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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『The Russian State Symphony Cappella / TRADITIONAL RUSSIAN FOLK SONGS』

Traditional Russian Folk 無伴奏合唱物で、暑~い南アフリカとは正反対の、寒~いロシアの物を。ロシアのフォークソングを、ロシア国立合唱団が歌ったものです。指揮はヴァレリー・ポリャンスキーで、一時期この合唱団の音楽監督を務めていた事もあるそうです。このCD,日本でも発売されていた事がありまして、邦題は『母なるヴォルガを下る』でした。

 以前にロシア正教会系の合唱のCDを紹介した事がありますが、東ヨーロッパからロシアにかけては合唱の聖地で、レベルが異常。バルチック・ヴォイス、グルジアの合唱(これなんて、バルトークか誰かが悶絶していた)、ブルガリアン・ヴォイスロシア正教会の無伴奏合唱…死ぬまでに一度は聴いておかないと絶対に後悔すること間違いなしの超絶の合唱です。
 ところがロシア物の民間音楽というのは、民間が演奏した録音にあまり出会わないんですよね。これは多分旧ソ連時代に音楽が基本的に検閲の対象で、大衆にとってあまり良い物とされてこなかったからじゃないかと。音楽に対するこうした考え方はイスラム教なんかにもあります。で、当局が許すのは「ロシア的な何かを讃えたもの」だけだったみたいです。旧ソ連のクラシックの作曲家の作品の多くがロシア称賛的なものだったり、当局が気に入らない作品が抹殺されたりした事があったのは、そういう理由みたいです。そんなものだから、ロシア民謡も、いざ録音となると「ロシア国立~~団」みたいな所が演奏したものが多くなっちゃうんじゃないかと邪推します。これもそんな1枚なんじゃないかと。

 だから、実際のこれらロシアのフォーク音楽が、こういう無伴奏合唱の形式で、まるで祈りの教会音楽のように歌われていたかどうかは、ちょっと僕には分かりません。普通に考えれば、そんな事は無いはず。だから、これを文字通り"TRADITIONAL RUSSIAN FOLK MUSIC"として聴いてしまうと事実とずれてきちゃうと思うんです。これを大前提として…素晴らしすぎます。東欧~ロシア方面の無伴奏合唱に外れなし!男女混声なんですが、よくぞこれだけのハーモニーを作り出せるものだと感心してしまいます。

 しかし、当たり前ですが、合唱は全てロシア語(;.;)、何を言ってるのかさっぱり分かりません。。私はこのCDの日本仕様盤を持っているのですが(キングレコードが良くやる、輸入盤に日本語の帯だけつけて売るヤツです)、キングレコードの仕事がいい加減で、日本語訳がついておりません。ただ、英訳された歌詞がついているので、英語が分かる方なら何とかついていけるかも。で、私のつたない英語力で頑張って読むと…例えば「鐘は誰のために鳴る?そう、私たちのため。ヴァニーシャよ、鐘は話している、笑ってる?…」みたいな感じ(3曲目の男性ソロから始まる"Fur wen lauter us")。やっぱり悲しいです。ロシアの民間音楽って、根底に「悲しみ」とか「祈り」みたいなものが大事な要素としてあるんじゃないかと思ってしまいます。

 「ロシアのフォークそのもの」ではなく、「ロシアのフォークを、ロシア正教の無伴奏合唱によってロシア的な祈りと悲しみの音楽に昇華させたもの」という風に、私には感じられました。人の深い所に触れる、荘厳な1枚。素晴らしい。





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『Ladysmith Black Mambazo / Homeless』

Ladysmith_Homeless.jpg 南アフリカの無伴奏コーラスグループであるレディスミス・ブラック・マンバーゾのCDでは、前の記事で紹介したものより、こちらの方が有名かも。僕が最初に買ったマンバーゾのアルバムはこれでした。これにやられた!!バス6人の男性コーラスのあったかい感じが気持ち良すぎです!!

