『The Beatles / Past Masters vol.1 & 2』

Beatles_PastMasters.jpg ビートルズのシングル盤になった曲を片っ端から収めたアルバムです。昔はvol.1と2に分かれていたのですが、今は2枚組でひとつになったみたいです。昔はドイツ版だけがこの仕様で、それを持っていた僕は鼻高々だったんですが(^^;)。

 僕が若い頃(80年代前後)だと、アルバムに入っている曲からシングルをカットするというのが当たり前だったのですが、ビートルズの頃というのは、アルバムとシングルというのはけっこう別物だったりしたみたいです。だから、アルバムを全部買いそろえても、聴けない曲があったりりする。しかもそっちの方がシングルなので有名だったりして。で、昔はそのシングルを全部まとめたアルバムというのが無くって、ディープなファン以外は、アルバムは買わずに「赤盤」「青盤」なんて呼ばれていた、ビートルズの2枚組ベスト盤の2種類が重宝されていたみたいです。でも、それはシングル曲も入っていたりしてベスト盤としてはいいんですが、アルバムを持っている人からすると今度はダブり曲のオンパレードになっちゃったりして、それはそれで困ったものでした。
 そんなわけで、アルバムを全部聴いている人にとっては、シングルを網羅したこのアルバムの登場は有難かったのでした。「レット・イット・ビー」も「ヘイ・ジュード」もみんな入ってます。ビートルズのレコードをひとつだけ聴いてみたい、という人がいましたら、このレコードがおススメです!シングルは片っ端から聴けるし、もしビートルズを気に入って、アルバムも聴きたくなっても、あまりダブらずに済みます(^^)。。


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『The Beatles / REVOLVER』

Beatles_Revolver.jpg ひとつ前の記事の「ハード・デイズ・ナイト」がビートルズ初期の傑作だとすると、ビートルズ円熟期の傑作はこの「リボルバー」だと思います!バンドの演奏技術は比較にならないぐらいに向上してるし、曲のバンドアレンジも初期とは比較にならないぐらいに向上しています。

 もう、一曲目の「タックスマン」からカッコいい!バンドのプレイもまとまってるし、コーラスが巧い!また、ポール・マッカートニーの書くポップな曲が素晴らしい!ビートルズが売れたものだから、同時期に同じようなバンド形式のロック/ポップ・グループというのが山のようにいるんですが、ビートルズの優れているところは間違いなく作曲能力じゃないかと。曲が良いんですよね。ビートルズ渾身の1枚だと思います。

 この後、ビートルズはどんどんレコーディング・スタジオでしか作る事が出来ないような作品を作る方向に走って行ってしまいます。で、それがどうだったかというと…ビートルズという枠の中だけで見れば悪くないし、中には名曲も混じっているんですが、周りのロックバンドとか、もっと広く見てジャズとかクラシックとの比較で見ると…稚拙なんですよね。ソング・ライティングとビート・バンドという所にいるから、そういうものとして成立するんでしょうが、プロフェッショナルな西洋音楽の机上でのアレンジの世界に首を突っ込んでしまうと、所詮はシロウトなんですよね(影武者もいたらしいですが)。でも、同じ音楽ばかりをやっていると、息が詰まて来ちゃうというか先がなくなっちゃうというか、そんなふうになったのかもしれません。そういう意味でいうと、リボルバーというアルバムは、ビートルズにとって一番いいタイミングで制作に取り掛かる事の出来たアルバムなのかもしれません。




『The Beatles / A Hard Day's Night』

Beatles_HardDaysNight.jpg 中学生の頃、音楽好きの友人に洋楽のロック/ポップスを勧められ、深入りしていったのがディープな音楽生活の始まりでした。その最初の頃、聴いていないなんてモグリだと自分で勝手に思い込んでいたのがビートルズ。というわけで、ビートルズというものを、とにかく聞いてみたのでした。しかし…編集盤やら、アメリカ盤やらイギリス盤やら、やたら色々あって、どれを聴いていいのか全然分かりませんでした(T_T)。で、近所のレコード屋のおじさんに尋ねた所、どうやらオリジナル盤というのがあるらしくて、それを買えばダブらなくて済むとの事。この「ハードデイズ・ナイト」は、そのオリジナル盤の中で、タイトル曲を知っていたので買った一枚です。

