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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『Blue Cheer / Vincebus Eruptum』

BlueCheer - Vincebus Eruptum ガレージ、サイケデリック・ロック…この辺をさぐっていると絶対に行きあたる事になるバンドだと思います。ブルー・チアーです!中学生の頃、サイケ大ファンの友人から推薦された時、「何その洗剤みたいなバンド名は」と笑ったら、えらく友人の機嫌を損ねてしまい、自分で購入する羽目に(^^;)。しかし当時はCDになってなくて、LPも全然みつからず、たまに見つけても5000円とかプレミアついちゃって学生にとっては入手困難。で、ついに海外でCD化された時に、速攻で買いました。買って家に持って帰る時、「やった・・・」と感動したのを覚えてます。あのワクワク感って、もう味わえないんだろうな…。

 よく「ものすごいヘヴィーだ、ハードだ」なんて言われますが、あんまりそうは感じません。68年発表なので、当時はこういうヘヴィーな感じはまだあまりなくって、最初に聴かれた時のインパクトが大きかったという事かも。ガレージな感じはしますが、なんか狙ってガレージにしたようにも聴こえて(ヴォーカルとか、無理やり声を潰しているように聴こえる)、素でヤバそうなMC5とかみたいな凄さは感じず、感情移入もあんまりできず。サイケ感も、初めて聴いたときはほとんど感じませんでした。というわけで、えらく伝説化されたのは入手困難だからというだけだったのか…と、最初は思ったんですが、甘かった。
 こうした感想を友人に伝えると、「ああ、それは1曲目のサマータイムブルースのヘヴィーなアレンジに引っ張られ過ぎなのかもよ」とのこと。なるほどたしかに良くも悪くもヘヴィー・ロック調のサマータイムブルースのインパクトが大きいかも…と思って、1曲目を飛ばして聴き始めると…なるほど、これはクリームじゃん!4曲目"Out of Focus"なんて、メッチャクチャカッコいいです!!"Sunshine of your love"のタム回しとそっくりな曲とかも出てくるし、ブルースフィーリングの長いアドリブとかもあるし、そもそもG/B/Drのトリオだし、クリームの影響はあるんじゃないかと。それでも、クリームよりグチャっとしたガレージな感じを受けるのは、アメリカゆえなのかも。で、"Doctor Please!"のギターのヒステリックでデチューンしたチョーキングヴィブラートあたりに、わずかにサイケな感じが。
 というわけで、僕の中では、これはMC5とかソニックスとかグランドファンクとかの「ガレージ」なグループじゃなくって、アイアン・バタフライとかクリームとか、そういう「若干ハードロック的な要素があるアートロック」のグループに入ってます。実は、相当にかっこいい事をやってるんじゃないかと思うんですが、僕的にはヴォーカルの声がカワイイところがマイナス。これ、ヴォーカルがロバート・プラントやジャック・ブルースだったら、素晴らしいバンドになってたんじゃないか…な~んて、久しぶりに聴いて思いました。

 あと、もうひとつだけ。このアルバム、のちにLPを聴いたんですが…うおお、CDと音が全然違うじゃないか、音は太いし迫力がある!!いや~、CDが最初のプレスのままだとしたら、出来ればLPで入手されることをおススメします、全然違います。今では信じられないかもしれませんが、CDって、出来立ての頃はひどい音のものが結構あったんですよね(^^;)。このアルバム、アートロックをコレクションする際にはマストです!



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『Beatles with Tony Sheridan / First Recordings』

Beatles-TonySheridan.jpg ひとつ前のソニックスの記事のコメ欄から、初期ビートルズの書き込みをいただいたところ、どうしても紹介しておきたい初期ビートルズの音源を思い出してしまいました(^^)。初期どころかデビュー前の音源なんですが、僕はビートルズ最高のパフォーマンスはこれだと思ってます。トニー・シェリダンのバックバンドをつとめた時の音源、マジで素晴らしいっす!全部聴くのが面倒くさかったら、"My Bonnie"という曲だけでも聴いて下さい。初期ビートルズが嫌いな人でも、「これはいい」ときっと思うはず(^^)

 簡単に音楽を紹介してみると…フィフティーズを引きずったロックンロールバンドという感じ。フィフティーズ特有の美しいメロディーを持つバラードとか、あの甘いヴォーカルの感覚とか、バンド自体は箱つきのロックンロールバンドという感じなんですが、なにせトニー・シェリダンが素晴らしく、それを引きずられるようにビートルズの演奏まで素晴らしくなっちゃってます。録音も初期ビートルズとは比較にならないほどグッド。さっき薦めた"My Bonnie"は、甘いバラードから、後半でアップテンポになるという感じで、アメリカ音楽に影響されまくったこの時代のヨーロッパの軽音楽状況が詰まってる感じ。ビートルズは偶然にスター街道を歩んだわけじゃなくって、ちゃんとそれだけのものを持っていたからブライアン・エプスタインに見出されたんですね~(^^)。

