『Dinah Washington / Dinah Jams』

DinahWashington _jams ジャズ・ヴォーカルのアルバムで、僕が人生で一番衝撃を受けたのがこれ!ダイナ・ワシントンがクリフォード・ブラウンやマックス・ローチの伴奏でヴォーカルを取ったアルバムです!

 まず、メンバーが凄いです。ペット隊はClifford Brown, Maynared Ferguson, Clarl Terry、サックス隊Harold Land, Herb Geller、ピアノはJunior Mance, Richie Powell、ベースKeter Betts, George Morrow、そしてとどめのドラムはMax Roach!!クリフォード・ブラウンとマックス・ローチの参加がゲスト扱いというか目玉なんでしょうが、他のレギュラーメンバーも全員リーダー作を出せるレベルで、知名度だけじゃなくって実際のプレイが素晴らしい!そして、とにかく1曲目の「恋人よ我に帰れ」が熱い!よくある歌伴奏じゃないんですよね、ジャズのジャムセッションです。ヴォーカルに遠慮する事なく、全員吹きまくり、叩きまくりです(^^;)。おかげで、ダイナ・ワシントンは絶叫しまくり、しかもヴィブラートや何やらのテクニックは歌の味つけじゃなくって、まるでトランペットのシャッフルレベルの超絶です!これを最初に聴いたのがいつだったのか覚えてませんが(たぶん中学生の頃?)、「ああああああああ、凄っげえええええええええええ!!!!」みたいな感じで、本当に衝撃でした。また、ジャムっぽいからペットもサックスもみんなにソロを回すんですが、全員して「俺が一番だろ?な?な?」みたいな感じで、フルスロットルの演奏です。カッコいい!あと、白熱しまくりのジャムに、だんだんお客さんも釣られて手拍子を打ち始めちゃうんですが、これが全員裏打ち。どっちがいいというわけではありませんが、こういう所は日本と違うんですね。

 以降も素晴らしいです。2~3曲目はヴォーカル抜きのインスト、そして4~5曲目がバラード、6曲目がリズム曲…う~ん、このアルバム構成も唸らされるというか、見事です。。6曲目"I've got you under my skin" のシャウト・コーラスひとり回し目のトランペット・ソロも素晴らしすぎる。50年代以前のジャズ・ヴォーカルとか、反対に80年代以降のジャズ・ヴォーカルのレコードって、実際のライブでやられている音楽じゃなくって、ラジオ放送のTPOやお客さんに合わせて、選曲もアレンジも演奏も分かりやすくした無難なものが多いんですよね。そんな中、ミュージシャンの本領発揮のこのレコードは熱い!!これは、ジャズを聴かない人にもぜひ一度聴いて欲しいアルバム。歌手を目指している人に至っては、これを聴いた事がないなんて認められません。ロック以前のアメリカの軽音楽がどれだけ高いレベルであったかを痛感するんじゃないかと。


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『Dinah Washington / the fabulous Miss D! -the Keynote, Decca & Marcury singles』

DinahWashington_decca.jpg 古いジャズの女性ヴォーカルが好きだというなら、絶対に買った方が良いです!!ジャズ・ヴォーカルの超大物ダイナ・ワシントンが、1943年から1953年までに所属したレコード会社キーノート、デッカ、マーキュリーから発表したシングル盤のすべてを集めた4枚組です。LP時代以前の音源の集大成というわけですね(^^)。

 まず、作りが素晴らしいです。シングル盤サイズのハードカバーのカラーブックレットに凄く細かくレコーディングの情報(いつ、どんなメンバーで吹き込んだのかとか、いつどういうジャケットでリリースされたのかとか)がびっしり書き込まれ、その装丁の中にCDも入ってます。これは見た目や作りがいいだけでなく、内容も素晴らしい仕事です!そんでもって、当たり前ですが、ダイナ・ワシントンの歌が素晴らしい!僕はクリフォード・ブラウンとの共演で聴いた、あのとんでもない声量とテクニックと歌心を持ったアーティストとしてのダイナが最初のイメージでしたが、いや~、こんなに歌を大切に歌うのか。シングル盤というレコード会社のオーダーで作っているからそうなるんでしょうが、いや~それでもバンドも含めてプロですね~。

