心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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小説『悪魔の手毬唄』 横溝正史

AkumanoTemari_book.jpg そんでもって、こちらが原作の「悪魔の手毬唄」です。「悪魔の手毬唄」も、金田一耕助の推理小説の中でも代表的なもののひとつ。あとは「八つ墓村」「獄門島」「犬神家の一族」「女王蜂」あたりが有名でしょうか。で、映画は、最初から犯人やトリックが割れたりしないように、犯人が変わっていたりと少し変化をつけられていることもあるんですが、「悪魔の手毬唄」は犯人やら何やらがそこまで大幅に違いません。僕は映画に感銘を受けたものだから小説まで読んでしまったクチです。ですから、この小説だけを読んで面白いかどうかは、今となっては自分では分かりません(^^)。ただ、映画を見た後に読んだという前提条件で話すと、面白かった!!

 映画版は、前の記事に書いたとおりに感動しまくったもので文句なし!では、その映画版と比べて、原作はどこが良かったか。まず、情景の描写が素晴らしかった!!舞台は田舎の温泉地なんですが、山のまわりに人気が少ない様、日本の原風景、夜道はちょうちんをともして歩くとか、昔の日本家屋の描写…こういったところが素晴らしくって、なんだか時間旅行している気分(^^)。。これは映画版ではあまり味わえなかった素晴らしさでした(^^)。
 次に、物語の軸になる手毬唄の読み解き。映画では、単に、昔からこの地に残る唄に沿って殺人が行われていく、という程度のものだった手毬唄が、原作だとその背景がかなり深く描かれていて、めっちゃくちゃ面白い(^^)。この辺りは、書いても犯人や動機のネタバレにならないと思うので、ちょっと書いてみると・・・原作では、冒頭から手毬唄に言及されてます。だから、手毬唄と事件の絡みが、昔の日本の風習や社会構造と絡み合うようで、これが独特のおどろおどろしさ。で、この手毬歌が凄い。これは数え歌(手毬歌なので、まりつきをしながら数が数えられるようになっている)なのですが、詞がえぐいのです。たとえば、その3番は…

 おらが在所の陣屋の殿様 狩好き酒好き女好き わけても好きなが女でござる
 女だれが良い錠前屋の娘 錠前屋器量よし小町でござる 小町娘の錠前が狂うた
 錠前狂えば鍵合わぬ鍵合わぬ 鍵が合わぬと返された


 この歌詞、パッと読むとただの歌に見えるんですが、実は隠喩になっていて、土地の暴君を揶揄する内容。こういう読みときをしていくと、めっちゃくちゃ面白いのです。すべての歌の韻になっている「かえされた」は「返された」。殿様に召されながら、気に入られないで「突き返された」、つまり「殺された」。錠前屋の下りは、「錠前と鍵が合わずに返された」、つまりセックスの相性が合わなかったので殺された、となるわけです。もう、こういう読みときからして推理小説のだいご味満載なのです!

 な~んて感じで、映画では犯人の悲しい動機を重点的に描いていましたが(時間的にこれは仕方がないし、それが成功していた)、小説は細部が見事!金田一ものの小説を初めて読むなら、僕は「獄門島」や「犬神家」よりも、これを推薦します(^^)。。



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映画『悪魔の手毬歌』

AkumanoTemariuta.jpg こちらは、僕が金田一映画の中でもっとも素晴らしいと思った作品。数ある金田一ものの映画やテレビの中でも、この石坂金田一の『悪魔の手毬歌』はとび抜けて良いです(^^)。『病院坂の首くくりの家』も素晴らしかったですが、ちょっとこの作品の素晴らしさには太刀打ちできない感じ。他の作品は、この2作品にははるか及ばない感じでしょうか。

 子供のころ、こんなに身の毛のよだつ映画チラシもありませんでした。僕はこの映画のチラシと「お菊人形」のふたつで、日本人形が苦手になりました(゚ω゚*)。のちに、稲川淳二の「生き人形」の怪談で更にアウト。日本人形、怖すぎです。。まあそれはさておき、物語は村に伝わる手毬歌になぞらえて次々に起こる奇怪な猟奇殺人を軸に展開します。たとえば、「秤屋器量よし爪長娘 大判小判を秤に掛けて」という歌詞に沿って、秤屋の娘が大判小判をつけられて殺されます。ところがこれが古い手毬歌なので、知っている人が少ない。手毬歌の歌詞さえわかれば次の殺人を防げるかもしれないのに、それが分からない。

