『Freddie Hubbard / Here to Say』

FreddieHubbard_HeretoSay.jpg 仕事が忙しくなってしまって、ブログが書けない(>_<)。しかし…嬉しい事に、夏に続いてまた音楽の仕事のお誘いが来ました!!いやあ、現役でプロミュージシャンをやっていた頃はお誘いなんて全然なかったのに、プロの道を諦めてからは、たまにですけど声をかけてくれる人がいる。本当にありがたい、僕はきっと自分が思ってる以上に音楽が好きなんだな…。さ、練習しよう。

 な~んてわけで、このレコードは、その仕事の都合で参考資料として久々に引っ張り出して聴いた1枚。トランぺッターのフレディー・ハバードさんのリーダー作です。で、何を調べたのかというと、このレコードにはジャズの名曲バラード「ボディ・アンド・ソウル」が入っていて、それをアレンジ/演奏しなくてはならないわけです。このアルバムに入っているボディ・アンド・ソウルの印象がすこぶる良かったので久々に聴いてみたわけですが…うわあ、こんなに素晴らしい演奏だったっけ、鳥肌が立ってしまった…

 フレディー・ハバードというトランぺッターさんは、ジャズの歴史でいうと、「新主流派」というか、モードジャズ登場以降の東寄りのジャズのメインストリームで活躍した人です。ブルーノートというレーベルは、このCDが録音された1962年前後は、こういうバップとモードの両方を引き継いだようなジャズを中心に持ってきていて、これが結構面白い。今となっては、ジャズは典型的な型をみんなで真似する音楽となってしまった感じ(日本に至ってはビジュアル系インストポピュラーにまで堕ちた感じがする(;_;))ですが、この頃は相当に創造力がある。聴いていて、感心する事ばかり。ただ、少し理論的な所での探究もあったので、音楽がはじけきらないというか、演奏家の方々が、自分たちの作り出している音楽を演奏しきるところまでなかなか追いつけないというか、そんな所があります。モード曲の前で右往左往して、似たようなメロディを繰り返してしまうサックスの人とかもチラホラいますしね。で、ハバードさんには、これらを消化しきった大作や名作が幾つかあるのですが(いつか紹介したいです!)、これはどちらかというと大作の間に挟まれた佳作集という感じ。曲もオリジナルではなくスタンダードが多いです。しかし、これが素晴らしい。

 まず、先にも書いた"Body and Soul"。この曲を最初に聴いたのはいつの頃だったんだろうか、多分高校ぐらいだったと思うのですが、最初は「??」という感じでした。ちょっと面白い和声進行をする曲で、短調の美しいバラード…かと思いきや、3小節目にしてすぐに長調に転調してしまいます。で、普通の調重力の感覚に慣れ切っていた僕には、それが不思議な感覚というか、ある意味で「音痴」に聴こえたんです。調の重力が分からなくて、どこを泳いでいるんだから見失ってしまう感覚…似たような感覚は、クラシックの無調音楽で痛感した事があるんですが(シェーンベルクという作曲家の「月とピエロ」という曲)、それの少しソフトな感じ。つまり、音楽を聴く側として、まだ耳が幼かった。ところが、色んな音楽を聴くようになって、売れないながらも何とか音楽でお金をもらえるようになるぐらいにはなれて、そして戻ってくると…うおお、こんな素晴らしい曲があるだろうか、と感じている自分がいる(^^)。この曲は色々なアレンジや演奏のされ方をした録音がいっぱいあるのですが、このレコードは、真正面からこの曲に取り組んでいるというか、演奏が非常にムーディーというか、ものすごく曲の良さを生かした感じです。トランペットでのジャズ・バラードの素晴らしさを味わうに、この名演は極めつけ。素晴らしすぎです。
 そして、他の曲も粒ぞろい。例えば、アルバム1曲目の" Philly Mignon"なんて、快速ジャズあでありつつ、どこかに新主流派的なひねったアイデアが見え隠れして、かなり美味しい所を突いている感じだし、終曲"Assunta"は、ピアノで執拗に繰り返されるモチーフの上を、ウェイン・ショーターのサックスとハバードのトランペットが、ペアのフィギュアスケートのように見事に絡みながら旋律を描き出していきます。こんな感じで、聴いていて色々な挑戦への発見があるのですが、しかし難しすぎる挑戦が無かったことが、演奏を停滞させる事なく快演へと導いたんじゃなかろうか。難しい事をやりすぎて疲れて、「ちょっともう少し自由にやってみない?」みたいなノリだったのかも。

