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心に残った音楽♪

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2015年 このブログで取りあげたアルバムのベスト10!

 今年もお世話になりました。フリーランスのデザイナーという仕事柄、収入は低く拘束時間も異常に長いものの、仕事中に音楽を聴いていても怒られないという特権を生かして続けているこのブログですが、今年このブログで扱ったアルバムで、ベスト10なんてやってみようかと(^^)。採点基準は…ありません、ほとんど僕の気分(^^;)。というわけで、さっそく発表!

SoftMachine5.jpg第10位
デケデケデケデケ(ドラムロールの音)…『Soft Machine / 5』!!
 これは大好きなロック(フュージョンと言った方が近いか?)のアルバムで、昔は超愛聴盤でした(^^)。ただ、好きで聴きすぎて飽きてしまってしばらくご無沙汰だったんですが、久々に聴いたらやっぱり良かった!!ロック系唯一のランキングっす(^^)。とはいっても、これを聴いて「ロックだ」と思う人はあんまりいないかも(^^;)。。

GilEvans SteveLacy第9位
デケデケデケデケ…『Gil Evans, Steve Lacy / PARIS BLUES』!!
  エレクトリックピアノとソプラノサックスの音の美しさ、リラックスしつつすごく抒情的なプレイがたまりません!!これも昔よく聴いたCDなんですが、最近聴いていなかったものだから、久々に聴いたら感動がよみがえってきてしまいました。もし、今年がこのCDの初体験だったら、新鮮度も加わってもっと上のランキングだったかも。

Gould_Goldberg81.jpg第8位
デケデケデケデケ…『グレン・グールド(pf) / J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲』(81年盤)!!
 音大生のころによく聴いていた1枚。でも、ピアノを諦めてからは、クラシックのピアノを聴くのがトラウマになってしまい(たぶんコンプレックスもあるんじゃないかと^^;)、しばらく聴いてませんでした。しかし久々に聴いたら…うわあ、すげえ。見事な解釈、素晴らしい表現、楽器の完璧なコントロール、これは感動ものです。でもやっぱり旧譜は旧譜であって、どこか今の音楽の最前線とずれてしまっているんだな…と感じたのは、意外な発見でした。でもすごかった。

RussianChurchMusic.jpg第7位
『Russian Church Music』!!
 いや~、この神がかりの無伴奏合奏には度肝を抜かれました。また、旧ソ連時代は政治的に禁じられていた歌が、森の奥底に隠された秘密の境界で歌い継がれ、そしてソビエト崩壊とともに復活したというところがまたすごかった!それだけに、音楽のための音楽という感じではなく、本当に「祈り」そのものという感じなんですよね。これは凄い。絶対に聴くべきです。

Purcell_Sonatas of 3parts第6位
『パーセル:3声のためのソナタ』!!
 これも昔からの愛聴盤。もし今年がパーセル初体験だったら、衝撃度からして1位だったかも。これは若い頃の僕が、その音楽観を根底から覆された1枚で、音楽というのは人間的に、エモーショナルに表現できれば出来るほど良いと思っていたのが、響きそのものだけで超越的な美しさになってしまうのかと背筋の凍りついた一枚。これで3声なんて信じられません。

Ladysmith_Liph.jpg第5位
 『Ladysmith Black Mambazo / liph' iqiniso』!!
 ワールドミュージックの凄さって、自分が当たり前と思っていた常識の外に、まったく違う形や価値観をもつものがある事を伝えてくれる所がとにかく素晴らしい!!世間が狭いというだけで、ほとんど罪です、ワールドミュージックが苦手なんて言っていたら勿体なさすぎです(^^)。。レディスミス・ブラックマンバーゾはアフリカのコーラスグループとはいえかなり西洋化されていますが、それでもこのアフリカの声の音楽の凄さと、聴いているだけで暖かい気持ちになるような至福の感覚は素晴らしかった!!

KikuchiMasa_AfterHours.jpg第4位
『菊地雅章 / AFTER HOURS』!!
 ジャズバンドに参加して、ジャズの勉強に明け暮れていた頃、よく聴いた一枚です。最初はビル・エヴァンスとかマッコイ・タイナーとかとかハービー・ハンコックとかを一生懸命勉強して練習して、ライブで演奏してたんですよ。しかし、菊地さんの音を聴いてぶっ飛ばされました。自分がやっていたのは西洋かぶれの単なる物まね、職業音楽家になるための訓練にはなってるかもしれないけど、本当の意味での創造とは全然違う事をやっていた…と思わされた1枚でした。それまでは「日本のジャズなんて」と思っていたのが一変、以降は富樫雅彦さんやら高柳昌行さんやら、欧米ではありえないタイプのものすごい音楽を作り出している人の音楽に陶酔。日本のフリージャズと日本の現代音楽は芸術家の宝庫、という事を僕に教えてくれた1枚でもありました。日本人ミュージシャンって、最初はみんな軽く見るんじゃないかと思いますが、それが誤った認識である事を思い知らされた1枚でもありましたね~。

KondoHideakiAsyl.jpg第3位
『近藤秀秋 / アジール』!!
 とはいえ、日本の現音とフリージャズの全盛期は60~70年代で、以降は絶滅へ一直線…かと思ったら、今年発表のこれは凄かった!今年リリースの作品に限定するなら、これがナンバーワン。凄いミュージシャンというのは今でも探せばいるもので、純邦楽もジャズもクラシックも全部ひっくるめてその先の音楽を構想してしまったこの音楽は凄かった!!70年代は間章さんとか清水俊彦さんとか、自分の意見で「これが凄いんだよ!」と伝えてくれる気骨と審美眼を持った本当のジャーナリズム精神を持った良いライターがいたけど、現在ではほとんどいなくなってしまった、という事なのかも。紹介者がいなくなっただけで、凄いミュージシャンは今も生きてるんだと、嬉しくなった1枚でもありました。間章さんとかが生きていたら、きっと絶賛していた一枚じゃないかと思います。
 *追記:web magazine の「JAZZTOKYO」では、このアルバムが年間ベストアルバム国内編に、トップで取りあげられていました。聴く人は聴いているんですね、良いライターがいなくなったなんて言ってスミマセンでしたm(_ _)m。

Ravel_PianoConcerto_Argerich.jpg第2位
『アルゲリッチ(pf) / ラヴェル:ピアノ協奏曲、夜のガスパール、ソナチネ、水の戯れetc.』!!
 後で知ったんですが、これは有名すぎるぐらいに有名な演奏らしいです。クラシックのピアノを学んでいたくせに、こんな事も知らないなんて(^^;)…でも、フランス近現代が専門だったし、仕方ないか。このCD、地元の神戸のタワレコで特売コーナーで買ったんですが、もの凄かった!いや~、若い時にこれに出会っていたら、もしかすると現代音楽の作曲ではなく、ロマン派のリサイタリストの道を目指したかも…いやいや、ピアノが下手だったからリサイタリストになるのはどのみち無理でした(^^;)。。でも、そのくらい凄い演奏、有無を言わさぬもの凄さです!!じゃ、なんで1位じゃないかというと…やっぱり旧譜は旧譜というだけでも弱点があるというか、現代とは既に美観にずれが生じ始めている場所をちょいちょい感じるんですよね。でも、初体験の人にとっては、そんなふうに聴こえるはずもないと思うので、大推薦です!あ、あと、これ今定価1000円で売ってますが、これを1000円で売られたら後進の日本人クラシックピアニストはたまったものじゃないだろうな…な~んて、人の心配までしちゃいました(^^;)。