 そんなわけで、僕がこの映画を見たのは大人になってから。子供の頃の恐怖とは全然違って、感動のあまり泣いてしまいました。この映画も『病院坂の首くくりの家』と同じように、推理ものというだけでなく、物語の人間劇が素晴らしかったんです。以下、すこしだけネタバレなので、知りたくない人は◆印のところまで読み飛ばしてください(^^)。


 犯人の殺人の動機には、あまりにも悲しい過去の出来事が。犯人はその原因になった人を憎みたいと思っているのに、愛してしまって忘れられません。金田一に謎解きをされるその時になって胸のうちを語りますが、これがあまりに悲しすぎて僕は泣いてしまいました。ところが、本当の悲しみはここから。物語は犯人が分かっだけでは終わらず、まるで魂の抜けたようになった犯人は、入水自殺をするのですが、そのシーンが悲しすぎてもう…。そして、恋人と妹のふたりを殺した犯人を掴まえたいと望んでいた青年が犯人の水死体の顔を見るとそれは…。そして、その死体の顔がこの世のものとは思えない美しさ。ここで流れる音楽とともに、素晴らしいシーンでした。

◆◆◆◆◆
 この映画、人間ドラマ部分が素晴らしすぎて、僕は今までに何回観たか分かりません。10回ではきかないと思います。また、タイトルになった手毬歌の歌詞が実に意味深で、原作本まで読んでしまいました(^^)。そこまでしても良いぐらいに深みのある話です。いや~、原作は映画とはまた違った情緒があってよかった!!俳優では若山富三郎と岸恵子の演技が秀逸!そして市川崑監督の演出が見事、この映画に記録された昔の日本の田舎の風景も実に情緒あふれる感じでよかった!!推理映画とあなどるなかれ、人間ドラマとしての日本映画の大傑作のひとつ、おススメです!!



 

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小説『病院坂の首縊りの家』 横溝正史

Byouinzaka_book.jpg でもって、「病院坂の首縊りの家」の原作です。けっこう長いです。金田一耕助ものの小説の中でも1~2を争う長さじゃないかと思います(^^)。

 事件は、哀れな女性の首つり自殺から始まります。ある名家の愛人が、戦争を機に幸福から転落、愛人と幸せに暮らした家で首つり自殺。彼女には子供がおり、さらにこのお金持ちの病院にまつわる写真が他の事件を引き起こし、世代を跨いでいくつもの事件が交錯していきます。面白そうでしょ?面白いんですよ、これが(^^)。メッチャ面白かったです!!
 横溝正史さんの探偵小説全般に言える事ですが、人間関係がちょっとややこしいうえに、本題に入るまでの背景部分の記述にまあまあページをさいているので、最初は若干だるかったです。しかしそこを過ぎると引き込まれる!!僕が読んだ金田一ものの小説は5~6冊なんですが(長編小説だと全部で20~30ぐらいあるらしい)、その中では一番複雑な展開をする本でした。で、この展開がスリリングで、明らかに怪しい人、逆に怪しくない人、大体見当のつくトリック、その逆に意表を突かれる部分、こういうのがグチャグチャに絡まり合って、「こういう事なんじゃないか?」と、いつの間にか自分が探偵みたいになっていて、真相を知りたくて、後半は一気に読んでしまいました(^^)。。

 この小説、映画版とは人間の縁戚関係なんかがちょっと違っていたりして、映画を見た後に読むと、余計に混乱します(^^;)。逆に言うと、映画版を見た人でも相当楽しめるんじゃないかと(←僕はこのパターン)。あと、僕の友達に、洋の東西を問わず推理小説なら何でも読むという推理小説マニアくんがいるのですが、彼が一番好きな小説家は横溝正史だそうです。なかでも、「病院坂はかなり上位」だそうで。う~ん、たしかに面白かった。ちょっと長いので、金田一ものお最初に選ぶときついかも知れませんが、いくつかよんで金田一が肌に合っていそうでしたら、ぜひ!!