 えっと、久々にこのCDを聴きながらライナーを読んでいたら、新たな発見が。以前に「アフリカのコーラスはあまり詳しくないので紹介できない!」な~んて書きましたが、バンツー族系(ブラック・アフリカの人種は色々あって、すごく背が低くて森の中に生息しているピグミー族とか、ブッシュマンで有名なコイサン族とかなんかもいますが、あの背の高い人たちはバンツー族と言って、現在のアフリカ大陸で一番人口の多い人たちだった気がする。あれ、語族だけの問題だったかな?やっぱりアフリカについては語れない(p*'v'*))のコーラスで、このブラックマンバーゾみたいな、アフリカのコーラスとキリスト教音楽が混ざったような「バンツー系合唱」というスタイルは、19世紀の床屋で生まれたそうで。なるほど~、アフリカだと床屋が一種の社交場で(昔の日本もそうだったらしいですね)、そこでみんなで歌を歌っているうちにどんどん洗練されていったんでしょうね。いや~、商売っ気抜きで、自分たちが楽しむためにやっている音楽って、ものすごい好きです(^^)。。で、南アフリカのこの合唱を売りにした合唱団は、1930年代に既にアメリカに渡って公演していたんだそうで(バンツー・グリーン・シンガーズというグループだそうで)。う~ん、歴史があるんだな。で、80年代あたりで一番世界に名の通っていたのが、このレディスミス・ブラック・マンバーゾという事ですね。

 このグループのCDを全部持っているわけではないのですが(結構出てます。30枚ぐらい?)、僕が聴いた範囲では、このグループの作品に外れなし!しかし詞がバンツー系の言葉みたいなので、出来れば日本語訳のついている日本盤を購入する事をおススメします。このアルバムの1曲目「ホームレス」なんて、歌詞を読んでいるだけで海路からヨーロッパ民族の侵入を許したアフリカの歴史を、当の現地人がどういう風に捉えているのかがすごく伝わってきます。…まあ、そういう面白さを度外視したとしても、このCDで聴く事の出来る合唱は、西洋の教会音楽とはまったく匂いの違う、アフリカの平和さとか暖かさみたいなものを感じます。大おススメ!!



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『Ladysmith Black Mambazo / liph' iqiniso』

Ladysmith_Liph.jpg 暑くなってきましたね。というわけで、アフリカの音楽を!!「レディスミス・ブラック・マンバーゾ」と読む、南アフリカのコーラス・グループです。意味は「レディスミス(地名)の黒い斧」だそうで。無伴奏コーラスです。コーラスの縦線の揃い方、ピッチの良さなど、ちょっと鳥肌モノの凄さ。初めてこのグループのコーラスを聴いた時、あまりの素晴らしさにため息が出てしまいました。日本でも結構ヒットしたグループなので、そこそこ有名かとは思いますが、未体験の方は絶対に聴いてみてほしいです。大推薦です!!凄すぎます!

 とはいえ、僕はこのグループや、南アフリカの音楽について全然詳しくないので、紹介したくても色々書けない(・_・、)。え~っと、思いつくままに書いてみると…無伴奏合唱の素晴らしさはさっき書いた通り。音楽的には、すごくあったかいサウンドで、幸せを感じてしまうほど。でも歌詞を見ると「人を殺すな」とか「私の希望が息づく場所へいつ戻れるのか」とか、けっこう切実。商売音楽や宗教音楽とは違って、かなりフォークロアな感じがします。音楽はリードヴォーカルが歌うのに対して合唱が後を追うという意味では、ブラックアフリカの音楽によくあるコール&レスポンス形式ではあるんだけど(ジャケット写真を見るに、メンバーは全員ブラックアフリカン)、このレスポンス部分がえらく見事な和声で恐ろしく統制されたコーラスなので(バス声部まである!)、キリスト教音楽が混じっているのかも。この辺りが白人支配社会だった南アフリカ特有のものなのかも。で、合唱というと、僕の場合はどうしても教会とかホールとかの残響で素晴らしい響きで美しく混ざる合唱をイメージしてしまうんですが、これは何とエコーがほとんどナシ。たぶん、屋外でやっているコーラス音楽だから、エコーを掛けたら変だとか、そういう理由なのかも。しかしこれが素晴らしいサウンド!!