 この録音にまつわる話を少し。ブライアン・エプスタインは、ビートルズを世に送り出した敏腕マネージャーとして有名ですが、元はレコード店を経営していたんだそうで。で、店の方針として、お客さんが求めたレコードは絶対に入手してお客さんに届ける事にしていたそうです。で、ある時「ビートルズのレコードはありますか」と注文する女の子たちが増えたんだけど、ビートルズなんて知らない。で、頑張って探してみたところ、このトニー・シェリダンのレコードだったそうで。当のビートルズというのは、ふたを開けてみれば、よく店に出入りしていた不良小僧たちだったと(^^;)。。で、ビートルズのレコードが欲しいという女の子たちは増えるし、トニー・シェリダンのレコードを聴いてみたらけっこう良かったりで、だったらビートルズのレコードを作ったらどうか…という感じで、スーパーアイドルのデビューへの道が開かれた!

 デビュー前のバックバンド時代のプレイや音楽が凄いというのはそれほど珍しい話でもないんですよね。ジミヘンのデビュー前のカーティス・ナイトのバックバンド時代のギターなんて、カッコよすぎて悶絶しそうですし。というわけで、ビートルズは好きなんだけどそれほど入れ込んだというほどでもなかった僕が、聴いた瞬間に「これ、めっちゃいいじゃん!」と思った録音でした。あ、そうそう、ビートルズ中心に書いちゃいましたが、トニー・シェリダンが良いんですよ、やっぱり(^^)。



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『THE SONICS / BOOM』

SONICS_BOOM.jpg 前回べた褒めした、元祖ガレージパンクにして代表格のバンド、ザ・ソニックスのセカンドアルバムです。1曲目、ポール・アンカの"Cinderella"からして、ものすごいヴォーカルに、バンドのビート感&サウンドのガレージ感がカッコよすぎ!!しかし、ファースト・アルバムよりはガレージのぶっ壊れ感は控えめになって、バラエティに富んだプログラムになってたりします。しかし、これを怖くやっちゃったりしないところがセンス抜群、素晴らしい!!スローな曲まで怖くやると、あざというというか、外連味だらけに聴こえちゃうでしょうからね(^^)。というわけで、ファーストに比べると、ヤバさは少し控えめになって、かわりにめっちゃカッコいいロックンロールバンドという感じになってます。初期のザ・フーがロックをした時のカッコよさと共通するものがあります。いや~、ロックを聴く人で、これをつまらないと感じる人なんていないんじゃないかなあ。

 僕的には、ロックというのは少し思想が入っている音楽…というイメージですが、ロックンロールというのはもっと単刀直入に思想なんかすっ飛ばしてアップテンポの軽音楽…みたいな印象なんですよね。で、この部分を発展させると、単に音楽的にアップテンポでノリがいいだけになっちゃう事もあると思うんですが(50年代の大半のロックンロールがそれ)、「なぜそれが良いのか」を詰めていくと、音楽以外でやろうとすると社会からはみ出ちゃう部分とかフラストレーション昇華とか…みたいなところが残ってくる事もあると思うんですよね。上手である事よりもバアッと発散する事が先行してるわけですから。こうなってくると、「はみ出てくる部分」にこそ、ガレージパンクのエッセンスが詰まってくる…みたいになるのかも、な~んて相変わらず変な妄想にふけっている今日この頃です(^^;)。でも、この「はみ出てくるところ」を強く感じるのが初期のガレージバンドの魅力と思っています。技術だけならジャズやクラシックに勝てないのは当たり前。でも、飼い慣らされたBGMみたいなものばかりになったジャズやクラシックが出来なくなってしまったカッコいい部分をストレートにやれたのがソニックスじゃないかと思います。これもファーストに並んでおススメ!!そうそう、CDだとライブ音源が追加収録されているので、CDがおススメです(^^)。



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『THE SONICS / HERE ARE THE SONICS!!!』

sonics_here.jpg ガレージパンクの元祖にして代表格、ソニックスです!!これは65年発表のデビューアルバムですが、バンドは60年から活動していたそうで。ビートルズより歴史あるバンドという事か、凄いなあ。

 昔、MC5やグランドファンク・レイルロードの記事に、「アメリカの裏側のロックはイギリスに比べてぶっ壊れ具合が違う!」みたいな事を書きました。ホラー映画でも、ヨーロッパの映画はどこか知的、どこか様式美があり…というインテリジェンスを感じるものが多い中、アメリカのホラーは「どれだけエグいか」だけを追及しているものがあったりしますよね。あの下世話さと迫力が同居したようなセンスを、僕は「アメリカ」と呼んでるんですが( ̄ー ̄)、それって「サイケ」とか「ガレージ」、もっと新しくは「グランジ」なんて言葉にも置き換え可能なんじゃないかと。ただし、僕は「グランジ」という言葉が生まれて以降のアメリカのグランジ系のバンドは、全然ぶっ壊れていないので、まるでガレージな感じがしないので、あれは「ロックごっこ」だと思ってます(^^)。ニルヴァーナなんて、きちんとコード内で、きちんとリズム内で、音楽があまりにかわい子ちゃん過ぎてガレージどころかロックとすら呼びたくもない…と感じてしまうこの感覚は、このソニックスなんかを聴けば伝わるんじゃないかと。ソニックスを聴いた上で、ニルヴァーナを「すっげえグランジだ!」とか「これこそロックだぜ!」と言える人なんかいないんじゃないかと。

