
これは、ひとつ前の記事で書いた、ジム・ホールとロンカーターのデュオアルバムのの姉妹盤。1枚目の『Alone Together』はあれほど有名なのに、こちらはなぜかあまり語られないのが不思議。しかし…
個人的には、こっちの方がおススメなのです!
まず、1曲目の"Bag's Groove"のパフォーマンスが素晴らしすぎます。ドラムレスで、最低限の音だけを選んで、温かいサウンドのジャズギターとウッドベースが会話するように演奏していくのですが…いやあ、これはため息が出ちゃうようなワーミーな演奏。"Bag's Groove"という曲は、いかにもバップ曲という感じの曲で、特別に好きな曲でもなかったんですが、同じフレーズを和声を変え、調を変えながら重ねていくという質感を前面に押し出されるとすごく気持ちいい!!色彩豊かでほっとしてしまう感じです。これ、ジャズギター特有の展開形を使った和声の重ね方をするから、余計に気持ち良いんでしょうね、きっと。
サウンドは癒し系ですが、プレイはかなり音楽的で、音の印象だけの音楽という事は全くなくって、音楽の動向から注意が離れる事がありません。普通のジャズのスタイルで、テーマを演奏したらすぐにアドリブパートに移るんですが、うまく組み立てるんですよね。全部同じ構造なのに、なんでここまで飽きずに聴かせられんだろうか、すごすぎる。。
このあたり、ジム・ホールさんのアーティストとしての器量が存分に出ているんじゃないかと。また、ロン・カーターさんも実に歌心があって、ジムさんについていくばかりでなく、自分の方から新しいメロディを仕掛けて行ったりします。ウッドベースって、バンドという構造の中だとどうしてもある役割を負わされてしまう事が多いと思うんですが、デュオだとここまで出来るようになるんですね。いやあ、素晴らしい!!
選曲も見事です。アップもミディアムもスローも実にバランス良く配分されているんですが、"Embraceable You "なんて絶品で、「ああ、スタンダードの中では通好みの曲だけど、やっぱりいい曲はいい曲なんだな」と、あらためてほれぼれしてしまいました。
冒頭に書いたように、同じプレイヤーで同じコンセプトのアルバム『Alone Together』が大絶賛されているのに、それに優るとも劣らないこのアルバムが黙殺状態というのが信じられません。個人的には、こっちの方が数段好きだというのに…。でもおかげで、僕はこのレコードをすごく安く手に入れたんですよね、25年ぐらい前に。しかし、今アマゾンを見ると…2万円?!!いや、それは高過ぎだろう…昔買っておいてよかったわ。。
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