 いやあ、これも素晴らしいアルバムです。このアルバム、僕はハバードさんが好きで、中古盤屋にたまたま置いてあったから買ったというだけだったのですが、本当に素晴らしい。名盤と言われているレコードに挟まれて目立ちにくい1枚ですが、方向性が違うというだけで、見方によってはこちらの方が音楽の急所を突いているかもしれません。いい音楽との出会いは、何が切っ掛けになるか分かりませんね。このレコードを中古盤屋に売ってくれた人、ありがとう(^^)。


スポンサーサイト

『John Coltrane / Blue Train』

JohnColtrane_BlueTrain.jpg 1958年、ジャズのテナー・サックスの巨人・ジョン・コルトレーンが、フリージャズどころか彼の黄金のカルテットを結成するよりも以前に残した、唯一のブルーノート盤です。ブルーノート唯一のコルトレーン録音だから『Blue Train』なのかな?まあ、色々な意味がひっかけてありそうですね(^^)。

 僕にとってのコルトレーンの音楽の好きな順というのは、レギュラーバンドでのフリー期>マッコイやエルヴィン・ジョーンズ在籍期の黄金のカルテット期>それより前、という感じです。で、このブルートレインは、「それより前」という時期のもので、簡単にいうと、最も「普通のジャズ」っぽい時期。この時期にも、昔のジャズ雑誌では『My Favorite Things』『Giant Steps』などなど、大名盤扱いされているレコードが何枚もあるんですが…う~ん、僕にはどうしても「普通のジャズ」にしか聴こえなくって、悪い音楽とは全然思わないけど、取り立てて褒めちぎるというのが理解できませんでした。というのは、「これを褒めるんだったら50年代バップのレコードのほとんどを褒めないとウソだろ」、という感覚。何故これだけが…という感じなわけです。とか言っておきながら、この時期のコルトレーンの中で、僕のこのレコードの再生機会はかなり高いのです(^^)。特徴としては、3管編成という所でしょうか。そして、他の作品ではなくって、なぜこのアルバムをよく聴くのかというと…1曲目の「ブルートレイン」のアンニュイなムードがこのアルバム最大の特徴の気がします。というか、ブルートレインが入ってなかったら、ゴマンと出ている他の50年代ジャズのアルバムとの差が本当に何もなくなってしまう気がする…。

 この曲は、曲の構成も典型的なハードバップだし、アレンジも普通。しかし、なんというのかなあ…なんか、すごく「ブルー」なんですよね、色彩で音楽を表現すると。で、これがどういうわけかすごく好きなのです。さっき言ったように、何から何まで普通なのに、なんで良いと感じてしまうのか、自分でもよく分かりませんが…敢えて言うと、和音が好きなのかも。それも、和声理論とかの面倒くさい話じゃなくって、最初は1声だったのが、同じメロディラインで3声のハーモニーに増えていく…子供の合唱のような、ものすごくシンプルな意味での「和音の美しさ」というものが、単純に心地よいんじゃないかと。しかし、一発録音なもので、アンサンブル中にボントロが間違えたりするんですが(^^;)。