KitaNaoki_Winter.jpg第1位
さて、待望の第1位は…デケデケデケデケ…『喜多直毅 / Winter in a Vision』(ノ^-^)ノ!!!
 これは度肝を抜かれました!まさに衝撃、CDをかけ始めてから終わるまで、息もできないものすごさ(それは言い過ぎか)。タンゴなんて題材程度のものではるかその先を行く凄さ。喜多直毅さんも菊地雅章さんも近藤秀秋さんもそうですが、人気商売とかエンターテイメントなんてところにはまったく無関心で、徹底的に音楽そのものを突き詰めるストイックさとか凄さ…みたいなところに、一部の日本人ミュージシャンの共通項を感じます。これって、西洋のプレイヤーにはなかなか感じられない傾向。俗っぽい部分なんてはるか彼方、音楽のみを真剣に追及している真剣勝負の凄みを感じます。これも、大きな音楽誌がぜんぜん取りあげなかったのが信じられないレベルのものすごい音楽、歴史に残る大名作と思います。

 こうしてみると、僕が選ぶとどうしてもピアノひいきになっちゃいますね(^^)。それにしても、今年も良い音楽をたくさん聴くことの出来た、良い1年でした(^^)。もし自分の生活の中に音楽がなかったら、けっこう素っ気のない日々になる気がします。貧乏だし仕事ばかりで忙しいけど、心のやさしい奥さんと気まぐれな猫(先週、大事なレコードをバリバリにしてくれました>_< )、そして良い音楽に囲まれて、自分の夢も少しだけど叶えられて、嫌な事もあったけどトータルでは良い1年でした。来年もいろいろ大変そうだけど、前を向いて歩んでいきたいなあ。それではみなさん、良いお年を(*^-゚)/~マタネ♪!!


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『レベッカ / REBECCAⅣ Maybe Tomorrow』

Rebecca4.jpg 昨日(2015.12..27)の夜、NHKの「SONGS」という番組を見ていたら…おおおお、レベッカ、再結成してたのか?!そんでもって、紅白歌合戦にも出場が決定したようです!なるほど、その番宣もかねてのドキュメンタリーだな。。そして…魅入ってしまいました。
 80年代後半に中学高校生だった世代の人は、レベッカに熱狂した人も多いんじゃないかと思います。ライブに行かないまでも、レベッカが嫌いという人を、まわりで見た事がありません。当時は今とは違って、みんなコンポなりラジカセなりカセットウォークマンなりを持っていて、音楽を聴いてたんです。で、野球部やサッカー部の人まで、みんな音楽を聴いていて、その中でレベッカは1番人気だった気がします。僕もそんなひとりで、曲によっては共感を覚え、あこがれ、「バンドっていいなあ」と思ってました。最初のレベッカの印象は、すごくデジタルなロックだな…という印象。たぶん「モータードライブ」とか、あの辺の曲だったんじゃないかと思うんですが。なんか、ミニアルバムみたいのが出ていて、それがすごく好きでした。でもその頃は、まだ小学生から中学生になったばかりの僕たちの間では、音楽好きの友人うちでしか聴かれてなかった気がします。レベッカが一気に広まったのはもうちょっと後で、「フレンズ」のヒットからだったような(記憶があいまい)。そのフレンズが収録されていたのが、このアルバム。

 「フレンズ」、ヤバいです。詞がヤバいです。中学生の頃がフラッシュバックしちゃいます。

 口づけを交わした日はママの顔さえも見れなかった
 ポケットのコイン集めて ひとつずつ夢を数えたね…


 中学生だった自分たちにとって、あまりにリアルな詞でした。それに加えて、あのデジタルなロックの新しい感触、ヴォーカルのNOKKOさんの独特な声、ライブでの自分を命を全部さらけ出すようなものすごいパフォーマンス、ファッションやルックス…、音楽以外のものも含めた80年代の格好よさが、音に全部出てる感じでした。80年代って、軽いしカッコつけ。同時代に生きていながら、僕はそのノリが嫌いでした。カッコつけるのって普通はカッコ悪いじゃないですか。でも、それでさまになっちゃう人がちょっとだけいる。レベッカがまさにそんな感じと思ってたんですが、こういう詞から感じるのは、うわべだけの軽薄さなんてまるで受けなかったんです。結局、うわべのカッコよさだけでなく、その背景にあるものがカッコいいと思えたから、カッコいいと感じたんでしょうね。レベッカ時代のNOKKOさんのステージパフォーマンスなんて、ある種のカリスマを感じます。
 さて、久々に聴いてみた感想は(って、ブログを遡ると2年半前にも1回聴いてますね^^;)…ダメだ、思い出補正が強すぎて冷静に評価できません、素晴らしいとしか言えない(^^)。僕にとってのレベッカのイメージは、このアルバムでいうと「76th Star」とか「Girls, Bravo!」とか、こういうアップテンポ目の曲と、ステージでのNOKKOさんの凄いパフォーマンス。好きな人も多いだろうバラード「Maybe Tomorrow」もこのアルバムに入ってます。でもいつまでも心に残るのはやっぱり「Friends」あたりの、若い人ならではの言葉。素晴らしいです。そうそう、昨日のドキュメンタリーで、NOKKOさんが「FRIENDSが売れてから「もっとFRIENDSみたいな歌詞を」と要求されるようになって、追い詰められていった」と語っていました。ああ、それがアルバム「POISON」に入っていた大名曲「OLIVE」や「MOON」につながるのか。「MOON」なんて、フレンズの究極盤という感じだもんなあ…。

 さて、昨日のドキュメンタリー番組に出てきたレベッカ、みんな50歳を超えてました。10代の気持ちを代弁した歌詞とパフォーマーには年齢のギャップが生まれ、全員ものすごくよく練習してから上がったステージだったと思えるも、やはり50代の人に150kmの球を投げるのは厳しく…色んな事を思いながら眺めてましたが、それでも素晴らしかった!変な言い方になるかもしれませんが、10代~20代前半にしか歌えない歌詞と音楽だからこそのきらめき…みたいなものがレベッカにはあったのかも。昨日の再結成ライブの放送を見ていて感じたのは、昔のレベッカと比較しながら、昔のレベッカの素晴らしさがどこにあったのか…という事でした。それでも、それを思い出させてくれるだけでも素晴らしかった。全員本気で取り組んでいたし、お客さんも万感の思いで眺めていただろうと思いました。素晴らしいバンドだったんだと、改めて思いました。