 いや~、支離滅裂なレビューになってしまいましたが、素晴らしい音楽です。ワールドミュージックの素晴らしさって、それを知った瞬間に、「ああ、俺はなんで今まで同じようなレコードばかり何百枚も買ってたんだろう、他にも素晴らしい音楽がいっぱいあるのに…」と感じられる点にあると思います。音楽好きなのに、同じジャンルばかりを掘っている人、それは寿司がうまいと言って寿司しか食わないようなもの。それが悪いわけではありませんが、焼肉や中華やハンバーガーの味も知った方が楽しいじゃありませんか。南アフリカのすごくほんわかとした無伴奏コーラス、ぜひ聴いてみて下さい!!



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『Mike Bloomfield & Al Kooper / Live Adventures of 』

al kooper_mike bloomfield_live adoventure オルガンのアル・クーパーさんとギターのマイク・ブルームフィールドさんのセッション録音で、もうひとつ有名なものをご紹介!邦題が『フィルモアの奇跡』だったので、フィルモア・イーストかどこかでのライブ録音なのかも知れませんね。2枚組です。

 で、これがまた素晴らしい!何回か前の記事に書いたブッカーTの"Green Onion" もやってます!やっぱりオルガン奏者にとっては外せないナンバーだったんでしょうね。どちらも素晴らしいプレイなんですが、クーパー&ブルームフィールドの方がプレイヤーの色が前面に出ているというか、演奏が強いです。他には、昔に日本のゴールデン・カップスのライブ盤をべた褒めした事があるんですが、その中の1曲は明らかにこのレコードをコピーしてました。ポール・サイモンの「59番街橋の歌」がそれなんですが、アレンジがまったく同じなんですよね。真似したとかそういうんじゃなくって、それぐらいこのレコードの「59番街」のアレンジが素晴らしかった!あとは、映画「イージー・ライダー」で掛かったザ・バンドの名曲"the weight"なんかもカバーしていて、全体として選曲が良かったです。

 ただ、コブシの回りまくったギターをLP2枚続けて聴くのは、ちょっと疲れるというか、若干ダレてしまいました(^^;)。素晴らしいアルバムなんだけど、『スーパーセッション』みたいに1枚にまとめてくれた方が、すっきりしたかも。でも、間違いなくロック史に残る名盤のひとつ。BGMではなくって、じっくり聴きたいレコードと思います。推薦!



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『Bloomfield, Kooper, Stills / Super Session』

Super Session ロック系のオルガンと言えば、もしかするとブッカーTよりもアル・クーパーさんの方が有名かも。というわけで、僕が若い頃に、クーパーさんの演奏でしびれたものを。マイク・ブルームフィールドという白人ブルース系のギタリストさんとのセッションなどを収録した、セッションアルバムです。

 僕は、このアルバム1曲目の"Albert's Shuffle"でKOされた口です(o^ー^o)。。そのぐらい、1曲目のセッションが素晴らしすぎました!!ブルースセッションなんですが(ジャズのではなくってロックの「ブルースセッション」です)、まずはオルガンの音が気持ち良すぎ!!そして、シャッフル・ビートの上に乗って歌いまくるマイク・ブルームフィールドさんの泣きのギターが素晴らしすぎ!!白人系の単旋律エレキ・ブルース・ギター(アコースティックのロバジョンみたいなやつじゃない奴です)って、僕は嵌まるとヤバいぐらいにのめり込んでしまうんですが、残念ながら名演はそんなに多くありません。あのクラプトンですら、名演は少ない。しかし、バタフィールド・ブルースバンドの名ギタリストであるブルームフィールドさんとか、フリーのポール・コソフさんとかは、マジで歌いまくって素晴らしすぎです!ハードロック/メタル系の人で「ブルース系のギターはつまらん」という人がいますが、それはちょっと気持ちが分かるんですが、しかし凄いのに出会ってしまうと速弾きとか聴いていた自分が馬鹿みたいに思えてくるほどグッとくる!