 もうひとつは、トランペットのリー・モーガンの演奏がスバラシイという点!リー・モーガンというトランぺッターはリーダーアルバムをたくさん出しているんですが、それが結構詰まらなかったりする(^^;)。つまり、名プレイヤーではあるけれども、名ディレクターや名アレンジャーや名バンドマスターという訳ではないという事な気がします。リー・モーガンと言って一番よく名前の挙がる名盤扱いのレコードなんて、「これの何が面白いんだ?」と思ったものですが、しかしこのブルートレインでのモーガンさんのソロプレイは素晴らしい!!!そこには、単純に「普通のモダン・ジャズのソロ・アドリブ演奏」を聴く楽しみがあります。要するに、バップ系の音楽を聴きたいという気分でさえあれば、このアルバムを聴いておけば堅い、という感じ。オーソドックスなモダン・ジャズって、大体はコーラス形式になっていて、曲のテーマパートを演奏し終わった後は、同じ和声進行を使って、アドリブ・ソロを演奏する事がほとんどです。しかし、音楽をやっている頃、この「アドリブでソロを組み立てる」というのが、非常に難しかった。スケールを使ったりコードトーンを使ったり自分のストックフレーズを使ったりしながらメロディを組み立てていくわけですが、どういう順で音を並べるとそれが良くなったり悪くなったりするのか、これが本当に難しかった。単にスケール音から音を並べて作るだけだと、どんな順で並べようがどれも同じようなものになっちゃったんですよ、僕の場合(>_<)。そんなわけで、有名なミュージシャンのアドリブの組み立てというのは、どんな楽器だろうが真剣に聴いてました。で、1曲目のブルートレインのリー・モーガンのソロは素晴らしい!!モーガンは、他にも最終曲“LAZY BIRD”で素晴らしいソロを聴かせてくれます。というか、レイジーバードのファーストソロはモーガンで、ここに至っては完全に主役!音の選び方だけでなくって、トップでは勢いよく演奏するとカッコよく聞こえるのか…とか、本当に「アドリブソロのおいしいテクニック」みたいなものを、この人のプレイからは色々と学ばせて貰いました。
 一方、主役のコルトレーンのこの時期のアドリブソロというのは、かなりコード進行に対してどうスケールを選択するか、みたいな感じで、練習を聴いているみたいな感じなんですよね。ジャズ曲というのは、主調に戻る直前が一番和声的には美味しい事になって、例えばスケールだけでいっても選択肢が格段に増えます。更に、理論から外れるような音を挟み込んで行っても、それがかっこよくなる可能性があるのもこの辺り(普通の所でこれをやっちゃうと単なる音痴になっちゃう^^;)。こういう所ではさすがは巨匠と言われるだけの事はあって、非常に面白い動きというか、「コルトレーン的」な演奏になって、これはカッコいい!!ただ、そうでない所が、黄金期~フリー期のコルトレーンが多用した「あるおいしいメロディのヴァリエーションを発展させる」とか、音楽全体をコントロールするという演奏は、まだありません。

 しかし、僕はいつも思うのですが、僕は昔音楽をやっていたもので、バップとかのアドリブソロを楽しむ時って、どこかで「勉強している楽しみ」である感じがするんですよね。例えば、このアルバムカーティス・フラーののトロンボーンのソロでいうと、同じフレーズの最終音だけを変える事で、フレーズのヴァリエーションを作りながらソロを発展させるという組み立て方をするところがあるんですが、「なるほど、そうすればソロがデタラメな音の羅列じゃなくって、ある一貫性が発生しながら、次へと発展させられるのか」とか。こういう聴き方って、組み立てに失敗したソロでも、ある意味で楽しめるんですよね。「ああ、それだと同じ音が続きすぎてつまらないから、別のフレーズをひとつ放り込んでからもう一度戻せばよかったのかな」とか、「どうせ3-6-2-5ストックフレーズを使うなら、どこかでクロマチックなアプローチを挟み込んでみるという手もあったんじゃなかろうか」とか、文句を言いつつ楽しめるのです(^^)。でもこれって如何にもプレイヤー的な聴き方で、楽器をやらずにただジャズを聴くだけの人にとって、延々アドリブソロを回すこの手のジャズって、聴いていて面白いんだろうか…とか思っちゃうんですよね。…そんなのは余計なお世話なのか。でも、聴いていたら、久しぶりにジャズを勉強したくなってきました。というか、趣味でアマチュアのジャズバンドにでも参加してみようかなあ(^^)。良くも悪くも、50年代モダンジャズの王道アルバム、という感じです。


『Led Zeppelin / CODA』

LedZeppelin_coda.jpg 若い頃に聴きまくったツェッペリンですが、かといって全部好きという訳ではなくって、よく聴いたのはファーストから4枚目まで。以降のアルバムは友人が貸してくれたりして、聴くには聴いたのですが、どうもつまらなかった。しかし、それ以降のアルバムでもこのラストアルバム(?)は好きで、A面だけよく聴いてました。なんでも未発表音源を集めたという事で、なるほどバンド前半が好きな僕が、バンド前半のパフォーマンスの曲を良いと感じたというわけですね。。アルバム冒頭の疾走感は、実はサードやフォースをも凌ぐほどなのではないかと思ってます。

