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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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2016年 今年聴いたアルバム 独断と偏見のベスト11!

 今年もお世話になりました!うちにあるCDやビデオの整理をしようとはじめたこのブログの性格上、自分が好きな音楽を聴くだけでなく、売ろうかどうかを決めようとしているCDもよく聴くもので、なかなか自分の大好きなCDのレビューに辿りつかなかったりしているのですが(スライとか、3年半もブログをやっていてなんで書いてないんだろう^^)、それでも振りかえってみると、いい音楽をいっぱい聴いたな~。。というわけで、今年聴いたCDのベスト11です!!

PacoDe_FantasiaDeFlamenca.jpg第11位 デケデケデケデケ(ドラムロールの音)…
PACO DE LUCIA / FANTASIA FLAMENCA!!
 フラメンコギターの大御所ながら、パコ・デ・ルシアさんはちょっと演奏が平たくってフェイバリットじゃなかったはずなんですが、久々にこのセカンドアルバムを聴いたらすごかった!!やっぱりパコさんはフュージョンっぽい事をやるより、ガチでフラメンコやった方が全然いいです。これでも本人は、それ以前の名プレイヤーの演奏を前にして「俺は全然ダメだ」と落ち込んだっていうのだから、プレイヤーの世界というのはどの楽器でも凄いもんだと思います。本物のミュージシャンって、こういうものだと思い知らされました。。

BruceSpringsteen_Nebraska.jpg第10位 デケデケデケデケ…
Bruce Springsteeen / Nebraska!!
 今年の僕の音楽ライフはブルース・スプリングスティーンさんとともに始まりましたが、アコースティックギターとハーモニカだけの弾き語りのこのアルバムが、いちばんジンときました。アメリカン・ルーツミュージックの匂いプンプン、トウモロコシ畑やらロッキー山脈やら貨物列車やら、アメリカの田舎の風景がブワッと目の前に広がって見えちゃうような素晴らしさ。今年、ボブ・ディランさんがノーベル文学賞を取りましたが、純粋に詩だけでいったらスプリングスティーンさんのほうが僕には心に刺さります。素晴らしい1枚!!

MiroslavVitous_ InfiniteSearch第9位
Miroslav Vitous / Infinite Search
 新主流派ジャズの匂いプンプンの超白熱の名演!いや~これも素晴らしかった!!やっぱりヴィトゥスさんは変なシンセストリングスの上でダラダラしたこぎれいな音楽やってないで、最初のウェザーリポートのレコードみたいに、燃えまくった演奏を聴かせてほしいなあ。このレコード、何年かおきに聴くたびに「うお~やっぱりすげえええ」って思ってしまいます。やっぱりジャズはフュージョン直前までが至高ですな(^^)。。

DinahWashington_decca.jpg第8位
Dinah Washington / the fabulous Miss D! -the Keynote, Decca & Marcury singles
 1943年から1953年という時代のジャズヴォーカルの録音。なんたってダイナ・ワシントンの歌ですから悪いはずがないんですが、驚いたのは曲の良さ。僕はジャズのピアノで10年ぐらい食べていたので、レパートリーとしてスタンダードはけっこう演奏できるんです。でも、ここには今ではあまり演奏さ有れない曲も結構入っていたんですが、これがいい曲が多くてびっくりしました。あと、アレンジもしっかりしているのが軽い驚き。これは当時のアメリカの商音楽ですが、今の商音楽がどれだけクリエイティブも無ければ仕事も雑であるが分かってしまった。。

Boulez_Debussy_Yasoukyoku_umi.jpg第7位
ブーレーズ指揮・クリーヴランド管弦楽団 / ドビュッシー:海・夜想曲・遊戯 他
ドビュッシーの大名曲「海」のあの冒頭のイントロのフワァーってした音を聴いただけでノックアウトです(^^)。作曲家の音の重ね方はもちろん、ホールの音の良さ、オーケストラの音の素晴らしさ、録音の良さ、そしてメッチャクチャにアンサンブルを整理して伝える指揮者ブレーズの素晴らしさと、非の打ちどころがないっす。もう、こんな音出されたら、人生の至福以外の何ものでもないじゃないですか。人生で何十回聴いたCDだかわかりませんが、聴くたびに至福ですね。やっぱりすごかった。。

sonics_here.jpg第6位
THE SONICS / HERE ARE THE SONICS!!!
ブレーズ指揮のドビュッシーよりこっちの方が上なのかと言われると何とも答えようがないんですが(^^;)、しかしガレージパンクの爆発力やぶっ壊れ感の凄さって、やっぱりそれはそれで音楽のすごいところを的確にとらえてるんじゃないかと思うんですよね~。人間、綺麗なだけじゃダメなんだぜ、PTA推奨やゲイジュツみたいなのはまっぴらごめんだよ、みたいな。。パンクやグランジが子供に見えちゃうこの凄さ、初期ガレージパンクのパワーはやっぱりすごかったです!!必殺の1枚。