 ついさっきまで小学生だった僕が、ビートルズを聴いてまず最初にビックリしたのは、知っている曲だらけだったという事。洋楽なんて聞いたことが無いわけですから、誰がどの歌なんていうのは全然知らなかったのですが、そんな子供ですら片っ端から耳にしている。CMに使われていたり、児童館の時報のメロディだったり。いやあ、ビートルズって、ここまで世間に浸透していたんですね。このアルバムもそうで、聴いた事のある曲が4曲も5曲も入ってました。耳に心地よい良い曲揃いという感じです。

 そうそう、ビートルズって、僕は3期に分けて捉えてます。最初は「プリーズ・プリーズ・ミー」みたいな、ギターがチャカチャカいっている古臭い時期。マージ―ビートなんて言葉がありますが、ビートルズの初期は、まさにそんなイメージ。次がロックバンドっぽくまとまってきた時期で、ディストーションのかかったリードギターなんかが入って、バンドとしてカッコいい時期。最後が、オーケストラが入ったり色んなレコーディング技術が入ったりで、バンドというよりもポピュラーのレコーディング作品を作っている感じの時期。で、この「ハード・デイズ・ナイト」は、僕の中では初期の代表作。聴いていて、ポピュラーで気持ちいいのです(^^)。

久しぶりに聴いていたら、やっぱりよいアルバムです。こういうサウンドって、本当に60年代の一瞬だけだったんじゃないかなあ。。




『望月治孝 / ソロ・ドキュメント 2004』

MochidukiHarutaka_Solo2004.jpg 阿部薫ラインの音楽といって、もうひとり素晴らしいと思ったのが、この望月治孝さんというサックス奏者です。音大卒という事なので、阿部さんや浦邊さんと比べると、いちばんキチンと音楽を修めてきた人なのかもしれません。が、その音楽はというと…一番メインストリームから外れているというか、悪く言えば地味、良く言えば一番音楽的に優れている、という感じでしょうか。外連味が無いところが個人的にはメチャクチャ好きです。

 まず、ブレスから実際の楽器の音までの境界の使い方が凄い!楽器に吹き込む、まだ立ち上がって来ない息の音だけでもの凄い表現力。何もないところから音が立ち上がり、それが凄いスピードで一気に持って行って…う~ん、これはいいです。
 もうひとつ素晴らしいのは、ひとつ前の浦邊さんの所で少し書いた、人間性の問題。浦邊さんには、なんか「深入りしたくないな」と感じるのに対し、この望月さんという人は、ちょっと人間的な魅力を感じます。真摯というか、ストイックなものを感じるんです。表現でも、やる事はやるんですが、音として望まれる事をきっちりやるという感じで、過剰な演出みたいな事は決してしません。そこが人間的に魅力を感じてしまいますね。なんというのかなあ、日本のフリーフォームの音楽って、アメリカみたいにジャズが基盤になっていない分、ロックでも何でもアリで、そうなるとデタラメのオンパレードみたいな側面があるんですよね。だから、インチキな人ほど演出過多になって、過剰な爆音とか、その逆に過剰に音が少ないとか音が変化しないとか、意味ありげな演出をしちゃったりするんですが、ハッタリだけでどうにかなるほど音楽というものは甘い物じゃなくって、いくら演出だけガンバってもぜんぜん音楽になっていないという恥ずかしい事になっちゃう。JOJO広○とか大友良○みたいなのがその例ですね。しかし、この望月さんという人は、そういうインチキ臭さとは別の所にいるというか、「ああ、これこそ音楽だよ」という所に来ています。素晴らしいんですよ。
 この人、コンスタントに作品は出しているようです。が、CDRだったり、とにかく手に入れにくい。で、苦労してまで欲しいとも思わないので(^^;)、唯一手に入れやすい作品がこれという事になるんですが、これは録音も生々しくってカッコいいし、かなり気に入っています。阿部薫よりも自然に聴く事の出来る、良質の表現至上主義型のフリーフォーム・サックスかも。



『浦邊雅祥 / ソロ』

UrabeMasayosi_solo.jpg 阿部薫という人の影響は測りきれないぐらいに大きかったようで、そのフォロワーも生み出しています。といっても、音をどうやって音楽にするのかというそのやり口のフォロワー、という程度の意味で、究極的には「表現」という所に行きつくと思うので、真似をするとか、そういう所ではなくなってしまうと思うんですが。だから、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、モノマネな人ならいると思うんですが、しかしあのぐらいの表現力にまで辿りつく人となるとなかなかいない。僕が知っている中ではふたりいるんですが、そのひとり目が、この浦邊雅祥という人。これは、その浦邊さんの無伴奏ソロのパフォーマンスです。