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映画『病院坂の首縊りの家』

51HTdEv2SxL.jpg かつて大ヒットした東宝映画版の金田一耕介シリーズの最終作です。金田一と言えば、僕の中では石坂浩二& 市川崑監督の東宝映画版が最高と思ってます。このシリーズ、僕の幼少時に公開されていて、中学生ぐらいの友達のお兄さんあたりではすごく話題になってました。そんなわけで、友達の家に映画のパンフレットがあったんです。たしか「女王蜂」だったと思うんですが、そこにかなりえぐい惨殺シーンが映っていて、怖くて見れませんでした(^^;)。中学生ぐらいの時かな、その女王蜂をテレビでやっていて見たんですが、これが結構面白かった!で、音大生の頃にビデオ屋で1作目の「犬神家の一族」から見たんですが、こんどは3作目の「女王蜂」以降がつまらない。結局、シリーズ5作目の本作は、見るには見たんですが、あるシーンを除いてはよく覚えてない(^^;)。ただ、良かったような気がしたので、この前久々にビデオ屋に行ったついでに改めて借りてみたのですが…いや~とんでもなく素晴らしかった!!これは金田一映画どころか日本映画の傑作のひとつじゃないでしょうか!!カメラワークや影の使い方などの映画術は文句なし!出演した役者さんの演技も、石坂浩二さんのほか、佐久間良子さんと桜田淳子さんの演技が素晴らしかった!!音楽ブログ的な注目点としては、桜田淳子さんの"It's only Paper moon"の歌がめっちゃうまい!!本当にうまいです。こんなに歌のうまい人だったのか、知らんかった。それから、子どもの頃、桜田淳子さんは猿みたいな顔だと思っていたのですが(^^;)、この映画で見るとすっげえ美人です!!これも驚きました。

 物語はグロテスクな連続猟奇殺人を中心に展開されます。それを名探偵金田一が追っていくわけですが、だんだん昔の日本の複雑な姻戚関係や、かつての悲しい出来事が複雑に入り組んでいることがわかってきます。誰が誰の親で、その親が誰と再婚し、誰が生まれ、その運命がどうなったか。名前だけ出てくる人も結構いて、追っかけるだけで大変。でも、それだけでもかなり面白い(^^)。すごく複雑なので、2回目3回目と繰り返し見るたびに、どんどん理解が深まっていく楽しさもありました(昔、「仁義なき戦い」で同じような体験あり^^)。しかし、僕がこの映画にジーンときたところはそこじゃなくってですね…

 悲劇の連続殺人の裏にある人間ドラマ、これが素晴らしい!!ただの犯罪トリックを解く推理小説とか、猟奇殺人というスリラー部分はほとんどオカズで、この映画の中心は深い人間ドラマだと強く感じました。連続殺人という重すぎる罪を犯さざるを得なくなった犯人の苦しみや悲しみが、本当に悲しい。犯人だって、出来れば人なんて殺したくないんですよね。しかし殺さざるを得なくなった所に苦しみがある。ここを描くために、かなり早い段階で謎解きシーンが始まりますが、この謎解きで明かされることになる悲劇にジーンと来てしまいました。特に、犯人を因果にしばりつけることになった写真の銀板のくだりは、泣いてしまいました。。ここは物語だけじゃなくて、カメラの構図や演出も素晴らしかった!!また、犯人の悲劇を憐れんで、金田一が問題の銀板をそっと処分するシーンは心を打たれました。

 ひとつだけ気になったシーンが(以下ネタバレを含みますので白文字にしてあります!!)。問題の写真が撮られてしまうシーンですが、昔の記憶では、すごく暗くてよく分からなかった記憶があるんです。で、いざ写真を撮影する瞬間だけ、フラッシュが光って一瞬だけその決定的瞬間が見える。昔はこれが凄く素晴らしい演出だと感じたんですが、今回DVDで見たところ、フラッシュが光る瞬間以外にもそのシーンがばっちり見えます。いや~、これは昔は倫理コードに引っかかるので暗くしていたのをDVD化にあたって明るくしたのか、それとも僕の記憶違いか。仮に修正したのだとしたら、この映画最大の演出が台無しになってしまったように感じるので、これは残念。