 曲はけっこう有名なロックンロール・ナンバーをやっていたりするんですが、シャウトの切れ、サウンドのグシャグシャ感・・・いろんなところに「ガレージ」を感じるんですが、それは目に見える部分であって、そういう音を良しとするセンス自体が重要、そここそがロックのロックたる部分なんじゃないかと僕は思ってます。
 MC5、グランドファンクの初期ライブ、そしてソニックス!ロックを聴くなら、まずこの辺のセンスを理解できなければ、僕が思う所のロックは永遠に共有できないんじゃないかと思ってます。なぜこれが「良い」となるか、これを分かるようになるところからがロック、ここは絶対に外してはいけないところじゃないかと思うのです(何言ってんだ、おれ^^;)!とにかく、おススメ!!



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『Creative Construction Company / vol.2』

CCC2.jpg そんでもって、これがグループでコレクティヴ・インプロヴィゼションを展開するシカゴ派フリージャズの名グループ「クリエイティヴ・コンストラクション・カンパニー」の第2集です。メンバーは前作と同じで、アンソニー・ブラクストン(sax, flute, clarinet etc)、リロイ・ジェンキンス(violin etc)、レオ・スミス(trumpet etc)、ムハル・リチャード・エイブラムス(piano etc)、リチャード・デイヴィス(bass)、スティーヴ・マッコール(drums, percussion) のセクステット。う~ん、これまた素晴らしい。第1集と同じく、AB面あわせて1曲。とはいえ、1枚目とは違って曲想が節目節目でけっこう変わるので、組曲的なイメージかも。スーパーヴァイザーとして、オーネット・コールマンの名前がクレジットされていたりします。

 さて、前作が「不気味なムード満載の作曲パート → ドロドロの雰囲気ながらも実に見事な集団即興パート → 35分以上たったところでいきなり最初のテーマに戻ってビビる」という、名ソロイストを揃えながら、グループ・インプロヴィゼーションに徹するという内容でしたが、本作はまるで対極。冒頭から火を噴くようなピアノとドラムのプレイ、そこに割って入ってくる強烈にハードなブラクストンのサックスソロ!!以下、ソロオーダー通りに各自の個人技が飛び出しまくり、思いっきりフリージャズな展開です。B面に入るとその反対で、スローな展開…かと思いきや、最後にグルーブで爆発!!CCCのレコードはこの2枚だけなのですが(たぶん)、これが実に好対照。両方聴いてひとつの作品、という気がします。

 いや~、フリージャズというと、アイラーとかオーネットという第1~2世代とか、ブレッツマンとかのパワープレイ系に目が行きがちですが、同じぐらいの爆発力を持ちながらも、音楽を見事にコントロールする部分も併せ持つ第3世代以降の方が凄いんじゃないかと個人的には思います。だって、冷静に聴いても、フリージャズで大有名なジョン・コルトレーン『アセンション』とかオーネット・コールマン『ジャズ来たるべきもの』より、この作品の方が演奏の技術も爆発力もコンポジション部分も狂い方も数段上。フリージャズが好きなら、聴き逃してはいけないレコードのひとつだと思います(^^)。超推薦!!


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『Creative Construction Company』

CCC.jpg アンソニー・ブラクストンのBYG盤『Anthony Braxton』の翌年1970年に発表です。アンソニー・ブラクストン(sax, flute, clarinet etc)、リロイ・ジェンキンス(violin etc)、レオ・スミス(trumpet etc)、ムハル・リチャード・エイブラムス(piano etc)、リチャード・デイヴィス(bass)、スティーヴ・マッコール(drums, percussion) の6名で作られた「クリエイティヴ・コンストラクション・カンパニー」というグループの録音。ピアノがやけに音量が低い事を除いて(場所によってはすごく聞こえるようになるので、意図的に上げ下げしているみたいです)、他のシカゴ周辺のロフトジャズのひどい録音とは雲泥の差のすごく聴きやすい録音で、見違えるほどの完成度に聴こえるフリージャズのレコードです。いや~、これは素晴らしい!!フリージャズのレコードの中でも、これはかなり好き、超おススメです(^^)。AB面通して1曲!約40分の真剣勝負ですが、素晴らしくてあっという間に終わってしまいます。