 そして、ジャズ・ヴォーカルと古いジャズについて。ジャズにはいろんな聴き方があると思うんですが、モダン以降はスタープレイヤーのアドリブ演奏に注目する聴き方が主流になっていった気がします。マイルスとかロリンズとかを聴く時なんて、そんな感じですもんね。でも、ジャズの曲を追っていくと、だんだんヴォーカルを中心に聴くようになり、そしてその曲が出来た時代にどんどん遡ってしまう…僕の場合はそうでした。そういう聴き方をしていったときに、エラ・フィッツジェラルドのコール・ポーター・ソングブックとか、またこのBOXとかは、宝のような存在です。元曲を尊重したアレンジがつけられた演奏が多いので、古いジャズの元曲の魅力がすごく伝わるんです。例えば、"I Can't Get Started with You" という、まあまあ有名なスタンダードがあるんですが、これをモダン期以降のインストで演奏されたものを聴くと、色々とアレンジしやすい曲なものだから、まあそれぞれ色々やっちゃう。流行のカラートーンとか、自分が好きなやり方とか、どうしてもしちゃう。有名なロリンズの演奏もジョー・パスの演奏もそれは見事だけど、原曲の良さが消えちゃってます。"I can't get ~"の詞は「スペイン内戦を収めたのも僕だし、世界恐慌の時も売り抜けたし、観光名所になってしまった豪邸まで持ってるけど、君とは始める事すら出来ない」みたいな感じなんです。30年代の「アメリカの時代」そのままの世界観(アイラ・ガーシュウィンとヴァーノン・デュークの作)。これは、やっぱりその時の世界をまじかに見た人たちの演奏じゃないととても伝わらないと思うし、あれこれいじって今風にしちゃうのもいいんだけど、この作曲のイメージや詞の世界を再現するのは、あとの時代の人がどんなに頑張ったってもう無理なんでしょう。だから、今となっては当時の音源がすべてで、それを今から作るなんてもうできない。だから宝物に思えちゃうんです。この曲、元は映画のために書かれた曲ですが、その後に有名な歌手はほとんど歌ってるんですが(レディデイもエラもアニタもチェット・ベイカーも唄ってます)、僕の中ではこれがナンバーワン。また、他の曲も、演奏やアレンジの妙よりも、とにかく曲が素晴らしいです。これも、詞や曲をこれだけ美しく響かせるヴォーカリストの存在が大きい!

 "I can't get~"の事ばかり書いちゃいましたが(^^;)、他でも「あ、これは素晴らしい…」と思う曲が、予想以上にたくさんありました。いや~、モダン期以前のジャズは名曲のオンパレードじゃないですか。今では名前すら見かけなくなった曲なのに、なんと素晴らしい曲かというものが結構あったのは驚き。他にも、昔のジャズってブルース進行の曲が異常に多かったのかとか(これはもしかするとダイナ・ワシントンがアフリカン・アメリカンだからそうした?)、ビッグバンド優勢の時代があったからこそジャズはアレンジ理論を深められたんじゃないかとか、ジャズはフォルクローレじゃなくて商業音楽だから聴いている人が心地よくなれるような歌詞や曲の作りが多かったんじゃないかとか、このボックスを聴いて思った事は山ほどあるんですが、かき始めたらきりがありません。詞も曲も含め、古き良きジャズ・ヴォーカルの魅力に触れたいならマスト!そして、古い時代のダイナ・ワシントンの魅力は、僕の予想とは全然違って、プロ歌手として歌を大事にしていて、ものすごく素晴らしかったです!


iLoK2 を壊した! その復旧方法

P4200372.jpg プロツールスを使うには、iLok というソフトウェアのライセンスの有無を確認するスマートキー(USB挿し込み型!)が必要です。これを蹴っ飛ばして壊してしまった(×_×;)。これがないと、プロツールスが動かないのだよ。でも、こんな事はいくらでもある事故だと思うので、簡単に対処できんだろ…と思ったら、これがやたらと大変でした。海外のiLok 本社とやり取りをしなくてはならない事が判明。しかも全部英語。。こういう事故は今後も起こると思い、対処手順をメモしておくことにしました。