 なんといっても市川監督なので、単なる犯罪トリック映画ではなくて人間ドラマとして見せたのが素晴らしかった!!あまりに素晴らしかったので、もう4回も繰り返し見ております。そうそう、金田一映画には、もうひとつ傑作がありまして、それは次回に(^^)。。



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『Roberta Flack / Killing Me Softly』

RobertaFlack_KillingMe.jpg 前回、大名盤『Roberta Flack & Donny Hathaway』では、ダニーさんの素晴らしさばかり強調しちゃいましたが、本当はロバータ・フラックさんの素晴らしさも書きたかった(^^;)。。単純に歌唱力という所でいうと、なにもダニーさんと比較しなくともロバータさんには「ん?」と思う所が随所に出てくるんですが(・ω・)、しかしロバータ・フラックさんの素晴らしさは、もっとトータルで見たシンガーソングライターとしての力量にあるんじゃないかと。作曲やピアノアレンジが素晴らしい!
 ロバータ・フラックさんは、デビュー前はナイトクラブでピアノ弾き語りをしていたそうで、さすがに弾き語りが素晴らしい。上手いかどうかじゃなくって、ピアノと歌が実に見事に絡みます。ほら、女性でピアノ弾き語りというと、なんでもかんでも4分音符で「ジャン、ジャン、ジャン、ジャン」というのがやたら多いじゃないですか。あれとかフォークギターのジャカジャカストローク一辺倒を聴くと、僕は1分もすると聴くに堪えなくなって音楽を聴くのをやめちゃうことが多いのですが(^^;)、そういうのはなくって、どの音を弾くべきか、和声はどうするか…ピアノアレンジが、本当に良く出来ています。間違いなく和声法を学んでいると思います。ジャズピアノのように見事な運指を楽しめるわけではありませんが、そんな必要を一切感じさせない素晴らしさ。その素晴らしさは、2曲目"Jesse" や4曲目"No Tears" などに存分に発揮されてます。4曲目なんて、ピアノとヴァイオリンの演奏といい、その上に浮かび上がる歌詞といい、これは泣ける、なんていい曲なんだ(・_・、)。

 僕的にはこの2曲だけでも買いのアルバム。しかし敢えて問題点をあげるとすると、バンドアンサンブルした曲。なんか、これがダサい。歌や曲の良さが全部消えちゃっている気がするんですよね。ミッド~スローぐらいの良い歌って、伴奏の編成が小さければ小さいほど歌の良さを引き出せると思います。下手にフォーリズムのバンドアンサンブルとかを作っちゃうと、声の表現は奪われるし(声のニュアンスなんて大きな楽器の音で全部マスキングされちゃう)、和声進行やカウンターラインの妙なんて無神経なドラムやベースがいたら、それで台無し。ピアノだけであれだけスバラシイ音楽を作れちゃっている人なので、雑なバンドアンサンブルは余計に感じちゃいました。。あ、そうそう、バンドアレンジのすべてが悪いというわけじゃなくって、最終曲"Suzanne"のアレンジは絶品!メインパートが終わったあと、ふたつのコードを繰り返すだけのアドリブパートに突入して次第に高揚していったところでブレイク、歌だけを残してコーダ。いやあ、なんと素晴らしいアイデア、これはいい!

 僕、ロバータさんのアルバムを、ダニー・ハサウェイさんとのデュオとこれしか持ってないんですよね。他のを聴くより先に、このジャンルを通り過ぎてしまったんです。でも、今聴いてもこれだけ良いんだから、きっとほかのアルバムにも良いものがあるんじゃないかという気がします。もともとクラブで弾き語りしていた人らしいので、デビューアルバムとかはピアノ伴奏中心だったりするのかな?そうだとしたら、これより前のアルバムもいつか聴いてみたいなあ。



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『Roberta Flack & Donny Hathaway』

RobertaFlackDonnyHathaway.jpg 前回に書いた"LIVE!"がダニー・ハサウェイどころかソウルの大名盤である事は異論のない所だと思いますが、個人的に一番よく聴くダニー・ハサウェイのアルバムはこれ、ロバータ・フラックと作ったアルバムです。