 いわゆる12小節ブルースじゃない2曲目"STOP"も、死ぬほどカッコいい!!こうなると、もうセッションというレベルじゃないですね。アドリブパートは多いですが、しかし合わせる所とかも死ぬほどよくリハーサルしてる感じ。素晴らしいっす。

 アルバート・キング以降のバンド・ブルースの泣きのギターって、実はオリジナルの黒人ギタリストより、白人ブルースロック・ギタリストに名プレイヤーが多く生まれたジャンルだと思います。そのホワイト・ブルースが、オルガンの気持ちいいサウンドに乗る事で、なんか別の音楽になったみたいな感じなのが、このアルバムじゃないかと。あ、スティーヴン・スティルスさんについて全然書きませんでしたが、スティルスさんの入ったセッションは音楽性が全然別。これもいいんですが、やっぱり、ブルームフィールド&クーパーが至高かと(^^)。。



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『Booker T. & The M.G.s / GREEN ONION』

BookerT_GreenOnion.jpg しかし、ブッカーTのアルバムを1枚買うとすれば、やっぱり"GREEN ONION"の入ったこのアルバムではないかと。このオルガン・サウンドが気持ちいい!!このアルバムは62年発売という点はちょっと重要で…ビートルズのデビュー直前なんですね。ブリティッシュ・ビートのうち、ブラック系に痺れたバンド(前にちょっと書いたスモール・フェイセズとか)のバンド・サウンドがM.G.sのサウンドにそっくりな点は、実は偶然じゃないんじゃないかと。

 昔のアメリカのポピュラー・ミュージックのレーベルの一部は、自社スタジオと、専属のバックバンドを持っているというパターンが多かったようです。プレスリーのデビューしたサンもそうだし、マーヴィン・ゲイやスティービー・ワンダーのいたモータウンもそうだったみたいです。で、オーティス・レディングなんかのリズム&ブルースやソウル系の録音を多く残した、メンフィスのスタックス・レーベルで専属だったメンバーがM.G.sの主要メンバーだったりするそうです。つまり…当時のアメリカのラジオで大量に流れていたブラック系のポピュラーのサウンドの少なからずは、実際にMG'sが演奏していたという事になるんじゃないでしょうか。そのエッセンシャルな部分は、みんなこのレコードに入ってる感じがします。

 そして、ひとつ前の記事で、「マイナー・ペンタトニックのスリーコードにオルガンサウンドがこのジャンルのカラーのひとつで、最高においしい」みたいな事を書きましたが、その代表曲こそ"green onion"ではないかと。全曲インストゥルメンタルで、例のタイトなリズムに、ザックリとしたメロコード譜のほかは大体アドリブ、みたいなダラダラしたセッション風のサウンドが、むしろ心地いい。ずっと聴いていたくなります(^^)。オシャレではありません、古くさいです。だがそれがいい!!



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『Booker T. & The M.G.'s / Melting Pot』

BookerT_MeltingPot.jpg 前の記事で紹介したバディ・マイルスのアルバムとほぼ同時期のブラック系のアルバムを。71年発表のブッカーT&MG's のアルバムです。

 リーダーのブッカーTさんはオルガン奏者、MG's はソウル~ファンク系というようなタイトなリズムを演奏するバンド。というわけで、真ん中にアドリブのきくオルガン奏者のいるミーターズみたいな感じです。音楽は3割書きで7割アドリブみたいな感じ。でも、モダンジャズみたいにゴリゴリのソロではなくって、クラブでルーズにずっと演奏していられるよう、アドリブで尺を自在に変えて、誰のソロというわけでもなくチャラチャラやっているという感じかな?これが気持ち良くって、この時代のブラック特有の心地よさ。クロスオーバーとか、もう少し他の方向に持っていく事だって出来たんでしょうが、そうしたらこの緩い気持ち良さは失われてしまうんでしょうね。独特の空気感で、一度聴きはじめると、ず~っと聴いていたくなります(^^)。