 まず、1曲目"We're Gonna Groove"はベン・E・キングの曲らしいんですが、とてもそうは思えないほどのハードナンバー。もう、テンポからアレンジから全然変えちゃってるんでしょうね。これが、ツェッペリンのハードナンバーでも屈指の名演!ツェッペリンのファンじゃないと、このアルバムまでなかなか聴かないと思うのですが、もうこの曲だけでも絶対に聴くべき!
 で、2曲目"Poor Tom"は非常に面白いリズムパターンと、これまた非常に面白いギターの響きを聴かせる曲。これも似たような曲というのを僕は聴いたことがなく、実に素晴らしい!!そして3曲目"I Can't Quit You, Baby"は、オーティス・ラッシュの有名なブルース曲ですが、これがすごくロックになっていてカッコイいい!!いやあ、この曲はラッシュのオリジナルもすごいんですが、ツェッペリンはツェッペリン的な音楽に仕上げていて、これがまた別物としての良さが出ています。

 あとは、僕にとっては、つまらなくなってからのツェッペリンという感じで、あんまり聴いてません(^^;)。しかし、冒頭3曲の強烈なパフォーマンスが素晴らしすぎる。冒頭3曲だけでも買いのアルバムなんじゃないかと思います(^^)。



『Led Zeppelin / Ⅳ』

LedZeppelin4.jpg 僕が一番好きなツェッペリンのアルバムはサードなのですが、これはその次に出された4枚目のアルバム。学生の頃のツェッペリン狂の僕の友人は、「これが一番好きだ」と言ってましたね。たしかに、ファーストやセカンドのブルース色に比べれば、"Black Dog"と"Rock'n Roll"というハードなナンバーが冒頭に並ぶこのアルバムは良さが分かりやすいかも。「ブラックドッグ」のギターのリフのパターンなんて、変なシンコペーションをしていて、何回聴いても覚えられません(^^)。わざとそう作っているんでしょうが、それが非常に変な感じでいい!!「あれ、どうなってんだ?」って感じで、聴きこんじゃうんです。こういう、同じリフを、拍を変えてシンコペーションをずらす技は、アルバムのB面1曲目"Misty Mountain Hop"でも聴く事が出来るんですが、これはいい!!こういうアイデアに創造力を感じます。
 しかし、僕が大好きなのは、その後に入っているブリティッシュ・トラッド路線の3曲目"The Battle of Evermore"。いやあ、こういう曲想を作り上げられるって、素晴らしい。既にある何かを真似するなら、手間をかければ誰だってできると思うんですよ。でも、そんなの全然つまらんというか、だったらその大元になった音楽を聴けばいいわけで。で、こういう音楽をロックのフィールドでキッチリやってくるというのは、マジで素晴らしいと思います。そして名曲の誉れ高い4曲目"Stairway to Heaven"へと。…いやあ、この曲の並びは素晴らしすぎる。。B面もまた素晴らしくて、ファーストやセカンドと違って、外れ曲が全くないし、曲の並びも素晴らしすぎる。

 このアルバムは、アルバムの基幹となっているハードロック・ナンバーでは、リフの作り方が肝になっていると思います。それは、3枚目までのアルバムよりも徹底している感じ。"Four Sticks"のリフなんて、カッコ良すぎてゾクゾク来てしまいます。こういう「執拗に繰り返す」というカッコよさは、クラシックやジャズでは味わえない、ハードロックならではの快感。いやあ、これも若い時に聴いていた頃よりも、今の方が「これはいいアルバムだ!」と思えるなあ。レッド・ツェッペリンは、1stから4thまでは全部買いだと思います。大推薦!!



『Led Zeppelin』

LedZeppelin.jpg レッド・ツェッペリンのデビューアルバムです。バンド名といい、このアルバムジャケットといい、カッコ良すぎる!!しかし、これもやっぱり「ハードロック」という言葉から想起されるような音楽ではちょっとないんですが…しかしそれがいい!!オリジナリティというか、創造性にあふれているという感じ。つまんないただのロック曲もそれなりに入ってますが(^^;)、しかしそれを補って余りあるものがガッツリ詰まってます!