 特質すべき点はふたつ。まず、ベースのリチャード・デイヴィスがスバラシイ。ベースが音楽の骨格をしっかり作っているので、フリー寄りの音楽とはいえ、曲がばらけません。ほら、フリーって、やっている人もみんなして「今どういう所なんだろう」というのを見失ってるみたいな状況で、ひたすら音だけ出しているみたいな状況になったりするじゃないですか。しかしベースが常に「今はこういうシーンだよ」みたいなのをしっかり提示するので、常に居場所がはっきりしてる感じなのです。そして、デイヴィスさんのベースは演奏もすごくしっかりしているので、1年前のブラクストンのアルバムとあまりメンバーが変わってないのに、ものすごくうまいグループに聴こえます。
 もうひとつ。このグループの名前にもつながると思うのですが、フリージャズ系のグループにしては、各人が安直にソロを取りにいったりしません。なんというか、「皆で音楽をコンストラクションするんだ」という意識で、即興的に音楽を組み立てているのではないかと。部分的には明らかに作曲してあるところもありますが、全体でコンポジションをしていくという、音楽の8割以上を占めている即興的な部分がスバラシイです。フリー系のグループで、こういうまとまりある音楽を出来るグループって少ないんですよね。

 これは素晴らしい1枚です。ジャケットもカッコいいので、見つけたら是非!!そうそう、これには第2集があるのですが、それは次回に(^^)。




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『Anthony Braxton』

AnthonyBraxton_BYG15.jpg うちのレコード棚で一番好きなコーナーはフリージャズの棚。この生々しさがたまらない!ところが、手持ちのCD/レコードを減らすために、売ろうかどうしようか悩んでいるものばかり先に聴いていると、好きなコーナーほどなかなか聴かないという悪循環に(^^;)。輪をかけて、フリージャズを聴いていると奥さんが「これはデタラメじゃないの?」と毛嫌いするもので、ひとりの時じゃないとフリージャズや現代音楽を聴けないというのも痛いです。。

 そんな中、持ってたけどあまり聴いた記憶のなかったLPがこれ。70年代フリージャズの主役のひとり、アンソニー・ブラクストンの有名なレコードのひとつです。レーベルはBYG Actuel、フリージャズの有名なレーベルのひとつです。このレコードは1969年の録音。どれどれ…いや~、なんと形容したらよいのやら、えらくチープに感じる所もあれば、素晴らしいと感じる所もあり。なるほど、若い頃の僕には評価不能の音楽だったのかも(^^;)。でも、その分からなさ加減も魅力のひとつかも知れません。哲学書で、読み終わったものの訳が分からなくて、でも「なんかすごい本だった気がする」みたいなものって、ないですか?それと似た感じだったのかも(^^)。さて、ブラクストンはキャリアを積むごとに凄いプレイヤー&つまらない作曲家になっていきましたが、若い頃はいい意味でかなり怪しいムード。このアルバムはデビュー作の『3 composition of NEW JAZZ』と匂いが似てます。メンバーは、ブラクストン(sax, clarinet, flute, accordion)、レオ・スミス(tpなど金管)、ルロイ・ジェンキンス(violin などの弦、harmonicaなどなど)、スティーヴ・マッコール(percussionなどなど)のカルテット。シカゴ周辺のロフト・ジャズと言われたシーンでよく名前を見た人たち、という感じかな?
 収録は全3曲。ブラクストンさん自身の曲はB面で20分近く演奏されます。ただこれは曲という感じとはちょっと違って、特殊な奏法とか(ガサゴソいう現実音だけとか、録音のフィードバック音みたいなのとか、ジャズなのにそういうものまでアリというのが面白い^^)を間に挟みながら、いきなりトゥッティが決まったり、突然誰かのアドリブソロが展開されたり、みたいな感じ。B面始まって5分ぐらいしてから唐突に始まる最初のソロはブラクストンさんですが、これが例のアルトサックスの超高速プレイ。これに続いてジェンキンスさんのヴァイオリンソロ、ドラムソロに最後はトランペットソロ、みたいな感じですが、ジャズ的なソロオーダーとは全然違くて、各プレイヤーのソロになだれ込んでいくまでの音楽の作り方が面白い。ある部分はフリーで、トゥッティになる部分だけは書いてある感じ。これはなかなか面白いです(^^)。
 残る2曲はA面収録で、最初がトランペットのレオ・スミスさんの曲。怪しいメロディをトゥッティしてテーマにしている点がかなりバップ的というか、フリーとはいえ第1世代寄りの音楽のような印象を受けます。このフロント楽器のトゥッティ部分とフリープレイ部分を組み合わせて作ったような曲なんですが、これもやっぱりアンサンブルとそうでない所の間にある演奏が面白くて、怪しいムード満載(^^)。普通のジャズとかロックとかクラシックを聴いていると、全部が調性内とかリズム内だったりして、どこまでいってもルールでがんじがらめで単純というか、ヤバさが足りないと思う時があります。フリージャズやインプロヴィゼーションでも、最初から最後までカオスしかないものは大嫌いなんですが、秩序とカオスを行ったり来たりするタイプのフリージャズや現代音楽は、私にとっては至福です(^^)。最後がジェンキンスさんの曲で、これが一番曲らしいかも。面白いのは、たぶんブラクストンさんがアコーディオンを演奏してるんですが(クレジットにはないんですが、LPにはブラクストンさんがアコーディオンを演奏している写真が載ってる)、これがずっと和音を出したまま変化していくので、モード曲みたいになっていて面白い。曲調としては、東南アジアの農村部で聴ける笛の音楽、みたいな印象で、牧歌的でよかった。

