『HUMBLE PIE / SMOKIN'』

HumblePie_Smokin.jpg そんでもって、ハンブル・パイのロック色がバリバリ前面に押し出たアルバム"Smokin'"です!!ジャケットはそこはかとなくダサいですが、これをハンブル・パイ最高傑作とする人も多いのではないかというぐらいにカッコいい!!

 このアルバムの時点で、バンドの2枚看板のひとりであるギタリスト・ピーター・フランプトンは既にバンドを去っていたそうです。しかし変わって入ったギタリストがこれまたカッコいい!!僕は、このアルバムの印象って「ロック」「ロックンロール」なんですが、それって"Hot 'n' Nasty"とか"30days in the Hole"とか"C'Mon Everybody"あたりのナンバーの印象が強いのかも。で、いずれもギターとオルガンのコンビネーションが素晴らしい。そしてど真ん中にロック最高のヴォーカリスト(私個人の見解です^^)であるスティーヴ・マリオットのあの凄いヴォーカル!いやあ、これでカッコよくならない筈が無いですね…。

 いずれも普通のロックナンバーなんですが、なんでこんなにカッコよくなるのか。きっと演奏のあり方に、その理由があるんじゃないかと。このアルバムはスタジオ録音だと思うんですが、どの曲もスタジオ・セッションという感じ。1曲目"Hot 'n' Nasty"なんて、セッション途中からいきなり曲に入って行ったような始まり方。"30 Days in the Hole"も、ハーモニーの練習をしながら、そのまま曲に入って行ったような感じです。こういう風にちゃんとバンドとしての合わせをしながら、楽譜には書けないような阿吽の呼吸をバンド全体が掴んでいったからこそ、こういうカッコ良さが出たんじゃないかと。
 なんでこういう事を書くかというと…若い頃、仕事でポピュラー音楽のレコーディングの仕事をさせていただいた事がありました。その時にビックリしたのは、スタジオに入っていきなり楽譜を渡され、ヘッドフォンからはクリック音が聞こえてきて、僕が演奏するピアノの前に、コンピュータの打ち込みでサンプルのピアノ演奏が入っていて、それを生の演奏に差し替えていくという作業だったんです。「え?バンドやオケ全体で音楽を作っていかなくていいの?」とか、色々と思う事があったんですが、仕事は流れ作業のようにどんどん進んでいきます。ピアノのソロパートもオープンで用意してあったんですが、歌とか主メロの把握も良く出来ないまま、2~3テイクほど演奏しただけでオッケーが出てオシマイ。こういった体験はこの時のレコーディングだけでなくって、ある有名なロックバンドのサポートレコーディングでも同じような事が起きました。またクリックに合わせて演奏か、信じられない。。いやあ、こんな作り方ではロックならではのあのグルーブなんて出るはずもないわ、80年代以降のロックのレコードがつまらないのは、こんな工業生産的なプロダクションをしているのも理由のひとつなんじゃないかと思ったのでした。で、その時のレコーディングエンジニアさん曰く、「今ではジャズでもクリックを使うのが当たり前ですよ」との事。ま、マジか…。90年代以降のメジャーレコード会社制作の日本ジャズがクソつまらないのはその為か。。しかしハンブル・パイのこのアルバム全体に感じる事の出来る「これぞロック!!」という感じは、バンド全体が生々しく動いているからだと思うんですよね。ロックはノリですよ!!

 ちょっと話が脱線してしまいましたが、フランプトンさんが去る事でポピュラー音楽の上質な部分は失われてしまったけど、逆にロック的なカッコよさが思いっきり前面に出る事になったアルバム、僕にとってはそんな印象のアルバムです!「めんどくさい事はいいんだよ、ロックは気持ち良ければそれでいい!」という方には、絶対におススメのアルバムです!!

 というわけで、今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いいたしますm(_ _)m


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『HUMBLE PIE』

HumblePie.jpg このローカル極まりない個人の音楽ブログですが、始めてみると色々な方に出会う事が出来て楽しい(^^)。神戸在住/デザイナー/妻と猫と暮らしている/このブログの音楽の趣味…たったこれだけのキーワードから、僕が誰かを言い当ててきた昔の友人がいたのにはビックリ!で、そんなブログを通じて知り合った方の中に、「四畳半大学」という素敵すぎるタイトルのTwitterをなさっている方がいまして、読んでいると、ジェームス・ブラウンとかグランド・ファンクとかハンブル・パイとか、僕が若い頃に身を焦がしたロックバンドの名前がわらわらと出てくる!!ハンブル・パイかあ…あれは素晴らしすぎるロックバンドだった。で、ゴソゴソとCDの棚を漁って、20年ぶりぐらいにハンブル・パイを聴いている次第です(^^)。

 これは、彼らのサード・アルバム。日本では『大地と海の歌』なんてタイトルで出ていました。ファーストがバンド名のみというのはよくある話ですが、サードがバンド名のみというのはちょっと珍しい(^^)。レコード会社も変わったし、心機一転、これこそが俺たちのアルバムだ!という感じなのかも。でもって…僕的にも、ハンブル・パイの作品の中では、これが一番好きです!!はっきり言ってダントツです。
 ハンブル・パイというと、ギターのピーター・フランプトンと、ヴォーカルのスティーヴ・マリオットのふたりがとにかく有名。そして…アルバムの詳細をウダウダいう前に、まずはヴォーカルのスティーヴ・マリオットの凄さを伝えたい!僕的には、ロックで一番すごいヴォーカリストは、ジャニス・ジョプリンでもロバート・プラントでもなく、ハンブル・パイ在籍時のスティーヴ・マリオットなのです!!発声が際立ってスゴイのは聴いたままですが、抑えて出して溜めて突っ込んで、更に潰したり綺麗に出したり、震わせたり張ったり…その表現力が凄すぎる!!そして、その表現力が最も発揮されたパフォーマンスが、このアルバムの1曲目"Live with Me"だと思っているのです。ここにはロック・ヴォーカルに託された表現というものが全て詰まってる!!この曲の謡い出しは"in the midst of all my sorrow…"という感じなんですが(俺のヒアリングが間違ってなければ、です^^;)、アタックだけ少し強くしたピアノから、次第にフォルテして行きながらのトップノートまでもって行き、その間にクリアな声色をだみ声調に変化させ(記号的に書くと、mminnnnnzzzzzthemmmmi-----st みたいな感じ)、トップ前いった直後に少し溜めて…みたいな感じで、たった4拍の間の表現がものすごい。表現の情報量がけた違いです。また、オペラとかジャズみたいな舞台用の歌唱ではなくって、あくまで話し言葉の延長でこういう歌につながっていくという境界侵犯的なニュアンスが素晴らしい!!なんか、「舞台のための」というある種の「用意された聖域の中だけの日常からの逸脱」ではなくって、「日常から地続きに存在する空間で行われる逸脱」という感じなのです!自分でも何言ってるのか分かりませんがww。。また、この冒頭の歌詞だけでも、引きずり込まれませんか?"in the midst of all my sorrow…"って、うわあって思っちゃいます。。

