「テハス」というアルバム、他のZZトップのアルバムとは少し雰囲気が違います。他のアルバムが「ブルース」「ロック」「ブギー」という押しの印象が強いのに対して、このアルバムはそれに加えて「カントリー」という匂いが結構あります。雰囲気でいうと、大人しいんですよね。だから、「ZZトップ」的なものを求めてこのアルバムを聴くと、肩透かしに合う気がします。ところが…この「大人しい」というのが曲者で、よく聴くとすごい。例えば1曲目の"It's Only Love"。ミディアムスロー気味のテンポで、ハードロック万歳というガキの頃に聴いたものだから、最初は物足りなく感じていたんです。しかしよく聴くと…ドラム、すげえ細かい事やってる。うますぎだろう、これ。。シンセドラム時代がZZトップ初体験だった僕にとって、ドラムは下手だと思ってたんです。しかし、これはうまい。。とくにB面でのドラミングはどれもこれも見事です。他には、オブリで入ってくるスライドギターも、ブルースじゃなくってカントリー/テックスメックス調だし、すごく味わい深くって素晴らしい。 カントリー要素というのは、カントリー調のフィドルの使用とか、他にも色々と出てくるんですが、極めつけはアルバムラストに入っているインスト・ナンバーの"ASLEEP IN THE DESERT"。あまりに綺麗なインストナンバーで、西部劇のラストで流れていてもまったく遜色のない感じの哀愁が漂っています。この曲が持っているしっとりと物悲しい感じ、大好きです。他にも、他のアルバムでは聴く事の出来ないような曲想の曲とか、色々な面がこのアルバムには出てきます。"EL DIABLO"のBパートなんて、ZZトップどころか、他の音楽でもちょっと聴く事の出来ないような不思議な世界観を作り出しています。