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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『マリーン / LEFT ALONE』

Marline_LeftAlone.jpg マル・ウォルドロン作曲の「レフト・アローン」で、僕が最初に聴いた演奏は、このフィリピン出身のジャズ(?)・シンガーであるマリーンさんが歌ったバージョンでした。栗本薫さん原作の小説「キャバレー」を角川フィルムが映画化した際に、これが主題歌として使われていました。というか、角川映画からのオーダーで作られたのかな?このCDはマリーンさんのベスト盤ですが、そのタイトルにもなるぐらいだから、マリーンさんの曲最大のヒットはレフトアローンだったのかも知れませんね。

 映画自体は、売れないジャズマンややくざや娼婦が交錯する場末のキャバレーで、哀愁たっぷりにレフト・アローンが演奏されるという最悪にクサいもので、この映画のせいでせっかくの「レフト・アローン」が芝居がかった安っぽいものになってしまったという気もします(^^;)。が…肝心の音楽は、なかなか素晴らしかった。これ、ウィズ・ストリングスのピアノ・カルテットなんですが、まずはアレンジが素晴らしい。ピアノとアレンジを担当している人がバンドマスターで、鈴木宏昌さんという人なんですが、この方、ジョージ川口さんや日野皓正さんのバンドにも参加していた、正真正銘のジャズマン。ジャズピアノの良さって、例えば歌伴をするときに、ヴォーカルに寄り添うように挟みこんでいくオブリなんかに僕はセンスの良し悪しが出ると思っているんですが(マニアックかな^^;)、日本人のジャズピアニストでは、この鈴木さんと島健さんのふたりがものすごくセンスがいいと感じます。その本職の技が聴ける感じ。次に、アルト・サックスのソロを中村誠一さんというサックス奏者が演奏するんですが、これも見事。中村さんといえば、僕にとっては山下洋輔バンドのイメージが強いんですが(あれ?そういえばテナー奏者じゃなかったっけか?)、「こういう流暢なジャズもやるのか」と思わされるきっかけになる演奏だったかもしれません。とはいえ、僕がこの演奏を初めて聞いたのは小学生で、この感想は後から思った事なんですけどね。で、レフト・アローンのサックスといえば、ジャッキー・マクリーンのあの演奏が相場という中、その影響をまったく残していない感じの歌い回しが素晴らしい。

 で、主役のマリーンさんですが…間違っていたら申し訳ないのですが、昔は「ジャズ/フュージョン系のシンガー」という売り方だったと思います。でも、フィリピン出身という所からも想像できるように、本人はそういうものには特に拘ってなかったんじゃないかという気もします。だから、歌い方が、僕が思っているところの「ジャズ・ヴォーカル」的な色とちょっと違う。なんか、震えるように歌う「マリーン節」みたいな。で…こういう個性って、素晴らしいと思います。歌い手さんなので、要求された歌を片っ端から歌っていかなきゃいけないと思うんですが、それをちゃんと自分の歌に出来てるというか。

 さて、このアルバム、他にもジャズの名曲がギッチリ詰まってます。いそしぎ、サテン・ドール、マイ・ファニー・バレンタイン…。オーダーされて作ったアレンジと演奏という感じで、当たり障りのない演奏と音楽が多いんですが、それにしてもみんなうまいな…と思ったら、シェリー・マンとかが演奏してたりする。。いやあ、それはうまいわけだ。マリーンさんという歌い手さんに触れようと思ったら、けっこう入りやすい1枚なんじゃないかと思います。



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『Mal Waldron / all alone』

MalWaldron_AllAlone.jpg これは、マル・ウォルドロンのピアノ独奏のアルバムです。全曲オリジナル。個人的には、マル・ウォルドロンの録音の中で、このレコードがダントツで好きです。隠れたジャズの大名盤、僕はそう思っています。

 やっぱり、ステレオタイプ的な「ジャズ」には当てはまらないというか、非常に重い音楽と演奏が並んでいます。僕は、音楽というものを、何かの感情を表現したものと考えるのは嫌いな人間なんですが、ことウォルドロンの音楽に関しては、「悲しみ」「怒り」「憂鬱」「抑圧」…なんか、こういうものを音楽で表現したかったんじゃなかろうかと思いたくなってしまうような何かがあります。腹の底にズシンと来るような、ジワジワとした迫力。

 音楽的に言えば、やっぱりジャズ的な語法が用いられているとは言えるんですが、それが音楽のアレンジで大変に効果的に用いられると感じます。例えば、機能和声の音楽だと、ドミナントと呼ばれるいうコード機能が非常に重要な役割を発揮するんですが、ジャズではこのドミナントを演奏する時に、意図的に5度音を半音あげたり下げたりして演奏する事が多いです。これはいろんな理由があったと思うんですが、今では常套句になってしまって、それがものすごく流暢に演奏される。ところが、このアルバムの3曲目"A VIEW OF S.LUCA"では、まさにその減5度そのものが強調され、この曲の印象を決定づけるかのようになっています。もう、装飾的に音を追加したり変化させたりするというレベルではなくって、根本的な曲の構造の骨子となっている音自体を変化させてしまうという、アレンジャーのようなピアノの演奏の仕方。こういう、その曲を決定づけるような「何か」がどの曲にもあって、それが非常に明確に提示される。これは一演奏家というよりも、限りなく作曲に近い演奏です。

