
中学生の時に『ジギー・スターダスト』を聴いてボウイを敬遠するようになった僕が、彼の作品に久々に手を出したアルバムがこれでした。
77年リリース『ヒーローズ』、僕が一番好きなボウイさんのアルバムです!!でも、買った時の
狙いはボウイではなくて、このアルバムに参加しているロバート・フリップとブライアン・イーノだったんですが(^^;)。キング・クリムゾンにハマった頃がありまして、特にクリムゾンのリーダー&ギタリストのフリップさんの参加したアルバムとあれば、片っ端から聴いていた時期があるのです(^^)。『marquee』という雑誌だったかな、昔はプログレ専門誌だったんですが、そこに「クリムゾンではギターソロをなかなか弾かないフリップがソロを弾きまくってる」みたいに紹介されてたんですよ。で、ワクワクして買ってみると…そんなに弾いてなかった(;_;)。
このアルバムのキーマンは、フリップさんとイーノさん。洋楽ロックやポップスのシンセがアナログからデジタルへ移っていく時代の象徴的存在でもあるブライアン・イーノさんと、フリッパートロニクスというよく分からないギターエフェクト(ループでギターの音が減衰しにくくなってるモノの気がします、多分^^;)を表現に持ち込むようになっていたフリップさんの出す音は、たしかに次に来る80年代のポップスの音の方向をすでに出していた気がします。たしかにそれまではなかった音という感じで、
軽いですがカッコいい!特に、アップテンポなダンスナンバーばかりで固めたA面がいい!!前回の記事でボウイさんの歌をアレ扱いしてしまいましたが(^^)、ジギーから5年後となるこのアルバムのヴォーカルはかなり良いです!がんばったんでしょうね、素晴らしい!ただ、このアルバムのB面は、個人的にはあと一歩。サウンドギミックやインスト中心で作られているんですが、これをやるならもうちょっと本腰入れてやらないと…という感じかな?クラシックやジャズや民族音楽あたりと比較すると、頭の中でパパッと作られた感は否めず、BGMを超えるものじゃないな…みたいな(^^;)。ただし、ぼわーんとしたあのイーノさんのシンセ・サウンドの上に、タイとか日本の音楽みたいな旋法とか、あるいはアラビア音楽風の旋法とかを重ねていく手法は、80年代のハリウッド映画でアジアや日本やアラブ世界なんかのシーンでよく流れるインチキ民俗音楽っぽくって、これはこれでいい味わいでした(^^)。それこそ、「安っぽいけど逆にそこがいい」みたいな。
このアルバムのコンセプトがボウイさん本人のものであったかどうかは分かりません。
なんとなく、ボウイという看板を利用して、イーノさんがポップスのお仕事のテストを色々しただけの気も(^^;)。しかし、このコンセプトがボウイさんであったにせよなかったにせよ、
自分の役割を演じ切るために、かつてより数段高いヴォーカル・パフォーマンスを実現したボウイさんはよかった!あくまで軽く聴いて楽しむ軽音楽とは思いますが、レコード産業界が作り上げる80年代型のスターとしてのボウイさん、グラムロック云々じゃない角度からのボウイさん…こういう所ををいい意味で見つめる事になったアルバムでした。なんとなく好きでずっと持ってます(^^)。
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