 よほど阿部薫に心酔していたんだと思うのですが、よくぞここまで、というぐらいにその表現をモノにしています。というわけで、音楽はさすがに素晴らしい。素晴らしいんですが…なんというのかなあ、外連味が強くて、そこがちょっと鼻につく。人間性に屈折したところがあるんじゃないかなあ。ほら、この手の音楽だと、音楽よりも、音を出している人のあり方とか、その哲学とか、そういう所に入っていけるかどうかになってくると思うんですよね。それが尊敬すべき人であるとか、そうなりたい境地とかであったら入っていけるんだけど、マイナスイメージの人だと、入っていきたくないですよね。そういう所が惜しい。まあ、そんな事をいえるのも、このパフォーマンスが素晴らしいので、無い物ねだりという事になっちゃうのかもしれませんが。阿部以降のこの方向の音楽を聴こうと思ったら、最初に名前のあがる人である事は間違いないと思います。


『高柳昌行・阿部薫 / 漸次投射』

Abe_Takayanagi_Zanjitousha.jpg ひとつ前の「集団投射」がアンプに繋がれたエレキギターの暴力的なクラスター音楽だとしたら、こちらのギターはガットギターで訥々と音を紡いできます。それにしても…冒頭のバス・クラリネットの演奏が凄い!!う~~ん、阿部薫という人、やっぱり楽器の音の出音と演奏それ自体の表現力はとんでもなく高い人なんだなあ。で、それに絡む(というか、例によって合わせるというんのとはちょっと違う感じなんですよね)アコースティック・ギターの演奏が素晴らしい。まったくテクニカルではないんです。まあ、日本のジャズ・ギターの神様みたいな人だから、演奏すればいくらでもうまく演奏できるんでしょうが…そうではなくって、フリー・インプロヴィゼーションという状況で、サックスがフリーしか演奏できない人で、そこでギターで何をやるのか、こういう所が凄い。自分を殺す事もなく、しかし相手を殺す事もなく、相手に合わせるでもなく、自分に合わせさせるのでもなく、しかし強い音楽を成立させてしまう。これは神がかったパフォーマンスです。

 どうしても「集団投射」の過激なイメージが先行してしまって、この「漸次投射」は地味な記憶があったんですが、いやいやとんでもない、もの凄い濃密な音楽です。死ぬまで絶対に手放す事のない1枚、自分がどう生きたらいいか分からない時なんかに聴くと、一気に「これだよ…」と思ってしまう必殺の一枚です(何言ってんだ、俺^^;)。




『高柳昌行・阿部薫 / 集団投射』

TakayanagiAbe_SHuudantousha.jpg 前のふたつの記事では、阿部薫という人をまるで神のように書きましたが、まあそれは良い面が出た時のハナシで、そんなに何でもかんでもパーフェクトな人なんていません。簡単に言うと、この人、多分オーソドックスな音楽は出来ないんだと思います。例えばジャズみたいな和声進行内でアドリブが出来るかとか、楽譜が読めるかとか言われると、多分できないでしょう。またそうであるから、独特な自分だけの音楽表現というものに行きついているんだと思うのですが(良いとか悪いでなくって、そのようにしかやりようがない)、という事は…他人との共演が、非常にムズカシイという事にもなるんじゃないかと。まあ、ドラムとのデュオとかなら成立するんでしょうが、それ以外は相当にしんどい事になるはず。事実、ジャズフォーマットのトリオとか、コントラバスのデュオとか、フリー系の多人数のセッションとか、他の人と共演した録音はそれなりに残っているんですが、もう音を音楽にする事が全く出来ていないです。ただし…ひとつだけ、例外があります。その唯一の例外というのが、この高柳昌行さんというギタリストとのデュオ。これが凄まじい。サックス独奏の時とは、まったく違う音楽になっています。