 これだけ書くとめっちゃくちゃ素晴らしいアルバムのように感じられるかもしれませんが、この創造的な部分とは裏腹に、演奏がちょっと荒い(雑?)。録音もすごく悪い。「これ、ちゃんとした録音だったらけっこう凄い音楽に聴こえたかも」と思ってしまいました。最近、録音って実はすごく大事なんじゃないかと思うようになってきました。プレイの内容が同じでも、録音やミックスで駄作にも名作にもなっちゃうというぐらい大事なのかも。
 この、創造力に溢れている感じと、プレイが追いつかず、録音の予算も足りないアンバランスな感じが、フリージャズ第3世代、シカゴ周辺の音楽の特徴かもしれません。もし、インパルスとかブルーノートが彼らを拾っていたら、全然違った展開になったかもしれない…いや、フリージャズはジャズファンの間でも「わけがわかんない」とか言う人が結構いるから、それは無理か。。演奏や録音の粗さに目をつぶることが出来るのであれば、楽しめるアルバムではないかと思います。やってる事は思いっきり創造的で、めっちゃくちゃ刺激を受けます!!僕はフリージャズ大好きなので楽しめましたが、そうでない人にはどうかな?



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Amazonプライム、無料体験の落とし穴!

(Amazonには「お急ぎ便お試し期間無料」というサービスがある)
 アマゾンって便利ですよね。アマゾンが必ずしも最安値とは限らないけど、本にしてもCDにしても在庫の量がけた違い!昔は古本屋や中古盤屋を駆け回ったもんですが、アマゾンができたせいでつぶれた中古店も多いんじゃないかな~。
 アマゾンのもうひとついい所は、配送してくれる所。普段は2~3日中には届く送料無料の普通の配送法で注文してます。ところが、ちょっと前にPCが壊れた時に、どうしても急を要するものが出来て、AMAZONのすぐに届けてくれるサービスを利用したんです。それがタイトルの「Amazonプライム」。これ、「一定期間、無料体験できます」みたいに書いてありました。で、これを使ったわけです。以降、アマゾンで買う時も、発送方法を選ぶところで「Amazonプライム:無料」とか書いてありました。「あれ、そろそろお試し期間は過ぎたと思うんだけどな~」と思ったぐらいの時も、無料って書いてありました。タダなら使ってもいいか…とも思ったんですが、配達する人の事を考えちゃったんですよね。僕はいいんですが、配達の人に悪いな…と(^^)。で、「急ぐもんじゃないんだし、急かさないから期限内に持ってきてくれればいいよ~」みたいな気持ちで、最初の「無料お試し期間」の1回以降はAmazonプライムというのを使ってなかったわけです。ところが…

(しかし、無料のはずが、3900円が引き落とされる!)
 デザイナーの僕は自営なので、年が明けて青色申告に向けての経理仕事をしてました。で、カード会社から来た明細をチェックしていると…うひょ~なんだこれ、「AMAZON PRIME FEE」なる名目で、3900円が引き落とされているじゃありませんか!おい、無料じゃなかったのかよヽ(`д´)ノ!!
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(そのからくりと、お金の取り戻し方)
 でも、アマゾンみたいな大きい会社がサギをしたら、社会的にも大問題のはず。だから、法的には大丈夫なやり方を取ってるんじゃないかと。例えば「よく説明を読んでから、同意できたらポチっと押してね」みたいな別途説明文の中に、なんか処理をしないとお金を取られるシステムになってるとか。でも、無料といっておいて無料じゃないという点を主張すれば、法的には勝てるんじゃなかろうか…みたいな事を考えてみたりみなかったり。いずれにしても、これは何とかしないと…と思って、取り急ぎアマゾンでプライム契約なるものを退会したところ、こんなメールが届きました。

「お客様のご希望により、Amazonプライムの会員登録をキャンセルしました。 Amazonプライムの特典を利用されておりませんので、お客様の年会費3,900円を返金いたします(現在年会費を請求中の場合は完了するまで返金できませんのでご了承ください)。」
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 うわ~あぶねえ、なんとか事なきを得ました。3900円って、年会費だったのか、クソ高いな…。というわけで、3900円を取り返すには、プライム会員なるものを退会すれば帰ってくるみたいです。ただし、その期間にプライム会員のサービスを利用してたらアウトかも。それにしても、結果的には無料だったにしても、「無料お試し」といっておいてお金を徴収するって…。とはいえ、まだ退会申請してから次のカード明細が来ていないので、お金が戻ってきたかどうか分からないんですが(^^;)。