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『菊地雅章 / AFTER HOURS』

KikuchiMasa_AfterHours.jpg 今年も残りわずか、どうしても年内に取り上げておきたい人がひとり。少し前に菊地雅章さん関連のCDをいくつか紹介しましたが、菊地さん、よもやその直後に他界されるとは(;_;)。今更ですが、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 他界なさった後にジャズ批評家さんの多くが追悼記事やら何やらをたくさん書いておりまして、しかし僕的にどうしても違和感を覚えたのが「この評論家さんの発言、本当に菊地さんの音楽をちゃんと聴いたうえでのものなんだろうか」と思えるものがいくつかあった事。なんと言えばよいのか…音楽である以上、どんな音楽にだって好きとか嫌いはついて回ると思うんです。ただ、何かの点で「これはすごい」という音楽はあるもので、そういうのって好きとか嫌いとは別の領域にその素晴らしさがあると思うんですよね。例えば、ベートーヴェンの晩年の弦カル。好き嫌いはあるでしょうが、あの入れ子細工のものすごさは否定できない素晴らしさと思うんですよ。それを「あんまり好きじゃない」というのは、聴く人個人が思ったり話したりするのは全然問題ないと思うんですが、音楽を紹介する役割の評論家が、その凄い部分を伝えず、好き嫌いのレベルだけで紹介するのはどうかと思うんです。このCDの菊池さんの演奏も音楽も、好き嫌いとは別の次元で、否定しがたい「すごい」という部分に達していると思うのです。僕は菊地さんに相当にのめり込んだ時期があるもので、僕なりに、菊地さんのピアノ独奏のどこに心から感動したか、これだけでも伝えておきたいなあ、と。

 というわけで、本題。僕的に菊地さんの音楽の真髄を捉えたと思えるものは、バークレー以降でフュージョンを卒業した後の、菊地さんのピアノソロです。以前に『アタッチト』という素晴らしいピアノソロ作を紹介させてもらいましたが、この『AFTER HOURS』も甲乙つけがたい力作。出だしの1分で、魂を持って行かれちゃいます。スローテンポのどマイナーから入る"bye bye blackbird"、ものすごいです。以降に続くどの曲の演奏も完全なプーさんワールドで、素晴らしい。素晴らしなんてもんじゃない、息をのむ、背筋がぞわっとくるような感動を覚える、鬼気迫る演奏です。
 もう少しちゃんと書くと…たとえば"blackbird"は、G♭マイナーからアドリブで和声進行を作って最後は転調してメインテーマに入るという趣向を凝らしているのですが(とはいってもほとんど機能和声と変化和音の連続)、この部分にあてられたオルタードの数々が凄い。最初の和声変化だけでも11th、13th、-5-13th、F79/A…簡単には選びにくい音を、これでもかとぶつけてきます。そうなると当然きわどい所に踏み込んでいく事になるわけですが、しかしこれを見事に成立させてしまう。理論というより、その時の音に対して、一歩間違えば崩壊というギリギリのところで選ばれたもっとも緊張感のある音や、それが醸し出す独特の音の印象の連続なのです。少なくとも『アタッチト』以降のピアノソロでは、菊地さんは響きに対する並々ならぬこだわりがあったんじゃないかと感じずにはいられません。それは、音の重ね方だけじゃなくて、楽器そのものの音の出し方、部屋の残響、録音などを含む全てにおいてです。例えばビル・エバンスの美しい響きの中にはアッパー・ストラクチュアすらターゲット・ノートと見做してアプローチしていく所など、実はあの美しさの裏には「安定」じゃなくって「崩壊寸前のギリギリの線」があると思うんですが、それに繋がるような尋常じゃないセンスを感じます。もっというと、ビル・エヴァンスよりも鋭い。このCDでの菊地さんはすごくゆっくり演奏して、考えつくしたうえで音を選びつくして絞り出してる感じ。音数は少ないですが、そこで選ばれた音の裏にものすごい選択と追及が見えます。デタラメでこの響きを作るのは不可能、勉強した人でもちょっとやそっとでは難しいんじゃないかと思います。僕は後からアナリーゼしてこの音をなんとか理由づけしているわけですが、菊地さんはこれを創造していたわけですよね。あとからあれこれ言うのと実践して生み出すのでは大違い、もう敬服の念しか生まれないです。私は、冒頭の3音、そしてディミニッシュを経過してノン・オルタードとオルタードの使い分けながら上に積まれていく音の響きの素晴らしさだけで魂を持ってかれちゃいました。この音にたどり着くがために、菊地さんは人生を費やしたんじゃないかというぐらいに深いです。

 深く追求しないと響かせることは無理な音、好き嫌いとは別次元のところで「すごい」という領域に入っている音楽と思います。だから、批評家さんが「ああ、あれ悪くないよね」とか軽々しく口にしていると、「え、これほどのレベルのものをそんな次元でしか判断できないのか?!」と、ちょっと残念な気持ちになってしまうのです。僕が死ぬほど感動した音楽だから、もっと褒めて欲しいと思っているだけかもしれませんが(^^;)。このCDですが、日米問わず、数多あるジャズ・ピアノのCDの中でもベスト10に入る大名盤と私は思っています。手に入れにくいかもしれませんが、見つけたら絶対に手に入れてほしい!日本ジャズの財産、また日本ジャズでしかありえないような素晴らしい音楽と思います。



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『フォーレ:レクイエム コルボ指揮、ベルリンフィル』

faure_requiem_corboz.jpg そんなわけで、フォーレのレクイエムをボーイスプラノでやったものを探して、たどり着いたのがこの録音。ミシェル・コルボ指揮、ベルリン交響楽団、サン=ピエール=オ=リアン・ド・ピュル聖歌隊。ボーイ・ソプラノはアラン・クレマン君です(^^)。ボーイソプラノの見せ場は第4曲「ピエ・イエズス」。ピッチがかなり怪しいですが(^^;)、やっぱりプロが朗々と歌うより、純真な子供が歌う方が断然いいなあ。。これは素晴らしい。後から知ったんですが、このレコードは、フォーレのレクイエムの録音の中でも長らく名盤として扱われていたものなんだそうで。異論ありません。テンポも他の演奏と比べてゆったり遅め、洗われるような気持ちになります。

 さて、この盤に関しては、僕は100点満点、大好きな録音なのでこれ以上いう事もないのですが、以下すこしだけ。フォーレのレクイエムは、レクイエムのために一気に書き上げられた曲ではなくて、いろんな時期に書かれた個々の作品を集大成するようにして完成しています。そんなわけで、たとえば第2曲「オッフェルトリウム」などは初演時には演奏されずに後から足されたものであるとか、まあ色々あるみたいです。とくに、全曲が揃ってからはスコアがふたつあって、最初のものは小編成の弦、オルガン、ハープなどの編成(1888年版)。これが、はじめて楽譜出版されることとなった1900年になると、ホルンなど主に金管が付け加えられて出版されます。これは、音楽出版社の要望もあったんじゃないかと言われてます。この録音は後者。素晴しい響きです。素晴しい響きなんですが、これを「フォーレが最初に意図した響きとは違う」といって却下する人も結構います。僕的には、最初の小編成版のシックな感じの素晴らしさを否定するわけではないのですが、どちらも素晴らしいのではないかと。だって、金管入りとなったこの響きの美しさ、尋常じゃないぞ。。