 アルバム全体が大体同じような事をやっているので、どの曲がどうという事もないんですが…有名なのは1曲目"Melting Pot"、僕が好きなのは"kinda easy like"。音なしでハナシを進めるのは難しいんですが、(マイナー・ペンタトニックのスリーコード)どういうわけかこの時代のオルガン入りのインスト・セッションって、絶対にこの曲みたいな曲想のものが1曲は入ってる。というわけで、いわばオルガン入りインスト・セッションの典型の曲なんですが…個人的に、オルガンのサウンドとマイナーペンタとスリーコードのサウンドって、恐ろしくマッチすると思ってるんですよ(^^)。やるのも簡単、聴いても最高というわけで、僕のドツボです。こういう音楽って、いいですよね~。

 これもやっぱり気持ちいいレコード。やばい、しばらく70年代のブラックから抜け出せなくなりそうだ(^^)。。



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『Buddy Miles / Them Changes』

BuddyMilesThemChanges.jpg ジャケ、カッコいい!!
 ジミ・ヘンドリックスのバンド・オブ・ジプシーズでドラム/ヴォーカルをやっていたのが、このバディ・マイルスさんです。その前のジミヘンのバンドのミッチ・ミッチェルさんがとんでもなく変幻自在にドラムを叩くスーパードラマーで、またそこで作り出すリズム型が独創的なものが多かった("Are you experienced"、"manic depression"、"I don't live today"あたりのリズムなんて、どうやって思いつくんだろうかと感激してしまう!)もので、タイトに8ビートを刻むバディ・マイルスさんにドラムが変わった時は、正直言ってちょっと物足りなく感じました。ところが、僕の中学時代の音楽のお師匠さんは…「バディ・マイルス、めちゃくちゃうまいなあ。いいなあ。」えええ~、そうなのか(゚д゚ノ)ノ !!「ドッタッ、ドドタッ」というロック系のドラムを「誰にでも叩けそうだな」と見くびっていた(実は今でもちょっとそう^^;)僕には、驚きの発言。で、ですね…数年前、若い頃にビジュアル系バンドのレコーディング・サポートをしていたというドラマーさんが、これまた似たような事を話していたんです、「バディ・マイルスは素晴らしい」みたいな。こういうのって、もう専門家じゃないと分からない世界なのかも。僕には違いが分かりませんでした。

 でもって、本作です。70年発表、バディ・マイルスのリーダー作です。ファンクっぽいというか、ドラムはやっぱりすっごくタイト。ファンクっぽく感じる理由は、リズムもそうなんですが、例えばスネアの音が止めてあって、「パーン」と来ないで「タッ」みたいな感じなんですよね。キックも同様、「ズ~ン」ではなくて「ドッ」みたいな感じ。オークランド・ファンクのミーターズのドラムあたりと、チューニングや音の作りがそっくりです。これが、ドラムのサウンドの派手さを消しているかわりに、素晴らしく正確なリズム感の中で(機械のような正確さ!!すごいです^^)連続で叩かれるとものすごく気持ちいい。これ系のドラムが好きな人には、この時点ですでに買いの1枚かも。しかし、これ系のドラムがあんまりよく分からない僕にとっては、いいといってもそこそこでして、感心したのはそこじゃなくって…

 歌が上手い!!ソウル・シンガーとして売り出してもいけちゃいそうです。。2曲目のバラード" I Still Love You, Anyway"なんて、聴いていて泣いちゃいそうです(;_;)。いやあ、バンド・オブ・ジプシーズでジミヘンがバディ・マイルスを引っ張ってきたのって、もしかしてドラム以上にこの声が欲しかったんだったりして。