 そんなわけで、演奏がうまいとは言えないと思いますが、そんなものは全部吹き飛んでしまうほどの音楽。このダークな色彩感覚の中では、アフター気味のリズム感覚も、同じフレーズを繰り返し続けるアドリブ・パートも、全部が世界観を作り上げるためにやっているのではないかと思えてきてしまうほど。いやあ、素晴らしい音楽、このアルバムも一生聴き続けるんだろうな、もう20年以上聞き続けているわけだし(^^;)。。




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『Mal Waldron / Left Alone』

MalWaldron_LeftAlone.jpg 黒人ジャズ・ピアニストであるマル・ウォルドロンの出世作です。わざわざ「黒人」と書いたのには意味があるのですが、それはとりあえず置いておいて…。もし、「マル・ウォルドロンのレコードを1枚だけ持ってる」という人がいたら、90%の人はこれを持ってるんじゃないかというぐらいに有名。何が有名って、アルバムタイトルにもなった「レフト・アローン」が有名すぎます。でもこれ、日本でだけやけに有名という話しを聞いたことがあるのですが、実際はどうなんでしょうね?で、僕もこの曲が好きすぎて、今までに何回聴いたか分からないぐらいに、聴いています。

 で、先ほど書いた「黒人」という部分ですが…この人のピアノって、ものすごく重いんです。少なくとも、技術披露的なテクニカルなジャズではない。音は遅れるし、タッチは強い。僕的には、「ジャズ」というよりも「ブルース」を聴いているような気分。そういう意味でいうと、オシャレなジャズピアノなんかを期待するなら手を出してはいけないシロモノ。で、ですね…この重さが、噛みしめるように音を出しているみたいで、すごくグッとくるのです。そしてそれが、マイナー調のタイトル曲に異常にフィットする。この曇り空のような独特の情感…これって、このピアニスト以外の演奏では味わった事がありません。同じような、引きずるような感覚を、2曲目"Cat Walk"でも味わうことが出来ます。これも素晴らしい。独特な歌い回しとダークな色彩感覚。これは唯一無比の表現でしょう!

 このレコードは、他にもいろいろな物語がついていて…たとえば、ウォルドロンが、ビリー・ホリデイ死の直前の最後のピアノ伴奏者というパートナーであったとか、そのホリデイがレフト・アローンを好んで歌ったとか、そのホリデイ自身が本当に「一人で行ってしまった」とか…。このLPのジャケットにも、うしろにうっすらとビリー・ホリデイが写っているのはそういう事をあらわしているんじゃないかと。そういうものが全て重なった、奇跡的な1枚なんじゃないかと。エンターテイメントから離れたところにある「ソウル音楽」としてのジャズ、そんな風に思っています。



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『François Leleux / hautbois』

Leleux.jpg フランソワ・ルルーというフランス人オーボエ奏者のCDで、プーランクとブリテンの曲を取り上げています。ここ最近の記事のキーワードは、「フランス」なんです。このキーワードを少しご記憶いただいて…

 この素晴らしいCDに関しては、書きたい事が山ほどあるのですが…まず、演目。クラシックのオーケストラでの木管楽器は、高い音の順にフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットの4つがあります。で、オーボエというのは、オーケストラの調律の基準となり、また木管の旋律パートの花形。あのダブルリード楽器特有のサウンドもあって、個人的にはオーケストラにとっての超絶に重要なポジションと思っています。ところが、それだけ素晴らしい楽器だというのに、クラシック以外のジャンルではあまり用いられない。南北アメリカの音楽でも、フルートやクラリネットが用いられることはあっても(たとえばジャズ、タンゴ、その他もろもろ…)、この超絶に素晴らしい楽器が用いられることはあまりありません。ダブルリードというだけで手入れも演奏も大変でしょうから、そういったカジュアルな音楽で使うには厳しい楽器なのかも知れません。そんな事も、この楽器に「クラシック的な崇高な何か」を与えているのかも。
 この楽器の次の問題は、そのオーボエの素晴らしさを表現できる曲は何かという事。僕は、オーボエの傑作のひとつとして、プーランクのオーボエソナタを挙げたいです。で、このCDには、その超名演が入っている!!いやあ、これは素晴らしいですよ。。他にも、このCDではじめて知った曲も入っていたんですが(例えばブリテンの「オウィディウスによる6つの変容」)、これも、よくぞまあこんな名曲が知られていなかったものだなあ…というほどに素晴らしい。ちなみに、収録曲は以下の通り。