 あともうひとつ。音楽史的に言うと、ロマン派全盛の時代に、フォーレは教会旋法を見事に扱います。モードですね。このレクイエムではその成果が存分に発揮されていて、これがメシアンをはじめとした、のちのフランス音楽のモード系の作曲家群の大ルーツになってます。ドイツ的なドラマチックな音楽がヨーロッパを席巻していた時代に、こういう「響きの感触」そのもので訴える音楽がフランスから生まれたのは、音楽史上でも重要な出来事だと思います。あまり語られませんが、フォーレはサティ、ドビュッシー、ラヴェル、メシアンと続くフランス音楽の基盤を開いた人なんじゃないかと思います。なかでもレクイエムは極めつけ。

 というわけで、なぜ連続でレクイエムを取り上げたかというと…クリスマスだからです。楽しく過ごすクリスマスも素敵だけど、こういう音楽を聴きながら、心穏やかに過ごすクリスマスもいいんじゃないかと(^^)。



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『フォーレ:レクイエム ジュリーニ指揮、フィルハーモニア管弦楽団&合唱団』

faure_requiem_giulini.jpg フォーレで最も好きな曲を。月並みすぎて申し訳ないのですが…レクイエムです(^^)。しかしレクイエムに関して言うと、僕にとって最高のレクイエムは、フォーレ作曲のものです!暗いとか悲しいとかは感じないんですよね。救われる感じ。この荘厳さと静謐さ、鳥肌ものの音楽です。ポピュラーや俗楽でこの荘厳さは不可能でしょう。ポピュラーファンだろうがジャズファンだろうが、これほどの音楽を聴いていないのはもったいないです。聴いた事のない方は、すぐに聴きましょう!!なるべく素晴らしいオーディオか、きれいな響きのする教会のコンサートで…。

 レクイエム(鎮魂曲)というのはキリスト教の宗教音楽ですので、儀礼に従った歌詞が当てられています。司祭が入るための曲、死者の魂を鎮める曲…最終第7曲は、"In paradisum deducant angeli..."(天使たちが、あたなを天国に連れて行きますように)という言葉で始まります。子供のころ、僕は死ぬのがとても怖かったです。夜目をつぶると、「このまま寝た後にずっと起きなかったらどうしよう」とか「いや、死んだらこんなふうに考える事すらできないのか」とか、すごく怖かった。それは今だってそうなんですが、しかしこの曲を聴いていると、死が怖くなくなってくるというか、死ぬことが浄化のようにすら感じられてきます。それぐらい、聴いていると落ち着いてくる感じです。演奏も見事、録音も見事です。

 すばらしい演奏と録音ですが、個人的な趣味を言うと…フォーレのレクイエムは、合唱のほか、曲によってソプラノとバリトンが入ります。この録音のソプラノは、キャスリーン・バトルというソプラノ。これが、ものすごくヴィブラートをかけて歌うんです。なんというのかな、僕はこういう宗教曲は、ノン・ヴィブラートで、静謐に、自分がどうこうじゃなくって、死者や神にささげるように歌ってほしいと思ってしまうのです。ヴィブラートをかけて朗々と歌われると、なんかオペラチックというか、歌手の技量や感情を表現しているように感じられてしまう。ここだけが残念でした。そんでもって、「フォーレのレクイエムはボーイソプラノがいいんじゃないか」と思った僕は、レクイエムの録音をやたらたくさん買う事になったのでした(^^;)。。




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『フォーレ:チェロとピアノのための作品全集 イッサーリス(cello)』

Isserlis_Faure.jpg 音大生のころ、作曲ではメシアンを課題にしてました。「世の終わりの四重奏曲」が好きすぎて、職業音楽家になりたいなら機能和声や実技を一生懸命やっておけばよいものを(すでにクラシックの王道の道は、トップグループから取り残されている時点でアウト>_<)、それでも芸術音楽に走って道を踏み外したわけです(*゚∀゚*)。メシアンを追っていたものだから、普通の和声法は良い点数ではなかったのに、みんながヒーヒー言ってる教会旋法はなかなかの点数でした。好きこそものの上手なれですね(^^)。しかしこれが仇となって、プロ音楽家として致命的な弱点を抱える事になって、今に繋がるわけです(涙)。
 とっても知識の偏っていた僕は(音大生のクセに王道クラシックは全然聴かず、現代音楽やフリージャズばかり聴いていた(・ω・)、先生に「メシアンを追うなら少しはフランス音楽を勉強しろ」と怒られたのです。それもそうだと思い、翌年にフランス音楽という枠を選択。この時に教わった先生が素晴らしい人で、親切に、素晴らしい音楽をたくさん教えてくれたんです。フランス音楽の授業がどこから始まったかというと、夜想曲とかレクイエムから。で、先生がフランス音楽の最初の偉人として挙げたのがフォーレでした。理由は、「フォーレは機能和声の時代に教会旋法を用い、これが次に続くドビュッシーやラヴェルというフランス音楽の王道を用意したから」。ウブな僕は先生の言う事を真に受け、今までマジメに聴いた事のなかったフォーレを聴き始めたんですが、これが素晴らしかった!

 これはフォーレが書いたチェロとピアノのための作品の全曲を収録したCD。僕、チェロの事はあまりよく分からないんで、これが良い演奏かどうかはちょっと言えません。録音も、ホールの美しい響きが鳴り渡っているというんじゃなくって、狭いサロンか録音スタジオで録音して、機械でエコーをつけたような、まるでポピュラーのような音。でも、フォーレ作品の良さはは十分に伝わるCDなんじゃないかと思います。比較的短い曲が多いんですよね。フォーレというと、「レクイエム」みたいな、荘厳で宗教的な印象を僕は持ってるのですが、宗教曲でないものはメロディが凄くキャッチーだったりして、このCDはそういう曲が固まっている感じです。いかにもフランスの4度和声というんじゃなくって、機能和声とフランスの旋法音楽の中間ぐらいな感じ。クラシックが苦手な人でもすごく聴きやすい音楽なんじゃないか思います。有名な「エレジー」なんて、一回聴いたらちょっと忘れられないんじゃないかと。個人的なおススメは、チェロソナタ第1番の第2~第3楽章で、ヨーロッパの森で妖精が舞っているかのような響きは(何を言ってるんだ俺は^^;)、懐かしいような幻想的なような不思議な魅力。これは素晴らしい!!