 ギターの高柳さんという人は、日本のジャズ史の中ではものすごく巨大な存在で、ほとんど伝説です。実際、普通のジャズを演奏してもかなりうまい。しかし、この阿部さんとのデュオでは、徹底してフリーフォーム。もう、自分が培ってきた音楽的なボキャブラリーを、わざと全部封印してるんじゃないかというほどの徹底ぶり。で、そこから出てくる音は…もう洪水のような轟音、音の暴力。で、阿部さんと高柳さん、まるで果し合いをしてるんじゃないかというぐらいに鬩ぎ合います。なんというのかなあ、ふたりでひとつの音楽を作るという感じじゃないんですよね。相手を見て演奏するというんじゃなくって、あるひとつの音に向かって、ふたりが勝手に突き進んでいく。で、そうやってどんどん音を埋め尽くした時に初めて重なる事の出来る部分に辿り着いている、みたいな。

 凄まじい音楽です。どちらかというと高柳さんの音楽家としての巨大さが際立っているかな。でも、そこにボキャブラリーもないのに切りかかっていく阿部さんの強さというか、そういう所も凄いな、と思ってしまいました。名盤中の大名盤、この姉妹盤に『斬次投射』というものもあるんですが、それも凄い。同じ阿部・高柳デュオでも買ってはいけないのは、『解体的交感』というレコード。伝説の一枚として知られていますが、内容は最悪。とくに録音(ミックス?マスタリング?)がひどすぎて、聴いてられません。マジで、エンジニアやディレクターのセンスを疑います。買うなら、絶対にこちらの2枚を先にした方が良いと思います。


『阿部薫 / またの日の夢物語』

AbeKaoru_Matanohino.jpg 前の記事で書いた「ラストデイト」が凄まじ過ぎて、以降は阿部薫さんの音源は手に入る限りは手に入れてむさぼるように聴こうと思ったのですが…手に入らない。生前も、ライブでもお客さんなんて数人しか来ないし、またレコードも数100枚ぐらいしかプレスされなかったらしくって、プレミアどころか見る事すらできない状態でした。そんな時に発売されたのが、このCDでした。以降、阿部薫さんの音源は次々とCD化されたのですが、独奏のものではこれがベストの演奏だと思いました。

 阿部さんの死の直前の演奏である「ラストデイト」は、本当に音が少ないというか、まったくの無音の時間(とはいっても、0か1かではなくって、呼吸とか、次の音への間の測り方とか、そういう音になっていない所はすごく感じるんですが)が結構あったのに対し、こちらはすごい吹きまくっています。もう、溢れ出てくるものがどんどん音になる感じ。ああ、なるほど、ここから始まったんだな…という感じがします。バスクラリネットの独奏もいいんですが、しかしやっぱり、アルトの歌い方がちょっと半端でない。音の立ち上がりから畳み掛けるようなフレージング、アーティキュレーション…すべてが素晴らしい。音で何を実現するのか、これが明確だし、徹底しているんでしょうね。「ジャズ」という様式の上に成り立っている海外のフリージャズとはまったく違う位置に成立している、本当に自分そのものを音化したような音楽です。これを音楽と呼ぶのも違うんじゃないかというような、強烈な行為。もう、僕程度の人間では、分かったよな口をきいて語ること自体がおこがましいような、見事な音楽です。こういうものに触れてしまうと、ポピュラーを聴くのなんて、てんで馬鹿らしく思えてきてしまいます。


『阿部薫 / ラストデイト』

AbeKaoru_LastDate.jpg しいてジャンル分けすればフリージャズという事になるんでしょうが、ちょっとそういう言葉では言い表す事の出来ない音楽です。はじめてこのCDを手にしたのは、たしか「レコードコレクターズ」という雑誌で「極限の音」みたいな事が書いてあったからだと思います。で、レコード屋で新譜を買ったのですが、その時に知らない怪しげな人(恐らくディープなジャズファンかミュージシャンだったんじゃないかと思います)から、「すごいのを聴くね」と声をかけられた事を覚えています。

 最初に聴いた時の何とも言いようのない感覚が忘れられません。身を削るような音。恐らく狭いカフェかなんかでやっているライブだと思うのですが、演奏が終わった後の拍手もパラパラ程度(お客さんは恐らく3~4人ぐらいしかいないんじゃないだろうか)、演奏の途中で店の電話が鳴って「今日はライブやってるんですよ」なんていう応接の声まで入っています。そんな中を、張りつめたようなサックスの音が響き渡ります。そして…長い沈黙。ああ、これは歌いまわしの世界なんだな、と思いました。そして、それが凄い。もう、全身全霊をかけているという感じの、振り絞り出されるような音。音楽というより、情念そのものをぶつけられているような感覚でした。サックスはさすがに得手のようで見事なんですが、他にもハーモニカのソロとギターのソロが入っています。また、ハーモニカが素晴らしい。ハーモニカの物悲しい歌いまわしは、聴いていて泣けてしまいます。ギターはさすがにデタラメすぎて、ちょっとダメでしたが…しかし、こんな表現があるとは。また、ここまで演奏に何かを託すとは。