 そしてこの曲への引き込みは歌詞やヴォーカルだけではありません。曲自体の劇的構成が素晴らしい。まずはイントロ。キーは簡単にいえばCマイナーなんですが、ギター自体はマイナー調というよりもCペンタトニックの5音音階をラフに行き来している感じで、単位はCm→Fの往復横跳びで4小節単位。極端にいってしまえば、この曲の90%は、たったふたつのコードで出来ています。これが、最初の2回し(=8小節)はハモンドオルガン独奏でテーマの提示。次の3回し目がドラムがインテンポで演奏し始めてオンビートを提示するとともに、オルガンのテーマ自体にギターをオブリ的に重ねる事でテーマの展開。4回し目にオルガンがテーマ変奏、次にハモンドの倍音スライダーを操作してのロータリー効果からへテーマ変奏の展開形を作り、メロディラインも1オクターブあげダイナミクスもメゾでフォルテに、次のひと回しは更にオクターブ上でフォルテにまで達し、音楽的なひとつのトップを作ったところで一気にズド~ンとメゾピアノまで落としてハモンドをどけ、スッカスカに音のスペースを作ったところであのヴォーカルが…という展開です。ゾクゾク来ます。ヴォーカル登場までおよそ90秒、ここまでの間だけでも、たったふたつのコードで劇的展開を作り上げ、もう釘付けです。。いやあ、これは鳥肌モノだわ…。しかし、この曲の劇的構成はイントロだけでは終わらず、ツーコードをワンスケールで演奏するという規約の少なさからか、ギターの表現もメチャクチャ素晴らしく、最後の最後でついにポピュラーミュージックで和声的劇的展開を唯一作るドミナント(この曲ではG7)が登場!かと思いきや、それを同主調へのドミナント転調に用いてCマイナーへと転調!!したところでC→Cmへの更なる同主調転調!この曲唯一の劇的展開は、長々と続いた曲のターンバックで唯一登場するだけなのです。このタメがあるから、劇的展開が来た瞬間の快感が凄まじいんでしょうね(^^)。。

 う~ん、なんだか1曲目に関してだけでもいくらでも書けそうですが、日本盤のアルバムタイトルとなった"Earth and Water Song"も素晴らしい。アコースティックギターの、メロディを交えた非常にきれいなストロークプレイが素晴らしいんですが、これをエレクトリックなロック・バンドのサウンドの中に交えていくこのサウンドデザインが秀逸。次第にバンドサウンドを交えていく構成といい、Bパートの和声進行がギター音楽ならではの美しさといい、2コーラスBパートで初めてうっすらと出てくるハモンドの美しさ、エンディングの作り方、コーラスを簡単に循環させずにエレキギターのソロパートを1順前に予兆させるブリッジの挟み込み…これも書き始めたら終わりそうにないなあ(^^;)。いやあ、構成的な事ばかり言ってますが、それを音楽的に表現していくバンドもヴォーカルも素晴らしいです。ロックバンド、侮れません。。

 ああ、書き始めたらきりがありません。簡単にいえば、アコースティックなイギリスのフォークと、ロックンロールなエレキロックバンドというふたつの側面を、劇的構成という非ポピュラー音楽的な視点から作り上げたと言えそうなアルバム。ロックン歴史の中でもキラリ輝く名盤と僕は思ってます!!ロック好きと言っておきながらこのアルバムを聴いた事がない方がおられましたら、すぐにアマゾンをポチるか、ダッシュでレコード屋に行くことを薦めます!!また、ロックかどうかに限らず、音楽が好きだというなら、これは絶対に聴くべき!!僕にとっては絶対の1枚です(^^)。


『フロラン・シュミット:サロメの悲劇・詩編47番 / ヤノフスキ指揮・フランス放送響』

Schmitt_Salome.jpg 近現代のクラシック界というのは重層的な展開をしていて、新しい作曲規則に則った作品、作曲規則自体を生み出す作品、西洋音楽とは全く違うルールや価値基準を持っている「非西洋音楽」的な地域音楽作品、みたいなものが、ある意味で現代を象徴しているかのような印象があります。しかし実際のところでは、昔から続いている(ベートーヴェンのような?)機能和声的なルールにのっとった音楽が、実は一番数多く作られている気がします。今年、悪い意味で話題になった佐村河内さんがらみの『広島』なんかもそう。で、僕は長らくこういう保守的な傾向にある近現代の作品を軽視していたわけですが、ところがどっこい、こういうものの中にも「いやあ、これは素晴らしい」と思えるものが結構ある事が判明。このCDも、そんな中の1枚として出会ってしまったわけです。

 このCD、そんな近代音楽の中で保守的な傾向を示した、あるフランス人作曲家の作品集です。気をつけなくてはいけないのは、この作曲家の名がフロラン・シュミット Florent Schmitt である点。実は、同世代の作曲家にフランツ・シュミット Franz Schmitt という人がいまして、僕はず~っと長い事、この二人を混同していました(´・ω・`)。というか、「シュミット作曲」とあったら、全部フランツかと思っていたのです。ああ恥ずかしい、死にたい気分です。いやあ、どちらも音楽がロマン派的な傾向にある(フランスとはいえ、シュミットという名前から察するにドイツ/オーストリア系なのかな?)し、このCDの表紙も"Schmitt"とは書いてあるけど、ファーストネームなんて書いてなかったし…。で、多分このフロランさんの方がマイナー。マイナーなんですが…いやあ、このロマン派ならではの官能性の中に、フランスならではの色彩感、またこの作曲家特有の感傷的な描き出しなんかもあって、これがなかなか素晴らしかった! このCDには、フロランさんの代表作2曲が収められているんですが、またその中でも代表的名演と言われている物だそうです(他のオケの演奏を聴いた事がないので、僕には判断できない^^;)。どちらも、題材が面白い!

CaravaggioSalomeMadrid.jpg ひとつは"La Tragedie De Salome"。サロメって色々と有名人がいますが、新約聖書の福音書に描かれているヘロディアの娘のサロメです。聖者ヨハネの首を持っている、あの美女の絵画のサロメです。カラヴァッジョの絵のサロメは凄かったな。。ところでカラヴァッジョって、首を切る絵が多い気がする…。おっと脱線、そのサロメ物語が2楽章形式で音によって描かれるんですが…いやあ、機能和声の官能性ここに極まれりという感じで、各シーンでの色彩感も素晴らしければ、ドラマ展開も素晴らしい!この作品、テキストは全く使われていないんですが、音楽を聴いているだけで物語の筋が解ってしまうからすごい(あ、もちろんサロメ伝説を知っているとしての話しですが…)。ポピュラーもジャズもクラシックも、片っ端からオクターブ7音の3度積み和音の機能和声音楽オンパレード状態に反吐が出そうだった若かりし頃の僕でしたが、そうでない音楽をたくさん聴いてから、こういう西洋音楽の中心的作風に戻ってくると、やっぱり西洋のクラシック音楽の伝統は偉大だと言わざるを得ない気分になってしまいます。あの精緻なインド芸術音楽ですら、ここまで緻密で、響きが多彩で、ドラマ展開に柔軟な語法には辿りつけていないわけですから。ベートーヴェンの『田園』の記事で同じことを書きましたが、音を使って絵画的な描き出しをするというこの西洋クラシックのロマン派限定の技術というのは、本当にすごいと思います。もう、この凄すぎる時間に沿って動く音的絵画を堪能するだけでも、このCDは買いです!!