 というわけで、フォーレの代表作であるあの荘厳で素晴らしすぎる「レクイエム」とは別の側面を持つフォーレ作品集。ドッビュッシーやラヴェルが好きな人には確実におすすめできる好盤と思います!そうそう、最後にクレジットを書いておくと…

1. ロマンス イ長調 Op.69
2. エレジー Op.24
3. チェロ・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.109
4. 2つのチェロのためのアレグレット・モデラート
5. セレナード Op.98
6. シシリエンヌ Op.78
7. 蝶々 Op.77
8. チェロ・ソナタ 第2番 ト短調 Op.117
9. アンダンテ(ロマンス Op.69 のオリジナル版)

スティーブン・イッサーリス(cello), パスカル・ドゥワイヨン(pf),
デビッド・ウォーターマン(2nd cello #6), フランシス・グリーエール(organ #13)


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『ラフマニノフ:交響曲第2番、幻想曲《岩》op.7 プレトニェフ指揮、ロシアナショナル管弦楽団』

Rachmaninov_Sym2.jpg 古楽でも現代曲でもないいわゆる「クラシック」は、古典(または新古典)またはロマン派に分かれます。とはいっても、この区分けはかなりあいまいな所があって、かなり地続き。ハイドンを古典派と呼ぶのは何となくしっくりきますが、ベートーヴェンとなると古典派とはいっても限りなくロマン派に近いんじゃないかと。で、このロマン派という音楽になると、かなり人間の感情爆発みたいな、すごく情緒的というか官能的な音楽。でも、こういうのってどちらが良いというんじゃなくって、バランスだと思うんですよ。エモーショナル一辺倒だとグッチャグチャだし、かといって形ばっかり整序されていても全然心に響かないし、みたいな。だから、ロマン派と言ったって、形がテキトーなわけじゃなくって、バランスとしてエモーショナルな所を優先させる美観が根底にある、という事なんじゃないかと。じゃ、なんであんなにエモーショナルなベートーヴェンの音楽が「ロマン派」じゃなくって「古典派」に入るかというと、エモーショナルじゃないわけじゃなくって、ものすごく形式がしっかりしているからなんだと思います。

 ああ、話がちょっと長くなりました(^^;)。で、このロマン派音楽というものはヨーロッパの音楽文化中心地のドイツから徐々に周辺へと広がっていったので、ロシアに届くまでちょっと時間がかかりました。今みたいにインターネットがあるわけじゃないので、それこそ100年遅れるなんていうのは当たり前。ところが、遅れた方にも利があって、そこに届いた時には試行錯誤の段階はとうに過ぎていて、すごく洗練されているのです(ただし、それだけにクリエイティブな所が少なかったりする^^;)。というわけで、末期ロマン派となると、本家ドイツよりもロシアに素晴らしい人がガシガシ出てきたりします。グラズノフ、チャイコフスキー、そしてラフマニノフなんていうのはロシア・ロマン派を代表する作曲家なわけです。でもって、ラフマニノフの音楽で僕が結構好きなのが、この交響曲第2番!
 ロシアの芸術作品というのは冗長なものが多い。例えば映画なんかもそう。クオリティは高いんだけど、抑揚が少なくて長くてダルい(^^;)。音楽にもそういう所がちょっとあって、このラフマニノフの交響曲2番も「長いからちょっと省略しちゃおうか」とか「長いからリピートなしで」とかいう演奏が結構あったそうで。まあ、全部演奏するのに50分以上かかるので、一度構造を見失うとあとは響きや断片的なメロディを楽しむ以外にはなくなっちゃうわけですし、それもちょっと分かります。ところがこの曲、あまりに美しいメロディーと響きの連続の為に、確かに長いんだけど聴いていて集中力をそがれる事がないのです!1~2楽章が短調、3~4楽章が長調という構成もいいなあ。う~ん、久々に聴いたんですが、やっぱりスバラシイ。。ラフマニノフはシンフォニーを3曲書いてますが、この第2番が現在でも一番人気なんじゃないかと。あ、そうそう、余談としては、交響曲1番は初演時に酷評されたんだそうですよ。それでラフマニノフさんは失意のどん底。しかし、そこから這い上がってこの曲を書き上げたんだから、見事なものです。いや~、批評家に抹殺されてしまうクラシックの音楽家って多いですからね、よくぞ頑張った、素晴らしい!!
 それから、このディスクにはやはり管弦楽の《幻想曲:岩》という作品も入ってます。これも実にいい!!いや~、後期から末期にかけてのロシアのロマン派音楽の官能的な輝きは半端じゃないっす(^^)。。



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『Billie Holiday』 『Billie Holiday Volume 2』

BillieHoliday.jpg ビリー・ホリディのレコードで一番有名なものではないでしょうか。名盤ガイドには絶対に出てくる1枚で、10インチ盤の時代は『Billie Holiday』『Billie Holiday volume 2』の2作に分かれており、日本ではこの2枚を12インチLP1枚にまとめて『奇妙な果実』のタイトルで発売。ビリー・ホリディの自伝も『奇妙な果実』になっていました。レーベルはCOMMODORE RECORDS 、世界初のジャズ専門レーベルだったそうです。録音は1939年と44年、4回のセッションに分かれていて、後日未発表音源も発表されています。

 若い頃の僕はこのレコードからビリー・ホリディに入り(きっと多くの人がそうなんじゃないかと)、そして良いとは思えず(>_<)。若い頃なんて今以上に貧乏ですから、それでも何回も聴いたんですが、やっぱり駄目。原因は、このアルバムに対する日本での紹介のされ方にあったんじゃないかと。表題曲は、ポプラの木にぶら下がった奇妙な果実…人種差別下にあった黒人の絞殺死体ですが、その背景とか、それを訴えたうたが戦慄だとか、レディ・デイの不幸な生い立ちや死についてとか、そんな言及ばかりだったんですよね。いまのAmazon でも、そういう「黒人の迫害された状況を伝える歌唱に戦慄」みたいなレビューがドッサリ。いかに昔のメディアがリスナーに影響を与えたかという事なんだと思います。ところが僕は、この曲やパフォーマンス自体が良くなければ、いくらそういう背景ばかりを有り難く語られても…みたいな感じでした。はっきりいうと、幅を利かせているそれらのお話や解説と、ここにある音楽の質や内容は、かなりかけ離れていると感じたのでした。「黒人の迫害」と、歌やバンドの技術は別問題なんですよね。だから、この音楽の内容を好きというのは分かるけれど、それを凄いヴォーカル、凄い音楽とすり変えるのは、詭弁だと感じたわけです。

 というわけで、戦後の日本へのジャズ流入期という時代を経験していない僕みたいな世代の人間のひとりとしての、僕なりの感想を。まずは音楽性。「ジャズ」という言葉に引っ張られ過ぎると、違和感を覚えるかも。バンドからして、ジャズ楽団と言い切っていいかどうか微妙、戦前のアメリカに数多く存在した「ビッグバンド編成の楽団」とだけ思っておいた方が良いと思います。だから、古いハリウッド映画で聴かれるような演奏と音の印象、"Fine and Mellow""I love my man" に至っては、Tボーンウォーカーあたりのビッグバンドつきのブルースに近く感じました。つまり、ジャズも映画音楽もショーも何でもこなすアメリカ特有のプロ・ビッグバンドが伴奏を務めた、商業的アメリカ音楽、が正解ではないかと。そういうものとして楽しめば、当時の社会情勢を知らない僕みたいな世代の人でも、純粋に音楽面だけを楽しめる気がしますし、音楽と評論の変なギャップに苦しむことからも救われると思います。
 次に、音楽のクオリティについて。バンドは下手です。このセッションのアウトテイク集も聴いた事がありますが、バンドがとにかく合いません。ビリー・ホリディの歌については…美空ひばりみたいなもので、あれはうまいとも言えるけれど、そのうまいという意味が、純粋な技巧面だけではない点は認識しておいてよいかと。ビリー・ホリディの歌を「ものすごい歌だ!」とか褒められると、技術面を伴った凄さと思ってしまう可能性があるじゃないですか。うまいといっても、「技巧面のレベルが高い」「表現力がある」「味がある」は、それぞれ違う事だと思うんです。レディ・デイの場合、うまいには違いないんでしょうが、「味わいがある」的な意味でのうまいという部分が大きいと思うので、万人に成立するうまさとはちょっと違うと思います。だから、このレイドバックしたムードを楽しめるかどうか、というところが評価の分かれ目かも。

