耽美的なほの暗い美しさとでも言うべきか、徹底して貫かれているこの美学が素晴らしい!それがこのアルバムだけでなく、ジャズマンとしての活動を通して貫かれているところが、チェット・ベイカーさんは素晴らしいと僕は感じます。それは、このアルバムでいうと、選曲の素晴らしさと、その選ばれた曲をどのように仕上げるかというその選択、この2点にかなりはっきり表れているんじゃないかと。"moon and sand"なんて、他にも演奏はいっぱいあるというのに、このレコードが出て以降は、これがこの曲の代表的演奏となってしまったんじゃないでしょうか。また、ハードなアドリブ方面のジャズばかり聴いていた僕は、このアルバムで「ああ、いい曲だな…」と初めて知ったスタンダード曲が結構あります。"Imagination"とか"daydream"とか。また、ロックンロール系のミュージシャン(?実はよく知らない^^;)のエルヴィス・コステロの"almost blue"なんて、原曲を聴いても全然良いと思わなかったのに、このアルバムでのそれは「うわあ、すばらしすぎる…」となってしまった。アレンジや表現を含め、音楽の成立のさせ方が素晴らしすぎるんでしょうね。もう、音楽自体は満点のアルバムです!!音楽自体は、ね…