
で、
心の底からシビれたブルース・スプリングティーンさんのアルバムが、これ「ネブラスカ」です!アルバムタイトルとジャケットからして、もうメッチャクチャにセンスがいい。で、内容はもっといい!!これ、スプリングスティーンを好きな友人が、『ボーン・イン・ザ・USA』発表時点で「スプリングスティーンのアルバムで唯一好きじゃないもの」と言ってました。いや~、ひとのセンスって十人十色ですね。僕はその逆。『USA』までなら、これが断トツのナンバーワン。とはいえ、当時はこのアルバムだけがスプリングスティーンさんのアルバムで毛色が違ったのは確かです。ほとんどフォークギターとハーモニカだけの演奏ですから。
しかし、このフォークギターとハーモニカだけという演奏が、アルバムジャケットにあるようなアメリカの風景をブワッと脳裏に浮かべさせてくれちゃいました。あったかくて、しかしどこかもの悲しくって、素朴で…ジワッと心にしみちゃう。1曲目「ネブラスカ」からしてもうやばい。単純なスリーコード、ギターはアルペジオだけ、ハーモニカも非常にシンプルな演奏なのに、なんでこんなに素晴らしいと感じるんだろう。しいて言えば、コードをトニックじゃなくてドミナントから始めるんですよね。たったこれだけの工夫で、ここまで曲って変わるものなのかと。でも、このレイドバックした感覚の感動は、きっとそこじゃありません。声の表情、ギターの繊細なところ、まるで肉声みたいなハーモニカ…うまく言えないのですが、何かがある。不思議なことに、日本のフォークシンガーの人も同じような編成でやっているのに、「ああ、このサウンド素晴しいわ」とは(僕の場合は)なりません。同様に、アーロ・ガスリーとかボブ・ディランとかの、この手のフォークの専門家の演奏でも、この「アメリカの原風景がブワッと浮かんじゃって、あったかくて、でももの悲しくて…」みたいな郷愁を感じるような不思議な感覚に見舞われることは、僕にはありません。これと同じような感覚を感じたのは、ハンク・ウイリアムスさんぐらいでしょうか。そのぐらい良いです(^^)。
詩(スプリングスティーンさんの場合、「詞」と書きたくないんですよね^^;)は、貧困とか社会問題とかを、詩的に、あるいは物語的に、とつとつと語っていきます。ただ、それが押しつけがましい感じじゃなくって、結論は言わずに、ただ物語としてだけ放り出される。
アルバムを聴き終わった時には、短編小説集を1冊読み終わったような感覚に見舞われました。もし英語が苦手な方は、日本盤の訳を読みながら聴かれることをおススメします(僕も最初そうでした^^)!!いや~、スプリングスティーンさんという枠で見れば異色作かも知れませんが、
アメリカの白人民俗音楽史として見れば、これはフォルクローレとして超王道、どストライクを行く歴史的名盤なんじゃないかと、個人的には思っています。また、これぐらい綺麗なジャケットだと、CDじゃなくってLPで持っていたいですね、部屋に置いてあるだけでなんか「ふう…」って、力が抜けていい感じ(^^)。。
大おススメです!!
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