 ブラック/ソウル系のアルバムはなかなか大量生産気質な所がありまして、金太郎アメ的、月並みなアレンジのオンパレード、演奏が雑、サウンドがスッカスカ…「すごくいい音楽なのに、安上がりに済ませようというビジネスライクな考えばかりするものだから残念なことになってしまった」という面がソウルにはあると感じますが、しかし70年代の一時期はすばらしい。マーヴィン・ゲイ、スティービー・ワンダー、ダニー・ハサウェイといったミュージシャンが、大変に素晴らしい音楽を作り出します。中でも一番すごいと思うのがダニー・ハサウェイさんで、歌はうまいし演奏も見事、アレンジ抜群、そしてなにより素晴らしいのが、安かろう悪かろうの大量生産は絶対にせず、ひとつひとつの曲を非常に丁寧に完成させるところ!アルバムも曲の羅列ではなく、ひとつの作品として完成させます。このアルバムはカバーを中心に作り上げた企画ものアルバムという側面がありますが、ところがどっこいよく練られています。一曲目がいきなりスローマイナー、最後はピアノとエレピのデュオによるインストで静かに幕を閉じる…いや~、こんなアーティスティックなソウルアルバムもなかなかないんじゃないかと。

 このアルバム、全曲アレンジのポイントを解説したいぐらいに、見事なアレンジのオンパレードですが、中でも死ぬまでにお願いだから一度は聴いてほしいと思う曲が、"For All We Know"。ほとんどピアノ伴奏のみ(最後にヒューバート・ロウズのフルートとストリングスが少しだけ入る)で、ダニー・ハサウェイが歌い上げるのですが、ロバータ・フラックの極限まで音数を減らしたピアノのアレンジも、ハサウェイのヴォーカルのフェイクラインも、信じられない完成度。そしてあのダニーさんの素晴らしすぎる歌ときたら、文句のつけどころがありません。アレンジって、楽器間のアンサンブルだけじゃないんですよね。で、最初にこの演奏を聴いたとき、僕は鳥肌立ちまくり、涙まで出てきちゃいました。
 もうひとつ、このアルバムの背後には、AOR的なカラーを感じます。フュージョンの苦手な僕ですが(^^;)、しかしポピュラー音楽に進出した時のフュージョンは素晴らしくなる時があります。フュージョン系のミュージシャンが進出する前のアメリカのチャート音楽と、それ以降の音楽を聴き比べると…9度以上の和声、様々な和声進行への探求、リハーモニゼーションのレベルなど、大人と子供ほどの差を感じます。テクニックのための音楽に陥りがちなフュージョンがソウルという音楽と結びつくと、互いの弱点を補ってとんでもなく良い音楽になった。ニュー・ソウルには、こういう側面もあったんじゃないかと。
 そして、アルバム最後のしっとりした"MOOD"の素晴らしい曲を聴きながら、ため息をつきながら感動している僕なのでした(^^)。超おススメ!!



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『Donny Hathaway / LIVE』

DonnyHathaway_Live.jpg マーヴィン・ゲイつながりのニュー・ソウルの名盤を、もうひとつ。これも有名すぎるぐらいに有名な大傑作、ダニー・ハサウェイのライブ盤です。1曲目がマーヴィンの"What's goin' on" ですが、オリジナルのストリングス入りと違ってこちらはエレピ入りのバンド編成、これも大名演!!しかもダニー・ハサウェイという人はニューソウルきっての名ヴォーカリストというほど歌がうまい!!

 マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」と、このアルバムに共通するものを取り上げて、それをニューソウルの特徴というのはちょっと強引でしょうか。でも、あながち的外れでもないかも。まずはリズムセクション。エレクトリック・ベース、コンガ、ドラムというリズムセクションです。これがロック的なハードなものではなく、これだけでずっと聴いていたくなるような気持ちよさ。例えば2曲目に「ゲットー」というインスト曲が入っているのですが、これなんかほとんどリズム隊だけの曲と言ってもいいんじゃないかと。この辺の美的感覚は、以前に書いたブッカーTあたりがルーツなのかも。この流れ、日本のクラブ音楽にまでつながってますよね、本当に気持ちいいです。
 ローズ系のエレクトリック・ピアノの使用も、この時代のブラック・ミュージックの特徴のひとつかもしれません。エレピ独特のヒステリックでない音の気持ち良さも、ず~~っと聴いていたくなる快感のひとつに繋がってるのかも。

