
前の記事に書いたジャズ・ギターのジム・ホールさんとウッドベースのロン・カーターさんのデュオが「リラックス系」だったのに対して、このアルバムでのジムさんはかなり攻めっ気があって、ギター弾きまくり感の強いアルバムです。ジャズの華麗なアドリブを楽しみたいというのなら、ほとんど超絶といっていいほどのジャズギターの妙技を聴く事が出来るこのアルバムは超おススメです!!
超絶とはいっても…僕的には、単旋律をいくら早く演奏しても何とも思わないというか、それなら何の楽器であれ、楽器をはじめて数か月もすればすぐに演奏できるようになると思うんですよ。そうじゃなくって、
旋律と和音を同時に演奏出来るか…僕的には、ちゃんとしたギターを演奏できているかどうかは、まずはここが重要なのです。フュージョン系のギタリストがいくら弾きまくっても、単旋律だったらロックはじめたてのギター少年だって出来るだろ…と思ってしまうわけです( ̄ー ̄)。で、ジャズでこれをやるというのは、更にアドリブも入ってくるわけで、けっこう大変なのか出来る人の人口は一気に減ってしまうのですが…いやあ、ものの見事に演奏しきっちゃってます。これ、マジでライブなのか…完璧すぎます。。
このアルバム、ピアノレスのギタートリオです。というわけで、ロン・カーターさんのデュオの時と違ってドラムが入っているのですが、これが演奏を白熱させた原因かもしれません。ソロアドリブがかなりアツい。熱いといっても、子供っぽい「単旋律でバリバリ」じゃなくって、「曲の構成や音楽の流れを考えながら、和声やメロディの組み立てを睨みながら…」という、非常に高度なソロアドリブ。"'Round Midnight"の組み立てなんて、もう作曲してあるんじゃないかというぐらいの素晴らしさで、もうこれは達人の域といっていいんじゃないかと。あ、そうそう、ジム・ホールさんを語る時に「凄いインプロヴィゼーション」なんて言われることがありますが、今言ったような理由でもって、こういうのはソロ・アドリブであってインプロヴィゼーションと呼ぶのは抵抗があったりするんですが…まあ、そんな事はどうでもいいですね。
これだけのスーパープレイにも拘らず、「曲を活かしたソロアドリブ」というジム・ホールさんの音楽スタイルが、「ソロパートに入ったらスケールバリバリのソロ」という当時のジャズの本流からそれてしまったのか、意外にもリーダー作が少ないです。ギタートリオともなればさらに少なくなるので、これはジャズギターファンならマストの1枚じゃないかと。メンバーも曲も分からず、デザインも最悪というジャケットさえ何とかしていたら、もっと高く評価されていたかも(^^;)。。通好みの、しかし本気で聴けば聴くほど「これはすごい…」と唸らされてしまう素晴らしい作品と思います。
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