 さて、久々に聴いた感想は…う~ん、「ジャズエイジ以降、モダンジャズ以前のジャズのあの雰囲気を残した音楽で、一時代を築いたヴォーカリストが、世界初のジャズレーベルに残した作品」みたいな歴史的意味はあるかもしれませんが、単純に音楽そのものを楽しみたいなら、僕は『ビリー・ホリディの魂』の方を断然プッシュしたいなあ。色々言われているサイドストーリーに左右されすぎないようにして、あまり他の音楽と分化され切っていなかった時代の古ーいジャズに触れてみる、ぐらいの気分で聴いた方が、案外楽しめる1枚じゃないかと思います。

*追記(2022.1.)
 これだけ否定的な意見を書いておいて、久々(7年後ぶり!)にこのレコードを聴いたら、ちょっと泣けてしまいました。きっかけは、ネットラジオを聴いていた時に、すごくあったかい雰囲気のアーリータイム・ジャズが流れてきて、「お、なんて気持ちよくてあったかい音楽なんだろう」と思ったところ、なんとビリー・ホリデイ。しかも、「暗くて辛くて聴いてられないわ」と思っていたあのアルバム『奇妙な果実』収録の曲でした(「My old flame」)。いやいや、これはちょっと聴きなおさないといけないかも…そんなわけで、久々に聴いたら感動してしまったという。

 聴きなおして思った事が色々あります。第1は、曲順のアヤ。僕が持ってる12インチLPレコードはもともと10インチ盤で出ていた2つのアルバムを合体させて、ビリー・ホリデイのコモドア録音全集として出したもの。LP全盛以降に日本で知られた『奇妙な果実』はほぼこの形で、曲の並びが白人による黒人リンチ殺害を歌った「奇妙な果実」、以降は暗めのブルースが前半に並びます。これで僕は「暗い」という印象を持ってしまったんじゃないかと。でも実は、ビリー・ホリデイの声ってすごくあったかいし、収録されている曲は「Fine and mellow」みたいなレイドバックした気持ち良さを持つ曲や、「Embraceable you」「As times goes by」なんていうロマンチックな曲がいっぱい入ってるんですよね。こういう曲がアルバムの最初に来ていたら印象はまた違ったかも。なぜ日本の再編集盤では暗い曲を先に並べたかというと、人種差別に抗議したセンセーショナル性や、ビリーの不幸な最期などを日本おレコード会社が売りにしようとしたからなのかも知れませんね。

 第2は、昔の日本男ジャズ・ファンがこのレコードに心酔した理由って、音や詩そのものものより、それを通して彼女の人生に感情移入出来たところにあったのかも。というか、今回感動させられた僕がまさにこのケース。若いころの僕は絶対音楽主義者で、それは職業音楽人としては絶対に持ってないといけない視点だったと思うんですが、でも音楽ってもっと色んな成立の仕方が出来るし、それでも個人で楽しむ分には別に構わないと思うんですよね。今回、そんな事をこのレコードから教わった気がします。
 ビリー・ホリデイの両親は結婚していなくて、しかも13歳とかそのぐらいで一緒になった人。で、母子家庭となった家庭で、母親は売春をしてなんとか生計を立てて、ビリーは親戚たらいまわし。彼女を抱っこして一緒に寝ていたひいおばあちゃんが、起きたら死んでいて、ビリーは死体に抱かれていたなんて言う逸話もあるほど。ビリーは教会の作った養護施設に入れられ、15歳の頃にはニューヨークのハーレムのナイトクラブに入り浸りだったんだそうです。そこで歌って日銭を稼いだのが彼女の人生を開くんだから、人生は分かりません。で、レスター・ヤングと浮名を流したり、レコードデビューしたり、つらい幼少期を送った彼女にも、拙しいながらも幸福を感じた時期だったんでしょう。
 なんだかこのレコードを聴いていたら、辛さを味わった彼女も、貧しいながらも幸福を感じた彼女も、なんだか自分の事のように感情移入してしまって泣けてきた、みたいな。僕は若いころにある女の子と同棲して、すごい狭い部屋で二人暮らししていた事があるんですが、今からすればあんな狭いところに2人なんてよく住めたもんだと思うほどに貧しくて惨めに見えるその生活も、好きな人とずっと一緒にいられる幸福感でいっぱいだったんですよね。今回このレコードの聴いて感じた幸福感って、そんな感じ。

 歌や音楽に「魂の」とか「悲しみが」とか、そういう形容をつけるのは、僕は好きじゃないです。僕が本当に凄い音楽体験をさせられた音楽って、そういう人情的なものをとっくに超えたところにあるものでしたし、音楽を悲しみとかに還元すること自体がナルシスト的というか、嫌だという心境もあったりしたもんでね。でも、今回この音楽で心を動かされた部分を端的に言うと、日常レベルで見た人の人生を情緒として語るとどうなるか、みたいな。苦手な映画や音楽が好きになる瞬間って、本当にあるんだなあと思いました。だからレコードはうかつには手放せないです(^^;)。


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『Billie Holiday / At Jazz at the Philharmonic.』

BillieHolidayPhilharmonic.jpg ふたつほど前の記事『サラ・ヴォーン / How long has this been going on?』のレビューで、「ピアノのオスカー・ピーターソンは歌の伴奏をしている時の方がスバラシイ」みたいなことを書きました。というわけで、ピーターソンさんの素晴らしい歌伴をもうひとつ。古き良きジャズ・ヴォーカルの代名詞、ビリー・ホリデイの最高傑作と名高いライブ盤です。日本では、むかしLPで『ビリー・ホリデイの魂』というタイトルで出てました。僕が持っているのはコレ。で、ここがちょっと問題になってくるので、ちょっとだけ覚えておいてください(^^)。

 まず、久々に聴いた感想は…感動してしまいました。"Body and Soul" に"Travelin' Light"、"The Man I Love"…ゆったりしていて、バンドもあくまで歌の伴奏に徹してとても音楽的、なによりムードがスバラシイ。なんでジャズは大道芸みたいな小手先ばかりで、しかし歌心ゼロみたいな方向に進んでしまったのか。やっぱり心を動かしてこそ大衆音楽、な~んて思ってしまいました。しかし、僕は若い頃、ビリー・ホリデイがあまり好きでなかったんです。どこが良いのか、よく分からなかったんですよね。今から思うに、彼女について回る伝説とか、それを引用して評価するいろんな批評家の言葉に惑わされず、このレイドバックした雰囲気の音楽そのものにドップリつかってれば、それだけで最高だったんじゃないかと。バックにレスター・ヤングやらコールマン・ホーキンスやら、この手のムーディーなオールドジャズの名手がズラッと。このレトロな雰囲気、最高です。いや~、若い頃に早まって売ってしまわずに良かった(^^)。