(プーランク)
・オーボエ・ソナタ
・オーボエ、バスーン、ピアノのための三重奏曲
(ブリテン)
・テンポラル・ヴァリエーション
・オウィディウスによる6つの変容
・2つの虫の小品

 次に、フランスのオーボエについて。オーボエと言えば、ドイツのオーケストラに名プレイヤーが集中している気がします。例えば、ホリガー。あの超絶的なテクニックはたしかに悶絶しまくってしまうのですが、なんというのかなあ…ジャズの管楽器奏者みたいに、ものすごく鋭い音でくるんですよね。で、ドイツのオケのオーボエって、こういうカラーのものが多い気がします。ところが、フランス系のオーボエって、音がものすごくふくよか。ほら、ジャズで言えば、ニューヨーク周辺のサックスと、ウエストコーストのサックスでは、音の出し方が全然違うじゃないですか。昔、知り合いのサックス奏者に尋ねたところ、なんでもリードの削り方が全然違うんだそうで。。で、フランスのオーボエって、音自体が音楽的というか、これだけで素晴らしい次元に連れて行ってくれる感じです。そしてこのルルーというオーボエ奏者は、フランス系のオーボエのエッセンスを全て実現している感じ。素晴らしすぎます。この「ドイツとフランス」の差って、オーボエに限らず、チェロの弓の持ち方なんかにも「フレンチ持ち」みたいのがあるみたいで、もう「音楽自体をどう響かせるか」という所が根本的に違うんでしょね。実際に、「ジャーマン・オーボエ」「フレンチ・オーボエ」という区分けも存在しますし。で、ルルーという人、なんと18歳にしてパリ・オペラ座の首席奏者になったというのだから、早熟な天才と言えると思います。きっと、ドイツ系でないというだけで割を食ったというだけで、実際には「本物」という事が出来ると思います。むしろ、こういう人を積極的に紹介する事の出来ないクラシックの評論界がダメというか…。

 クラシック業界とういやらしい構造が故に軽視され、しかし実際の現場では「本物」として名の通っている人。な~んていうのは僕の勝手な想像ですが(^^)、このCDをはじめて聴いた当時、「なぜこれほどの人を僕は知らなかったのだろう」と思わされた、素晴らしい1枚です。まさに天上の音楽、超おススメ!!



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『ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、クープランの墓、古風なメヌエット、道化師の朝の歌、海原の小舟 クリュイタンス指揮・パリ音楽院管弦楽団』

Ravel_Pavane.jpg 若い頃は、駅で電車を待っているときに、飛び込み自殺で電車が遅れると、ムカついてました。「ああ、急いでるのによお…」みたいな感じ。しかしいつからかこの感情が変わって、哀れに思うようになりました。飛び込み自殺をするなんて、余程の事があったんだろうな、と…。

 飛び込み自殺まで行かないにせよ、精神がボロボロで、泣きたくなる時ってありませんか?泣いたり愚痴を言ったりすると、精神も肉体も回復が速いそうですね。数日前にテレビでやっていたのですが、ある科学的な実験で、意図的に傷をつけた被験者が、そのことについて愚痴を言うのと言わないのとでは、愚痴を言う方が傷の治りが4倍速かったそうで。いやあ、エセ科学っぽくてにわかには信じがたい話ですが、「泣くとすっきりする」という事が実際にある以上、当たらずとも遠からずなのかも知れませんね。しかし、小さい時から「男というのは…」と自分を鍛えてきてしまった僕は、そう簡単に泣く事が出来ないんですよ(^^;)。小さい頃は泣き虫だったくせに、「泣いちゃいけない」と自分を訓練してきたものだから、大人になったら泣こうと思っても泣けなくなってしまったのです。最近、すごくつらい事があって、本当につらくて、それでも泣けば少しは気が晴れるだろう…と思ったのですが、泣く事が出来ない。そこで聴いたのが、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」でした。

 いままで出会ってきたバラードのうちで、いまだに最も素晴らしいと思う曲です。ピアノ独奏もありますが、管弦での演奏もあります。特に、ホルンの響きがこの世のものとは思えないほどに美しい管弦楽版が好きです。官能の極みというか、俗世間からは完全に離れた所で響いている音。あまりにも有名な名曲なので、この曲を好きだという人はたくさんいると思います。僕も、この曲の録音をいくつも持っています。その中でもけっこうお気に入りなのが、このクリュイタンス指揮・パリ音楽院管弦楽団による、1962年録音の本作。木管がちょっと速かったりして、部分的にオケ全体のテンポ感があってないんですが、弦のアンサンブルの音の溶け具合が素晴らしいのです。

 なかなか素晴らしい一枚。他の曲の演奏も実に見事。「亡き王女のための~」でやらかすオーボエも、「クープランの墓」のソロは見事。ラヴェルという作曲家は、フランス音楽の流れで、独特な和声を使った作曲家ですが、しかしそれが前衛に走るのではなく、官能的に音を響かせたという所が素晴らしすぎます。





