
実は、調音楽時代のシェーンベルクはそんなに好きじゃなかったんですが、久々に「浄められた夜」を聴いたら意外と良かったので(年をとってロマン派を受け入れられるようになった?)、他のも聴いてみようかな(ゴソゴソ)…あれ、こんなの持ってたか?…あああ思い出した!現代音楽バリバリの指揮者ギーレンに、ベートーヴェンとかのクラシックのど真ん中ばかりをやるピアニストのブレンデルの組み合わせに驚いて、手を出したんでした(^^;)。
取りあげているのは、
室内交響曲1番(作品9、1906)、
2番(作品38)、
ピアノ協奏曲(作品42、1939)、です。室内協奏曲の2番は作品38となってますが、実は1番と同じ年に書かれて、第2楽章が完成しないまま30年以上たってから続きが書かれたので、作品番号が遅くなったんですね。というわけで、室内交響曲の2曲は、初期の調音楽の傾向が強いです。この2曲が書かれた1906年前後というのは音楽的にすごい時代で、
ストラヴィンスキーの「火の鳥」が1910年、アイブスの「夕闇のセントラルパーク」が1906年、ラヴェルの弦楽四重奏が1903年です。いや~、音楽がめっちゃくちゃエキサイティングな時代じゃないですか!新しい音楽の名作がボロボロ出てくる時代、ロックでいう1967から72あたりみたいな感じ?いや、それ以上でしょうね、たぶん。というわけで、調音楽とはいえ、4度和音とかを使ったりして、面白い所がチラホラありました。第2番なんて、
シュトラウスの「変容」とそっくりな和音とか出てきますし(^^)。でも…音がギッチギチに書きこまれ過ぎていて、楽器が鳴る前に次の音が来ちゃう、みたいな感じで、ちょっとオーバーアレンジ気味というか、聴いていて疲れちゃいました。
この2曲は、すごくよく出来てる感じだけど、もう聴かなくてもいいかな? そして問題の、
ピアノ協奏曲。いや~、
これがかなり素晴らしかった!!「3つのピアノ曲」ほどの研ぎ澄まされた感じはないですが、それに迫るほどの素晴らしさ。ピアノがブレンデルなので、もっと官能的な演奏になるかと思ったら、けっこう鋭い感じというか、メリハリはついてるんだけど感情的に行くんじゃなくって、対位法的な曲の構造を綺麗に描き出しにいった感じです。この頃のシェーンベルクは既に12音列技法に入っている頃で、調機能ではなくって、音列間の関係とかが、曲の構造を決める重要な点になってるんですよね。その関係をはっきり描く事に配慮した指揮と演奏という感じ。いや~、これは見事!曲自体も、「6つのピアノ小品」とかみたいに極度に短くなったりしていなくって、性格の違う4つの楽章が見事だな~、と思いました。こういう曲を書くのも凄いし、この構造を見事に描き出す演奏も凄いです。
僕にとってのシェーンベルクは、当たり外れの多い作曲家で、とくに初期のロマン期と作品26以降の12音列以降は気をつけないといけないハズだったのに、12音が実に素晴らしくって、意外と外れがない。
12音時代はクソ難しそうなので、自分で弾きたくはないですが。若い頃の俺は、一体何を聴いていたんだろうか。耳が腐ってたんですね、きっと(;_;)。。
スポンサーサイト