 さて、例のオスカー・ピーターソンの伴奏はB面に…というところで、ひとつ気づいてしまいました。このレコード、元々は10インチ盤(LPより少しインチが小さいレコードで、LPが出る前のジャズエイジはこちらが主流だった)だったようです。その頃は全8曲入りだったみたい。ところが、僕が持っている日本盤LP『ビリー・ホリデイの魂』は、A面にオリジナル盤収録の8曲を全部入れて、B面は日本のセレクトで別のライブから6曲を収録したものらしいです。いずれもヴァーブ専属の時代からの選曲の模様。ところが今CD化されているものは、オリジナルの8曲だけを収録で、このB面は入ってないようなのです。まあ、この方がオリジナルの意向そのままのわけですし、まとまりもいいかも。問題は…例のLP収録のB面のパフォーマンスがこれまた絶品なのです。
 "Everything I have is yours "や"My Man" のパフォーマンスは、胸に刺さってしまいました。どちらも1952年録音、つまりプレスリーよりも古い録音ですが、そんなに古い録音とは思えないほどの演奏と録音。で、この2曲でピアノを演奏しているのがオスカー・ピーターソンなんですが、やっぱり素晴らしい。B面では"Stormy Blues"という曲でのトランペットの演奏も絶品(トニー・スコットか、やっぱり名前を残した人の演奏は、それなりのものがありますね~)。ジャズがブルースや他の音楽と分化する前の音楽…というムードが漂ってます。これもレイドバックした感じで、気持ちよくって、でも少しブルーで、いいな~。で、この曲は他のアルバムで聴くのがちょっと難しいそうで(昔のLPに書いてある情報です)。

 まあそんな具合で、モダン以前、ビバップ誕生以前まで続いていた古いジャズの、あのレイドバックした雰囲気を、40~50年代まで残し続けた、素晴らしい音楽を記録した名盤と思います。特に「オリジナルと同じじゃないと」みたいなこだわりがないようでしたら、中古盤屋で日本編集のLP『ビリー・ホリデイの魂』を探すことをおすすめします(^^)。


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『Sarah Vaughan / After Hours』

SarahVaughan_AfterHours.jpg ひとつ前の記事で紹介したサラ・ヴォーンの『How long has this been going on?』 のジャケットから入ると、この細い体の女性が同じサラとは思えません。えっと、『How long....』が78年録音に対して、こっちは61年録音か、人間は17年も経つと太るという事なんですね(^^;)。これ、久しぶりに聴いたんですが、大好きなアルバムなんです。

 アルバムタイトルになっている「アフターアワーズ」というのは、ミュージシャンが仕事のライブが終わって打ち上げとかで別の店に行って、そこで楽しみとして歌ったり演奏したりすること。リラックスして構えていない、みたいなことをタイトルで表現しようとしたんだと思いますが、このアルバムでは伴奏がギターとベースのふたりだけというところに、それがあらわれてるかも。マンデル・ロウ(白人ギタリストで、かなり渋い!)と、ジョージ・デュヴィヴィエです。僕はジャズヴォーカルのアルバムを買うとき、なるべく編成の小さいものを買うんですが(カルテットでも多すぎ、それ以上になると歌が埋もれて聴いてられなくなっちゃう>_<)、ドラムレスのこれは素晴らしい!!特にギターが、弾きまくったりは決してしないんですが、すごくムーディーで気持ちいいです。1曲目"My favorite things" は、コルトレーンがやったああいうバリバリ系演奏じゃなくって、サウンド・オブ・ミュージックの元アレンジに近い形で、すごく清廉。いやあ。これはいいなあ。続く"everytime we say goodbye" は、チェット・ベイカーの名演を上回るんじゃないかという素晴らしいパフォーマンス。これも派手な事はまったくしないんですが、ものすごくゆったりしつつもアレンジが素晴らしい!!このアルバム全体に言える事ですが、楽曲を活かすマンデル・ロウさんのギターのアレンジと演奏が素晴らしい!!ジャズギターって、指を速く動かし、インターパートになると待ってましたとばかり弾きまくる方向にどんどん走っちゃいましたが、ジャズギターのあのあったかい音色を活かすなら、今の人もこういう方向の音楽のあり方も残してほしいと思います。

 そして、主役のサラさん。『How long....』ではかなりルーズな歌い方になっていたサラさんですが、この頃はすごく丁寧に、そして綺麗に歌ってます。ジャズというより、古いミュージカルのヴォーカルみたいな感じ、聴いていてすごく落ち着きます。ダイナ・ワシントンみたいな強烈な歌唱力とか、アニタ・オデイみたいな声や歌唱に個性を持つジャズ・ヴォーカリストに比べると、サラ・ヴォーンさんは若干地味に感じますが、いやあ、これぐらいの方が毒がなくってリラックスして聴けるかも。仕事やら何やらに追われまくって、なんか嫌な緊張感やストレスだらけになっている僕みたいな人にとっては、こういう4ビート系の古い女性ジャズヴォーカルは、精神衛生上絶対にかかせないものです。あと、炭酸飲料もね(^^)。ギターとウッドベースとヴォーカルだけで作った、実に落ち着いた、リラックスできる好アルバムと思います!!



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『Sarah Vaughan / How long has this been going on?』

SarahVaughan_HowLong.jpg デザイナーってけっこう神経のすり減る仕事で、ここのところ仕事ラッシュだったものだからかなりグッタリ。夜中に部屋に帰った時にはボロボロ、ヘトヘト状態(>_<)。でも神経を張った仕事をした直後って、疲れて眠いのに、神経が高ぶって眠れません。困ったもんだ。こういう落ち着きたい時は…やっぱり4ビートの女性ジャズヴォーカル、できればバラードばっかりのアコースティックがいいな(ゴソゴソ)…お、いいのあった!!サラ・ヴォーンの名盤です!伴奏はオスカー・ピーターソン(p)、ジョー・パス(g)、レイ・ブラウン(b)、ルイ・ベルソン(dr、この人だけ知りません^^;)。。ターンテーブルに乗せて…あああああ、落ち着くううう。