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『モンポウ:ピアノ曲集~カタロニアの幻影~ エッセール(pf)』

Monpou_Cancons.jpg 第一次大戦前後のヨーロッパ文化は、すごく面白いです。もしその時代に録音がたくさんされていたら…と思ってしまいます。特に、1次大戦前のコンサート・オブ・ヨーロッパの時代の音楽は最高です。貴族ではないけれども、比較的に裕福になって自由を享受できる中産階級という市民層が誕生して、その「余裕」の部分に新しい文化が生まれます。クラシック系の音楽にもそういうものが誕生し始めて、貴族文化に属するものではないクラシックまで生まれ始めたそうです。市民革命を起こしたフランスなんかはその最たるもので、サティのような音楽が、(仮に片足を突っ込んでいるにしても)決して貴族文化の机上だけでは捉えることが出来ない音楽であることは間違いないでしょう。

 そして、このCDの主人公である、作曲家のモンポウです。このCDの日本タイトルにある「カタロニア」というのはひとまず忘れて、その音楽だけを追うと…もう、サティとかのフランス音楽の影響をもろに受けているのが分かります。作曲者を伏せてこの曲を聴かせて「どこの音楽でしょうか?」とクイズを出したら、ほとんどの人はフランスと答えるのではないかと。リラックスしたフランスの印象派サロン音楽…僕がこのCDを初めて聞いた時の印象も、それでした。しかしモンポウって…スペインはカタロニア(カタルーニャ)の出身なんですよね。そして、これが第1次大戦前のコンサート・オブ・ヨーロッパの状況に被るのです。

 カタルーニャといってすぐに思いつくのは、あのぐにゃぐにゃでしかしやたらとリアルな絵を描くダリ、奇抜な建築物を建てたガウディ、音楽でいえばカザルス…もう、そういった超個性的な芸術家を思い浮かべてしまいます。カタルーニャ自体がスペインの中でもかなり「俺たちはカタルーニャ人であってスペインじゃねえ」みたいな気骨のある地域らしいです。しかし、英仏の2強が作り上げた世界構造の端に追いやられていくに従い、その周縁地域は、中央への憧憬と反発を同時に膨らませていく…という構図があったんじゃないかと思います。今でこそそうでもなくなりましたが、ブッシュ政権の時のアメリカに対して、多くの国が(たぶん日本も)アメリカに反発しつつ、しかしその圧倒的な1強的な所に憧れがあった時代がありました。実際にそのころの日本の音楽と言ったら、クラシックもポピュラーもジャズも、そのほとんどが西洋音楽を一生懸命に追っていたことは事実なわけで…。で、こういう中央/周縁という構図は、1次大戦前のヨーロッパにもあったんじゃないかと。これは、ロシアの音楽やスペインの音楽を聴くと、特にそう思います。「何言ってんだ、スペインにはフラメンコみたいな音楽があるじゃないか」という方もいらっしゃると思うんですが、あれも元々は民族復興運動として、意図的に立ち上げられたものらしいんですよ。

 で、そういった時代に、フランス音楽を吸収しに行ったスペインの音楽家のひとりが、モンポウだったんじゃないかと。こんなふうに書くと、「なんだ、2番煎じじゃないか」と思われるかもしれませんが、しかしなかなかどうして、これが実に良く出来ていました。モンポウはギターにもいい曲を残していますが、僕はやっぱりフランス印象派的なピアノ小品が好きです。最近、大変忙しい日々を送っていたもので、ずっと神経が張り詰めているような状態でして、夜も心が落ち着かなくって眠れなかった。色々と薬も飲んでみたんですが、ダメ。そこで、何か心の落ち着く音楽でも、とCD棚をゴソゴソと漁ったところで出てきたのが、これ。いやあ、これは本当にいいものだ。観客相手の大道芸でもなく、貴族相手の芸術披露でもなく、人の心を落ち着かせるためだけに書かれたような曲の数々。無論、そうじゃない曲だってたくさんあるんですが、例えば「郊外」の第4番「盲目の少女」という曲の響き、これを聴いているだけで、神経が張り詰めてピリピリしていた僕のイライラなんて、あっという間にどこかに消えてしまうのでした。


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『EMBRYO / Embryo's Rache』

Embryo_Rache.jpg ひとつ前の記事の、スコーピオンズのファースト・アルバムと同じように、ドイツ産のアートロック的なアルバムをひとつ。エンブリオというグループの発表したセカンドアルバムです。日本タイトルは「胎児の復讐」。