 そして、このライブの10日後に、阿部薫さんは他界なさったそうです。死ぬまでに、一度は向かい合ってみて欲しい音です。きっと、今まで感じた事のないような何かを感じられるんじゃないかと。音に自分の全てが託されたような演奏なんて、口でいうのは簡単ですが、まず聴く事など、そして演奏することなど出来ないでしょうから。



 

『クレイジーケンバンド / ベスト 鶴』

CrazyKenBand_Tsuru.jpg このブログには珍しく、けっこう最近の日本のポピュラーです。「クレイジー・ケン・バンド」という、ブラスセクションや女性コーラスもひっくるめてメンバーという、結構な大所帯のバンドです。僕はテレビCMなんかで流れている曲を何曲か知っている程度で、「暑苦しそうなおっさんだなあ」だなんて思ってました。それが、妻が人に薦められて無理矢理CDを貸され聴く羽目にあったとの事で、「聴くのめんどくさいなあ」とかいいながらかけていました。これが幸運でした(^^)。

 CDが流れて早々、「お、すごく良い録音じゃん」「バンドもけっこうタイトでうまいねえ」なんて感じで、先入観とは違って実はいいバンドなのでは?と思ったんですが…まずは詞に違和感が(^^)。(俺)「あれ、コーラスが『奥さん』って言ってない?」、(妻)「そうだね」。なんだこりゃ(笑)。。「奥さんの為なら~(chorus:奥さん奥さ~ん)」。け、けっこうユニークな歌詞なのね。
 次の曲もかなりバンドがカッコ良くって、(俺)「おお、いいねえ、なんて曲?」、(妻)「え~っと、…やだあ」、(俺)「なんだよ、見せて」…タイトルは「肉体関係」でした( ̄ー ̄)。要所要所で中年のおっさんの「oh, yeah」「ahh」という声が響き渡ります。素敵です。

 な~んて感じで音楽が進んでいくんですが、明らかに和田アキ子の歌真似、矢沢永吉の歌真似、みたいな曲なんかもあったりしつつ、マジメに音楽やってるみたいな曲もあったりしつつ、アルバムは終盤に。中国っぽいメロディラインに乗せて歌われた曲は「お客様何名様ですか 見ればわかるだろ」www。こんなの歌にするなよ(笑)。

 僕はこのCDでしかクレイジーケンバンドというのを知らないのですが、コミックバンドかというとそうでもなく、そういうユーモアのある曲もやる実力派のラテンファンクロックという感じ。笑わせにいっている曲は2~3曲に1曲ぐらいの割合です。バンドは実にタイトでうまいし、曲のアレンジセンスも見事なんですが、曲そのものは…う~ん、僕の基準でいえば、和声進行に偏りすぎていて曲が茫洋となってしまっていて、そんなに良くないです。でも、きっと真面目に聴くような音楽じゃないんでしょうね。作曲というよりも、好きで楽器をやっている演奏家たちの集団みたいな感じがするし、本人たちも「軽く楽しんでくれればそれで充分です」と思っているような気がします。というわけで、入れ込んで聴くのではなく、かといって過剰に笑わせて欲しいと望むのでもなく、軽く聴くというぐらいがちょうどいいのかも。それなら、けっこう重宝する1枚かと思います(笑)。これはベスト盤で「鶴」というタイトルですが、もうひとつ「亀」というものもあるそうで(^^;)。そうそう、これも初回限定DVDつきらしいですが、この商法、けっこう流行ってるんですかね~。