 このレコードもすごく久しぶりに聴いたんですが、久々に聴いた最初の印象は「ヴォーカルがスゲエわ」という事でした。ギター好きの僕とにとって、ツェッペリンって、どうしてもギターのジミー・ペイジに注目しちゃいがちなのですが、久々に聴いてすごかったのはヴォーカルのロバート・プラントでした。いやあ、これだけハイトーンで歌ったら声が細くなっちゃいそうなものですが、ものすごく野太い声!!で、ヴォーカルの表現力がすごい!!

 で、肝心の音楽ですが、とにかく素晴らしいと思ったのが、「DAZED AND CONFUSED」の楽曲構成。非常に静かな所から始まって、そこではギターは非常にトリッキーなプレイで、まるで効果音のような使い方。これが曲の途中でテンポを上げて一気に押すところでは全員ですごいテンションで演奏しまくる!!…みたいな感じで、しっかりと曲の構成が出来てます。いやあ、これはカッコいいぞ。。
 それから、アコースティック・ギターのインスト曲「BLACK MOUNTAIN SIDE」。コンガだかタブラだかの打楽器の伴奏だけで演奏されるんですが、それもあってすごくエキゾチックな感じで、素晴らしいとしか言いようがありません。ハードロックの代名詞のバンドですが、実はアコースティックが一番うまいというのが面白い。
 そして、アルバム最後の曲「HOW MANY MORE TIMES」、これが執拗に繰り返されるベースのリフの上で音がどんどん重なっていくという感じの曲で、もうAパートとギターソロパートしかないという曲構成がカッコ良すぎる。カッコいいリフをここまで執拗に繰り返されたら病み付きになってしまいますわ(^^)。

 つまらない曲も多いんですが、これだけ素晴らしいものが入っていたら十分おつりが来ますね。いやあ、若い頃に聴きまくったツェッペリンですが、今の方が高く評価しちゃうなあ。。これはいい。




『Led Zeppelin / Ⅱ』

LedZeppelin2.jpg ディープ・パープルと並んでハードロックの代名詞となっているレッド・ツェッペリン。いつだったか大名曲「移民の歌」が入ってるサードアルバムの感想を書きましたが、僕が若い頃は、このセカンドアルバムが名盤として知られていました。サードばかり聴いていたもので、セカンドはものすごく久しぶり。いやあ、懐かしい…。

 とにかく思い出補正が強くって、このアルバムが実際にどれぐらい良い音楽であるかどうかは、僕には判断がつきません。もう、懐かしいというだけで好評価になっちゃうんです。でも、中学生の時、最初にこのアルバムを聴いたときにの評価は、実は「??」でした。なんか、「ハードロック」という言葉から想像していたものとはちょっと違ってたんですよね。今の感覚で言えば、ディストーションとかがかかっていて、ロック的なリフがカッコいいとはいえ、すごくブルース色の強い感じ。「ハートブレイカー」なんて、まさにそんな感じの曲です。曲はバンドブルースなんだけど、サウンドはロックで、曲中にはリフが織り込まれている…こうしたサウンドとリフを良いと思えるかどうかが、初期のツェッペリンを良いと思えるかどうかの境界にあるんじゃないかと。で、今の僕にとってはこれがいい感じになのです(^^)。
 このアルバムのカラーって、やっぱり1曲目の「Whole Lotta Love」なんじゃないかと。これが、冒頭のリフと、グニャグニャなエフェクトに紛れた後にいきなり始まるギターのソロプレイの2か所だけで出来ているような曲で、初体験時にはこれがつまらなかった。しかし今聴くと…いやあ、これも思い出補正なのか、実に素晴らしく感じる(^^)。そして、リフとツェッペリン重いプレイの白眉が、ドラムソロの大フューチャー曲「Moby Dick」。いやあ、これがカッコいい!!このリフのカッコよさはちょっと他ではない感じです!!
 それから、今聴いてちょっと感心したのが、「サンキュー」という曲。すごくブリティッシュ・トラッドっぽいんです。このカラーが、僕が大好きな3rdアルバムに引き継がれたのかなあ、と。「ランブル・オン」なんかは、ハード・ロックとブリティッシュ・トラッドの合いの子みたいな曲で、これもまたすごく面白い。若い頃は、そもそもブリティッシュ・トラッドというのを知らなかったし、またそれを良いとも思っていなかったので全然ノーマークだったんですが、今聴くとこれらの曲の完成度が高いというか、素晴らしく感じるから不思議です。