 まず、「壊れたのでiLok 社に修理してもらう」のか、「無くしたのでiLok社に新たに送ってもらう」のか、「無くしたので日本で新たなiLoKを買って、無くしたiLoKに入っていたソフトにライセンスを再発行して貰う」のかを決める必要があります。
 Pro-Tools だけでなく、他社の色んなプラグインをiLoK に入れている場合は、すべてのソフトのライセンス再認証は大変なので、時間はかかるけど海外にiLokを送って直してもらった方が良いかも。でも、これは修理に1カ月ぐらいかかるみたいで、送料やら何やらも自分持ち。僕の場合は、iLok で認証しているものなんてPro-Tools 本体ぐらいしかないし、しかも1か月なんて待ってられないので、Pro-Tools だけを速攻で復旧したいなら「無くしたので新たなiLoKを買って、AVIDにPro-Tools のライセンスを再発行して貰う」方法が良いんじゃないかと。僕はこの方法で行く事にしました!

 以下、大まかな流れを。
1. ProTools のメーカーであるAVIDの日本代理店のサポートに電話:
 電話のガイドを2→2→2と進んで、留守電に「iLokをなくした」「新たにiLoK2を買ったので、そちらでpro-toolsが動くようにしてほしい」と伝言を残してコールバックを待つ!ほどなくしてコールバックが来て(今回は1時間半後ぐらいでした)、手早くやり方を教えてくれます。

2. iLok のメーカーであるiLoK.com にサインインして、紛失を伝えてRMA(修理)番号を発行
 このやり方は、AVID 社がメールでマニュアルを送ってくれます。PDFは、これ

3. iLok.com から送られてきたRMA記載のメールをAVID に転送

4. AVID から、ライセンスの再発行手数料と振込口座を書いたメールが届くので、振込み!
 代金は2016年時点で3700円でした。

5. ライセンスのリデポジデッドしてくれる
 AVID が、僕のiLokアカウントに、ProTools のライセンスをリデポジットしてくれます。

6. それを新しく買ったiLoK2 に入れて終了!
 これは、iLoK のライセンスマネージャー上で行います。やり方は、AVID がライセンスノリデポジットの時に、メールで細かく書いて送ってくれました。

******
 いや~、とにかくAVID 日本代理店の対応が迅速で的確で素晴らしい!!2~6の流れは、1日以内で終わりました!!というわけで、iLoK を壊した&無くしたという方がいらっしゃいましたら、ご参考までに(^^)/。


『Gavin Bryars with Tom Waits ‎/ Jesus' Blood Never Failed Me Yet』

GavinBryars_JesusBlood.jpg ブライアーズを人生ではじめて理解できる時が来たか?!と思い、引っ張り出してきたのが、これ。ジャケットがカッコいいんですが、内容をまるで覚えてません(^^;)。しばらくぶりに聴いてみると…12小節(30秒弱?)の音楽をひたすら繰り返すというもの。途中、少しずつ楽器が増えたりするのですが、気づかないぐらいさりげないです。ああ、思い出した、こんなだったよ(^^;)。

 ミニマルとかアンビエントって、僕の若い頃には、音楽科の学生には人気がなかったですが、美術科の学生には好きという人がそれなりにいました。アート系のショップに置いてあったりもしましたしね。しかしやっぱり、変化がほとんどなく延々繰り返すというのは、やっぱり飽きます(最初の10分ぐらいまでは気持ちよかったんですが…)。飽きないとしたら、作業BGMにかけるような場合じゃないかと。しかしBGMに使うには、言葉が入っているのが邪魔。言葉って意味解析する必要があるものなので、これを「BGMのように聴いてね」というのは、そもそも理屈に合わないと思うし。浮浪者がささやいた"Jesus' Blood Never Failed Me Yet"という言葉の無限反復という、相変わらずのサブカルな痛い感じも、ちょっとね…。