 もうひとつ収録されているのは、デュミエールの詩をテキストとして用いた"Psaume 47"。冒頭からいきなり打楽器的展開、"Gloire au Seigneur!!"(神の栄光!!)の大合唱で始まります。それにしてもこのパーカッシヴな展開、ヴァレーズの現代曲ほどとは言いませんが、少なくともストラヴィンスキーの"春の祭典"あたりからの影響は受けていそう。こういう「既にある伝統のバリエーションの大量生産」的な所が保守的作曲の残念な所なんだよなあ…な~んて思いながらこの作曲年を見ると…1904年?!うおおおお、、信じられない、春の祭典より先じゃねえか!!!!これは驚き、もしかするとストラヴィンスキーの方がこのシュミットの詩篇から影響を受けたのかも。思いつきですが、このシュミットの「詩編47」が、ストラヴィンスキー「春の祭典」の原典となった可能性もあるんじゃないでしょうか?!そして…この打楽器的で祝祭的な展開の合唱が終わった途端にマイナー転調するその瞬間の落差が、これまたロマン主義的な悦楽。そして、ソプラノの独白パートをハープで支えるシーンでの美しさと言ったら…いやあ、これも素晴らしい作品でした(^^)。

 近現代の保守派クラシック作の中にも、これほどの名作がある事を思い知らされた素晴らしい作品でした。響きの上面だけを追ったら「よくあるクラシック的な作品だな」と思われてしまうかもしれませんが、真剣に聴いていると随所に光るところがある。上に書いたのはこの作品から僕が感じたほんの一握りの事であって、この記事を書いている間にも何度もこの作品を聴いているのですが、そのたびに色んな発見があります。あるひとりの作曲家が、職業意識ではなくって、自分のライフワークとしてその智慧のすべてを注ぎ込んだかの如き作品。これは素晴らしい…。


『ロシア民謡』

RussianFolkSongs.jpg クリスマスです!ということで、寒い地域の音楽を(^^)。日本のビクターから発売された、ロシア民謡の2枚組オムニバスです。日本製の編集盤と侮るなかれ、日本のコーラスグループが演奏しているとかのチープなものではなく、すべてがロシア国立合唱団とアレクサンドロフ赤軍合唱団の、本家本元の無伴奏合唱です!!

 「ロシア民謡」というのはなかなか曲者の言葉で、日本で知られている「ロシア民謡」というのは、ロシアの民謡という訳では全然なくって、ある一時期のロシアの歌謡音楽の事なんだそうで。で、このCDはというと、「ロシア民謡」と「ロシア歌謡」の両方が取り上げられている感じです。あと、「ロシア民族歌」も。これらの音楽って、ここ80年ぐらいの西洋の流行音楽と違って、録音されたレコード/CDが基準となっているわけではないので、どの有名な歌も、だれかの持ち歌ではありません。ロシアの歴史上の色々な過程もあると思うのですが(例えば、旧ソ連体制下では、政治歌が禁じられていたり、そもそも音楽というものが人を堕落させるものという事で否定的に扱われていたり)、誰という訳でなく、みんなが歌い継いできた歌というものが多いみたいです。つまり、英米のポピュラー音楽になじんできた僕の耳にとっては…商売っぽいところが全然なくって、本当にロシアの人たちが思ったり感じたりしたことが、そのまま歌になっているように感じてしまう。これが、心を揺すぶられます。例えば、「トロイカ」という有名な曲も入っているのですが、内容は日本に伝わったあの歌詞とは全然違って、「恋人がいたのだが、異教の村長の横恋慕で遠くに追いやられてしまう」という内容。その悲劇を聞いた郵便配達人は、それでも自分になすすべがなく、そりをひく馬に鞭を打つしかない。他には、圧政に苦しむ農民が起こした暴動の首謀者であったステンカ・ラージンを歌った史歌とか、有名な「ともしび」なんかも、戦争に行く恋人に送った歌であったり。歌の最後は「若者よ、憎き敵を倒せ、祖国ソヴィエトのために」なんていう締めくくりだったりします。これらの歌、僕が慣れ親しんできた西洋のポピュラー音楽とはリアルさが違いすぎます。もう、魂の叫びという感じ。

 詩だけでなく、音楽も素晴らしいです。ロシアと言えばキリスト教ではあるけれども、プロテスタントでもカトリックでもなく、正教系です。正教系の音楽と言えば、無伴奏合唱。これが民衆音楽にも影響していて、無伴奏で歌われているものが多いです。これが正教系合唱のあのものすごいハーモニーをそのまま流用していて、ものすごいコーラス!!たまに楽器が出てきても、西洋の商音楽に毒されたものではなくて、バラライカとか、そいうロシアの家庭にありそうな楽器だったり。これは「ロシア国立合唱団」の特徴で、「赤軍合唱団」のほうになると、マーチングバンドが入って相当に戦闘的になるというか、コサックの音楽とかに近づく感じです。「道よ道」という曲なんて、暗さと同時にえらく強靭というか、ほとんどモリコーネの西部劇の音楽みたい。実はモリコーネ音楽の着想って、こういう所ら来たんじゃないかというような叫ぶような男声合唱のユニゾンとか。
 また、東ヨーロッパ文化圏という事もあるのか、舞踊音楽の要素もチラホラ感じることが出来ます。非常にゆっくりしたところから、まったく同じ音型を繰り返しながら、徐々に速くしていき、最後にはとんでもなく速くなって、いきなりブレイクする。これは明らかに東ヨーロッパの舞踊音楽と共通するところです。しかし、音楽は(歌詞を抜きにしても)暗いものが多く、例えば単純なところでも、長調よりも短調の方が圧倒的に多いです。短調の方が多いという西洋文化圏を、僕はロシアのほかに知りません。やっぱり、厳しい自然環境下、また政治的に抑圧されてきた人たちの心情をあらわすカタルシスとしての音楽という事になると、ロシアの場合はどうしても暗いものになってしまうのかも知れません。

 この抒情性、ほのぐらい悲しさのような情感、僕はこういうところに独特な感慨を覚えてしまいます。そういう世界観の中で、とてつもなく美しいコーラスが聞こえてくると…もう、あの世で響いている音なんじゃないかというぐらいの感じ。このCD、解説は素晴らしいし、全部日本語訳はついているしで、文句なしの丁寧な作りです。冬、心を落ち着けて、こういう一面雪世界といったような音楽を聴くというのも、素晴らしい体験なのかも知れません。本当に素晴らしいCDだと思います。なんか、今はプレミアついちゃったみたいなので、安く見かけたらぜひ!!



『Jim Hall / live!』

jIMhALLlIVE.jpg 前の記事に書いたジャズ・ギターのジム・ホールさんとウッドベースのロン・カーターさんのデュオが「リラックス系」だったのに対して、このアルバムでのジムさんはかなり攻めっ気があって、ギター弾きまくり感の強いアルバムです。ジャズの華麗なアドリブを楽しみたいというのなら、ほとんど超絶といっていいほどのジャズギターの妙技を聴く事が出来るこのアルバムは超おススメです!!