CCC.jpg第5位
Creative Construction Company
 フリージャズにも色々ありますが、ガレージパンク的な凶暴な爆発力にインテリジェンスが加わったようなタイプのフリージャズが一番好きです。とはいえ、音楽を聴くのが、どうしても仕事中が一番多くなっている今の僕のライフスタイルでは、フリージャズや現代曲はあんまり聴いてられないんですよね(^^;)。そんな中、今年久々に聴いたこの一枚は素晴らしかった!!なんといっても凶暴でありながらインテリジェンス、強烈です(^^)。なんというのかな、子供のころはロックが一番ハードな音楽だと思ってたんですが、こういうのを聴いたら、ロックなんて大人しくっていい子ちゃんの音楽だったんだなと思うようになってしまった…

BuenaVista.jpg第4位
BUENA VISTA SOCIAL CLUB
 ブログの性格上、CDの事ばかり書いてますが、今年はライブもよく見に行ったし、人前で演奏する機会も何度かありました。今年に行ったライブのナンバー1は、ブエナビスタの解散ツアー!!いや~~~~すばらしかったあああああ!!!…あ、ごめんなさい、興奮してしまった。。えっと、このCDの何が良いと言えば、キューバの異国情緒がプンプン匂ってくるところ。楽園時代のキューバ音楽とほとんど変わらない事やってるんです。音で体験する世界旅行の気分。このCDを流すだけで、自分の部屋がカリブ海の木造りの安い宿の一室みたいなムードになってしまいます(^^)。

TondaCouple.jpg番外編:今年読んだ本のベスト
さて、ベスト3発表の前に、レコード以外のもので、今年みた本や映画からよかったものをひとつ。
翔んだカップル
いや、冗談じゃなくって、マジです(^^)漫画です。まちがっても、テレビ版や映画版じゃありません(そっちはそっちでいいんですが)。アホみたいに思われるかもしれませんが、なんというか…時代が70年代から80年代に変わっていったときの、あの時期の日本の雰囲気みたいなものが、これほどよく伝わってくるものもないなあ、みたいな。これほど自分が高校生の頃の心境と合致するものもありません。学校という閉鎖した空間で過ごす高校の3年間なんて、あとから考えたらぬるま湯もいいところだったと思うんですが、それでも当人にしてみれば「僕には大問題だ ややこしくて」ってなもんなんですよね。その頃の甘酸っぱい感じとか、ちょっと切ない感じとか、それをモロに感じる本でした。

KingCrimson_Island.jpg第3位
King Crimson / Islands
 ついこの前書いたばっかりですが、やっぱり素晴らしかった!!最初の解散までのキングクリムゾンは、大傑作のオンパレードですね。そのなかではあまり目立たないアルバムだと思うんですが、しかしその素晴らしさは尋常じゃなかったです。古楽も現代曲もジャズもロックも、全部ひっくるめたうえで一番いい音楽を作り上げる…こんな事やられたら、いい物になるに決まってるし、しかもそれを実際にやれるところが凄いです。最初の解散までのキングクリムゾンは、(公式ライブ盤とポセイドン以外)全部聴かないと駄目です。それぐらい素晴らしい~。。

gieseking_debussy_images.jpg第2位
ギーゼキング(pf) / ドビュッシー:映像、版画 ほか
 僕がピアノを少しだけかじったことがあって、しかも音大時代にフランス音楽を中心に勉強したせいなのかもしれませんが、このレコードは本当に感激!!なんで1台のピアノからこんなに色んな音が出せるんだ?驚愕です。そして、それがまた色彩感覚の凄いドビュッシーの音楽に実にマッチしてます。ただし、録音がふるくって決して音が良いレコードとは言えないので、そのあたりを脳の中で補完できる人じゃないと厳しいかも。逆にいえば、ピアノを演奏する人だったら、死ぬまでに避けては通れない1枚じゃないかと思います。