『桑名正博 / ディア・マイ・フレンド』

KuwanaMasahiro_DearMyFriend.jpg 何年か前に他界したシンガーソングライター・桑名正博さんのライブ盤です。僕が持っているのは「初回限定DVDつき」というヤツ。本編のCDの方は、桑名さんの弾き語りは素晴らしいんですが、バンドが如何にもお仕事な演奏で、ぜんぜん音楽が躍動してません(T_T)。桑名さんというのは、表現に重きを置いている素晴らしいシンガーなんですが、このバックバンド、歌がどう歌いまわそうが、詞がどういう事を歌おうが、まったくそういう事で演奏を変える事無く、ただ演奏しているというクソみたいな演奏。ヘタではないんですが、音楽になってないという、職業音楽家のダメな時の典型。ヴォーカルが表現しようとしているのに、バンドが音楽をイージーリスニングのBGM化してしまいます…。桑名さんの弾いているエレアコも残念。桑名さんというのは「ファニー・カンパニー」という実力派バンドでギタリストであった事もあり、ギターもメチャクチャうまいんですが、エレアコだと強く弾こうが弱く弾こうが全部同じ音色になってしまって、ぜんぜん表現にならない。楽器って、演奏家の実力以上の音を出して欲しいと思うんですが、これじゃ楽器が演奏者の足を引っ張ってるわ。と、文句ばかり言ってきましたが・・・しかし特典のDVD、これが素晴らしすぎました!!

 DVDの方は、作曲家の下田逸郎さんとのフォークギター・デュオでの弾き語り。この下田さんという人は、歌とギターはうまくない(正直に言うとアマチュアレベル)んですが、とっても味があります。どこを聴かせたいのか、何を言いたいのか、こういう主張が凄く見えます。で、狭い居酒屋でやっているようなこのライブ(客なんて20人ぐらいしかいないんじゃないか?)で、桑名さんは、下田さんとのデュオを楽しんでいます。音楽が生き生きとしているし、なによりも言葉に説得力があります!例えば、CDにも入っている「早く抱いて」という曲、このDVDにも入っているので比較しやすいんですが、説得力が全然違う。ギターもバッチリ、プレイヤーの表現にバッチリついてきてくれています。プロ音楽家の演奏ではバックバンドが音を平坦化してしまってBGMと化していた音楽が、こちらでは歌や言葉やギターの表現が消されることなく、ストレートに強い。ほかにも、"セクシイ"という曲(付きあってから時間が経った男女の歌?「愛の言葉に少し疲れて…」なんていう詞が生々しくてグッときます)とか、商音楽じゃなくって、ひとりの人としての桑名さんの言葉がグイグイ入っています。これは本当に素晴らしい。

 歌って、やっぱりそれを作った人の本心みたいなものを聴きたいと思ってしまいます。それでこそ歌。上面だけ綺麗にした言葉に同意できることなんてまずないですが、ある人が心の底から思っている本心、こういうものが声の表現と一緒になって出て来た時に、「ああ、歌って素晴らしいな…」と思ってしまいます。このCDについている特典DVD、ここには歌の素晴らしさがギッチリ詰まっていると思います。


『ARB / Ballads & Work Songs』

ARB_BalladsWOrkSOngs.jpg 今は俳優になった(?)石橋凌さんがヴォーカルをしてたロックバンドのアルバムです。ベスト盤にライブ5曲という構成です。

 僕はこのバンドのファンというわけではないんですが、友人に大ファンがいました。ライブ会場に行くと、親衛隊みたいな人たちがいて「お前ら、会場を出ないで最後まで音楽を真剣に聞けよ」みたいに出口を封鎖されたりしたんだそうで。で、またそういう事を、友人が誇りのように語っていたのを覚えています。僕的には、そういうのって、情熱の勘違いのアホとしか思えないんですが(^^;)、まあそれぐらいに熱心なファンがつくような魅力がどこかにあったバンドなんだと思います。でも、その友人に伴奏を頼まれて、レコードを何枚も聞かされたんですが…なんか、ロックバンドじゃないんですよ。シンセの打ち込みとか、けっこうDTMみたいな音楽が多い。ミックスもディレイとかいろいろ使いまくって、ぜんぜん生演奏っぽくないんですよ。これは全然ロックじゃないだろうと思ったものですが…しかしこのアルバムに入っている、冒頭のライブ2曲が素晴らしい!
 冒頭の2曲、どちらもバラードなんですが、1曲目は松田優作さんが監督主演して、ARBの石橋凌さんが準主役みたいな役を演じた「ア・ホーマンス」という映画の主題歌("AFTER '45"という曲です)。これ、スタジオ録音だと例によって変なアレンジで聴けたものじゃないんですが、このレコードに入っているライブでは、ピアノの野島健太郎さんがゲストで演奏していて、思いっきり生演奏の良さが出たパフォーマンスになっています。これぞ音楽、もう泣けてしまう。。2曲目"DREAMING BABY"も同じような構成で、今度はそれに思いっきり泣きのブルースハープが演奏されます。