 そして、曲のコード進行の素晴らしさ。ここが以前のソウル・ミュージックとは段違いの進歩で、実によく練られています。経過和音やエクステンションあたりを聴くだけでも、ソングライティングのレベルが全然違うことが分かります。"Hey Girl"なんて、楽曲の完成度からいえば"What's goin' on" 以上じゃないでしょうか。すばらしいです。

 ソウル/ブラック系は、ある面でいうとポップス以上にシステム化されたレコード産業という側面もあって、大量生産品の粗雑品をつかまされることも珍しくありません。外れも多く、僕はあまり深くまでは入ることが出来ませんでした。しかしこれは今さら僕が言うまでもないほどの大名盤、おススメです!!




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『Marvin Gaye / What's goin' on』

MarvinGaye_Whats.jpg 最初にこのアルバムを聴いたときの、すがすがしいような、もの悲しいような、早朝の風にあたっているような気持ちよさのような、なんともいえない感激はずっと忘れられません。まだ音楽の勉強すら始めていない頃で、しかも子供だったもので英語の歌詞の意味もなんにも分かっていませんでしたが、震えました。ニューソウルの大名盤、マーヴィン・ゲイの最高傑作、モータウンを代表するレコードの1枚…このアルバムを生涯の1枚に上げる人も少なくないのではないでしょうか。

 1曲目「ホワッツ・ゴーイン・オン」は大名曲。ソウル・ミュージックをオーティス・レディングやベン・E・キングやアレサ・フランクリンみたいな音楽だけだとばかり思っていた僕はこれにびっくり。熱すぎず、しかし情感のこもった歌、ベースとパーカッションの作り出す独特の軽いグルーヴ、そして極めつけはストリングスの気持ち良さ。そして、この「ホワッツ・ゴーイン・オン」のアレンジの方向性でアルバムのすべての曲が統一されます。A面2曲目からはメドレー状態で一気に行きますが、これが徐々に登り詰め、心がグッとくるような絶妙な和声進行、転調…じつはこの2曲目以降の圧倒的な流れが"What's goin' on" 以上の素晴らしさ、感動してしまいました。

 さてこのアルバム、この爽やかで気持ちの良い音楽と歌詞の内容がちょっと違うんですよね。歌詞は、戦争の悲惨さを嘆き、排ガスに汚れる空を訴えます。若い頃、この詩の世界にもまた感じ入ってしまいましたが、しかし僕にとってはやっぱり最初に聴いたときのあの音だけから受けた情感の素晴らしさ、どうしてもそっちが勝ってしまいます。このあと、僕はかなりたくさんマーヴィンさんのレコードを聴き漁りましたが、とうとうこのアルバムを超える作品に出会うことはありませんでした。ほとんど、この一枚だけが奇跡というか、特別なんですよね。音楽好きでこのアルバムを聴いていない人なんていないと思いますが、未聴の方は是非!!



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『沖仁 / New day to be seen』

OkiJinNewDay.jpg クラシック・ギターを学びながら、別のギター・ミュージックに進んだ人をもう一人。沖仁さんという、フラメンコ・ギタリストです。ずいぶん前(2004年ぐらい?)に、、テレビでこの人のドキュメンタリーをやってまして、そこでフラメンコを演奏していて、「うおおお、すげえええ!!!」って興奮したのでした(^^)。だいたい僕はフラメンコ・ギターはなんでもかんでもすごいと思ってしまう所があります(^^)。で、このCDに飛びついた次第。