 超絶とはいっても…僕的には、単旋律をいくら早く演奏しても何とも思わないというか、それなら何の楽器であれ、楽器をはじめて数か月もすればすぐに演奏できるようになると思うんですよ。そうじゃなくって、旋律と和音を同時に演奏出来るか…僕的には、ちゃんとしたギターを演奏できているかどうかは、まずはここが重要なのです。フュージョン系のギタリストがいくら弾きまくっても、単旋律だったらロックはじめたてのギター少年だって出来るだろ…と思ってしまうわけです( ̄ー ̄)。で、ジャズでこれをやるというのは、更にアドリブも入ってくるわけで、けっこう大変なのか出来る人の人口は一気に減ってしまうのですが…いやあ、ものの見事に演奏しきっちゃってます。これ、マジでライブなのか…完璧すぎます。。

 このアルバム、ピアノレスのギタートリオです。というわけで、ロン・カーターさんのデュオの時と違ってドラムが入っているのですが、これが演奏を白熱させた原因かもしれません。ソロアドリブがかなりアツい。熱いといっても、子供っぽい「単旋律でバリバリ」じゃなくって、「曲の構成や音楽の流れを考えながら、和声やメロディの組み立てを睨みながら…」という、非常に高度なソロアドリブ。"'Round Midnight"の組み立てなんて、もう作曲してあるんじゃないかというぐらいの素晴らしさで、もうこれは達人の域といっていいんじゃないかと。あ、そうそう、ジム・ホールさんを語る時に「凄いインプロヴィゼーション」なんて言われることがありますが、今言ったような理由でもって、こういうのはソロ・アドリブであってインプロヴィゼーションと呼ぶのは抵抗があったりするんですが…まあ、そんな事はどうでもいいですね。

 これだけのスーパープレイにも拘らず、「曲を活かしたソロアドリブ」というジム・ホールさんの音楽スタイルが、「ソロパートに入ったらスケールバリバリのソロ」という当時のジャズの本流からそれてしまったのか、意外にもリーダー作が少ないです。ギタートリオともなればさらに少なくなるので、これはジャズギターファンならマストの1枚じゃないかと。メンバーも曲も分からず、デザインも最悪というジャケットさえ何とかしていたら、もっと高く評価されていたかも(^^;)。。通好みの、しかし本気で聴けば聴くほど「これはすごい…」と唸らされてしまう素晴らしい作品と思います。


『Ron Carter & Jim Hall / Live at Village West』

JimHall_LiveVillageWest.jpg これは、ひとつ前の記事で書いた、ジム・ホールとロンカーターのデュオアルバムのの姉妹盤。1枚目の『Alone Together』はあれほど有名なのに、こちらはなぜかあまり語られないのが不思議。しかし…個人的には、こっちの方がおススメなのです!

 まず、1曲目の"Bag's Groove"のパフォーマンスが素晴らしすぎます。ドラムレスで、最低限の音だけを選んで、温かいサウンドのジャズギターとウッドベースが会話するように演奏していくのですが…いやあ、これはため息が出ちゃうようなワーミーな演奏。"Bag's Groove"という曲は、いかにもバップ曲という感じの曲で、特別に好きな曲でもなかったんですが、同じフレーズを和声を変え、調を変えながら重ねていくという質感を前面に押し出されるとすごく気持ちいい!!色彩豊かでほっとしてしまう感じです。これ、ジャズギター特有の展開形を使った和声の重ね方をするから、余計に気持ち良いんでしょうね、きっと。
 サウンドは癒し系ですが、プレイはかなり音楽的で、音の印象だけの音楽という事は全くなくって、音楽の動向から注意が離れる事がありません。普通のジャズのスタイルで、テーマを演奏したらすぐにアドリブパートに移るんですが、うまく組み立てるんですよね。全部同じ構造なのに、なんでここまで飽きずに聴かせられんだろうか、すごすぎる。。
 このあたり、ジム・ホールさんのアーティストとしての器量が存分に出ているんじゃないかと。また、ロン・カーターさんも実に歌心があって、ジムさんについていくばかりでなく、自分の方から新しいメロディを仕掛けて行ったりします。ウッドベースって、バンドという構造の中だとどうしてもある役割を負わされてしまう事が多いと思うんですが、デュオだとここまで出来るようになるんですね。いやあ、素晴らしい!!
 選曲も見事です。アップもミディアムもスローも実にバランス良く配分されているんですが、"Embraceable You "なんて絶品で、「ああ、スタンダードの中では通好みの曲だけど、やっぱりいい曲はいい曲なんだな」と、あらためてほれぼれしてしまいました。

 冒頭に書いたように、同じプレイヤーで同じコンセプトのアルバム『Alone Together』が大絶賛されているのに、それに優るとも劣らないこのアルバムが黙殺状態というのが信じられません。個人的には、こっちの方が数段好きだというのに…。でもおかげで、僕はこのレコードをすごく安く手に入れたんですよね、25年ぐらい前に。しかし、今アマゾンを見ると…2万円?!!いや、それは高過ぎだろう…昔買っておいてよかったわ。。



『Jim Hall - Ron Carter Duo / Alone Together』

JimHall_AloneTogether.jpg ジョー・パスを取り上げた以上、ジム・ホールを取り上げないわけにはいきません(^^)。これはウッドベースのロン・カーターさんとのデュオで、小さなクラブで演奏したと思われるライブ録音。本当にリラックスしながら気持ち良く演奏している感じです。いやあ、これはいい…。

 なにより、ドラムレスのサウンドが素晴らしすぎます!若い時からポピュラーやロックやジャズばかりを聴いていた僕は、音楽に打楽器が入るのが当たり前、特にドラムは当たり前…という感じだったんですが、時としてうるさくも感じていたんですよね。場合によっては、「このドラム、他の演奏者のメトロノームの役割しかしてなくね?音的にはいない方がいいんじゃ…」と思う音楽もあったり。特に、こういうリラックスムードで、しかもジャズギターのあったかい音が気持ち良すぎる音楽には、ドラムはいない方がいいと思わされることも度々。少し前に紹介したチェット・ベイカーのレコードなんかも、ドラムレスのジャズギターがすごく気持ちよく感じたものでした。このアルバム、ジャズギターのあの温かいサウンドに、ウッドベースの「ボ~ン」って音がすこぶる気持ちいです。ただ、ライブ録音の制約からか、ベースは低音が録音されていないのがちょっとだけ残念なのですが、音楽の内容が良すぎて文句を言う気になれません。。

 ジム・ホールさんがジャズギターのレジェンドクラスのスーパープレイヤーであることは間違いありませんが、ジョー・パスさんと比べると技術的には少し劣っちゃうと思います。しかし、ジム・ホールさんの方が歌心があるというか、すごく音楽的な感じがするんですよね。このアルバムでも、ソロを取る時のメロディの使い方とか、どこで和音を当てるかとか、そういう所がジョー・パスのように機械的に選ばれているんじゃなくって、音楽的に歌わせるようにという視点から音をチョイスしている感じがします。これもよく名盤として紹介されている1枚ですが、まったくその通りだと。しかし、話しはここで終わらずに…(次回へ続く( ̄ー ̄))