 僕が初めてこのアルバムを知ったのは、「ジャーマン・プログレッシブ・ロック」という脈絡からでした。若い頃、ロックといってとにかくハマったのが、サイケデリックとかプログレッシブというジャンルのロックでした。うまいとかヘタとか、そんなのはどうでもよくて、とにかく独創的な音楽が大量にあって、面白すぎる。。プログレというと、イギリスのキング・クリムゾンあたりを真っ先に思い浮かべてしまう僕にとって、このアルバムでのエンブリオは、プログレというにはあまりにサイケ。このニュアンスは、多くのジャーマン・プログレと呼ばれるグループに当て嵌まる気がします。すごくドロドロのジャム・セッションのような音楽が多いんです。
 そして、このアルバムです。やっぱりこのアルバムも、すごく印象的なリフをぐるぐる繰り返すうえで、えらくエキゾチックな感じのフルートやオルガンが延々とアドリブを取るとか、そういう感じ。また、バタとか、アフリカ系なんじゃないかというような民族打楽器が入り込んだりして、すごくエキゾチックな感じがあるのも特徴。「プログレ」という触れ込みで聴いたものだから、どうしてもキング・クリムゾンのような超絶技巧で白熱の演奏に、現代音楽やらジャズやらが乱れ飛ぶものを期待してしまったもので、最初に聞いたときはちょっと肩透かしを食らったような気分。しかし…これが聴いているうちに、異様に病みつきになる。同じリフ・パターンの上を延々とジャムするものだから、なんか呪術的な陶酔状況に入り込んでいくというか…。同じところをぐるぐる回りながら、どんどん高揚していく民族音楽ってありますよね。バリ島のガムランとか、チベットの仏教音楽とか、トルコのイスラム教の旋回舞踊とか。あんな感じで、どんどん意識低下していく感覚。酒に酔った時に、少し意識がぼうっとする時の気持ち良さってあるじゃないですか。あんな感じ。いやあ、これは素晴らしい。
 また、ぜひお勧めしたいのが、ボーナストラック入りのCDです。僕がこのCDを買った頃、LPには未収録のジャムセッションが、ボーナストラックで2曲入ってました。"Tabarinman's Return"という曲のパート1~2というヤツなんですが、これがまた延々と続くジャムセッションで、いつ終わるとも知れずに垂れ流しなんですが、これもハマる!なぜエンブリオというグループが民族音楽的な方向性を持ったのか(楽器だけじゃなくて音楽性も)、そこにどういう思想を見出したのか、こういう所を考え始めたら面白くて仕方ありませんが、まずはこの音楽の独特の「ジャーマン・プログレ」的な感覚を体験するというだけでも素晴らしい事なんじゃないかと思います。きっと、「おおお~すげええ!!」とはならないと思うんですよ(笑)、でも、ジワジワ来る。ジブの意識の状態が変わっていくのがわかる、陶酔の音楽です。おススメ!


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『Scorpions / Lonesome Crow』

Scorpions_LonesomeCrow.jpg さらにさかのぼって、1972年発表のスコーピオンズのデビューアルバムです。音楽が『Love at First Sting』どころか『In Trance』とも全然違って、この3枚のアルバムが同じバンドのものだなんて到底信じられないほどの違いです。

 何が違うかというと、このアルバムは音楽が独創的。インスト曲は普通にあるし(というか、インストの場面の方が圧倒的に多い?)、うしろの方で同じリフが木霊している前でリード・ギターがアドリブしまくったり、そもそもリート形式ではなく独創的な3部形式であったり。亡霊みたいな声がディレイする最後の曲のイントロなんて、初期ブラック・サバスゴブリンのサスペリアかと思いました(^^;)。

 そして、ギターがうまかったです。スコーピオンズって、ギターのルドルフ・シェンカーとヴォーカルのクラウス・マイネは不動ですが、看板となるリードギターが入れ替わりが激しくて、このデビュー・アルバムではマイケル・シェンカー。ペンタトニックをベースにしたプレイではあるんですが、リズム感とかタッチとかスピードとか、「ああ、ひとりだけプロが混じってるわ」って感じでした(^^)。で、弾きまくり。"It All Depends"なんて、ほとんどギターのプレイを聴かせるためだけにある曲に聴こえます。

 これは、ハードロックとかへヴィーメタルというより、ヴァニラ・ファッジドアーズみたいに、それぞれが個性的な音楽をやっていた時代のロックの中の1枚、と感じました。サイケデリック、ジャーマン・プログレ…どの言葉もハマりますが、なかでもアートロックなんて言葉が一番しっくりくるんじゃないかと。イメージとしては、ハードロックに突き進む前のディープ・パープルとか、サイケ時代のヴァニラ・ファッジあたりは結構近いかも。4曲目"In Search of the Peace of Mind"なんて、まさにそういう感じです。
 ロックって、型にハマる以前のこれぐらいの時期が一番面白かったと思います。みんなでいっしょうけんめいある「型」を練習して披露するだけだったら、それはピアノや三味線の習い事と変わらないじゃないかって思っちゃいます。うまいとかヘタとかじゃなくって、個性と独創性。このアルバムは、そこが素晴らしく感じました。ハードロックやへヴィーメタルを期待して買うと肩透かしを食っちゃうと思いますが、アートロックを求めて聴くのであれば、これは相当に素晴らしいアルバムじゃないかと。僕が聴いてきたスコーピオンズのアルバムでは、音楽的にはこれが一番いいと思います。


