
1958年、ジャズのテナー・サックスの巨人・ジョン・コルトレーンが、フリージャズどころか彼の黄金のカルテットを結成するよりも以前に残した、唯一のブルーノート盤です。ブルーノート唯一のコルトレーン録音だから『Blue Train』なのかな?まあ、色々な意味がひっかけてありそうですね(^^)。
僕にとってのコルトレーンの音楽の好きな順というのは、レギュラーバンドでのフリー期>マッコイやエルヴィン・ジョーンズ在籍期の黄金のカルテット期>それより前、という感じです。で、このブルートレインは、「それより前」という時期のもので、簡単にいうと、最も「普通のジャズ」っぽい時期。この時期にも、昔のジャズ雑誌では『My Favorite Things』『Giant Steps』などなど、大名盤扱いされているレコードが何枚もあるんですが…う~ん、細かいチェンジの工夫とか色々あるにせよそういうのってちょっとマニアックだし、そういうマニアックな所を除いて音楽全体でみると、僕にはどうしても「普通のジャズ」にしか聴こえなかたりして(^^;)。とか言っておきながら、この時期のコルトレーンの中で、僕のこのレコードの再生機会はかなり高いのです(^^)。特徴としては、3管編成という所でしょうか。そして、他の作品ではなくって、なぜこのアルバムをよく聴くのかというと…
1曲目の「ブルートレイン」のアンニュイなムードがこのアルバム最大の特徴の気がします。
もうひとつは、
トランペットのリー・モーガンの演奏がスバラシイ!リー・モーガンはリーダーアルバムをたくさん出しているんですが、それが結構つまらなかったりする(^^;)。名プレイヤーではあるけど、名ディレクターや名アレンジャーや名バンドマスターという訳ではない気がします。リー・モーガンと言って一番よく名前の挙がる名盤扱いのレコードなんて、「これの何が面白いんだ?」と思ったものですが、しかしこのこのアルバムでのアドリブは素晴らしかった!!そこには、単純に「普通のモダン・ジャズのソロ・アドリブ演奏」を聴く楽しみがありました。1曲目のブルートレインのリー・モーガンのソロなんて絶品、他にも最終曲“LAZY BIRD”で素晴らしいソロを聴かせてくれます。というか、レイジーバードのファーストソロはモーガンで、ここに至っては完全に主役です。音の選び方だけでなくって、トップでは勢いよく演奏するとカッコよく聞こえるのか…とか、本当に「アドリブソロのおいしいテクニック」みたいなものを、この人のプレイからは色々と学ばせて貰いました。
あと…たまに思うんですが、僕は昔音楽をやっていたもので、バップとかのアドリブソロを楽しむ時って、「勉強している楽しみ」である感じがするんですよね。例えば、このアルバムカーティス・フラーののトロンボーンのソロでいうと、同じフレーズの最終音だけを変える事で、フレーズのヴァリエーションを作りながらソロを発展させるという組み立て方をするところがあるんですが、「なるほど、そうすればソロがデタラメな音の羅列じゃなくって、ある一貫性が発生しながら、次へと発展させられるのか」とか。こういう聴き方って、組み立てに失敗したソロでも、ある意味で楽しめるんですよね。「ああ、それだと同じ音が続きすぎてつまらないから、別のフレーズをひとつ放り込んでからもう一度戻せばよかったのかな」とか、「どうせ3-6-2-5ストックフレーズを使うなら、どこかでクロマチックなアプローチを挟み込んでみるという手もあったんじゃなかろうか」とか、文句を言いつつ楽しめるのです(^^)。でもこれっていかにもプレイヤー的な聴き方で、楽器をやらずにただジャズを聴くだけの人にとって、延々アドリブソロを回すこの手のジャズって、聴いていて面白いんだろうかと思っちゃう時があります。…そんなのは余計なお世話なのか。でも、聴いていたら、久しぶりにジャズを勉強したくなってきました。趣味でアマチュアのジャズバンドにでも参加してみようかなあ(^^)。良くも悪くも、50年代モダンジャズの王道アルバム、という感じです。
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