 そして、肝心の音楽はというと…1曲目は、ジミヘンの演奏していたフレーズがガンガン出てくる曲。2曲目はソウルのバラード・ナンバーみたいなノリ。他にはロック/ソウル系のブラスセクション入りのポピュラー調があって、最後はスタジオミュージシャンのジャム・セッションみたいなインスト。まとめようという気がなかったようです(^^;)。バディ・マイルス自体がアーティストというよりもスタジオ・ミュージシャンに近い人だと思うので、いろいろ出来ちゃうんでしょうね。でも、ひとことで言えば、ブラック系のポピュラーという感じなのかな。70年前後のソウルやファンクといったブラック系のポピュラーが好きな人なら、間違いなく楽しめる1枚と思います。深い音楽というより、軽くラジカセから流しておいて気持ちいい1枚みたいな感じかも(^^)。




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『John Scofield & Pat Metheny / I CAN SEE YOUR HOUSE FROM HERE』

JohnSco_PatMetheny_IcanSee.jpg 3つ前の記事『日野皓正 / ブルーストラック』の1曲目でのジョン・スコフィールドさんのソロがあまりに素晴らしかったもので、しばらくジョンスコさんのアルバムを聴き漁った事があります。で、結論は…期待外れのものが多かった(T-T)。。くっそー、日野さんのアルバムさえ聴いてなかったら、僕はこの人に引きずり回されずに済んだのに…。

 これは、パット・メセニーとのアルバムで、ギター2本にベースにドラムという編成。1曲目は、ソロ・アドリブするのが難しくならない程度の和声進行の上で、延々とギターソロが続くんですが…微妙です。僕にとっては、少なくとも二つの残念ポイントがあって、それはこの時代のフュージョン寄りジャズすべてに共通する弱点に思えてしまいます。

 ひとつは、ソロ・アドリブにばかり夢中で、音楽全体への配慮が浅い点。このアルバムの発表は1993年なんですが、この頃のジャズ/フュージョンって、どういうコード進行上でどういうスケールで演奏する可能性があるかという事を追及している節があります。たとえば、6曲目"NO WAY JOSE"と10曲目"ONE WAY TO BE" あたりは、この方向でいうと相当に面白いです。しかし、問題は他の曲。結局、和声との兼ね合いをチャラにしてラインだけをチロチロやられても…。ソロってそんな浅いものじゃないと思うんですよね。例えば、ほぼワンノートの状態でのソロで言えば、マイルス・デイヴィスの"So What"なんかは非常に参考になると思うんですが、どうやってシーケンスを発展させるかとか、ソロを通してひとつのドラマを完成させていると思うんですが、ここでのソロはそういう事は間違いなく考えてない。飽きるまで演奏して、終わったらソロを引き継ぐ、みたいな。いやあ、これじゃダメだわ。そしてバックも…例えばベースは、ギターの演奏には全然付き合わず、淡々とシーケンスを演奏するだけなので、つまりギターが何を演奏しようが、音楽には何の影響もしないカラオケ状態なわけです。スティーヴ・スワロウともあろう人が、こんなバイトモードの手抜き演奏しちゃうんだな…。レコーディングに呼ばれて、スタジオで初めて楽譜を見たとか、そういうレベルの演奏です。

 もうひとつは、表現に対する配慮が浅い点。ひとつ前の記事にも書いた通り、例えばギターの音作りひとつとっても、既にプレイヤーの意識の低さがあらわれてしまっているように思えます。機械的にコーラスをかけたようなサウンドをつくるので、強く弾こうが弱く弾こうが、音色も音量も均一になってしまって、表現が奪われています。音色は更に辛いことになっていて、どうやって演奏しようが音色の変化がつけにくくなって全部キラキラサウンド(=_=)。まったく同じ音色で演奏するなんて表現としては相当にマズい。特にギターなんて、うまい人が演奏すると音の使い分けがすごくって、例えばセゴビアというクラシック・ギタリストの演奏を聴くと、ギター1本で演奏しているのに、オーケストラが鳴っているように各パートの音色を使い分けた演奏になる!!理由は分かりませんが、このアルバムのふたりが表現よりもキラキラサウンドを優先されているのは事実なわけで…まあそういうレベルの音楽なんだと思います。

