
昔のJVCが出した民族音楽シリーズの1枚です(JVCって、今もあるんだろうか?日本のレコード会社ってどんどん吸収合併されたりして、どうなってるんだか全然分かりません)。最初の狙いは「夏だし、涼しげなハワイアンでも聴くか!」ってな感じだったんですが、これが全然違った(^^;)。ウクレレなんて全然入ってないし、楽園の癒しムードなんて微塵もありません。しかし、これはこれで素晴らしい音楽体験だった!!白人文化が入り込む前からハワイ島にあった土着の音楽…なんだと思います。音楽というより、呪術的な呪文みたいです。合唱曲なんて、音程が2~3しかないものがメインで、それはさながら日本の読経のごとし。
ハワイは太平洋の島国で、人種的な流れとしては、インドネシア方面から船に乗って流れ着いたモンゴロイドが主要民族。白人が入り込むのなんて、大航海時代以降というず~~~~っと最近の事です。で、エスキモーにしてもネイティブアメリカンにしても、東回りで広がっていったモンゴロイドの人って、常に無伴奏の歌音楽の文化を持っていますが、これがえらくプリミティブというか、音程なんて3つもあれば十分、みたいなものが多いです。で、音楽というよりもその言葉が重要というものが多くって、なんだか呪術的なんですよね。ネイティブ・アメリカンで言えば、狩りの前に狩りの成功を祈る歌とか(こういうと聞こえはいいが、言葉で獲物を呪い殺すというものもある)、そういうのが多い。で、このハワイのチャント(ハワイだと「メレ」と言って、どちらも「歌」という意味です)も、呪術的/儀式的な色彩がバリバリに強いです。ハワイのメレは
メレ・オリ(無伴奏チャント)と
メレ・フラ(ダンスのみか、ダンスと楽器伴奏がつく)に分かれていて、このCDはメレ・オリという事になります。で、メレ・オリの全てがそういうものなのかどうかは知らないのですが、少なくと
もこのCDに収められている曲は全部呪術的なものです。
悪を防ぐもの、神のインスピレーションを求めるもの、呪文、禁忌から解放する呪文…これが映画やコミックの作り話じゃなくって、リアルなものであるというのが凄すぎる。そういえば、アフリカ系の呪術音楽も、リーダー(祭祀?)が文句を言って、それを追うように合唱というものが多いですが、このハワイのものも構造が同じ。これは必然性があってそうなったのか、文化的なつながりがあったのかはちょっと知りたいところですね~。
これって、
部外者がお気軽に聴いてはいけないようなものな気がしてならないんですが、いいんでしょうか(^^;)。録音する人も、録音すべきじゃなかったんじゃないかなあ。俺が思うに、録音して3年以内に死んでるな。。しかし、こういうものを一度体験しておくというのも、面白い体験かも知れません(^^)。
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