 同じミニマルでも、ライヒの傑作「砂漠の音楽」とブライアーズの仕事を一緒にしちゃいけないんじゃないかと。こういうのを良いという時って、音楽をアタマで考えてるんじゃないかと思っちゃう。アマゾンの評価を見てみると…やっぱりみんな「考えた」末に良いとか悪いとか言ってるよなあ。アタマで考えるのは悪いことではないと思うけど、まったく感覚的な判断ナシで良い悪いを判断するものなら、音楽よりも優れた方法はいくらでもあると思っちゃうんですよね、詩とか美術とか。大きい声じゃ言えないけど、1時間で1音だけの音楽とか、サインウェーブだけの音楽とかって、アート系をこじらせてるだけに思えちゃう。こういうのを有り難がるのは、薄っぺらい詐欺まがいのサブカルミュージシャンの思うツボというか…。ごめんなさい、やっぱり僕にはブライアーズは合いませんでしたm(_ _)m。こういうのじゃなくって、音そのものを扱った作品にはいい物があったので、純粋な器楽曲の方面を探せば、もう少しいいのがありそうな作曲家なのかも。弦楽の作品を聴いてみたいんだけど、何度も外れを掴まされた後だとちょっと怖い…


『Gavin Bryars / HOMMAGES』

GavinBryars_Hommages.jpg  「タイタニック号の沈没」とか、ことごとく外れを掴まされた僕のブライアーズ観が一変したアルバムです!いや~、これは良かった。。

 このCDをものすごく単純に表現すると、スイングも変化もしないアンビエント・ジャズという感じ。同じコーラスの繰り返しという意味ではやっぱりミニマルだし、劇的構成を取らずにひとつの印象だけをずっと提示し続けるという点はアンビエントっぽいですが、その循環が普通の西洋音楽のコード・プログレッションを伴うもので、しかもオルタードされたテンションが結構使われているので、響きがジャズっぽいんですよね。この時間は流れているんだけどムードは変化しないというのが聴いていて心地よいのです(^^)。おススメはなんといっても1曲目のピアノを中心に作った"My First Hommage" で、水槽を眺めながらこの音楽を聴いていたら、海の中を無限にプカプカと漂っているような感覚に襲われてしまいました。

 アンビエント系の音楽って、作ろうと思えば録音機器で何かの音を録音してループしてしまえば出来てしまうので、チープなものも少なくないんですよね。だから、ルネサンス音楽みたいに同じムードをずっと漂わせる音楽って好きなのに、アンビエントはついつい敬遠してしまっていたんですが、これは超良作。いや~、この緩い音の海にずっと浸かっていたいです、気持ちいい…


『Gavin Bryars / The Sinking Of The Titanic』

GavinBryars_Titanic.jpg ブライアーズという作曲家(?)は苦手だったんですが、先日「おおっ!」と思う作品に巡り会いまして、聴き直してみようかなと(^^)。これは彼の出世作で、タイタニック号の沈没をテーマにした音楽です。