Diego Schissi Quinteto - TIMBA 第1位
Diego Schissi Quinteto / TIMBA
 唯一、今年発表されたCD(^^)。やっぱりリアルタイムなものは最前線をいっている感じでスゴイ!!これはアルゼンチンのタンゴ系のピアニスト&バンドマスターの作ったCDですが、タンゴをベースにしつつも、ジャズの和声感覚とか、クラシック的な劇的な音楽展開とか、とにかくスリリングで素晴らしい!!音楽って、ひとつのジャンルで職人技を披露していればよいような時代じゃないんでしょうね。色んな音楽を自宅で聴けるようになった今の時代だと、それらを前提にしてどういう音楽を作り出すか、というのが、最前線の人たちなのかも。そういえば、去年の上位もそういう音楽が多かったです。キングクリムゾンもそういう側面があるし。

 こうしてみると、ワールド3枚、ジャズ3枚、ロック3枚、クラシック2枚ですか、散りましたね(^^)。やっぱり色んな音楽を聴くのが一番楽しいなあ、毎年ハワイ旅行をするんじゃなくって、毎年違う世界を見に行きたい、みたいな感じでしょうか。少し残念だったのは、今年はワールドといっても古い民族音楽はあんまりきかなかったんだなあ、大好きなジャンルなのに。つまり、地域は散ったものの、みんなドミナント系の音楽ばっかりだったわけですね、かたよってしまった(^^;ゞイヤァ。。あと、去年は日本人アーティストを3人も選んだのに、今年はゼロ。聴きたい日本人アーティストの新譜CDは何枚かあったんですが、買えなかった(>_<)。。林正樹さんという作曲家ピアニストのCDとか、とっても気になってるので、来年はぜひ聴きたいです。新譜に関して言うと、ここ数年は日本人の方が凄い音楽を作ってるように感じます。海外はどこか媚びたような作品が多い中で(アメリカなんて終わってる…)、これは本当に凄いと思います。今年もお世話になりました。それではみなさん、良いお年を(*^-゚)/~♪!!

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『King Crimson / Islands』

KingCrimson_Island.jpg ライブアルバムを除くと、キングクリムゾン4作目。最初の解散までのキングクリムゾンのアルバムは、あからさまなライブアルバムを除くと全部で7枚ありますが、つまりこれがど真ん中。そして、音楽も、シンフォニックな初期3枚と、インプロヴィゼーション&現代曲な後期3枚のちょうど真ん中ぐらいで、クリムゾンのなかでもちょっと毛色の違うアルバムといえるんじゃないかと思います。

 A面はメドレーのように音楽が繋がっていきますが、序盤はベースのアルコにアリス・コルトレーンのようなジャズピアノが絡む感じで始まります。もうこの時点でロックバンドなんてとうてい呼べない気が(^^;)。これまでのシンフォニックな匂いに、ブリティッシュ・ジャズの名プレイヤーの演奏が絡んでいきます。問題はここからで、どんどんインプロヴィゼーションの色彩が強まって、2曲目「SAILOR'S TALE」まで進むと、美しいオーケストレーションの前で妖しさ満載&熱気ムンムンの素晴らしい演奏!!即興を抜けた後の余韻も妖しくも美しい。。以降ではキングクリムゾンの音楽の中心に来る事になる、ジャズのようなコーラス形式ではなく、クラシックのような劇的展開のうえで繰り広げられる熱いインプロヴィゼーションというスタイルが、はじめて日の目に見たのがこのA面だと思います。
 そして、B面。もうこれはクラシックの室内楽といってもいいんじゃないでしょうか。狂気をはらんだようなA面とは実に対照的で、徹底的に美しいです。このアルバム構成がまとまりのなさと感じる人もいるかもしれないけど、僕はこれは絶妙だとおもってしまいます。壮絶なインプロヴィゼーションや古楽調の曲やジャズ、ロック的なハードな曲などを通って、美しい終曲「アイランズ」に辿りついた時の、なんともいえない浄化されるような感覚がすばらしい。なんか、マーラーの最終楽章に感じるような美しさなんですよね。