『Joe Pass Chord Solos』

JoePass_ChordSolos.jpg ジャズ・ギターのジョー・パスの、コード・ソロのための教則本です。

 私は、和声楽器ではピアノを少しだけ演奏するんですが、あこがれるのはギター。ギターといってもロックやフォークじゃなくって、クラシックやジャズやフラメンコ。これらのギターって、ギターなのに旋律と和音を同時に演奏しちゃう所がスゴイです。ピアノなら片手がメロディで片手が伴奏…という使い分けが出来ますが、ギターにそれは無理。じゃ、どうやっているのかと想像すると…もう、神業なんじゃないかと思うんですよね。カッコ良すぎて、メチャクチャあこがれます(o^ー^o)。
 でも、クラシックならまだわかる気がするんですよね。どうやれば旋律と和音を同時に演奏できるかを考えて、ひとつずつ音符を書いて、音楽のデザインを予め完成させておけばいいのですから(それにしてもその幾何学的な楽譜を演奏しちゃうところがスゴイ)。しかし、ジャズとなると…アドリブで旋律と和声を同時演奏なわけです。オソロシイです(゚д゚ノ)ノ 。とはいっても、ジャズギタリストの全員がそれをやっているわけではありません。有名人でもウェス・モンゴメリーとかグラント・グリーンあたりだと、メロディはメロディ、コードはコード…みたいに住み分けていて、しかも旋律部分が圧倒的に多い感じ。逆に、コード部分ばかりが目立つ人もいます。クラシックギター並みに旋律と和音を共存させるギタリストというと…真っ先に思い浮かぶのがジョー・パスさんとジム・ホールさんの2人です。この両者はちょっと凄すぎます…。そして、そのジョー・パスのギターマジックを知る事が出来るのがこの本というわけです。いやあ、これはすごいです。

 ジャズとポピュラーは、使っている音楽理論がおおむね同じです。違うのは、ジャズの方が和声の動きを重視する事。ポップスなんかだと、コーラスの最後にある和音(例えばG7)をジャーンと1~2小節演奏しちゃう事も平気でありますが、ジャズの場合はこういう事はせずに、そこで小さな何らかの進行を作って(例えば、Dm7→Am7→Dm7-5→G7+9みたいな流れとか…)演奏する事が殆どです。コード・プログレッション自体で劇的構成を作っちゃうんですよね。で、この時にはコードの変化によって変わる音と変わらない音というのがあって、変わる音だけを拾っていくと、それだけでメロディの体をなしたりして、残りの音は変わらないのだからそれは和音のような役割となっていたりして…みたいな捉え方もできると思うのです。で、この本ですが、ジョー・パスのあの見事なコード・ソロが、有名曲になぞらえて(というのは、著作権使用料を払わないためか、タイトルが有名曲とちょっと変えてあります。"Wine and Roses"とかね^^;)これでもかとばかりに書かれています。エクステンションの変化、代理進行、ツーファイブモーション時の付加音、メロディとの兼ね合い…いやあ、ギター1本でここまでやってしまうのか、一人二重奏だわ、すげえ…。この本を見た時、初めてジャズ・ギターの本質的なシステムに触れる事が出来たような気がしました。

 とはいえ、ナンチャッテでしかギターを演奏できない僕の事、がんばったのですが、指がぜんぜん言うとおりに動いてくれません(T-T)。結局、1曲として通して演奏出来るようにはなれなかったのですが、本気で取り組めば出来そうな感じです(無責任発言( ̄ー ̄))。本気でジャズギターを演奏したいと思ったら、ベーシックな理論を学んだあとで、こういう本にまじめに取り組めば演奏できるようになるんだろうな…という気がします。仮に演奏せずとも、ジャズギターのあの妙技のからくりを知りたいと思う方がいらっしゃいましたら、ぜひ一読をおススメします!!


『Joe Pass / INTERCONTINENTAL』

JoePass_InterConti.jpg 前の記事でべた褒めしたジャズ・ギタリストのジョー・パスさんのアルバムです。このアルバムを手にしたのはずいぶん昔の事なんですが、ピアノレスのギタートリオという事で買った記憶があります。何故ギタートリオだと買うのかというと…
 僕が好きなジャズギターは、メロディも和音も同時に演奏しちゃうタイプ。ジャズギターでこれを綺麗に演奏できる人というのは意外と少なくって(たいがいはピアノに伴奏してもらって自分は旋律だけバリバリ演奏しちゃう^^;)、ジョー・パスは、テクニックとしてはその最高峰なんじゃないかと思うのです。で、この妙技を味わうには、ピアノが入っていないギター/ベース/ドラムスのギタートリオが最高!

 さて、内容ですが…演奏がうますぎる!傷ひとつない!リズムは正確、和音は見事、メロアドリブはよどみなく流れる!のですが…なんか教科書的というか、はみ出る部分がまったくないです。僕が思っているジャズとかタンゴのカッコいい部分って、実際の音にしてもやっている行為にしても、「はみ出す部分」で何を出来るのかだと思っているのですが、これだけうまいのにひたすら無難にまとめてしまったのがちょっと残念。僕にはこれはイージーリスニングやBGMに聴こえてしまいます。MPSというレーベルのカラーもあって、意味不明に透き通ったリヴァーブがたくさんかかっているのも、そう聞こえてしまう原因になっちゃったかも。前の記事で書いたカーメン・マクレエの時の演奏のような表現的な部分が欲しかった…。あれってきっと、カーメンさんの表現に合わせたからああなったんでしょうね。

 ジョー・パスさんというのは、アーティストというよりは職人気質なんじゃないかと思います。ポピュラーミュージックを演奏する技術は完ぺき。オーダーされれば何でも引き受けて綺麗に完成させちゃう。だけど、アーティスト的なこだわりというのがあまりなくって、ギターの音も、アンプだろうがラインだろうがあるもので間に合わせちゃう。音楽そのものも冒険的な踏み込みはない。技術的にはジャズギター最高峰、歌の伴奏をさせると信じられないほどの完成度にしちゃう達人、しかしリーダー作に傑作が無いというのが、僕のジョー・パスさんの印象です。そうそう、これは音楽の内容に「アーティスト性」を求めるからであって、このレコードをジャズギタートリオ屈指の名作にあげる人がいるのも事実。もし僕がギタリストだったら、このレコードは間違いなく教科書にするでしょう。イージーリスニングとして聴けば、これほどの完成度の作品もないと思います(^^)。


『Carmen McRae / The Great American Songbook』

CarmenMcRae_GreatAmerican.jpg ジャズ・ヴォーカルのベスト10には絶対に入るだろうカーメン・マクレエ、その代表作の1枚です。スタジオ録音ではなくってクラブでのライブ録音なんですが、これが素晴らしい!!お客さんの笑い声や拍手の感じから判断すると、小さなクラブでの演奏だと思うんですが、ムードがいい、録音もよい、演奏も素晴らしい!!

