ロックの女性ヴォーカリストと言えば最初に名のあがるだろうジャニス・ジョプリンのレコードデビュー作です。とはいっても、あくまでジャニス・ジョプリンはメンバーのひとりであって、しかも男女ツイン・ヴォーカルの片割れ。日本盤なんかひどいもので、"BIG BROTHER AND THE HOLDING COMPANY"というバンドのレコードなのに、「ジャニスジョプリン/ファースト・レコーディング」なんていうタイトルでリリースしています(^^;)。もう、ジャニスのアルバム扱いです。ひどいぞ、日本のソニー( ̄ii ̄)。。
肩を持つわけじゃないのですが、この「ビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニー」というバンドがなかなか良い味出してます。67年の西海岸という事で、フォークとロックがサイケデリックにチャンポンしてるような音楽。この辺のバンドはけっこうカラーが似ていて、グレイトフル・デッドとかジェファーソン・エアープレインとかカントリー・ジョー&ザ・フィッシュとかの音楽は、僕の中では「ヒッピー・ミュージック」とか「西海岸のサイケデリック・ロック」みたいにまとめちゃってます(^^)。これらのバンドの共通項は、どこかショボいという事(お世辞にもうまいとは言えないけど、しかし下手でもない感じ)と、しかしそのショボさがショボいだけじゃなくってえらい魅力的というかやけに味があり、またセッション的なものが多い事、あたりでしょうか。ドアーズだけは毛色も違うしレベルも別格なんですが、他のバンドは本当に印象が似ています。印象というのは… このアルバムもそうなんですが、なんか明るいんですよね。明るいんだけど、健全な明るさというより、なんかポヤ~っとしてるというか、ドラッグやって明るくハイになっているような感じ。ドラッグやって明るくなるというのがアメリカ西海岸的なのかも。これがジャーマン・サイケだと暗くハードにドロドロになりますからね(^^)。そこにヒッピー的なものを感じちゃうのは、時代背景を知っちゃってるからでしょうか。音楽も、音楽だけが独立してバッチリ作ってあるというより、アルコールとかドラッグとかセックスとかも含めてひとつの文化で、音楽はあくまでその中の1アイテム、みたいに感じちゃいます。ジャニスが思いっきりヴォーカル取る曲もありますが、そういう曲は少ないです。やっぱり、「西海岸カントリー・サイケ・ロック」みたいな言葉で言いあらわしたくなっちゃいます。明るくダラ~っとした印象のアルバムですが、この躁的で白昼夢のような明るさ、嫌いじゃないです。しかし、"BIG BROTHER AND THE HOLDING COMPANY"の本領が発揮されるのは、次のアルバムからだったんじゃないかと僕は思っています(^^)。。