さて、僕が一番好きなキース・エマーソン関連のアルバムがこれ。ELP(エマーソン、レイク&パーマー)のトリロジーです。特に、連続で演奏されるアルバムA面の冒頭3曲“The Endless Enigma, Part 1~Fugue~The Endless Enigma, Part 2” の流れ、これが素晴らし~(^^)!冒頭はシンセ単音の簡単なメロディ。これを受ける形でピアノが入り、次第に打楽器セクションが出てきて、バグパイプが重なり、対立していたシンセとピアノが3連譜のユニゾンで加速して一気にメインテーマになだれ込みます。最高にスリリング、「盛り上がってきた、これは来るぞ?!」という感じ、やっぱりこういうドラマ性の高い音楽は興奮します!!そしていよいよ出てきたメインテーマも、メロディラインがすごくきれい。このメインテーマは大切に扱われ、主題転調し(いかにもクラシック的なやり方ですが、そういえばポピュラーでこういうやり方ってあんまり聴かないですね)、そこから調の違う2曲目になだれ込み、ここからアコースティックピアノの演奏…かと思いきや、引きまくった後で1曲目のメインテーマの再現部に戻します。つまり、このクラシカルなピアノソロは、冒頭3曲をひとつとして見立てれば、ソナタでいう所の展開部として使われるわけですが、この楽曲構成力が素晴らしいです。以降も、ところどころにクラシックの名曲のフレーズがチラチラ出てきながら、しっかりした曲とか、あるいはアドリブ演奏重視の曲とか、バラエティに富んだ形でアルバムが進行していきます。最初から最後まで本当に楽しいアルバム、おススメです!!
とはいえ、スタンダードですら一筋縄ではいかない演奏で、もうこのあたりの感覚が、プロミュージシャンではなくアーティストなんでしょうね。ジャズ・スタンダードの"You don't know what love is" ですが、過激というのとは違くって…いや~、言葉が見つかりませんが、なんともアーティスティックな表現です。戻って1曲目はブルース。演奏的にはジャズブルースではなく、なんとフォークブルース。ジャズギターの大御所がよもやこういうスイング的なものをやるとは意外。しかし…うまい。3曲目はオリジナルのモードですが、本当にワンノートのモードなので、今の耳で聴くとちょっとロック的かな?そして最後はアルバムタイトルになっているフリーフォーム組曲。さすがにこれが一番良いなあ。音楽が時間で区切られているようで(タイムコンダクターというクレジットがある!)、それぞれの時間に沿って奏法やらなにやらが色々と指示してあるみたいです。う~んなるほど、崩れてしまうとばらばらになってしまいそうなフリーをこうやってまとめるのか。しかし聴いていて一番感じるのは、時間うんぬんよりも、ミュージシャンの演奏の素晴しさ。冒頭は森剣治さんのフルートと高柳さんのクラシックギターから始まり、そこのパーカッションの金物が被さっていくのですが、これは素晴らしい演奏だぞ。この3者以外は演奏に入ってこないので、演奏者の指定もあったのかも。ただ、第1楽章は、ひと盛り上がりして、もう次に進んでも良さそうな感じなのに、そこで時間待ちしているような感じもあって、タイムコンダクションというのは良し悪しだな…とも思っちゃいました(^^;)。