 プレスリーの頃から現在に至るまで、ロックやポップスは音楽番組上の都合からか3~5分の長調か短調の歌謡形式という死ぬほどワンパターンの曲が作られ続けています。曲どころか、演奏なんてそれこそ「こんなのなら人間が演奏する必要もないんじゃないの?」というような平らな演奏もけっこうあります。子供のころの僕は、音楽ってそういうものだと思ってたんですが、そうでない「これぞ音楽」というものを最初に教えてくれたのは、キングクリムゾンだったかも。このアルバムはキングクリムゾンの中では目立たない作品かも知れませんが、実はとんでもなく素晴らしい作品、絶対に聴くべきです。というか、クラシック系の人だろうがジャズ系の人だろうが、歌謡曲やロックしか聴かない人だろうが、最初の解散までのキングクリムゾンは、録音劣悪のライブ盤と「ポセイドン」以外は全部聴くべき。音楽好きの人間がこれを体験しないでどうする、と思ってしまうほどの素晴らしさです。



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『King Crimson / Lizard』

KingCrimsonLizard.jpg グレッグ・レイクさん追悼でクリムゾンの初期メンバーの音源を紹介するつもりが、聴いていたら初期クリムゾンにハマってしまいました(^^;)。。『リザード』は1970年発表のキングクリムゾンのサードアルバムで、このアルバムからベース&ヴォーカルがグレッグ・レイクからゴードン・ハスケルに変更。キングクリムゾンは、『クリムゾンキングの宮殿』、『ポセイドンの目覚め』、『リザード』の最初の3枚が似た傾向で、交響曲的なんですよね。同時期でも、ライブだとインプロヴィゼーションもバンバン飛んでくるので、もしかすると1枚目の大成功で、アルバム制作では1枚目と似たようなものが求められたのかも。結果、2枚目はアルバムの構成も曲調も1枚目とそっくりの劣化版みたいでつまらなくって(^^;)、しかしこの3枚目は魅力が満載。美しいと怪しいが混在しています(^^)。

 このアルバムの魅力はなんといってもB面の組曲「LIZARD」。これはシンフォニックな傾向にある初期キングクリムゾンの最高傑作でしょう!!僕的には、キングクリムゾンどころか、「シンフォニック・ロック」なんて呼ばれる音楽の中でも最高の楽曲じゃないかと思ってます!中間転調部に入った時の美しさに背筋ゾクゾク、コールアングレの演奏パートなんて鳥肌ものです。ボレロっぽくなるところは笑っちゃいますが(^^)、でもロックでこんな演奏技術があったバンドも、また管弦楽法の知識があったバンドも空前のことだったんでしょうね。ちなみに、はじめて「LIZARD」を聴いた時の感想は、「ああ、『ガンダムのめぐりあい宇宙』の主題歌はクリムゾンのパクリだったのか」というものでした(^^;)。曲調もアレンジもそっくりです。

 他には、A面1曲目「サーカス」も魅力ギッチリ。最初の解散までのキングクリムゾンの魅力は、スゴイとか美しいとかだけじゃなくって、なによりヤバい感じがあったところに尽きるんじゃないかと。「サーカス」では、おそらくこの譜面通りに演奏していたらけっこう美しい曲になりそうなもんですが、ギターのアルペジオが超絶にうまいだけでなく、ヤバさ満載。。曲の再起部では金管楽器でサーカスの呼び込みっぽいメロディがカウンターに入ってくるんですが、これも楽しいだけでなくどこかヤバい。曲も最後には不協和音で終わります。いやあ、うまいとか美しいだけだったら、僕はここまでキングクリムゾンにのめり込む事はなかったんじゃないかと。この危険な感じが、ゾクゾク来るんですよね。
 というわけで、『クリムゾンキングの宮殿』にシビれて、似たような傾向のクリムゾンを聴きたいという方がいらっしゃいましたら、ポセイドンではなくリザードを聴きましょう。曲の完成度はファースト以上、とっつきは悪いかも知れませんが、聴きこむと「ああ、これはすばらしいわ」と唸らされる深みのあるアルバムだと思います!!


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『King Crimson / the court of the schizoid man』

King Crimson_the court of the schizoid man グレッグ・レイクさんやマイケル・ジャイルズといったジャズもちゃんと勉強しただろう好プレイヤーの在籍した時期のキング・クリムゾンで、ぼくのイチオシはこれ。ブートレグで出た、オーディエンス録音のライブです(^^)。1969年9月8日、プランプトン・フェスティバルの録音。海賊盤のライブのくせにファーストよりすごかった。。最初期のメンバーだとBBC出演時の録音とかも残ってますが、あんなの目じゃないほどの大名演です。録音はひどいですが ( ̄∀ ̄)。。