 いずれにしても、ハードロックといって、このアルバムを聴かないなんていう事はあり得ないというぐらいのマスターピース。久しぶりに聴いたら、思った以上に良いと感じるアルバムでした(^^)。


『KURDISH MUSIC』

KurdishMusic.jpg イラン・イラク・シリア・トルコの中間あたりに少数民族として生き、しかし自分たちの国を持たないクルド人。多くがイスラム教徒で、何度も独立を試みながら、世界情勢の中でそれを何度も握りつぶされ、それぞれの国にマイノリティとしての立場を余儀なくされています。「少数派民族」といっても、それは国を持つ事が出来ずに、それぞれの国でマイノリティになっているという事であって、中東全体で見れば人口第4位、とても「少数」なんて言えません。。
 …な~んていうのは教科書やニュースで知っている情報であって、僕はこのあたりに行った事もなければ、クルド人の知り合いもいません。つまり、文字情報の上でしかクルド人というのを知らないんですね。これで知ったようにつもりになっているのだから情報って恐ろしい。事あるごとにニュースになる彼らがどういう文化を持ち、どういう考えを持っているのか…こういうのって、気になりませんか?生の文化を強く伝えているもの…音楽って、こういう時にすごく役に立つと思うのです。クルド人の音楽とか、聴いてみたいと思いませんか?僕はそんな気持ちでこのCDを手にしました。発売元はなんとユネスコ。文化遺産としてこの音楽を捉えているんですね。たしかに、場合によっては消滅させられてしまいそうな危険がある文化ですよね。

 さて、他の民族音楽と同じように、ひと口に「クルド人の音楽」といっても、けっこうな幅があります。で、このCDの1曲目は、なかでも一番プロ音楽的というか、ペルシャ芸術音楽に近いです。というか、僕がこれを音だけ聴かされたら、間違いなくイラン音楽と間違えるでしょう。サズ(トルコでよく聴く、細長い弦楽器)とタンブーラのデュオ。で、イラン芸術音楽と同じように、スケールが確定したら、(たぶん何かの法則で)いくつかのシーンチェンジをしながらも音楽が即興的に駆け上がっていくのですが…これが壮観。サズはモハメッド・アリという人が演奏しているのですが、この名前って中東ではやたらよく聴く名前なので、あのイラン音楽の巨匠モハメッド・アリと同一人物かどうかは分かりません。しかし、もしかしたら同一人物なんじゃないかというぐらいにうまい。文化的にもイランのクルド人の録音なのかも知れません。で、この「ペルシャ芸術音楽」的方向の歌入りが4曲目にも入ってます。
 2曲目は一転してトルコ音楽かと思うぐらいのダブルリード楽器の重奏にバレルドラム。トルコ軍楽の小編成版という感じです。変化する事はなく、同じ音楽をひたすら続ける感じで、聴いていると病み付きになります(^^)。やはり素晴らしい演奏なんですが、これは1曲目のプロミュージシャン的な演奏ではなく(プロかも知れませんが)、日本の声明みたいに、なにか儀式とか、そういう時に使う音楽のような雰囲気です。
 3曲目が一番大衆的な音楽という感じがして、タンバリン(カスタネット?)状の楽器、リズムに徹しているリズム太鼓、ずっとドローンを奏でる笛(これがまったくノンブレスなので、もしかして循環呼吸で吹いている?すげえ…)、この3つをバックに、縦笛(横笛)のような、非常に高音域の笛が即興的にソロを取り続けます。これは、純粋に音楽を楽しんでいるという感じで、すごくいい。

 な~んてかんじで、全5曲。いやあ、音楽だけを聴いても、イラン文化、アラビア文化、トルコ文化がもろに重なっている感じが分かります。そして、僕が知っているクルド人といえば、イスラエルのクルド人自治区の人みたいに、鉄条網で仕切られた難民キャンプのテント暮らしみたいなイメージだったので、ここまで優れた音楽文化を保存しているというのはまったく意外でした。音楽どころではないと思っていたもので…。

