
ブラームスでもうひとつ推したいのはヴァイオリン・ソナタなんですが、ドイツ・レクイエムを聴いていたら素晴らしくって交響曲を聴きたくなってしまいました。えっと、このへんにあったはず(ゴソゴソ)…あれ、こんなの持ってたっけ?メータ指揮イスラエル・フィル、ブラームスのシンフォニー第4番です!第2楽章以外は曲自体もよく覚えてないので、聴いてみよう!
まずは曲から。なんで僕が第2楽章だけ覚えているかというと、冒頭に出てくる旋律のスケールがEフリジアンなんですよね。フリジアンというスケールは、分かりやすく言うとあのフラメンコで良く出てくるエキゾチックなあれです。近代までくればまた別ですが、ブラームスの頃のロマン派音楽内で使われるのはけっこう珍しいんじゃないかと。とはいえ、近代フランス音楽みたいに思いっきりモードじゃなくって、部分的に使われる程度なんですが。で、この第2楽章、色々とドラマがあった後にひと盛り上がりして一度アダージョに落ちるんですが(このCDだと8分過ぎぐらいから)、このアダージョがすごくきれい。田園の夕焼け…みたいな、ほっとするような、懐かしいような美しさです。というわけで、僕はこの第2楽章が好き(^^)。
で、他の楽章ですが…ひとつ前の記事に書いたように、ブラームスはロマン派とはいえ、古典派やバロックなども大好きな人なので、それらの要素が結構入ってるのもこの4番の特徴かも。第3楽章は古典派の宮廷音楽ムードですし、最終楽章はバロックのシャコンヌ。あ、ちなみに第1楽章は典型的なロマン派音楽という感じで、今の時代に「クラシックの交響曲」というと、だいたいこういう音楽を思い浮かべるんじゃなかろうか、という感じの曲です。ブラームス本人が一番好きな交響曲はこの4番だったらしいですが、それは自分が好きだった作曲様式を色々と盛り込めたからなのかも。
ただ…ジャズも民族音楽も色々通過しちゃった僕みたいな典型的な現代リスナーの耳でいうと、主に和声面の刺激が足りなくって、聴いていて飽きちゃうんですよね。僕が好きな第2楽章も、久々に聴いたら、たしかにいいんだけど、そこまでじゃなかった(^^;)。もう少し言うと、ブラームスの完璧な構造美って、時として保守的に聴こえちゃう時があります。これは表裏一体な所があって、作品云々じゃなくって演奏の良し悪しとか、そういう所にも左右されちゃうのかも知れませんが。で、1番とか2番だとそれが良い方に出た気がするんですが、4番は裏目というか、技巧ばかりが目についてしまうというか…。でもこのあたりは完全に趣味の問題ですので、作曲技法マニアの人にとっては、これは大傑作に聞こえるんじゃないかという気もします。
そして、演奏ですが…いや~、第1楽章は待ちすぎ。音が躍動する前に、そろそろと合わせてばかりいるから間が持たない。スタッカートの歯切れも悪い。第2楽章みたいなシーン展開の多い楽章は、テンポのメリハリが少ない。アレグロとアダージョの差が少ないので、なんかヌル~っとした感じ。簡単に言うと、オケが歌ってません。なんまだ合わせの段階みたいな演奏なんですよね、もう少し攻めに行っても良かったんじゃないかと。ロマン派的な味わいを最も楽しめる曲想の第1楽章なんて、もっと大げさなぐらい歌ってほしかった。単純に、聴いていてあまり感動できませんでした(>_<)。やっぱりオケって大事なんだな。。日本盤の解説では、評論家さんがこの演奏を絶賛してましたが、
太鼓持ちで食ってるレコード会社の飼い犬いろんな聴き方があるのかも知れません。
それから、録音。そっけないというか、「ものすごい綺麗だ」とか「迫力がある」とか「すごく鮮明だ」とか、そういう物が何にもありません(´・ω・`)。なんか、ただ録音しただけ…みたいな。オーケストラの録音って、凄い録音になると、曲がつまらなくても「うわあ、すっげえええ」みたいになるじゃないですか。ああいうのがありませんでした。
というわけで、悪くはないものの、絶賛というわけにはいかない1枚かも。このCDでブラームスを判断するのは危険かも(^^;)。ブラームス、もっとすごい人です。同じ4番でも他の録音を聴いたら、感想が変わるかも。
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