 何でこんなことを書いたかというと、カードの使用明細をこと細かに見ない人だって結構いるんじゃないかと思ったから。また、なぜ無料期間を過ぎてもアマゾンのお急ぎ便に送料無料と書いてあったかというと…「もうあなたは会員だから、Amazonプライム会員限定の送料は無料ですよ(会員料無料とは書いてない( ̄ー ̄)」という意味だったのかも。これはミスリードを誘ってるような気が…間違える人も出るでしょうね、きっと。また、カードで引き落とされている事に気づかない人もいるはず。もし、Amazonプライムの無料お試しというのを使った事がある人は、年会費を引き落とされてないか、いちどチェックしたほうがいいかも(*゚ー゚*)ν。

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『ブラームス:交響曲第1番 レヴァイン指揮、ウィーンフィル』

Levine_Brahms1.jpg キャ~、ついに来てしまいました、ブラームス交響曲の金字塔、交響曲1番です(゚∀゚)!!人気は2番とか4番とかの方があるそうですが、やっぱりこれでしょう!!というか、絶対に1番でしょう!!

 先に少しだけ作品の有名なエピソードを書いておくと…ブラームスという作曲家は完璧主義な所があったみたいで、ひとつの作品をこれでもかと書き直し、作り直しして、これ以上ない所まで持っていきたがる人です。その最たる例が、この交響曲第1番。1855年に書き始められて76年が初演というから、完成までに実に21年!!さらに、初演から楽譜出版の間にも何度も手を加えたというから、名探偵モンクもびっくりなほどの神経質&完璧主義である事が分かると思います。で、この交響曲、初演時にはベートーヴェンの第9以降で最も優れた交響曲という評価を受け、「第10交響曲」なんて呼ばれるようになったほど。まあ、サイドストーリーはこんなもんですが、宣伝文句で大した音楽でもないものに「名作だ!」「名盤だ!」なんて言われる音楽はいくらでもありますからね。実際のところ、どうなのかというと…もう、僕なんかがグダグダ書けるような作品ではありません。素晴らしすぎ。僕的に言うと、ベートーヴェンのどの交響曲よりも凄いです。ベートーヴェンの「運命」や「喜びの歌」や「田園」を聴き逃してくれても構いませんが、ブラームスのシンフォニー1番だけは聴いて欲しいです!

 第一楽章、6/8拍子のティンパニーの連打から始まる第1主題からして、これと似たものを聴いた事がありません。これぞロマン派シンフォニーの真骨頂、強烈!重厚!自分が初めて書く勝負の処女交響曲の第1楽章をマイナーから始めるセンスも素晴らしい。そして、重厚でハードでダークな第1楽章が抜けた直後の第2楽章の美しさ…これはちょっと言葉では伝えられないです。第3楽章は、力の抜けた可愛らしいロマンス風の曲。演奏時間も5分弱と短めで、クライマックスの前の小休止といった感じ。そして第4楽章…ドラマっチックでありながら複雑すぎない明確なコンセプト!同主調転調が4楽章のアイデアの骨格にあると思いますが、そこに各シーンを跨ぐ動機が見事にドラマに一貫性を持たせます。ああああ、もうこういう言葉で書くと全然伝わらないなあ。。ようするに、素晴らしいんですよ!!

 さて、演奏と録音ですが…ライブ録音なので、少しオーディエンスノイズが入っています。特に、第1楽章が始まったばかりのあたり。しかし素晴らしい演奏に圧倒されてか、以降は水を打ったような静けさ。どうしてもオーディエンスノイズが気になる人は、第1楽章はちょっと気になるかもしれませんが、あとは大丈夫だと思います。それ以外の録音は…クリアかつあったかい!100点!演奏は…文句なし!!というか、オケの精度がマジで高いです。ウィーン・フィルは説明不要と思うので、指揮者のジェームス・レヴァインについてだけ説明すると…アメリカの指揮者で、バーンスタイン亡き後のヤンキーナンバーワン。けっこうすっきり演奏をまとめるというか、ものすごく分かりやすく、「ここはいく!」とか「ここはしずかに」みたいなのが、聴いていてすごく分かる人です。何がやりたいのかが明確な感じ。なので、時として重すぎと思われているブラームスの1番でも、これぐらい聴かせてしまうんですね。とはいえ、カラヤンみたいに「ちょっと軽いな…」というのとは違う。なんというのかな…ヤンキー、これに尽きます(^^)。そして、この指揮は見事!!ちなみにマーラーの指揮も聴いた事がありますが、それも凄かった。個人的には、かなり好きなタクトです。
 このCD、曲も演奏も録音もいいので、出来るだけいいスピーカーで、大きめの音で聴いて欲しいです。合奏であるはずのオーケストラというものの表現力がこれほどまでに凄いものかとビビらされました。ブラームスを聴いた事がない方は、まずはこれを聴きましょう!また、クラシックのロマン派をあまり聴いた事がないという人も、交響曲というのがどうも苦手という人も、これを聴きましょう。大推薦!!