 タイタニック号沈没のとき、沈んでいく人たちの心を落ち着けるために、乗り合わせていた弦楽四重奏団が鎮魂曲を演奏し続けたという逸話があるじゃないですか。これはそこに目をつけた作品で、ひたすら鎮魂曲を繰り返しながら、そこにラジオ放送っぽい音とか、色んな音を重ね合わせていって、タイタニック号が沈んでいく様子を表現した、みたいな作品。アンビエント音を気持ちいと感じる人がいるかも知れないし、タイタニックが沈んでいくさまを見ているようで心が打たれる…みたいに感じる人もいるかも。しかし、音を構成するという通常の意味での作曲という点では、面白い所は何もないです。
 こういうのって、音楽じゃなくて、インタラクティブな文学作品だと思うんですよね。例えば、音楽の知識がほとんどない人でも、ヒットラーの演説テープをひたすらリピートして、そこに空爆の音とかバッハの音を重ねていく…みたいな作品を作る事は出来ると思います。そういう作品って、「なぜヒットラーの演説なのか」とか「なぜバッハなのか」とかいう所に意味を見ているんであって、音そのものを構成しているわけじゃないです。そういうものを否定する気はないですが、それは音楽じゃなくって、音を使ったインタラクティブな文学作品だと思うわけです。
 若い頃、この作品が「現代音楽」のコーナーに置かれていたのも、僕がマイナスに評価しちゃった理由かも。これが「ニューウェーブ」のコーナーに置かれていたら、また違ったのかも。正面から行ったら勝ち目がないので、「タイタニック号が…」とか、そういう音じゃない所に逃げたように見えたんです。やり口としては、佐村河内さんの「広島」とかと同じですよね。。そういう、音以外のところで評価を得ようと狙っている感じが、いかにもあざとくて、それを狙う作曲家(佐村河内さんは、そもそも作曲家じゃなかったですが)も、それを評価しちゃう低能な評論家も、馬鹿じゃないかと思ってました。僕はブライアーズにここから入ったもので、「だめだ、そもそも作曲家じゃないわ」と、離れてしまったのでした。しかし、これだけ毛嫌いしていたブライアーズを見直す機会がついにやってきまして…それはまた次回(*^ー゜)v


『Naná Vasconcelos ‎/ Contaminação』

NanaVasconcelos_contaminacao.jpg もう一枚、ブラジルの超絶打楽器奏者ナナ・バスコンセロスのCDを紹介。1990年前後、僕はバスコンセロスとジスモンチを知ってしまってちょっと狂ってしまったのですが(^^)、そんなわけで彼らのリーダー作であれば何でも買いまくっていました。しかし、ECMの世界流通している作品はともかく、ブラジルのレーベルから出たCDなんて、日本にはなかなか届きません(><)。ジスモンチのCARMO版も、のちに日本盤も出て入手しやすくなりましたが、当時はマジで手に入んなかったです。そんな中、タワレコにポツンと50%オフで置いてあったのがこれ。ブラジルの打楽器奏者のCDなんて、当時誰も興味なかったんでしょうね(^^;)。まあでもそのおかげで、新品を安価でゲット!発表は1999年みたいです。

 このCDは、ひとつ前に紹介したCDみたいな芸術音楽色は全然なくって、ブラジルの歌謡音楽みたいな感じです。ボッサというより、色んな音楽を吸収したポップスという感じ。編成も、歌にコーラスにギターにアコーディオンに打楽器群に、ごった煮です。しかも、スタジオでダビングして作っていく、まるでポップスのような作り方。硬派な音楽を期待していた僕は、肩透かしを食った気分でしたが、しかし何度か聴いているうちに面白くなってきました。とにかく、色んな音楽のごった煮。ミュゼットみたいなのもあれば、アメリカのカントリーみたいなのもあれば、ボッサっぽいのもあったり。それから、基本がインテンポの歌で、これにけっこうインテンポでキッチリ打楽器群がバカテクでバカバカ叩きまくるので、変なプログレみたいでもあります。
 今聴いて思うのは、バスコンセロスってバカテクだし、凄いプリミティブな音楽も、超芸術的な音楽もやってるけど、実は打楽器演奏が大好きなんであって、音楽自体にはそんなにこだわりがなかったのかも。名声を獲得した後に、自己名義でこういうポピュラーな歌音楽のCDを出すんだから、こういうのも好きだったんでしょうしね。いわゆるプレイヤー気質であって、アーティストではないのかも。だから、それこそアメリカで超ポップスのスタジオミュージシャンみたいなバイトも出来たし、それと並行してジスモンチなんかと芸術的な音楽も出来たのかも。プレイヤーを志向して、世界一というほどの技術を会得して、あらゆる音楽を演奏しまくって、そして死んでいった…ああ、それも素晴らしい人生なのかも知れません。素晴らしい打楽器奏者に献杯。