 タイトル通り、スタンダードやジャズ曲を含めた「アメリカン・ソング」がこれでもかとばかりに歌われます。サテン・ドール、イースト・オブ・ザ・サン、アイ・クライド・フォーユー、ボディ・アンド・ソウル…いやあ、聴き始めたら最後、ため息ついて聞き惚れてしまう…。"Easy Living"なんて、このアルバムで初めて知った曲だったのですが、こんなにいい曲があるのかと驚いてしまいました。 

 そして、カーメン・マクレエ。「ジャズ・ヴォーカルではアニタ・オデイが一番好き」と書いた事があります。それは今でも変わらないんですが、しかし歌唱力という点から言うと、カーメン・マクレエさんはアニタさんをはるかに凌ぐ歌唱力の持ち主だと思います。うますぎる。しかしそれがもろ刃の剣で、カーメンさんって、歌がうますぎて、もって行くところで声を張って圧倒して持って行ってしまうんですが、時としてそういったエンターテイナー性ばかりに走ってしまう時もあります。しかしこのライブでは、お客さんと会話しながら、聞かせどころでしっとりと表情をつけて歌うのが素晴らしい。自分の歌唱力の誇示よりも、歌を表現する事が優先されているんですよね。これが絶品、道具が正しく使われた時の破壊力ったらありゃしません。ほれぼれしてしまう…。

 また、歌の伴奏が小編成であるところが好きです。ギター、ピアノ、ウッドベース、ドラムのカルテット。ブラスバンドを入れてドッカンドッカン来る歌伴も時として悪くないですが、しかし伴奏が派手すぎると、ジャズヴォーカルの見せどころのひとつである「メロディの後のヴィブラートのコントロールの妙」が消されちゃうんですよねえ。特に、マクレエさんは、メロディが終わった後からの声の伸び方、ヴィブラートのコントロール、最後の息の抜き方が凄くって、このパフォーマンスだとこれらが全部きれいに聞こえる。それを見事に描き出した原因は、恐らくバンドマスターと思われるジョー・パスのギターなんじゃないかと思います。ジョー・パスという人はジャズギターの最高峰のひとりですが、残念なのは音に無頓着であること。名盤扱いのギター独奏のレコードなんか、ラインで録ったんだじゃなかろうかというぐらいに細い音で、音がしょぼすぎて聴けたものじゃありませんでした(T-T)。しかしこのライブでのジョー・パスのギターの音といったら、美しすぎる。ワイングラスを叩いているんじゃないかというぐらいに澄んでいて、夜鳥が鳴いているんじゃないかというぐらいにあったかい。そして、歌の合間を縫って、必要最小限にカウンターラインを入れてくるんですが…いやあ、これだけ隙間を作っておきながら、なんだこの説得力は!!ここまで音を省いて、しかしリズムを失わないでメロディを和声をまとめ上げるというのは並大抵じゃないだろ…僕的には、どのジョー・パスさんのリーダーアルバムよりも、このアルバムでのジョーパスが、彼のベストパフォーマンスだと思っています。特に、小節を倍に増やしてアレンジした"The Days of Wine and Roses"のスペースを広く残しながら歌を飾っていくギター、鳥肌モノです。

 僕が持っているのは「完全版」という2枚組のCD。アナログの頃は、1枚ずつ別売されていた模様。しかし、「2枚目はオマケみたいなもの」なんて生易しいものではなく、どちらも捨てがたい素晴らしさ!!というわけで、個人的にはまとめて「完全版」を買うのをおススメします(o^ー^o)。女性ジャズ・ヴォーカル好きなら、絶対のマストアイテムです!!


『The Chemical Brothers / dig your own hole』

Chemical Brothers_Dig 同じく、90年代中ごろのポピュラー音楽で印象に残っているものを。97年発表、ケミカル・ブラザーズというグループのセカンドアルバムです。ブレイクビーツとかDrum 'n' Bass とかエレクトリカとか、そういうある種の「新しい音楽ジャンルの枠」を指す言葉が出てきた頃でした。やっぱり、サンプラー登場以降のクラブあたりから始まった音楽の流れなんじゃないかと。前の記事のジャミロクアイと違い、ポピュラー音楽業界の枠からはずれているところが、よりリアルなクラブ・ミュージックという感じでした。実際、東京や神戸どころか、アメリカで行ったクラブでもよくこういう音楽がプレイされてました。でも僕は、クラブのノリがあまり好きじゃなくって…アルコールとセックスまではいいんですよ。どうにもドラッグがね(゚∀゚*)。。まあ、そういうアンダーグラウンドなものを良しと見るセンスは、アルバムタイトルなんかにもあらわれてると思います。

 このアルバムで一番有名なのは、1曲目の"block rockin' beats"だと思います。ドラムのフィルがカッコいい!!!執拗に繰り返されるギターのリフがいい!!そして、何よりサウンドがカッコいい!!しかし、この心地よいサウンドに浸っているうちに、ある事に気づき始めます。意図的にコンプレッションされ、低音が強調され、電子音が飛び交うこの派手なサウンドが音楽的な印象を決定づけていると思うんですが、音楽そのものの作り方はミーターズとかの古き良きオークランド・ファンクと完全に同じですよね(^^)。つまり、変化したのは新しくなった楽器のサウンドだけ、と言えるんじゃないかと。他の曲も、ループ多用の構構造からしても、基本的にはグダグダと酒飲んで、踊りたい人は踊って…みたいなクラブ音楽がベースなんでしょうね。それは、50年代からあまり変わっていないという事なのかも知れません。
 90年代中頃のクラブ音楽というと、皿回しなりサンプラーなりでベーシックリズムを作り、その上にエレクトロ系の音をかぶせてフィルターなんかで操作して、30分ぐらいしたらクライマックスでリズムを切ってフィルターで音を変化させてクライマックス…というのが形でした。なぜかみんなクラブで金太郎飴のようにこうしてたなあ、なつかしい。

 こういうのって、家で聴いても全然楽しくないような気もしたんですが、最近は寒くって作業効率が落ちてたのです。そんなもので、「なにか垂れ流しで掛けておくだけで仕事が捗る音楽は無いかな…」なんてゴソゴソやってたら、このアルバムが出てきた次第。いやあ、これは作業BGMとしてもかなりイケる音楽ですよ!!


『Jamiroquai / Travelling Without Moving』

Jamiroquai_Travelling.jpg 1996年、僕がまだ音楽のお仕事をさせてもらっていた頃に流行していた、ジャミロクワイという人のサードアルバムです。クラブ系のコンプ・サウンドを取り入れたポピュラーアルバム、といった感じでしょうか。これが実に心地よい!!

 90年代中ごろ、僕は20代半ばで、もうポピュラー音楽からは相当に離れていました。でも、音楽に関わっているという都合上、流行しているサウンドも勉強しなくちゃいけなかったんですよね。90年代というのはサンプラーやDTMが流通し始め、音楽理論が分かっていない人でも音楽を作る事が出来るという状況になりつつあった頃でした。そしてそういう音楽はクラブでプレイされたりして、また音楽的な部分は稚拙でも、サウンドの部分ではプロよりも魅力的なものを作る人が結構出てきていました。そしてこの「クラブサウンド」的な文化というのは国境をまたいで繋がっていて、アメリカ、イギリス、日本、ブラジル、インドネシア…けっこう、どの国にも共通するようなサウンドを持っていたという印象。リヴァーブを排し、コンプレッサーで平均化かつ倍音を強調、そしてベース音をリアルな演奏ではありえないぐらいにブースト…こうしたクラブ系のサウンドの特徴を英米のポピュラー音楽に見事にフィードバックしたのが、このジャミロクワイという人だったんだと思います。音楽でも、ループ系のシーケンスが多用されたり、やっぱり90年代のクラブ音楽っぽい特徴がチラチラ見えます。でも、超クラブじゃなくって、サビはすごくキャッチ―。"Virtual Insanity"とか"Cosmic Girl"は、この「クラブ系ポップス」というジャンル(そんなジャンルあるのか?)最高の作品だと思います。

 僕が既にポピュラーから離れていた90年代にも、ポピュラーで好きな作品というのが少しだけあるんですよね。でも、それらに共通していえるのは、80年代のポピュラーみたいな「職業音楽家」じゃなくって、アマチュアが作っているという点が共通しているのかも。たぶん大事なのは「お客さんが喜びそうなもの」じゃなくって「自分が好きなもの」を作る事なんじゃないかと。いい意味でアマチュアな音楽が創造的で楽しいものを生み出していたのが、90年代中ごろのポピュラー音楽の特徴かもしれません。

『ミザーナ・フォールズ』 PlayStationゲーム

MizzurnaFalls.jpg 音楽を紹介するブログの主旨から大きく脱線すると分かっているのですが…ツイン・ピークスの話しをした以上、どうしても紹介したいテレビゲームがあるのです。プレイステーションのテレビゲーム「ミザーナフォールズ」です!