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『Scorpions / In Trance』

Scorpions_InTrance.jpg 最初に体験したスコーピオンズのアルバム『Love at First Sting』が、冒頭の2曲だけにしても素晴らしかったので、中学生の僕は古い作品も何枚か聴いてみたいと中古盤屋に走ったのでした。するとそこはエロいジャケットがずらりと並ぶ魅惑の世界でした(^^)。スコーピオンズのアルバムジャケットってマジでエロい、これで売り上げを3割は伸びたんじゃないかと(^^;)。その製作者の意図にまんまとひっかった中学生の頃の僕は、スコーピオンズのアルバムの中でも一番エロいと感じたジャケットの本作をレジに持って行ったのでした(^^)。ロリータのヌード写真の股間が割れているものもありましたが、残念ながらロリコンではなかったので、大人の女に魅かれたのです(何のレビューだ?)。これ、完全に騎乗位で喘いでますよね…。紛う事なきジャケ買いです。

 で、持って帰って聴くと…なんと、『Love at First Sting』と音楽性が全然違う事にビックリ!特に面白いと思ったのが、1曲目の"Dark Lady"という曲でした。まだ音楽の勉強をろくに始めてもいなかったハナタレの僕でしたが、それでも「これって音楽の理論にあってるのか?」と思っちゃったんですよね。ほら、別に音楽の勉強をしていなくったって、カラオケで人が知らない歌を歌っているのを聴いて、「あ、いま音を外したな」とか分かるじゃないですか。あんな感じ。しかし、"Dark Lady"に関していうと、それがダメなのではなく、「独特の世界観でカッコいい!」と聴こえたんですよ。今までにこんな音楽を聴いたことがなかったし、それは久々にこのアルバムを聴いた今も感じます。で、こういう「音楽教育をちゃんと受けていないから生まれちゃった変な部分」みたいなところが、このアルバムにはちょこまか出てくるんですが、それがことごとく個性がありました。
  例えば、ハーモニクスを絡めて音色を変化させながらリフを刻むリズム・ギターとアーミングで音階の中に嵌らない音が下りてくるリードギターの絡むイントロとか、サビ前のBメロに当たる部分は叫ぶばかりのヴォーカルとか、精神がどこかアヴァンギャルドでした。さすがシェーンベルクを生んだ国というか、狂信的なヤバさみたいなものを感じます。

 このはみ出た部分を表現している筆頭がリード・ギター。この時期のスコーピオンズのリード・ギターはウルリッヒ・ロート(のちのウリ・ジョン・ロート)で、けっこうアウトしまくってカッコいいです。よくジミヘンと比較される人ですが、ジミヘンに似ているとは思わないけど、たしかに影響を受けているとは感じました。

 もちろん、正統派ハードロックとしての"Top of the Bill"などもカッコよし。音楽って、うまいとかヘタとか、理論に合ってるとか合ってないとか、そういう所にも理はあると思いますが、そうでない部分にも大事なものが詰まっている気がします。ハードロックではあるんだろうけど、僕が持っているハードロックのイメージにもへヴィーメタルのイメージにも縛られる事のない点が色々と入った音楽でした。まあそれ以前に、このジャケットだけで買いですよね( ̄ー ̄)。


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『SCORPIONS / Love at the First Sting』

Scorpions_LoveSting.jpg いきなりこのレコードとは関係ない話で恐縮ですが…僕の音楽ライフって、ざっくりジャンルで分けると、クラシック4/ジャズ3/ワールド2/ロック・ポップス1、みたいな割合です。このブログを始めた頃は、「どうせ現代音楽やフリージャズばかりでいっぱいのブログになるんだろうなあ」と思っていたのですが、ふたを開けてみると自分でもびっくり、記事の割合が全く逆になっている。う~ん、不思議だ…と思ったのですが、例えばクラシックでは、ひとつの大好きな曲があると、何十回もそれを聴いて、その楽譜を買って、曲を分析して、演奏してみたりして…みたいな感じになるから、CD1枚に対する時間のかかり方がロックやポピュラーとは全然違うのかも。どちらが良いという事ではなく、そういうものなんでしょうね。

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 さて本題です。ひとつ前の記事でとりあげたアイアン・メイデンは、ジャケットがダせえと感じてなかなか踏み込めなかったメタルバンドでしたが、このスコーピオンズはその逆で、ジャケットがカッコいいと思ってすごく入りやすかった。というか、スコーピオンズのアルバムは、エロかっこいいジャケットだけで全部欲しくなっちゃう魅力がありました(^^)。このアルバムのジャケットなんて、色々なものを1枚の写真だけで表現出来ていて、すごくセンスがいいと思いました。クラシックやジャズでこのジャケットはあり得ない。つまり…クラシックやジャズにはない価値観というものを、このロックのアルバムは有しているという事だと思うんですよね。

