
でもって、これがドビュッシーの大名曲「海」のスコアです。自筆譜ではなく、マックス・ポンマー校訂したものを、見やすく打ち出した感じ。僕が持っているのは音楽之友社が出しているハンディサイズのものなんですが、なんでフルスコアを大判でなく、こんな小さなサイズのものを選んで買ったかというと、CDを聴きながら追いたいから(^^)。
「海」を含めたドビュッシーの音楽は、大名曲というだけでなく、音楽の作曲技法の大転換点にもなっているので、響きがそれまでの音楽と全然違います。いまだって、やっぱりこういうサウンドと曲の構成の仕方は少ない方。だからサウンドもいまだ新鮮で圧倒されるんですが、でもそのサウンドって、エフェクター買ってきて聞き覚えのない音を造ってるんじゃなくって、ベートーヴェンとかと同じ管弦楽という編成から出てくる音が、これだけ違う色彩感の音を生みだしてるんですよね。その謎を知りたかったら、理論書を読むよりもスコアを見た方が早い(^^)。
冒頭16小節の音の重なり方を見て聴いて感じて考えるだけでも、感動しちゃうとおもいます(^^)。しかも、あの音の洪水に浸りながら、ソファにもたれて読みたいわけです。だからハンドサイズ(^^)。
いま、音楽って、使い捨てのように次から次に聴かれては忘れられていくじゃないですか。でも、そういう大量消費社会の消耗品としての音楽よりも、生涯かけて10曲ぐらいを書き上げるような気合いで書かれた音楽の方が、完成度が段違いに高いと思うんですよね。聴く方にすれば、ネットやスマホの普及で情報の洪水の中で忙しくなっちゃうんじゃなくって、そういう安易なものは全部切り捨て、夜は本を読んだりよい音楽を聴いたりという方が、全然優雅で落ち着いたいい人生になる気が(^^)。何となく1~2度聴いて忘れちゃうんではなく、背景も知って、スコアも見て、理解して、心から感動して…という方が、どれだけ贅沢かと。とっかえひっかえで100も200も掴むより、厳選した10とか20を深くじっくりというのもいいと思うんです…今までたくさんCDのレビューしておいて、説得力ないか(^^;)。
クラシックのいい所は、それだけ深く入れるだけの懐の深さが実際にあるという所。楽譜が苦手でも、深く読めなくても、クラシックの楽譜を追うと、どういう楽器がどういうふうに重なっていて、どんな感じで音が動いていてというのがグラフィカルに見えるので、なんとなく構造が見えてきたり、聴こえ方が変わってきたりすると思います。さすがにこのサイズだと音符が見にくい所がありますけど(^^)。
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