『Naná Vasconcelos / Saudade』

NanaVasconcelos-Saudade.jpg 惜しい人の他界のあいつぐ音楽界ですが、今年一番ショックだったのは、ブラジルのパーカッション奏者であるナナ・バスコンセロスの他界かも。エグベルト・ジスモンチとの来日公演が決まっていて、絶対に行こうと思っていたところでの訃報。うあああ、この人は生で見てみたかったよお(・_・、)。このCDは、1980年に発表されたバスコンセロスのリーダー作で、盟友ジスモンチと、ストリングスが入ってます。

 ナナ・バスコンセロスのパーカッションを区分けすればマルチ・パーカッションになると思いますが、南米だからといって典型的なラテン・パーカッションのセットというわけでもなくて、ビリンバウとタブラ、それにカバサあたりが中心。あと、声をタブラのように「デュルディデュダラ…」みたいに高速で使うのも、けっこうよく聴きます。帰ってきたウルトラマンの「ワンダバ」の3倍は速いです(^^)。あれって、インド音楽の打楽器のレッスンで使う、声の楽譜というやつなんだろうか。そして、ビリンバウとタブラの細かすぎる高速プレイが圧巻、神業です。打楽器が好きな人なら、もうこれだけでノックアウトなんじゃないかと。これが、フュージョン的な「技術だけ」プレイヤーじゃなくって、表現力がヤバすぎ。曲も芸術的でカッコよくって、音楽としていい!どちらも民族音楽色の強い楽器ですが、これほどのものが「民族音楽は拒否」みたいな理由だけで聴かれないのだとしたらあまりにもったいないので、ぜひ聴いて欲しいなあ。

 しかし、プレイ志向が強いパーカッションのプレイは、飽きが来るのも確か。そこをうまい事やっているのが、ギターのジスモンチと、ストリングスです。アルバム冒頭はビリンバウの演奏から入り、これがどんどんスーパープレイと化していって…というのは、プレイヤー志向にある音楽ではよくある事ですが、そこからオーケストラの演奏を挟み込んで西洋音楽とブラジルを平行に扱って、最後にビリンバウに戻す、みたいな事をやってます。おおお、カッコいい!この辺は、ジスモンチのアルバムのやり口と似ているので、もしかしたらジスモンチのアレンジなのかも知れません。

 でも、ブラジル音楽の芸術音楽への踏み込みは、僕の中では、ジスモンチとバスコンセロスで最後。あとの人は、よくってジスモンチやバスコンセロスのプレイの模倣どまりで、プレイとしては凄いのもあるんですが(というか、すごいものだらけ^^;)、音楽的には「まだドミソかよ」みたいなお手軽ポップスの延長にあるような音楽が多くってつまらない。ジスモンチやバスコンセロスのプレイだけじゃなくて、音楽を受け継いだり発展させたりする人が出なかったら、ブラジル音楽もそれまでだろうなあ。…いや、それが簡単に出るようなものでないから、バスコンセロスが偉大なんでしょうね。


ZABADAKの吉良知彦、ジャズ・ピアニストのDon Friedman、永眠

DonFriedman.jpg ZABADAKの吉良知彦と、ジャズ・ピアニストのDon Friedman が永眠したようです。うああマジか、どちらも素晴らしすぎるミュージシャンじゃないか。。

 ZABADAKのエキゾチックなロック(と勝手に僕は思ってる)は、洋楽丸写しの日本のロックにこんなかっこいいグループがあったのかと電撃が走った事があります。ZABADAKのCDは、何枚か持っていたはずなんですが、探しても見つからない…。けっこう最近もライブの情報を見た気がするので、急死だったのかも。まだ若いんじゃないのかなあ。

 ドン・フリードマンのピアノには、すごく感動したことがあります。キャリアの長い人だけに、ジャズといっても時代によってやっている事が少しずつ違うのですが(といっても、90年代以降の演奏は、ライブ映像を見た事があるぐらいで語れるほど知りません)、個人的に衝撃を受けたのは、有名バンドに参加していた頃の演奏ではなくって、アッティラ・ゾラーとつるんでいた頃の音楽。すごく尖った事をやっていて、カッコよかった。カッコいいんですが、どういう演奏システムに基づいて演奏しているのかまったく分からず、必死にアナリーゼしたことがありました。今聴けば分かるのかなあ…分かんないだろうなあ。