 うまいです。うまいんですが…なんだこのポピュラーアルバムみたいなアレンジは(-_-#)。これはディレクターが馬鹿なのか、こういうイージーな商業志向にNOと言えない本人が悪いのか。フラメンコを学ぶと、最初は指が動くとか曲を覚える所からやると思うんですが(あくまで憶測)、いずれ「技術や形じゃない部分で、フラメンコや音楽って何なのか」という所に行きつかないと嘘だと思うんですよ、そこが重要。クラシックでそれが出来なかったら、教師なしでは解釈も選曲も無理でしょう。ベートーヴェン「みたいなもの」を演奏してるけど、ベートーヴェンの音楽の根幹にあるものはまるで演奏できてない、みたいになるわけですから。アーティストというのは、自分が音楽の核心と見定めたところに肉薄しようとする人のことだと思うんですよね。しかし、こういうポピュラーフュージョンみたいなことを、しかも自己名義の作品で出来てしまうというのは、これで良しと自分を許せてるようにしか見えない。この人は、音楽を技術的なものとしてしか把握してないんじゃないかと。クラシックの一線級のピアニストが、自己名義のリサイタルでAKBの曲を演奏するでしょうか。それをやって悪いというわけじゃないし、またAKBの音楽が悪いという事もありませんが、しかし少なくともそのピアニストに対しては「ああ、この人はクラシックの本質を理解していないんだな」と、聴衆は思うんじゃないでしょうか。それと同じ。フュージョンさせるにしてもフラメンコそのものを発展させるにしても、ラファエロ・コルテスとかみたいに、他にいくらだってやりようがあるだろうに。こんなイージーな事をやるようでは、しょせんはただのギターオタクか、音楽の凄さよりも商売を優先させる程度のモチベーションしか音楽に持っていない人なんでしょうね。アーティストのやる事ではない。

 技術のある人って、スタンダードをそのままやったら、分かってるのかわかってないのかは隠せます。例えば、解釈や表現力はまったくないけど指だけはものすごく動くクラシック・ピアニスト。コンクールで「こんなに小さいのにすごい!」みたいな子供って、何年かにひとり出るじゃないですか。そういう子供が表現を理解するなんて無理だと思うんですが、「なぜそこの全音符は短く演奏するのか」とかをまったく理解していなくても、そういう手本を完璧に丸写しして演奏することはできる。教師が手本を教えるから、表現をまったく理解していなくても、表現のある演奏のコピーをそのまま演奏できる。このとき、この子供が音楽を理解できていたのかどうかは見分けがつきませんよね。ところが、この子供にコピーを禁止して自分のオリジナルを作ったり自分で選曲しろと言ったらどうなるか。たぶん、普段見ているアニメの曲なんかもプログラムに入れちゃうんじゃないでしょうか。激しい曲は、全部自分の技量でもっとも速くできる速度で演奏しちゃうんじゃないでしょうか。なぜそれでは駄目なのか、それを子どもは理解できないでしょう。…このアルバムは、そういう事なんだと思います。残念すぎるライトフュージョン・フラメンコでした。



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『宮野弘紀 / レッシ・レヴェー』

MiyanoHiroki_RaisseRever.jpg フュージョン系ジャズ・ギタリストとしてデビュー(だと思います、たぶん…)した宮野弘紀さんのアコースティック・ギター独奏アルバム。独奏とはいえ、オーバーダビングしてますが(^^)。聴いた印象は非常に静かなアルバムですが、よく聞くと凄い事やってます。めっちゃくちゃ良いアルバムです!!

 僕は宮野さんが大ブレイクしたフュージョン/ニューエイジ時代というのをよく知りません。僕が知ったころには、ジャズもアコースティック・クラブももう終わっていて、ボッサやフラメンコとか、世界中のアコースティック・ギターの音楽を吸収して自分独自の音楽を作り上げていったと思われる時期から。単旋律でものすごいソロを取る時はジャズのにおいを少し感じますが、しかしそれ以外ではブラジル音楽系のギタリストかと思っていたぐらいです(^^)。そしてこのアルバム、静かなんですが、しかし多分凄い事やってるんだろうな、という所が随所にあり(ギタリストじゃないから実はよく分かりません^^;)!!音楽性も大好きですが、特にソロアドリブのギターが凄い。これはマジで感動もの、これを聴いてしまったらロックのスーパーギタリストなんて子供に思えてしまいます(^^)。その凄い技術というのが、テクニックだけじゃなくって、音楽的な必要があってそういう演奏に行きついたんじゃないかと思えるところもスバラシイ。いや~、これぞギター音楽、ほんとに素晴らしいギタリストです!!!

