって、エレキ・ギターを使ったバンド形式のブルースが大勢となっていきます。で、そういうバンド・ブルースは「戦後ブルース」という区分け。で、このバンド・ブルースというのがつまらない。大音量化する事で、歌の表現は常にフォルテになって、声の絶妙なニュアンスなんか全部消えちゃうし、アコースティックの頃にあったギター独奏の見事な表現もなくなり、ギターはバンドの合間に「キュイーン」とか、単旋律で間の手を入れるだけのシロウト芸に成り下がってしまいました。その好例がマディ・ウォーターズという人で、この人、最初は素晴らしい戦前ブルースをやっていたのに、途中からバンド・ブルースになって、クソみたいにつまらなくなっちゃう。そのクソみたいな時期の彼の音楽を「神」と崇める人がいるんですが、僕にはそれがメディアの誇大広告に踊らされてるだけにしか思えないのです。

 ところが…そういった戦後のバンド・ブルースの中にも、素晴らしいものがありました。その最初のきっかけが、このオーティス・ラッシュという人です。というか、オーティス・ラッシュのこの「コブラ・セッション」というヤツです。やっぱりバンド・ブルースなんですが、まずは声を含めた歌がスゴイ!!ブルースの凄さのひとつって、歌が語り言葉とメロディと叫びの全ての要素を含んでいるところにあると感じているんですが、オーティス・ラッシュさんの場合、これがとんでもなく素晴らしい!!次に、合いの手で挟んでくるギターが素晴らしい!!僕にはギターが2本いるように聴こえるのですが、1本はグッチャグチャに潰れた音で「ギュワ~~ン」とか、ドロドロの和音。もう1本は、溜めまくってから一気に弾く、いい時の戦後ブルースの単旋律での歌のオブリです。バンドも、ピアノがブルージーにトレモロ、要所要所でブルースハープが「プウォ~ン」とか、メッチャいい雰囲気を作っています。いやあ、これは素晴らしすぎる。。これは、バンドブルースの大名盤じゃないかと思います!!

 僕が持っているのは、紹介したレコードとはジャケットの写真が違います。でも、タイトルは同じだし、収録曲も大体同じ(僕が持っているCDの方が2曲少ない)ので、同じ音源なんじゃないかと思います。僕が持っているやつの方がジャケットがカッコいいんですが、やっぱり2曲多いやつの方がいいんでしょうね。さて、このレコードがあまりに素晴らしかったので、他のオーティス・ラッシュさんのレコードもいくつか聴いたのですが、けっこうツマラナイものもありました。というわけで、ダントツで素晴らしいこの「コブラ・セッション」が大おススメ!バンド・ブルースの大傑作だと思います!!




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『ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》、第6番《田園》 カラヤン指揮・ベルリンフィル』

Beethoven_denen.jpg 月に27~8日働いて、労働時間が1日10時間以上である事が通常…なんていうライフスタイルって、ここ100年ぐらいの話らしいですね。ローマの奴隷ですらそんなに長時間労働ではなかったというし、狩猟時代の原始人の労働時間は1日4時間程度であったそうで。現代人がipodで5分ぐらいの曲ばかりを通勤時間に合わせて聴くというのは分かる気がするし、そう考えると、資本主義の飼い犬みたいな僕が、マーラーの長大な交響曲を味わっている暇がないというのも致し方ないんじゃないかと。じゃ、マーラーの交響曲がダメとして、ベートーヴェンの交響曲は?…「運命」も「田園」も30分ぐらい、これは大丈夫、寝る前に聴くことが出来ます( ̄ー ̄)。そして聴き終わった後に、気持ちのよい疲労感とともに熟睡コースです。

 僕が若い頃、クラシック界で一世を風靡していたのが、カラヤンというドイツの指揮者でした。ロマンスグレーでルックスもカッコ良かったですしね。そんなわけで、ベートーヴェンのシンフォニーといって一番聴かれていたのは、カラヤン指揮のものだったんじゃないかと。ベートーヴェンのデジタル録音化とか、色々な意義もあったのかもしれません。当時の偉そうな評論家さんから、カラヤンのベートーヴェンは批判もされていました。しかし僕にとっては他のベートーヴェンを知らないもので、あんまりそういう事は分からなかったし、評論家なんて当時すでにクズだと思ってましたし(^^;)。

 しかし、若い頃の僕にとって、やっぱりつまらなかったんですよね、ロマン派の音楽は。ところが、ひとつ前のマーラーの記事で書いたような「絵画的なシーンを音で描く」という事を目の当たりにして、「これはすげえ…」と思わされたのが、「田園」の第1楽章。なんか、青い空にモンシロチョウが飛んでいて、小川が流れていて、レンガ造りの家があって…みたいな光景が想像出来ちゃったのです(もちろん、人によって全然違ってくるとは思うんですけどね)。2楽章もやっぱり同じ。音を聴いて、ある風景が思い描けてしまうって、すごいと思いませんか?今だったら、テレビや映画のBGMで、のどかなシーンで流れる音楽の典型みたいなものがあって、そういう音楽の記憶から色々と類推出来る事もあるかと思うんですが、ベートーヴェンの頃って、そういう前例がない所から、最初のフォーマットを作っていっているわけですよね。例えば自分が作曲をすると想定して、「夕暮れを音楽で描いてみてください」という課題が出たとしたら…そして参考にする前例がないとしたら…いやあ、これは難題だと思うんですよ。
 気性的に、ハードでダークなものが好きな僕にとって、田園は平和すぎる音楽だったんですが、しかしそのイマジネーションには感服してしまった。この後、田園には嵐が来て(アレグロで短調になる)、最後に嵐が去って美しい田園風景が広がるわけです。う~ん、敵の軍門に下るという訳ではありませんが、純音楽主義者であった僕が、その信念を打ち砕かれた瞬間が、「田園」であったのかもしれません。心から素晴らしい音楽と思います。

 さて、ちょっとした後日談が。このCDは、「運命」とカップリングされています。いつも「田園」ばかりを聴いているのですが、今日は久しぶりに「運命」も聴いてみました。冒頭の「じゃじゃじゃじゃ~ん」ですが…か、軽い(>_<)!!と思って、運命のフルスコアを見てみたんですが…やっぱり、Allegro con brio のffだよなあ。もっと「ジギュジギャヤジャジャ~~~ンン!!!!!」ぐらいやってほしいと思ってしまう。。これは、運命の新解釈というんじゃなくって、1980年代というものが、アレグロとかフォルテッシモとかを、これぐらいで捉えていた時代だったのかも知れませんね。80年代といえば、英米のポップスも音がスッカスカで軽い物ばかりだったし、流行色もピンクとかマリンブルーとか軽そうなものばかりでしたしね。。当時の評論家さんの批判を正確に覚えているわけではありませんが、あながち外れではなかったのかもしれません。それでもこの「田園」は、僕の「田園」の基準になっちゃっているので、大正義なんです(^^)。



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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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