 キング・クリムゾンのデビューアルバムを最初に聴いたのは中学1年の時だったんですが、感動すると同時に、「これってオーバーダビングを繰り返して作ってるんでしょ?ライブで演奏できるの?」という疑問を持っていました。しかしそんな疑念がこの1枚を聴いて吹っ飛んでしまいました。この後キングクリムゾンはメンバーチェンジを繰り返すことになってしまい、あのファーストアルバムのメンバーでのライブはとうとう日の目を見ずじまい(ずいぶん後になって、いくつか出るようになりましたが^^;)。ブートでもファースト時のメンバーのライブは超貴重で、ぜんぜんありませんでした。そんな時についにこの1枚を見つけ、飛びつきました。まず、メンバー全員のライブでの演奏能力がすっごい!!ファーストだとオーケストレーションに気をつかっている感じだったんですが、このライブだと演奏の迫力が凄い!!ドラムなんて、よくもこんなフレージングを思いつくなというほどの凄さです。ギターも、ファーストだと全然大人しかったんですが、「21世紀の精神異常者」や「GET THE BEARING」(この曲、正規のアルバムにもライブ盤にも未収録ですが、ロックにジャズのインプロヴィゼーションがガンガン絡む感じで、しかも超アバンギャルドな所もあったりして、死ぬほどカッコいいです!!!)では、ギターソロが炸裂しまくり、アドリブバリバリの白熱の大名演です!!「どうせスタジオ録音だよりのバンドなんだろう」なんてとんでもない、「音楽はやっぱりライブだぜ」なんていってるそのへんのロックバンドでは太刀打ちできないようなものすごいライブバンドだったのでした(^^)。。あ、そうそう、クリムゾン・ファンの方には、4曲目も目玉だと思います。正規アルバムに入っていない曲なんですが(公式ブートみたいなCDには「Travel Bleary Capricorn」なんて曲名で入っていることあり)、これもメッチャクチャにいい曲とアレンジからジャズ調のインプロヴィゼーションになだれ込んでいく素晴らしい音楽で、最後にセカンドのポセイドンへと繋がっていきます。これもしびれる大名演でした。。

 僕が若い頃と違って、いまは初期キング・クリムゾンのライブ録音が色々とリリースされています。もしかすると、このプランプトン・フェスティバルの音源というのも、海賊盤でなくってちゃんと出てるのかも(有名な2枚組「EPITAPH」には入ってません)。どの盤でもいいので、69年のプランプトン・フェスティバルのライブの音源を見かけたら、絶対に聴くべき!ものすごいです!!…ああ、とうとうブート盤の紹介までするブログになってしまった。。

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『King Crimson / In the court of the Crimson King』

KingCrimson_CrimsonKing.jpg グレッグ・レイクさんが他界してしまいました。僕にとってのグレッグ・レイクといえば、もう間違いなくこの1枚。ロック史上でも屈指の名盤のひとつ、キング・クリムゾンのデビューアルバムです。1969年発表。こんな凄いうえにすでに大有名なレコードについて、僕なんかが書けることなんて何もないんですが。。

 このレコードの何にビビったかというと、このレコードが出る前までのロックやポップスとは段違いの演奏テクニック、そしてこれまた段違いのアレンジ能力でした。だって、このちょっと前というと、6年前でやっとビートルズとかストーンズがデビュー、2~3年前でようやくクリームやジミヘンが出てきたぐらいなもので、ロックは色んな意味で若い音楽、その中でちょっとしたアドリブを取れるとか、ちょっと演奏がうまいとか、どんぐりの背比べぐらいのところでスターになっちゃうようなジャンルだったと思うんですよ。ところが、いきなり演奏のレベルも音楽のレベルも段違いのものが出てきた!ついでにいうと、詩のレベルもいきなり文学詩調。「混沌は私の墓碑銘となるだろう」なんて詩、これまでのロックではあり得なかったと思います。
 クラシックの管弦楽法を学んだようなアレンジ(たぶん、イアン・マクドナルドとロバート・フリップなんでしょうね)に、ジャズ系のインプロヴィゼーションの技法を学んできたとしか思えないドラマーがドカッと構え、さらにこれまでのロックではありえなかったような素晴らしい録音…鳥肌が立ちました。僕にとってのキング・クリムゾンの最強のレコードは、「太陽と戦慄」「暗黒の世界」「レッド」の3枚と、その時期のライブなんですが、このファーストが無ければ、あの衝撃の音楽に出会う事もなかったんじゃないかと思います。
 あまりに有名な「21世紀の精神異常者」は、このあと最初の解散まで、ライブでスゴイ大名演がいくつも生まれますが、このデビュー盤の「21世紀」でビビらされるのはマイケル・ジャイルスのドラムです。これはロックのセッションなんてレベルじゃない、ほとんどジャズミュージシャンクラスの演奏です。そして、それ以外の曲は静か目の曲が多いんですが、そこでは木管楽器やメロトロン(ここではストリングスオーケストラの音を録音して使っている)のアレンジが素晴らしすぎ。でもここまでだったら、キング・クリムゾンは「うまい」とか「うつくしい」とかいうだけで終わったかも。すごいのは、ロックとかジャズとかクラシックとかのいい所を全部取ったところじゃなくって、その最前線をやろうとしたところなんじゃないかと思います。、その先鋭的な感覚がはっきりと形になってくるのは、もう少し後になってからだと思うんですが。。