 他に入っているスタジオ録音のものでは、アルバムタイトルにもなっている「ワークソング」的な詩の内容のものが良かったです。「こんなはずじゃなかったぜ、人生なんて」というような労働者の歌、「飲まずにいられない」という歌などなど。音楽はつまらないんですが、詞が商業音楽の当たり障りのないものじゃなくって、労働者階級の人の葛藤や真剣な思いみたいなものが言葉になっているという感じ。なんか、歌詞のための歌詞じゃなくって、本当の主張、みたいな感じに思えました。

マネキンみたいな遠い目をして お前は今日も待ちくたびれている…
都会の仕組みに慣れたころから いつかの夢も色あせていく…

 いやあ、胸に刺さる詞です。。ブルース・スプリングスティーンの歌詞みたいな感じでしょうか。

 きっといいバンドだったんでしょうね。変なスタジオワークに走らないで、バンドの生演奏をストレートにぶつけて来たら、僕はもう少し好きになれていたかも。とにかく、冒頭のライブ2曲を聴けるだけでも必聴です!


『桑田佳祐 / Keisuke Kuwata』

KuwataKeisuke.jpg サザン・オールスターズのリーダー・桑田佳祐の最初のソロ・アルバムだったと思います。このアルバムに入っている「いつか何処かで」という曲、もうこれが入っているというだけで手放せないアルバムです。

 若い頃の僕というのは、どちらかというと肩ひじ張って生きていたような気がします。だから、テニスサークルとか合コンとかトレンディードラマとか、そういうのは嫌いでした。若い頃の思い出というと、バイトで懸命に皿を洗ったり、それで稼いだお金で買った楽器の練習を一生懸命したり…みたいな感じ。でも、本当は彼女も欲しかったし、強面で通ってたけど、本当はシャイで、好きになった人には声すらかける事が出来ないで…。ちょっとだけ不良気味だったので、付き合う人というのは、年上の人だったり、不良気味の女だったりという感じだったんですが、本当に心動かされた人は、テニスサークルに所属している子だったんです。でも、そういうタイプの子に声をかけるというのがカッコ悪い気がして、ひとりでバイクに乗って海に行ったりして、辿りついた海では、結局仲良さそうなカップルを眺める羽目にあってる…みたいな。こういうちょっと屈折した感情って、嫌な思いになりそうなものなんですけど、10年も20年も過ぎた今から振り返ると…懐かしいんですよ。ちょっと胸がキュってなる感じ。涙が出てきちゃいます。そして、そういう懐かしさと切なさが混じったような感情が、桑田さんの「いつか何処かで」を聴くと思いだしてしまうのです。

今でも会いたい気持ちでいっぱい…
そんなみじめな恋などしたくない

その名前はもう声に出せない…

 その好きな子とは、たまたま通学の時に一緒になった事があります。電車で、学校に行く駅で降りて、急に声をかけられたんです。もう、何の屈託もない笑顔で。僕は顔も見れない、声すらかけられないというのに…。で、駅から学校までは結構遠かったんですが、その間に二人で話をして歩きました。カッコつけてる僕は皮肉めいた冗談を言って見たり、笑う時もニヤニヤ笑うみたいな感じなのに、彼女はもう開けっぴろげで、本当に無邪気に笑うんです。でも、その子と再会する事は、一生ないんでしょうね。会っても、向こうは覚えてすらいないと思います。

…ちょっと音楽と違う話になっちゃいましたけど、桑田さんの「いつか何処かで」を聴くと、僕みたいな「裏側」の価値観ではなくって、この話に出てくる女の子が持っているような「表側」の価値観の上にあるような世界だと感じてしまいます。恋をして胸がキュっとするなんて、僕としては唾棄したい価値観なんですが、しかしそれは現実として存在してしまう、という。そういうちょっと切ない懐かしさがこみあげてきて、涙が出ちゃいます。それぐらい、いい曲だと思います。





『TRINIDAD CARNIVAL -Steelbands of Trinidad & Tobago-』

TrinidadCarnival.jpg 若い頃は、シリアスで激しい音楽が好きでした。だから、ご陽気だったり楽園的な南国系の音楽というのは好みではありませんでした。スティール・パンという音階打楽器があるのですが、これはその最たる例で、音がもう楽園的だし陽気だし、このサウンドだけでもう苦手。更に、演奏する音楽も非常にポピュラーでノリノリのものばかりだから、もう全然興味が湧かないのでした。が…

