
今は俳優になった(?)石橋凌さんがヴォーカルをしてたロックバンドのアルバムです。ベスト盤にライブ5曲という構成です。
僕はこのバンドのファンというわけではないんですが、友人に大ファンがいました。ライブ会場に行くと、親衛隊みたいな人たちがいて「お前ら、会場を出ないで最後まで音楽を真剣に聞けよ」みたいに出口を封鎖されたりしたんだそうで。で、またそういう事を、友人が誇りのように語っていたのを覚えています。僕的には、そういうのって、情熱の勘違いのアホとしか思えないんですが(^^;)、まあそれぐらいに熱心なファンがつくような魅力がどこかにあったバンドなんだと思います。でも、その友人に伴奏を頼まれて、レコードを何枚も聞かされたんですが…なんか、ロックバンドじゃないんですよ。シンセの打ち込みとか、けっこうDTMみたいな音楽が多い。ミックスもディレイとかいろいろ使いまくって、ぜんぜん生演奏っぽくないんですよ。これは全然ロックじゃないだろうと思ったものですが…しかしこのアルバムに入っている、冒頭のライブ2曲が素晴らしい!
冒頭の2曲、どちらもバラードなんですが、1曲目は松田優作さんが監督主演して、ARBの石橋凌さんが準主役みたいな役を演じた「ア・ホーマンス」という映画の主題歌("AFTER '45"という曲です)。これ、スタジオ録音だと例によって変なアレンジで聴けたものじゃないんですが、このレコードに入っているライブでは、ピアノの野島健太郎さんがゲストで演奏していて、思いっきり生演奏の良さが出たパフォーマンスになっています。これぞ音楽、もう泣けてしまう。。2曲目"DREAMING BABY"も同じような構成で、今度はそれに思いっきり泣きのブルースハープが演奏されます。
他に入っているスタジオ録音のものでは、アルバムタイトルにもなっている「ワークソング」的な詩の内容のものが良かったです。「こんなはずじゃなかったぜ、人生なんて」というような労働者の歌、「飲まずにいられない」という歌などなど。音楽はつまらないんですが、詞が商業音楽の当たり障りのないものじゃなくって、労働者階級の人の葛藤や真剣な思いみたいなものが言葉になっているという感じ。なんか、歌詞のための歌詞じゃなくって、本当の主張、みたいな感じに思えました。
マネキンみたいな遠い目をして お前は今日も待ちくたびれている…
都会の仕組みに慣れたころから いつかの夢も色あせていく…
いやあ、胸に刺さる詞です。。ブルース・スプリングスティーンの歌詞みたいな感じでしょうか。
きっといいバンドだったんでしょうね。変なスタジオワークに走らないで、バンドの生演奏をストレートにぶつけて来たら、僕はもう少し好きになれていたかも。とにかく、冒頭のライブ2曲を聴けるだけでも必聴です!