 ご冥福をお祈りするばかりです。


映画『逃亡者』

Toubousha.jpg ハリソン・フォード主演、アンドリューデイヴィス監督の、妻殺しという無実の罪を着せられた医者が逃げまくるサスペンス映画です。1993年制作。僕の父は「これ、昔、アメリカのテレビドラマで大人気だったんだぞ」と嬉しそうに話してました。アメリカの古いテレビドラマって、観てみるとけっこうおもしろいんですよね(^^)。というわけで、リメイク作品ですね。

 無実の罪を着せられた医師(ハリソン・フォード演じるキンブル医師)が、超優秀な警察(連邦捜査官?コーヒーのCMで有名なトミー・リー・ジョーンズが演じてます^^)から逃げながら真犯人を探します。この時点でスリル満点(^^)。映像的な見せ場もあって、ダムの超高い所から下を覗きこむショットでは、僕のキン○マはプルップル(≧へ≦)。怖ええええ。。。あとは、結末がどうなるかという期待を胸に、映画を最後まで見るだけ。ストーリーの最後のひねり、自分を追い詰めるはずの連邦捜査官のキャラクターの描き方なども良かったです。けっこう「交渉人」に似てたかな?観ていて嫌な気分になるシーンとかも全然なくって、ストーリーもシンプル、軽い気分で見るには最高の映画です。でも、カメラワークとか、絵の美しさとか、そういう映画術的な所はアマチュアっぽいかも。

 小学生なみの感想があっという間に終わってしまった。。えっと、もう少し書くと…監督が全然知らない人だったので調べてみたんですが、他にヒット作はないみたい。「ダイアルM」という映画を撮ってますが、それってヒッチコックのあれのリメイクですよね、きっと…。あと、このスピンオフ作品で「追跡者」という映画もあるみたいで、そちらではなんとトミー・リー・ジョーンズが主役のようです(^^)。


『J. Geils Band / "Live" Full House』

JGeilsBandFullhouse.jpg 初期のJ.ガイルズ・バンドは、デビュー作の次にもう一枚カッコいいブルースロックのアルバムを出してるんですが、その次に出たのがこのレコード。3枚目にしてはやくもライブ盤です。憶測すると、最初の2枚はメッチャいいレコードなんですが、通好みの渋さなので一般受けせず、こまったレコード会社のディレクターが「このバンドのライブのすっごい白熱感を押し出してみよう!」となって、3枚目がライブ盤になったんじゃないかろうか…相変わらず、勝手に色々妄想してます(^^)。そしてこのライブ盤を聴くと…なるほど、レコードデビュー前にどんなパフォーマンスをやるバンドだったのかが、何となく想像できて楽しいです(^^)。R&Bとか、バンドブルースとかが好きで、自分たちが好きなそのあたりの音楽をカバーしまくってたんじゃないかと(^^)。で、これがやっぱりカッコいいです。

 曲は、自分たちが発表した曲と、自分たちが好きな音楽のカバーが半々ぐらい。カバー曲は、スモーキー・ロビンソン、オーティス・ラッシュジョン・リー・フッカーという具合で、まっ黒です(^^)。で、このレコードの前に出した2枚との違いは、このバンドが持っているライブの白熱感が出ている事。でも、最初の2枚の渋カッコ良さには届かないかな。。しかしこのライブパフォーマンスがあってこそのJ.ガイルス・バンドかも。

 嫌いじゃないアルバムなんですが、ブルースロック的なバンドって、昔は日本の高校/大学にウジャウジャいたので(20~30年前だとストーンズのコピーバンドみたいなのは、どこの大学にも3~4組はあった気がします)、こういう音楽に飽きちゃった自分がいます。好きなタイプの音楽のハズなんですが、クラシックやジャズに比べると演奏がそれほど難しくないという事もあるのか、とにかくこういうバンドが多すぎた(^^;)。。でも、J.ガイルズ・バンドのライブ盤には、どれも何年かに1回は聴きたくなる熱いものがあります!

プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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最近気になってるCDとか本とか映画とか
 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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