 トリニダード・トバゴというカリブ海に浮かぶ島国では、このスティール・パンが国民的楽器なんだそうです。なんと廃品となったドラム缶を加工して作るそうで。なんでそうなったかというと、それはこの島の歴史に由来があったとの事で、カリブの島国ですから、思いっきり植民地支配や冷戦の巻き添えやパックス・アメリカーナを喰らっていて、ほとんどの人が奴隷の被支配者だった時代があり、その軍事物資としてドラム缶が大量にあったそうです。で、そうした大変に苦しい時代を過ぎ、突然ドラム缶が大量の廃棄物となってしまったとの事。そこで島の人たちが作ったのが、船でも生活道具でもなく、なんと楽器。そしてこの島の人たち、恨み節を作るのではなく、大変に明るい音楽を大人数で演奏し続けたとの事。

 数か月前、テレビでトリニダード・トバゴのドキュメンタリー番組をやっていました。やっぱり話の中心はこのスティール・パンで、一般の市民がとんでもない人数のスティール・パン市民オーケストラを結成していて(いや、ジャズのビッグバンドなんてものじゃないです、クラシックオケよりも巨大だったんじゃないだろうか…)、これが全員がとんでもないテクニックでビッタリ合った合奏を披露していました。いやあ、あれはすごかった。。そして、そのすぐ近くの路地ではギャングの銃声が…。不幸な歴史を持ち、今も政情不安定なこの地で、なぜ明るい音楽を演奏し続けているのか。これは単にご陽気なんではなくて、陽気で楽しく生きようではないかという、ひとつの思想なんじゃないかと思ってしまいました。

 さて、このCDは、まさにそのスティール・パン・オーケストラの演奏を収めたCDです。あまりに巨大なアンサンブルなので、複雑なアンサンブルの曲はありません。複雑にしちゃうと何やってるのか分からなくなっちゃうんでしょうね。ただし、それは音の重なりに関してであって、曲の展開に関しては、よくぞこれを暗譜できるなというぐらいに良く出来ている。10分を超す曲なんてざらですしね。覚えるだけでも相当な練習量を必要とするようなこれらの曲を、とんでもない大人数の人が、見事なシンクロ状態で、とにかく明るく、楽しく、元気な音楽を奏で続けます。若い頃の僕が理解できなかった、しかし音楽というものの使い方としては、こんなに素晴らしいものもないんじゃないかというぐらいの、素晴らしい音楽でした。





『The Peter Brotzmann Trio / For Adolphe Sax』

PeterBrotzmann_AdolphSax.jpg ペーター・ブレッツマン(テナーサックスとバリトンサックス)のトリオによる、1967年のライブ録音です。1967年という事は、「マシンガン」や「ライブ・イン・ベルリン '71」よりも前のパフォーマンス。ここにはブレッツマンの出発点が凄く分かり易くあらわれていると思います。

 簡単に言うと、アメリカのフリージャズとそっくり。それも、コルトレーンみたいなジャズとフリーを股にかけたタイプのものでなく、フリー専門のサックス奏者の演奏の典型という感じです。ひたすらブローする瞬間はファラオ・サンダース的だし、フラジオ的なピーキーなサウンドでメロディを繋ぐときはアルバート・アイラー的だし、フレーズを畳み掛ける時はそれこそアメリカのフリージャズそのものといった感じ。これはペーター・コヴァルト(ウッドベース)とスヴェン・ヨハンソン(ドラム)のセクションにも言える事で、すごくアメリカのフリージャズを感じます。これが実に安定しているというか、良いパフォーマンスなんです。変な言い方になりますが、いかにもスタンダードとか、いかにもバロックみたいな音楽を聴きたくなる時ってあるんですが、これはいかにもフリーという音楽で、フリージャズとしてのまとまりがもの凄く良いのです。

 いやあ、「ライブ・イン・ベルリン'71」みたいな、突き抜けた凄さというものはないんですが、フリージャズとして実に安定した素晴らしい演奏だと思います。やっぱり、アイラーとかサンダースとかを聴いて育ったんでしょうね。とても素晴らしいパフォーマンスと思います。


プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中… 楽器屋で演奏してみたら、木製鍵盤で、タッチがけっこう本物のピアノに近かった!うちにあるアップライトがけっこうヤバいので、フルメンテして貰うか、こういうので間に合わせようか大いに悩み中。
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