 というわけで、すべて違うオケ&指揮者でお届けした、ブラームスの管弦楽特集でした(^^)。3番も書こうと思ったんですが、フリージャズが聴きたくなってきてしまったので、ブラームスの続きはまたいつか(=゚ω゚)ノ"ジャ、マタ!!。。



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『ブラームス:交響曲第2番、ウェーベルン:夏風の中で シャイー指揮、ロイヤルコンセルトヘボウ』

Chailly_Brahms Sym2 まずこのCD云々の前に注意点がひとつ。このCDと全く同じジャケット写真&ジャケットデザインの廉価CDが出てます。どちらにも、ブラームスのシンフォニー2番が入ってます。しかし、カップリング曲が違う!最初に出ていたCDはカップリングがウェーベルンの「夏風の中で」。廉価盤はドヴォルザークの「序曲 謝肉祭」。ドヴォルザークもいい曲なんですが、ウェーベルンの「夏風の中で」の録音を探している人は絶対にいるはずなので(それぐらい録音が少ない)、「夏風の中で」を探している人は間違えて買わないようにしましょう!!

 本作の感想を書く前に…ひとつ前の記事で、イスラエル響による第4番の演奏と録音を「これはちょっと…」みたいに書きましたが、その後にこのCDを聴くと、オケがめっちゃくちゃ表現力ある!うまい!録音もめっちゃくちゃきらびやかで綺麗!!いや~、クラシックのCDを買う時は、たとえ曲で探していたとしても、多少高かったとして良いオケのちゃんと録音したっぽいものを買うべき、という事ですね。同じ曲なのに、演奏や録音で名曲にも駄作にもなっちゃうぐらいに差が出来てしまう事を、今回改めて思い知らされました。
 
 さて、ブラームスの交響曲シリーズ、今度はリッカルド・シャイー指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団による、交響曲第2番です!ちょっと前の記事で、「ブラームスはひとつひとつの作品をめっちゃくちゃ丁寧に仕上げる」みたいに書きました。交響曲1番なんて、あまりに気合い入れすぎて、書き上げるのに20年ぐらいかかっちゃってたはず。プロ根性がありすぎです(^^;)。ところがその後に書かれたこの2番は、ノリに乗って一気に書き上げちゃったんだそうで。むらっ気がありすぎです(^^;)。でも、じゃあ速く書かれたから雑で駄作かというと全然そんな事なくって、すごくいいです、2番って!!なんというのかな、ドイツ的な重厚さとかじゃなくって、もっと軽やかで牧歌的というか、ベートーヴェンでいうと「田園」みたいな感じ(実際、「ブラームス版田園交響曲」みたいに呼ぶ人もいます)。色彩感覚に富んでるし、ドラマはめまぐるしく変化していくし、まさにプロ中のプロが作ったロマン派音楽の真骨頂という感じの曲です(^^)。そんでもって、このCDはロイヤル・コンセルトヘボウの演奏が素晴らしいし(メッチャ軽やかに歌ってます^^)、録音もキラキラしていてすごくいいです。これは素晴らしい!!…これだけベタ褒めしておいてなんですが、このCDで僕がブラームス以上に本気で推薦したいのは、実はカップリング扱いのウェーベルンの「夏風の中で」だったりします(^^;)。これは凄い。。

 ウェーベルンという作曲家は超前衛な人で、最後には「点描」なんて言われるぐらい必要最低限の音しか使わなくなって、人によっては「なんじゃこりゃ、これも音楽なの?!」っていう人もいるぐらいの所まで行っちゃった人です。でも、メッチャクチャ才能があった人らしくて、アタマが良すぎてそこまで行っちゃったみたいなんですよね。でもそんなの、音だけだとアタマが悪すぎてピアノを1音だけポロンと弾いて「うふふ、芸術よ」といっている勘違い芸術家と見分けがつかないじゃないですか。で、そのウェーベルンさんですが、まだ前衛に進む前の習作期の作品が残ってます。この「夏風邪の中に」はその典型的なもので、学生時代の夏休みに書かれた曲というわけです。でもこれ、ウェーベルンが存命中は発表されず。死後、ウェーベルン研究家の人がその楽譜を出版、ワシントン大で開かれた音楽祭で初演…みたいな経過をたどりました。大作曲家の習作期の作品だから佳作扱い、しかも名を挙げた時の作曲技法とはまるで違う技法で書かれているものだから、資料的価値はあるけど売ってなんぼのクラシックCDのメジャーレーベル界隈での録音なんてとてもとても…という所にポツンとあるのがこのCDというわけです。そして、その内容は…うおおマジか、学生時代の夏休みでこんなに凄い曲書いちゃうの?!書法は完璧、なんか「アマっぽいなあ」みたいな傷なんてまるでなし、ロマン派音楽として間違いなく傑作じゃありませんか!!ロマン派にありがちな過剰なリフレインがないのもいいです。いやあ、ウェーベルンが天才級だったというのはマジだったんだなあ、と思い知らされた曲でもありました。そうそう、この曲の演奏も実に見事、実はこのCDを聴く時、ウェーベルンだけを聴くことも結構あるぐらいなんです、僕の場合(^^)。

 シンフォニーもので、違う作曲家のカップリングCDって、買う側としてはちょっと困りますよね。でも、ウェーベルンの「夏風の中で」を聴きたければ、しかも名オケによる名演を聴きたければ、もうこれしかないんじゃないかと。まあ、そんなわけで、僕は廉価盤じゃなくって、ウェーベルン入りの方のCDを推薦したいです(^^)。大推薦です!!