 内容は、「ある日女子高校生が行方不明になり、同じ日に教会に養子に入っていた別の女の子が発狂状態で入院、この子の容体が良くなったかと思った時に病院で突然絶叫して突然死。プレイヤーは、いまだ行方不明の女の子の彼氏である主人公になって、町中を歩き回りながら1週間以内に事件を解決する」という、推理系のアクションアドベンチャーゲームです。アメリカの寒そうな小さな田舎町で、たくさんの人が生活していて、女の子が事件に巻き込まれ、同じときにいたと思われる発狂状態の娘がいて、森の中に精霊が…町には皆の集まるダイナーが…警察署が平屋建ての木造…事件に巻き込まれた女の子の親友の女の子があらぬ恋に…ガソリンスタンドでは…完全にツインピークスです。訴えられたら敗訴確定なんじゃないかというほどによく似ています。

 で、ですね、雪の降っているこの町がかなり広くて、湖あり、山の方に行けば教会あり、町の中心には映画館もあればダイナーもあり…と言った感じで、町全体がものすごく魅力的。自分ではこういう所に住む事は人生で起こらないだろうな、と思うのですが、それが体験できる!歩き回っているだけでも楽しい、素晴らしい!
 また、町が素晴らしいだけでなくて、この世界の中で実際に人々が生活しているというのがスゴイ。例えば、ある人は、毎朝ダイナーに食事に来て、その後に出勤して、夕方に帰って、夜はバーに顔を出して…という感じで、マジで生活している。これがひとりでなく、何十人という登場人物のそれぞれがそうやって町の中で生きている!しかも、帰る時はちゃんと車に乗って帰ったりして、尾行するとちゃんと家まで帰って鍵を開けて家に入ったりする!!素晴らしすぎるのです。

MizzurnaFallsPic1.jpg さて、ゲームの方はというと、かなりムズカシイです。とにかく人と会話をして、「明日の朝8時にクマ狩りがある」と聴いたら速攻メモ!!翌日の朝8森に行きます!疾走中の女の子が病院でおばあちゃんと話していたという情報を掴んだら、おばあちゃんに会いに行く!!…みたいな感じで、情報を集めては様々な行動をとるのですが、この素晴らしい街がかなり広くって、車を使っても端から端まで行くのに30分はかかる(ゲーム内の時間で、です^^)。というわけで、回る順番もよく考えてプランして…というようにしていくと、とても町の見物なんてしている余裕はありません(^^;)。僕は7回ぐらいやり直し、さらに「ゲームをやる時は絶対に読まない」と心に誓っていた攻略本にまで手を出して、ようやく最後まで行くことが出来ました(^^)。たぶん、攻略本なしでもクリアできるとは思うのですが、かなり根気が必要だと思います(^^)。

 しかし、ゲームをクリアできるかどうかとは別の所で、「実際の自分の人生では絶対に体験できない別の人生を生きる事が出来る」という意味では、ゲームというのは映画以上のメディアかも。古いゲームですので、人物のグラフィクスとかに古くさい点があるのは否めませんが、そんな事が全く気にならなくなるほどの素晴らしい世界。ツイン・ピークスが好きな人には絶対におススメできる素晴らしいゲームです!!


『ツイン・ピークス』 (映画/テレビドラマ)

TwinPeaks.jpg 音楽のブログだというのに、しかも書きたいと思っている音楽がまだまだゴマンとあるというのに、サントラを聴いた事を切っ掛けにとうとう映画/TVドラマに手を出してしまった(^^;ゞイヤァ。前の記事で書いたツイン・ピークスです!1990年頃、制作国であるアメリカはもとより、世界中で大ヒットした映画/TVドラマです!大学生の頃に夢中で見たのですが、かなり記憶が曖昧になってきたので現在見なおしている途中なのですが…やっぱり面白い!!観ていない方には、是非とも視聴をおススメしたい作品です(^^)。。

<内容> *まだ見ていない人が読んでも、大丈夫なように書いたつもりです(^^)
 内容をザックリ言うと…ある日、寒そうなアメリカのちいさな地方都市の湖のほとりに、ビニールで梱包された若い女性の死体が流れ着く。その死体の名はローラ・パーマー、この町の高校で美人として噂されていた娘。解剖したところ、爪の下からアルファベットの印刷された紙切れが出てくる。同日、ボロボロになって痴呆と化した同年代の女が線路を歩いているところを確保され…と言った感じです。サスペンスですね、面白そうでしょ(o^ー^o)?面白いんですよ、これが!!中学生や高校生ぐらいだと面白さに気づかない可能性もありますが、大学生以上であれば絶対に面白いと感じるんじゃないかと!!それから…いま、40歳以上の人であれば、日本でも大ヒットした(当時、レンタルビデオ屋で人気がありすぎて、次の巻がレンタル中でなかなか見れなかった思い出があります^^;)ので、観た人も多いかと思いますが、そういう人にもおススメです。何を隠そう、あれだけ夢中になって観ていた僕が、話を半分も覚えていませんでしたから(゚∀゚*)エヘヘ。

 さて、見始めたら止まらなくなる事確実なので、ストーリーや内容に関してはこれ以上僕が書く事もないかと思います。ストーリー以外の部分の感想で、すごくいいと思っているところがありまして…。ここ、カナダ国境近くのアメリカの小さな町が舞台でして、町の主要産業は林業。小さな町に、材木を運ぶ大型トレーラーがあって、皆が集まるいかにもアメリカチックなレストランがあって、ちいさな警察署があって、自然があって、滝があって…町そのものが魅力的なんです。ドラマとは別の部分で、この町と、町のそれぞれの場所で生きている人々の日常生活を眺めているだけでも、異文化に触れるみたいですごく楽しいです。事件の解決以外にも、こういう「知らない街をワクワクしながらうろつく」ような楽しさも撮影したいという意図があったのかも知れませんね。