 ものすごく素晴らしい音楽。西アジアの音楽というのは異常に洗練されている上に、西洋音楽とは全く違ったベクトルにある音楽なので、体験した事のない方にはぜひともお勧めしたいです。そうそう、本盤のレコード番号は「UNESCO D8023」なんですが、同じユネスコ原盤のレコードに、これまた『KURDISH MUSIC』という同じタイトルのCDがあります。これが曲タイトルも違うし収録曲数も違っているので、恐らく違うレコードだと思います。


『Johnny Griffin / Little Giant』

JohnnyGriffin_LittleGiant.jpg テナーサックス奏者ジョニー・グリフィンが、1959年に録音した彼の代表作です。豪快、爽快なイケイケのハードバップの名盤です!いやあ、僕の中では、数あるハードバップのレコードの中でもこれは上位ランキング、けっこうな頻度でターンテーブルに乗っています(^^)。

 前の記事ではジョニー・グリフィンwithストリングスのレコードを取り上げましたが、あれはグリフィンさんとしてはけっこう異色の作品で、実際のグリフィンさんの音楽って、このレコード『リトル・ジャイアント』みたいなイケイケのハード・バップみたいな方が近いんじゃないかと思います。他のリーダー作もイケイケのハード・バップものがほとんどですしね(^^)。で、このレコードには特にカッコいい所がいくつかあります。
 まず、3管セクステットのアンサンブルがカッコ良すぎるという事。ハードバップなので、アンサンブルといってもテーマ部分と要所ぐらいしかアンサンブルしないんですが、このアレンジがめちゃめちゃにカッコいい!2曲目"The Message"なんか、ど最後に戻したテーマ部分でかなりカッコいいソリをしていて、音楽のデザインがものすごく良く出来た形になって、ただのソロ回しのバップに終わっていません。う~ん、カッコいい。この3管アンサンブルのカッコよさは、コルトレーンの『ブルー・トレーン』どころか、あのドルフィーのアレンジですら遥かに上回る鋭さだと思います。このアルバムには、ノーマン・シモンズの曲が3曲入ってるんですが、このかカッコいいアレンジを書いたのも、恐らく彼だったのでは?やっぱりプロの作曲家アレンジャーは腕が違うな。。

 そして、こういう音楽のデザイン全般に関する配慮は、アルバム全体に行きわたっていて、同じ曲想で押しまくるだけでなく、かなり独特の曲想の曲も挟み込んできます。"Lonely One"なんて、ドラムはタム回しだけでリズムを作り、その上にテナーサックスが鳴り響くという何とも独創的なデュオ。アフリカのジャングルを彷徨うような独特の曲想、これもカッコいいな。。

 それから面白いのは、レコーディングというかミキシング。リバーサイド・レーベルなのに(^^;)、それぞれの楽器にキッチリマイクが立ててあるみたいで、各楽器の録音がものすごくしっかりしている。で、それに対してすごく鋭い感じのリバーブがかけてあるんですが、これが何とも言えないカッコいい響きを生み出しています。あんまり自然じゃないんだけど、50年代のハードバップのレコードって、音に無頓着で「ただ録音しただけ」みたいなものが結構あるじゃないですか。もう、そういうのとは一線を画した見事なレコーディングだと思います。

 そして、このカッコいいサウンドのまま、一気に突っ走る!!この爽快っぷりは聴かないと分からないんじゃないかと(^^)。特に1曲目"Olive Reflection"のカッコよさは素晴らしすぎる。若い頃の僕は、ビ・バップやハード・バップはちょっと古くさい気がして、食わず嫌い的に敬遠していたんですが、こういうレコードと出会ったのをきっかけに、一気にのめり込む事になりました。今のジャズなんかより、よっぽど尖がっていてカッコいいんですよ。ハードバップ食わず嫌いな方に、ぜひともこの1枚をおススメします(^^)。いわんや「ジャズ好き」というのなら、この1枚を聴いていないとしたら嘘かと。



プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
フリーエリア
検索フォーム
リンク
最近気になってるCDとか本とか映画とか
 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
これまでの訪問者数
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
アド