 最初の注目はオスカー・ピーターソンとジョー・パスというふたりの伴奏。このふたりはどちらも大御所なので、リーダーのインスト録音も死ぬほどいっぱい出てます。でも、どちらも歌伴の方が良い演奏をするというのが不思議。ジョー・パスなんて、代名詞のギターソロや自分のギタートリオだと頑張って弾きまくっちゃって、けっこう小手先でアタフタした演奏になっちゃうんですが、歌伴になるとものすごく表情豊かに演奏して、まるで別人。このアルバムの7曲目"My Old Flame" はギターだけで伴奏してますが、本当に素晴らしい!このデュオは名演です(^^)。あ、そうそう、リンクを張らせていただいているブログ「ジョーパスを弾こう!」さんがソロギターの採譜をしてくれている"More than you know" も、カルテットで、しかもヴァースからフルで演奏してます!!冒頭がアランフェスみたいなスペイン調にしてあるんですが、これは遊びかな(笑)。
 オスカー・ピーターソンも同じで、歌伴になると、「ポロ~ン」って、実にさりげないオブリを放り込んでくるんですが、これが鈴の音みたいで本当にセンスがいい!!"You're Blase"のイントロ部分のピアノなんて本当にさりげないのにタッチが優しくて美しくて、これを聴いただけで緊張が見事に解けちゃいました(^^)。もうひとつ素晴らしかったのが、"Easy Living"。これは前に紹介したカーメン・マクレエのアルバムで、やはりジョー・パスがめちゃくちゃ素晴らしい伴奏をしてますが(ピアノはジミー・ロウルズのカルテット)、このレコードの演奏も素晴らしい!
 そして、主役のサラ・ヴォーンですが、黒人の太ったジャズ・ヴォーカリストに下手な人はいないわけでして(ノ゚ー゚)ノ、これもいい。ただ、ちょっと口を開きっぱなしで歌ってるような感じがあって、若干ルーズに感じるかな?でも、それ以外は技術も歌心も完璧です!!ひどいポピュラーばかりになった昨今、こういうレベルのヴォーカルを聴かせてくれると、本当に「ああ、いいな~」とため息が出ちゃいます。やっぱりプロはこうあってほしい(^^)。

 ジャズって、聴かない人にはどこから入っていいのか迷うところだと思いますが、こういう名盤と言われるものから手をつけていけば、大体間違いないんじゃないかと。このレコードを出したパブロというレーベルはけっこう保守的なレーベルで、とがった音楽を探すのは難しいですが、「古き良きジャズ」みたいなものを探すならば大体当たり(^^)。僕の友人にロックとポピュラーしか聴かない人がいるんですが、短い人生、音楽好きなのにそれじゃ勿体ない。こんなに素晴らしい音楽があるのに…。技術はプロ、しかしそれを技術披露に使わず、リラックスした音楽を聞かせる事に専念した、実に大人な音楽でした(´v`)。。



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『稲川淳二 / 生き人形』

Inagawajyunji.jpg 映画『悪魔の手毬歌』には、チラシや本のカバーには恐怖の日本人形が登場しますが(^^;)、劇中に日本人形が登場する事はなかった気がします。僕が日本人形を苦手になったのは、髪の毛が伸びるという「お菊人形」と、怪談を語らせたら日本一の稲川淳二さんの「生き人形」のハナシによるところが大きかったです(^^;)。。めっちゃくちゃ怖いんですが、怖いもの見たさというか、聴いていて話に引き込まれるんですよね~。

 僕が子供のころは、今よりも心霊とかそういうものに信憑性がありました。自分が子供だった事もあるんでしょうが、世間的にも今よりも信じていた人は圧倒的に多かったはず。心霊写真も「フォトショップ」というものがあるとは知らなかったもので、マジだと思ってたんです。本人の口は開いていないのにガラス戸に映っている人の口が開いているとか、正面を向いているはずの人物画の目が、下にいる人を睨んでいるとか、そういうのを見ておしっこちびりそうになっていた小学生の頃でした(^^)。でも、そこまで恐怖を覚えてるのに、翌日に友達と「本屋に心霊写真集見に行こうぜ」とか言って、見に行っちゃうんですよ。あれは何でなんだろうか。また、テレビでも心霊ものの番組はけっこうあって、見るたびにビビりまくってました。織田無道さんや宜保愛子さんが出るより前です。僕の周りでは、あれらの人は嘘くさく、しかし稲川淳二さんはマジという事になってました(^^)。たぶん、稲川さんの怪談にはそれぐらい説得力があったんでしょうね。稲川さんの怪談は本気で怖いものが多いですが、中でも一番ビビったのが「生き人形」という噺です。

 「生き人形」の話は、役者である稲川さんの実体験として語られます。人形を使った舞台の仕事をした時に、少しおかしなことが起こり始めた。帰りの高速道路で見ちゃいけないものが見えちゃうし、人形を作った人は行方不明になっちゃう。関係者でも変なことが起こり始める。相談した霊能者さんに至ってはなんと死んでしまい、人形も行方不明に。ようやく人形が見つかると、少女人形だったはずが、胸が膨らんできている。テレビのワイドショーで「最近こんな人形の話があるんですよ」と話し始めると、スタジオの照明のワイヤーが切れて宙ぶらりん、戦時中の「北北西に進路を取れ」みたいな変な音がスタジオ中に響き始め、稲川さんの腕時計の革のベルトがぶちっときれて時計がすっとび、スタジオはパニック。舞台の時も、暗幕が右から左に順に出っぱっていくので「ああ、幕の向こうを誰かが通ってるんだな」と思ったのだが、よく見ると向こうからこちらに出っ張るのではなく、こちらから向こうに出っ張っている(゚д゚ノ)ノ ヒィィ。

 こんな感じで話は進んでいくのですが、これを話す稲川さんの語りが実に巧みで、聞いていて引き込まれてしまいました(^^)。テレビを見ていると、お笑い芸人の人とか、よくもこれだけ話を面白く話せるなと思って感心するのですが、日本の伝統芸でもある「語り物」というのも、実に話がうまいですよね。落語、怪談、浪曲、いずれも語りのプロ、時間の経つのも忘れて話に引き込まれてしまいます。私の中では、稲川さんはこの日本の「語り物」の系譜に属する人だと思っています(^^)。

 さて、これは怪談という語り物なので、本来はライブの出し物。録音物にして…というものではありませんので、録音や録画で出ているものは、ライブ実況というものが多いです。僕が昔持っていたのはカセットテープで、むかし1000円ぐらいで売ってました。これ、中学の修学旅行に持って行って、夜中に皆で聴いたんですが、トランプをしていたグループも、マージャンをしていたグループも徐々にその話に聴き入り、最後には部屋の全員が聴き入ってしまいました。で、終わると最初の方を聞きのがした奴らが「もう一回頭から聴こうぜ」なんて感じで、もう一回(^^)。そのぐらい、話が巧みなんですよ。残念なことにこのテープ、修学旅行中になくなっちゃった。

 稲川さんの怪談は、CDになったり怪談のライブがDVDになっていたり、色々あります。それらに入っている「生き人形」が、僕が持っていたカセットと同じ音源であるかどうかは分かりません。でも、今聴いても、きっと怖いんだろうな~。しかも今少し調べてみたら、「生き人形」の続編もあるらしい、これは聴きたいぞ…。。大人になって、霊だのなんだのはまったく信じなくなってしまった僕ですが、怪談が本当かウソかなんてどうでもよくて、どこか抒情的で情感に訴える所があるじゃないですか。そこが僕は好きです。すこし、音楽に似ているところがあると思うんですよね。素晴らしい日本の伝統「語り物」を現代に引きついている素晴らしい芸と思うので、稲川さんの怪談未体験の方は、ぜひどうぞ!!



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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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