
いきなりこのレコードとは関係ない話で恐縮ですが…僕の音楽ライフって、ざっくりジャンルで分けると、
クラシック4/ジャズ3/ワールド2/ロック・ポップス1、みたいな割合です。このブログを始めた頃は、「どうせ現代音楽やフリージャズばかりでいっぱいのブログになるんだろうなあ」と思っていたのですが、ふたを開けてみると自分でもびっくり、記事の割合が全く逆になっている。う~ん、不思議だ…と思ったのですが、例えばクラシックでは、ひとつの大好きな曲があると、何十回もそれを聴いて、その楽譜を買って、曲を分析して、演奏してみたりして…みたいな感じになるから、CD1枚に対する時間のかかり方がロックやポピュラーとは全然違うのかも。どちらが良いという事ではなく、そういうものなんでしょうね。
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さて本題です。ひとつ前の記事でとりあげたアイアン・メイデンは、ジャケットがダせえと感じてなかなか踏み込めなかったメタルバンドでしたが、このスコーピオンズはその逆で、ジャケットがカッコいいと思ってすごく入りやすかった。というか、
スコーピオンズのアルバムは、エロかっこいいジャケットだけで全部欲しくなっちゃう魅力がありました(^^)。このアルバムのジャケットなんて、色々なものを1枚の写真だけで表現出来ていて、すごくセンスがいいと思いました。クラシックやジャズでこのジャケットはあり得ない。つまり…クラシックやジャズにはない価値観というものを、このロックのアルバムは有しているという事だと思うんですよね。
で、このアルバムは、僕がメタルという音楽を聴き始めたばかりの時に聴いた思い出の一枚。最初に何にビックリしたかというと、その音の良さでした。ものすごくよく抜ける音なんです。このレコードを聴いた後に、同時代にあった日本のポピュラーのレコードとかを聴くと、すごくモッサリして聴こえる。ハイとローが凄く立ってるんでしょうね。これがとにかく衝撃。で、このギラギラした音で、アルバムはものすごい速弾きのギターで始まって、中学生でメタル未体験の頃の僕はマジですごいと思った!!そして、いきなり曲がブレイクして無音になったりするところも、まじで雑音が聞こえない!!…う~ん、言葉で書くとバカっぽいですが、メタル音楽の魅力のひとつって、このサウンド・メイキングによるところが結構大きいと思うんですよ。音楽がいいとか悪いとか以前のところで、音だけで「カッコいいな」と思ってしまうんですから(^^)。
音楽はというと、僕の中にあるメタルのステレオタイプというかんじ。うまくなってからのブラック・サバス的というか、あのカラーです。もう、どれを聴いても同じで、超キンタロー飴。それを良いと捉えるかどうかで、このアルバムの良し悪しは変わってくるかと。僕にとっては、面白い事に、これが最高であり、また最悪でもあったんです。
いい所から言うと…冒頭の"Bad Boys Running Wild"と"Rock You Like a Hurricane"の2曲が、定型メタルの良い面がすべて詰まっているように聴こえて、素晴らしかった!縦線のビッチリあったプレイ、ギターの速弾き、ハードロック/メタル特有の速いビート、ハイエッジのサウンド…。中学生の時、この2曲に、はっきり言ってぶっ飛んだのです(^^;)。これはカッコいい、これをカッコいいと思わない人なんかいないんじゃないかと思えるぐらいに完成されてる。で、悪い所は…もう、典型的な、いかにもありそうな曲ばかりなので、すぐに退屈してしまいます。曲は2ハーフでキッチリ終わるという形しかないし、調もどれもこれも同じ…演奏や曲が良いとか以前の所で、何か聴く前から知っていそうな音楽ばっかりなんですよね。この部分は、前の記事で書いたアイアン・メイデンの1stとは真逆。創造的な部分を感じることが出来ず、良く出来た大量生産品と感じてしまいました。
というわけで、中学生の頃も、このアルバムの冒頭2曲だけしか聴きませんでした。しかし…この2曲が素晴らしすぎるので、捨てられないんだよなあ。完成度自体は高いと思うので、この「型」が好きな人にとっては、たまらない1枚になるかも。あ、そうそう、僕にとって、このアルバムがスコーピオンズ初体験だったもので、僕の印象で「スコーピオンズというのはメタルの定型句を演奏するバンド」という印象がついてしまったのですが、のちに昔のスコーピオンズのアルバムを聴くに至って、この考えが180度変えられることになろうとは、その時は知る由もありませんでした。。