 で、このアルバムは、僕がメタルという音楽を聴き始めたばかりの時に聴いた思い出の一枚。最初に何にビックリしたかというと、その音の良さでした。ものすごくよく抜ける音なんです。このレコードを聴いた後に、同時代にあった日本のポピュラーのレコードとかを聴くと、すごくモッサリして聴こえる。ハイとローが凄く立ってるんでしょうね。これがとにかく衝撃。で、このギラギラした音で、アルバムはものすごい速弾きのギターで始まって、中学生でメタル未体験の頃の僕はマジですごいと思った!!そして、いきなり曲がブレイクして無音になったりするところも、まじで雑音が聞こえない!!…う~ん、言葉で書くとバカっぽいですが、メタル音楽の魅力のひとつって、このサウンド・メイキングによるところが結構大きいと思うんですよ。音楽がいいとか悪いとか以前のところで、音だけで「カッコいいな」と思ってしまうんですから(^^)。

 音楽はというと、僕の中にあるメタルのステレオタイプというかんじ。うまくなってからのブラック・サバス的というか、あのカラーです。もう、どれを聴いても同じで、超キンタロー飴。それを良いと捉えるかどうかで、このアルバムの良し悪しは変わってくるかと。僕にとっては、面白い事に、これが最高であり、また最悪でもあったんです。
 いい所から言うと…冒頭の"Bad Boys Running Wild"と"Rock You Like a Hurricane"の2曲が、定型メタルの良い面がすべて詰まっているように聴こえて、素晴らしかった!縦線のビッチリあったプレイ、ギターの速弾き、ハードロック/メタル特有の速いビート、ハイエッジのサウンド…。中学生の時、この2曲に、はっきり言ってぶっ飛んだのです(^^;)。これはカッコいい、これをカッコいいと思わない人なんかいないんじゃないかと思えるぐらいに完成されてる。で、悪い所は…もう、典型的な、いかにもありそうな曲ばかりなので、すぐに退屈してしまいます。曲は2ハーフでキッチリ終わるという形しかないし、調もどれもこれも同じ…演奏や曲が良いとか以前の所で、何か聴く前から知っていそうな音楽ばっかりなんですよね。この部分は、前の記事で書いたアイアン・メイデンの1stとは真逆。創造的な部分を感じることが出来ず、良く出来た大量生産品と感じてしまいました。

 というわけで、中学生の頃も、このアルバムの冒頭2曲だけしか聴きませんでした。しかし…この2曲が素晴らしすぎるので、捨てられないんだよなあ。完成度自体は高いと思うので、この「型」が好きな人にとっては、たまらない1枚になるかも。あ、そうそう、僕にとって、このアルバムがスコーピオンズ初体験だったもので、僕の印象で「スコーピオンズというのはメタルの定型句を演奏するバンド」という印象がついてしまったのですが、のちに昔のスコーピオンズのアルバムを聴くに至って、この考えが180度変えられることになろうとは、その時は知る由もありませんでした。。



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『IRON MAIDEN / KILLERS』

IronMaiden_Killers.jpg 前の記事で、「中学生の頃、アイアン・メイデン好きの友人が、片っ端からCDを貸してくれた」なんて書きました。で、ぶっ飛んでしまって、そのままレコード屋に走って買ったのが、前の記事で書いたデビューアルバム。他のアルバムはというと…昔はですね、カセットテープというヤツにダビングするという文化があったんですよ(笑)。「せっかく貸してくれたんだし、今はつまらないと感じるアルバムでも、将来聴いたらいいと思う事があるかもしれない…」なんていう貧乏根性で、ものによってはカセットテープにダビングしてました。で、その中で「これも面白いかもしれないな」と思っていたのが、このアルバム。でも買うまでには至らず(中古盤で安く見つけていたら買っていたかも…)、最近カセットを発掘して聴いてみたという次第です(^^)。

 う~ん、昔は「けっこういいな」と思ったんですが、今聴くと、残念なことにあんまり面白くない…。中学生の時の僕も、どこかで購入に踏み切れない何かがあったのかも。なんでそう感じるんだろうかというと、以降のアイアン・メイデンに対して僕が「これはつまらないな」と感じる部分が出始めているのかも。要するに、曲に劇的構成を作りにに行くのは素晴らしい事だと思うんですが、それはうまく行っていないと聴いていて感じてしまっているのかも。例えば、リズムチェンジにしても転調にしても、その直前まであった曲と「違う」部分だけでなく、「同じ」部分も残しておかないと、無関係なものになっちゃうんですよね。ここがうまく行ってないのかも。もうひとつは、じゃ、そこで頑張ったほどの効果が、音楽にあらわれていないのかも。頑張った割には、聴いていて退屈でした。ある意味で、「いきなり全員でぴったりリズムチェンジする芸を見せる大道芸バンド」になってしまたようにも聴こえる。