 フュージョンという音楽は、その成立段階から非常に微妙な所に成立していて、いい所もすごくいっぱいあったけど、残念な所がそれ以上に多すぎた音楽だと思っています。表現面がすごく浅い音楽。楽譜に書かれているような音符をどれぐらい速く演奏出来るかとか、どういうスケールを使えるかとか、音楽をそういうメカニカルな視点で見ているみたいで、ぜんぜん音楽的な表現にならない。フュージョンの人というのは、指先が器用な人が多いと感じます。その技術を音楽表現に生かしてくれたら…そんな風に感じずにはいられない、そんな残念な1枚でした。



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『日野皓正クインテット / HI-NOLOGY』

HiNology.jpg 日野皓正さんが壮年期に発表したアコースティック路線のアルバムばかり紹介してきましたが、日野さんは若い頃に発表したエレクトリック・ジャズ路線も死ぬほどカッコいいです!フュージョンやエレクトリックジャズにはあまり触手の動かない僕でも、このアルバムはカッコよすぎてしびれました(`・ω・´)ノ!!これ、疾走感が凄すぎて、めっちゃいいです!!超がつくほどの名盤です!!

 マイルス・デイヴィスというジャズ・トランぺッターが「死刑台のエレベーター」という映画の音楽を作った事があります。それ、フィルムを見ながら即興でマイルス・バンドが演奏したらしいので構成はデタラメなんですが、疾走感が凄い!で、これと同じような事をエレクトリックピアノやエレクトリックベースを入れてやったのがエレクトリック・マイルスと呼ばれるマイルス・バンドの特徴だったんじゃないかと。僕、エレキギターが安っぽいサウンドを作ってピロピロやるフュージョンは嫌いなんですが、エレピやエレベがアコースティックと混じってグルーヴする疾走するジャズロック的なものは、めっちゃ好きなのです(^^)。この路線に限っていうと、アメリカよりも日本とかイギリスの方がカッコいいものを作っちゃう気がします。で、世にあるエレクトリック・マイルス路線のアルバムの中でも5本の指に入ると思えるものがこれ!本家よりカッコいいんじゃないかい?!

 1曲目の時点ですでにカッコいいんですが、4ビートでのエレクトリック・ジャズの2曲目"ELECTRIC ZOO"で私はぶっ飛んでしまいました。エレピにエレベでフォービート(やっぱりジャズロックといえども4ビートのドラミングの凄さは変えない方がいい気がする)、めっちゃくちゃカッコいいヘッドからアドリブに突入、アップテンポで突っ走り、どんどんフリーフォームになっていきます。いやあ、これは凄すぎる…。で、とんでもないドラムソロにまで突入してから、最後にスパッとテーマに戻す。いや~、これは鳥肌モノのカッコよさです。グッチャグチャのカオスになる所とビシッと揃う所が自在、これは凄すぎる演奏でした。日本ジャズ史の中でも、これは特筆すべき演奏じゃなかろうか。そうそう、メンツを書いておくと、日野皓正(tp)、村岡健(tp、これがまたカッコいい!!)、鈴木宏昌(el-p、死ぬほどカッコいい!)、稲葉国光(eb)、日野元彦(dr、天才)、です。

 いや~、ここまでべた褒めすると逆に嘘くさく感じちゃいそうですが、本当に素晴らしいアルバムなんですよ。お客さんの顔色ばかり窺っていたり、指先のテクニックばかりでちまちましたりする軟弱ジャズとは一線を画する、ハードボイルドなエレクトリックジャズの大名作だと思います!!


05 2015 « »
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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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