<これから見る人の為に:ツイン・ピークスの見る順序について>
 今からツイン・ピークスを見るとすると、DVDやBlue-Rayを借りるという事になると思うのですが…いっぱいあって、どれから見ていいか分からないと思うんですよ(^^)。しかもこれ、どういう順で見てもいいという訳ではなくって、観る順番があるので注意!!ツイン・ピークスは、以下の3つがあると思います。
①一本で完結している「ツイン・ピークス」という作品
 これを最初に見なくてはなりません!これが全ての発端であると同時に、これだけを観てもひとつの作品として成立していて、しかも面白すぎる!!これ、「パイロット版」とか「ヨーロッパ映画版」なんて呼ばれているようで、僕は、ヨーロッパ映画版のVHSビデオだけは持ってるんです(^^)。要するに…TVで連続ドラマとして放送できるかどうかのテスト版として、テレビスペシャルとして制作された「パイロット版」が元、次にそれをヨーロッパで映画として公開するために、これ単独でも完結した作品となるように再編集した「ヨーロッパ映画公開版」、このふたつがあるというわけですね。で、VHSで出ていた単独もの「ツインピークス」は、ヨーロッパ映画版。TVドラマのDVDって、いっぱいありすぎてみるのが面倒臭いという人は(僕がそのタイプ^^;)、ヨーロッパ映画版だけを観ましょう!イマイチ趣味に合わなくても、これを見るだけで尻切れトンボになる事はありません。また、もしそれでオモシロかったら先を見て、ツインピークスの世界にどっぷり浸る方針で(^^)。。

②「ツイン・ピークス」vol.1、vol.2… みたいにナンバリングされている作品
 これは、①の続きとなるTVドラマ版です。というわけで、第一回は①のヨーロッパ映画版と重なるところもあるんですが、まったく同じという訳でもありません(あれ?テレビの第一回がパイロット版という事だったっけ?自信がなくなってきた…あまり信用しないでください。でも要するに「ヨーロッパ映画版」→「TV放送」という順で見ておけば間違いありません^^)。ここで何が起きているかというと…①がそれだけで完結している作品であるという事は、①で犯人が確定しているわけですよね?確定しているんですが、しかし実は…という事が起きちゃうわけです。多分、映画を完結させるためには映画で犯人を明らかにする必要があり、TVドラマを続けるには犯人が分かっていてはまずいという理由があり…という大人の事情でそうなったんだと思うのですが(^^;)、しかしこれがドラマに奥行きを与える事になるとは、何が吉と出るか分からないですね。。

③「ツイン・ピークス ローラ・パーマー最後の七日間」という映画
 これは絶対最後に見てください!そうしないと、TVドラマの犯人がいきなり分かっちゃう事になります!
 要するに、ここまでのツイン・ピークスでは、町で人気者の女子高生が殺される所から始まって、その事件をきっかけに町の人の人間関係や色々な事件の絡み合いが見えてきて、事件の真相がわかってくるわけです。という事は、実際に女子高生が殺されるにいったった経緯は、推理で語られる事はあっても描かれてないんですよね(^^;)。で、それをちゃんと描き出したのが本作、という事になります。
 音大時代、友達がこの作品を見て「つまらなかった」と言っていたもので、僕は見てませんでした。しかし、20年近く経って初めて見たわけですが…おもしれええええ!!!!あ、もちろん、ここまでのツインピークス全部を見ていないと面白さは半減してしまうと思うのですが(^^;)、TVシリーズを全部見た人は、絶対に見ましょう!!すごくすっきりすると思います!!しかし、前半部分でまた新たな疑問点が浮かんでしまった僕は、もう一度全部見直す必要があるかも(^^)。。

 でもって、DVDとBlue-Rayでは、ボックスセットが出てます。これらは、①と②がフル収録で、かつ①の「パイロット版」と「ヨーロッパ映画版」という編集違いを、切り替えてどちらも観る事が出来るそうで(^^)。ツイン・ピークスにどっぷりと浸かりたい方は、ボックスセット&「最後の7日間」を手に入れれば完璧という訳ですね(=^▽^=)。。

<メモしながら観よう!!>
 メモを取りながら観る事をおススメします!!いや、これは僕がアホなだけかもしれませんが…。
 このドラマ、登場人物が「町の人全員」で、名前のある町の人だけでも結構な人数が登場します。また、名前は登場するが本人が登場しないとかいう事も結構あります。で、会話の中に、突然「シェリーは…」とか出てきたりした時に、「あれ?シェリーって誰だっけ?」とかいう事が、僕の場合は結構起きました。さらに、僕的に厄介だったのが、アメリカ人の典型的なあだ名の知識が僕になかったこと。「ベンはどうした?」みたいなセリフで、「あれ?ベンって誰だっけ…」となり、どうしても思い出せない。これ、ベンというのはベンジャミンさんの略だったんですね(^^;)。こういう事が頻発。他にも、誰が誰の愛人で、誰が何の商売をやっていて、新たにこういう事が起きて…とかいう事がどんどん起きるので、メモを片手に、自分自身が捜査官になったつもりで、人名事典&捜査メモを作る事を強くおススメします。

 というわけで、今さらながらの、ツインピークスガイドでした。本当は、「あの赤い部屋はなんなのか?」とか「あの小人は何なのか」とか、深く突っ込んだ感想も書いてみたいのですが、それはプロのツインピーカーに任せる事にしよう、そうしよう。。

 な~んて行っている間に、2016年にツインピークスの続編が始まるそうですね!!マジか、これは楽しみ過ぎる!!




『TWIN PEAKS -sound tracks-』

TwinPeaks_BGM.jpg 近所のブックオフで、こんなものを見つけてしまいました!!昔大ヒットしたアメリカ映画/TVドラマ「ツイン・ピークス」のサウンドトラックです。いやあ、これは懐かしい!!夢中になって観たなあ…。で、思わず買ってきて聴いているんですが…すごいと思うのは、どの曲も全部口ずさめる事!そのぐらい何十回と聴いていたんでしょうね。。

 このドラマのサントラ、半分は映画/テレビ用のいわゆる「劇伴」です。まあ、これ自体が懐かしくってむせび泣き状態なんですが(^^)。しかし、このサントラの特徴は、残りのもう半分にあります。50’sなんて呼ばれるアメリカン・オールディーズにものすごい固執しているように聴こえるのです。それも、50’sを病的に読み替えたうえでそれを取り扱っているように聴こえる。これはキモ美しいのです(^^)。
 ツイン・ピークスというドラマの監督は、デヴィッド・リンチ。この人、僕の印象ではアメリカの50’sが大好きなんじゃないかという気がします。ツイン・ピークスの前に撮影した映画「ブルー・ベルベット」なんて、50’sのポップスが劇中で何度も流れるばかりか、映画のタイトルまで50’sですからね。ツイン・ピークスもその流れをくんでいると言えそう。ヴォーカルはものすごく深入りヴァーブがかけられて、ギターもビヨンビヨンのスプリング・エコーが掛かっていて、シンプルなAABA形式みたいな短いコーラスの歌音楽が流れます。歌い手はベルベットのカーテンのかかったステージの上で、「何か日常ではない普通ではない世界」から歌っているかのよう。この、劇中では昼間とは全く町の様子が変わってしまう、アメリカの田舎町の怪しげなバー…要するに、「日常世界とは違う所にあるところもの」として、この音楽は機能している。違う世界から来る声、みたいに聞こえちゃう…というのは、私だけでしょうか(笑)。いやあ、50’sをこういう風に読み替えてしまうというのは、さすがは映画監督というべきか、意味の成立のさせ方がうまい!!ツイン・ピークス、久々に見てみようかなあ。。


プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中… 楽器屋で演奏してみたら、木製鍵盤で、タッチがけっこう本物のピアノに近かった!うちにあるアップライトがけっこうヤバいので、フルメンテして貰うか、こういうので間に合わせようか大いに悩み中。
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