 ちょっと残念なのは、オーバーダビングしている事。クラシックギタリストじゃないから旋律と伴奏の同時演奏は難しいのかもしれませんし、またそうしないからこそ出来るソロ・アドリブなのでしょうが、それでもオーバーダビングに逃げないでほしかった。前の記事の國松竜次さんや近藤秀秋さんみたいに、ダビングなしの本当の独奏でガンバってほしかったなあ。僕の感覚では、こういうアコースティックな音楽って、実際に人が演奏していると思えるからこそ感情移入できる、というところがあります。しかしオーバーダビングでは、「うおお、すげえ」という部分が半減しちゃう分、なんか冷めちゃうんですよね。たとえが悪いかもしれませんが、仮にリストのピアノ曲があったとして、右手と左手を別々に録音していたとしたら…そんなのに近い感覚かも。これをやるんだったら、バッキングはほかの人に演奏してもらって、宮野さんはソロだけ取るという方が良かった…な~んて思ってしまうのは私だけでしょうか。でも、これは、ないものねだり。落ち着いた大人の音楽と、見事すぎるギター演奏。素晴らしいっす(^^)。おススメ!!



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『國松竜次 / Plays Piazzolla』

Kunimatsu_piazzolla.jpg タンゴにアコースティック・ギターと来たので、その流れでもうひとつ。國松竜二さんというクラシック系のギタリストによるピアソラ作品集です。知名度と一般的な評価が全然違うミュージシャンというのはいるもんで、國松さんもそのひとりなんじゃないかと。僕が思う日本の素晴らしいギタリストのベストテンに入る人です。

 僕が思うすごいギタリストってどういう事かというと、ひとつはアーティスト性があること、もうひとつはそのアーティスト性を生かすだけの技術がある事。アーティスト性というのは、どれぐらいクリエイティブで、そのクリエイティブさがどれぐらい説得力のある音楽につながっているか、という事なんじゃないかと。國松さんは、クラシックギターからスタートしてスペイン留学してクラシック&フラメンコを学習、そしてライブでは即興演奏を最大の表現手段にしているという人(今はどうか知りません。2007年のころ、そういってました)。素晴らしいアーティスト/ギタリストの条件が整いまくりです(^^)。ただし、國松さんのいう即興というのは、僕が聴いたコンサートの時の印象では、インプロヴィゼーションというよりソロアドリブに近い感じかな?
 そしてこのCDですが…いや~、期待しまくってたんですが、これがちょっと残念。ギターでのピアソラ作品集としては悪くないCDと思うんですが、やっぱりクラシック系の人が演奏するタンゴの典型みたいになっちゃいました。丁寧でおとなしくなっちゃって、タンゴ特有のグルーヴ感がごそっと失われて、毒の抜かれたBGMになっちゃったよ(T_T)。たとえば6曲目の「ブエノスアイレスの夏」なんて、いかにも4分音符の強烈なビートが命の曲なのに、これが弱すぎ。ほかでいうと、このCDには「ナイトクラブ1960」も入ってるんですが、それは前に取り上げた近藤秀秋さんのCDでも取り上げられてるんです。どちらが技術的にうまいかというとたぶん國松さん、しかしどちらが音楽的に強烈かというと圧倒的に近藤さんと感じるんですよね。つまり、技術じゃないどこかに音楽の何かがある。音楽に技術は必要だけど、技術が音楽ではないんだなあと痛切に感じさせられたい演奏でした。

 しかし、フォローしておくと、私、國松さんのリサイタルを生で見た事があります。そこで演奏したピアソラの演奏はすごかった!!本当にすごかったんですよ、感動のあまり、普段は拍手しない僕が終演後ずっと拍手してました!!つまり、もしかすると國松さんじゃなくてレコーディングが悪かったのかも。CD記載のプロダクションデーターを見ると…神奈川のホールを借りて録音したみたい。CDの音は「ただ録音しました」みたいなそっけない音だし、演奏は「間違えないように」という事に気にかけているような慎重さが目立つし、これはCD用の録音に慣れてないのかも。本当はすごいアーティスト/ギタリストなのに、その実力を発揮し切れなかったCD、なのかも知れません。レーベルがクラシックのフォンテックというのも影響してる?タンゴの強烈なグルーブとかを理解できないで、クラシカルな音に仕上げちゃった感じもあります。僕はこのCDがトラウマになってしまって、國松さんのほかのCDには今も手を出せず仕舞いですが、これほどのギタリストなので良いものもあるんでしょうね。こういう個性的なギタリストの作品は、意外とジャズやロックのレーベルの方がカッコよく作るのかも(^^)。



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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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