 こんなことを考える事があります。ファーストアルバムでいいものを作れたロックバンドが、次に良いものを作れない事がよくあります。アイデア一発の人ならともかく、作曲や演奏に方法論を確立しているバンドであれば、そんな筈はないと思うのです。でも、なぜそれが出来ないかというと…単純に時間が足りないのでは?ほら、クラシックの作曲家とかって、期限つきの委嘱作でもない限りは、たとえそれが何年がかりになろうとも、自分が納得のいく作品になるまで丁寧に作り続けるじゃないですか。しかし、レコード会社の商業ベースに合わせてアルバムを作り続けるロック/ポップスの人って、アルバムを年に1枚作って、年に何十本(ヘタすると100本以上)もライブまでしていたりする。それじゃ、いい素材の曲が出来たとしても、それを磨き上げている時間が無さすぎる。このアルバムも、ここからちゃんとブラッシュアップしていったら、良いものになったのかも知れないな、なんて思っちゃいました。そうそう、このアルバムを「最高傑作!」という人も多いので、僕の方に聴くセンスがないのかも知れません。



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『IRON MAIDEN』

Iron Maiden おねがいです、このクセのありすぎるジャケットに引いてしまわず、騙されたと思って、ぜひこの記事を読んでほしいのです!!

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 中学から高校の頃、クラスでへヴィーメタルが大流行。今では信じられない事かも知れませんが、音楽が好きなヤツでメタルを聴いていない人なんていないというぐらいの状態だったのです。「BURRN!」みたいなタイトルのメタル専門誌があったのですが(今もあるのかな?)、これがクラスの学級文庫のような状態になっていたほどです(^^;)。バンドを組んでいる友人も、ヘタなやつはビートルズとかそういうので、うまいやつはみんなメタル。そんな中、スコーピオンズとアイアンメイデンというふたつのバンドが好きな友人がいまして、彼が僕にアイアンメイデンのアルバムをたくさん貸してくれました。
 ところが…音楽好きの友人たちの間では、アイアン・メイデンの評判がよくなかった。「ジジイになってまでメタルとかやっていたくねえよな」とか、「なんかダセえんだよな」みたいな感じ。僕も、その頃に出ていたアイアン・メイデンの新譜を1枚聴いていたんですが、悪いとは思わなかったけど、そんなに良いとも思っていませんでした。やたらと転調とかリズムチェンジとかをするんですが、それがどうにも素人っぽいというか、綺麗に繋がってないし。あと、ジャケットの絵が子供くさいというか、ダセえというか…。しかし、せっかく好意的にCDを貸してくれた友人に悪いので、借りたCDはちゃんと聴こうかな、と。で、順番に聴いていこうと思ってたまたま手にした最初の1枚が、このデビューアルバム『IRON MAIDEN』だったわけです。そして…これがカッコ良すぎました!!

 何がカッコ良いと言って、曲の作りがカッコ良すぎました。レコードデビュー以前からライブがとんでもない評判で、そのあまりの人気ぶりからレコード会社数社の争奪戦となったバンドだったそうですが、いやあ、これは人気が出て当然だわ。やっぱりリズムチェンジとか露骨な転調とかが随所に入ってくるんですが、このデビューアルバムではそれが凄く綺麗というか、音楽をものすごくドラマチックにしています。英米や今の日本のチャート音楽って、1曲3~5分とすごく短いのに、あまりに作りが単純すぎて途中で飽きて聞いてられなくなっちゃうものが多いと感じます。和声進行とかメロディとか、そういう短絡的な所じゃなくって、曲の構造そのものに対する配慮が全然ないというか…。しかし、このアルバムは全然違う。一気にアッチェルしていくところあり、第1主題と第2主題を使い分けて展開している曲あり、また音階も非常に独特なものを使ったりと、本当に良く出来ている。そして、ハードロック/メタル音楽独特の、あの速度感!ギターが速いとかそういう単純な所ではなくって、ビートの強さが強烈。なんか、ハードロックで出てくる、ブルースを引きずったようなドロドロしたところはみじんもなく、かといってアメリカの西海岸のメタルみたいな、速いんだけどビートが軽い、みたいなこともありません。ものすごくドライヴしていく感じなんです。

 僕にとっては、聴いてもいない癖にさんざん馬鹿にしておきながら、実際に聴いたらぶっ飛んでしまったというアルバムなのです(^^)。メタルのレコードの中で、今までで一番よく聴いたのはこのレコードかも。ジャケットのダサさにだまされず、ぜひ一度聞いてみてほしい1枚です!!この練り込まれた楽曲の完成度と、演奏の素晴らしい疾走感は、マジで素晴らしいと思う。


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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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