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『ブラームス:交響曲第4番 メータ指揮、イスラエルフィル』

Mehta_BrahmsSym4.jpg ブラームスでもうひとつ推したいのはヴァイオリン・ソナタなんですが、ドイツ・レクイエムを聴いていたら素晴らしくって交響曲を聴きたくなってしまいました。えっと、このへんにあったはず(ゴソゴソ)…あれ、こんなの持ってたっけ?メータ指揮イスラエル・フィル、ブラームスのシンフォニー第4番です!第2楽章以外は曲自体もよく覚えてないので、聴いてみよう!

 まずは曲から。なんで僕が第2楽章だけ覚えているかというと、冒頭に出てくる旋律のスケールがEフリジアンなんですよね。フリジアンというスケールは、分かりやすく言うとあのフラメンコで良く出てくるエキゾチックなあれです。近代までくればまた別ですが、ブラームスの頃のロマン派音楽内で使われるのはけっこう珍しいんじゃないかと。とはいえ、近代フランス音楽みたいに思いっきりモードじゃなくって、部分的に使われる程度なんですが。で、この第2楽章、色々とドラマがあった後にひと盛り上がりして一度アダージョに落ちるんですが(このCDだと8分過ぎぐらいから)、このアダージョがすごくきれい。田園の夕焼け…みたいな、ほっとするような、懐かしいような美しさです。というわけで、僕はこの第2楽章が好き(^^)。
 で、他の楽章ですが…ひとつ前の記事に書いたように、ブラームスはロマン派とはいえ、古典派やバロックなども大好きな人なので、それらの要素が結構入ってるのもこの4番の特徴かも。第3楽章は古典派の宮廷音楽ムードですし、最終楽章はバロックのシャコンヌ。あ、ちなみに第1楽章は典型的なロマン派音楽という感じで、今の時代に「クラシックの交響曲」というと、だいたいこういう音楽を思い浮かべるんじゃなかろうか、という感じの曲です。ブラームス本人が一番好きな交響曲はこの4番だったらしいですが、それは自分が好きだった作曲様式を色々と盛り込めたからなのかも。
 ただ…ジャズも民族音楽も色々通過しちゃった僕みたいな典型的な現代リスナーの耳でいうと、主に和声面の刺激が足りなくって、聴いていて飽きちゃうんですよね。僕が好きな第2楽章も、久々に聴いたら、たしかにいいんだけど、そこまでじゃなかった(^^;)。もう少し言うと、ブラームスの完璧な構造美って、時として保守的に聴こえちゃう時があります。これは表裏一体な所があって、作品云々じゃなくって演奏の良し悪しとか、そういう所にも左右されちゃうのかも知れませんが。で、1番とか2番だとそれが良い方に出た気がするんですが、4番は裏目というか、技巧ばかりが目についてしまうというか…。でもこのあたりは完全に趣味の問題ですので、作曲技法マニアの人にとっては、これは大傑作に聞こえるんじゃないかという気もします。

 そして、演奏ですが…いや~、第1楽章は待ちすぎ。音が躍動する前に、そろそろと合わせてばかりいるから間が持たない。スタッカートの歯切れも悪い。第2楽章みたいなシーン展開の多い楽章は、テンポのメリハリが少ない。アレグロとアダージョの差が少ないので、なんかヌル~っとした感じ。簡単に言うと、オケが歌ってません。なんまだ合わせの段階みたいな演奏なんですよね、もう少し攻めに行っても良かったんじゃないかと。ロマン派的な味わいを最も楽しめる曲想の第1楽章なんて、もっと大げさなぐらい歌ってほしかった。単純に、聴いていてあまり感動できませんでした(>_<)。やっぱりオケって大事なんだな。。日本盤の解説では、評論家さんがこの演奏を絶賛してましたが、太鼓持ちで食ってるレコード会社の飼い犬いろんな聴き方があるのかも知れません。
 それから、録音。そっけないというか、「ものすごい綺麗だ」とか「迫力がある」とか「すごく鮮明だ」とか、そういう物が何にもありません(´・ω・`)。なんか、ただ録音しただけ…みたいな。オーケストラの録音って、凄い録音になると、曲がつまらなくても「うわあ、すっげえええ」みたいになるじゃないですか。ああいうのがありませんでした。

 というわけで、悪くはないものの、絶賛というわけにはいかない1枚かも。このCDでブラームスを判断するのは危険かも(^^;)。ブラームス、もっとすごい人です。同じ4番でも他の録音を聴いたら、感想が変わるかも。



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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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