 僕はいつもこのアルバムの見事な構成力に打ちのめされてしまいます。後半の「ムーンチャイルド」から「クリムゾンキングの宮殿」の流れなんて…。このレコードを聴いた事がないなんて人は音楽ファンの中にいないでしょうが、それも当然の大名盤だと思います。



(2023年10月追記)
 ロックの中で自分が一番好きなバンドを挙げろと言われたら、僕はキング・クリムゾンを挙げるかも。初体験は中学生の時で、それ以降も色んなロックバンドを聴いてきましたが、70年代のクリムゾンを超えるロック・バンドなんてなかなか登場できないんでしょうね。少なくとも、ロックが今みたいにリスナーを気にしているうちは無理な気が…。

 以前、このバンドの初期ラインナップでヴォーカル/ベースを弾いたグレッグ・レイクが亡くなった時に、追悼の意味でこのアルバムについてちょっと書きましたが、今回ユーチューブ動画を作るにあたって、久々に聴き直しました。今回は、改めてその感想を。

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 このアルバムを初めて聴いたときに、僕は中学2年生。それまで聴いてきたロックとのあまりの違い、そしてその壮大さに、間違いなく魅せられたんですよね。何処にそこまで魅せられたのか…このアルバムを聴きながら当時の記憶を追って思い出すに、少なくとも5つの点は衝撃でした。

 第1は、アルバム全体でひとつという構成力の高さ。前半の「21世紀の精神異常者」から劇的に消え去っていく「墓碑銘」に至る流れの素晴らしさも、後半の幻想的な「ムーン・チャイルド」から墓碑銘の変奏のように木霊する「宮殿」までの流れは、このアルバムの5曲がひとつのシンフォニーと思えるほどでした。たまに聴く「ムーンチャイルド後半の”Illusion” が退屈」というのですら、当時の僕には宮殿に繋ぐために必要不可欠な溜めに感じたんですよね。

 第2は、当時の僕が「クラシックとロックの融合だ」と思ったそのオーケストレーション。中学生の頃は、ジャズとは思いませんでした…そもそも、その頃はジャズはほぼまったく知りませんでしたし(^^;)。これは、ビートルズのようなアイドル・バンドが、曲を録音した後に弦アレンジを高に任せてオーバーダビングしたというレベルのものではなく、「墓碑銘」や「宮殿」のそれ等はむしろストリングスを先に作ったのではないかと思ったほどでした。

 第3は、それをクラシックのパクリに思わせない独特の世界だと感じさせられたメロトロンの音…これはサイケ色が強かったころのピンク・フロイドもそうですが、初期のプログレが持っていた「新しい音楽」を感じさせた大きな要素だったように思います。ほら、メロトロンなんてとんでもなくメンテが面倒くさいのに、デジタル・シンセが出たあともずっと需要がありましたよね?あれって、もうその8割がこのアルバムの影響だったんじゃないかと(^^;)。

 第4は、それまでの恋だ酒だと謳っているロックやポップスと一線を画した詞。「混沌こそ私の墓碑銘」なんて詞、それまでのロックやポップスどころか、どんな音楽でも聴いた事がありませんでした。ボードレールやマラルメという詞を僕が読むようになるのはもっと何年も後だったし、やっぱり唸らされるものがありました。だいだい、作詞だけ担当している人(のちに、それだけじゃなかったことを知りました)がメンバーだというのも凄いと思っていました。

 最後の5番目は、録音の素晴らしさ。僕が聴いたのは、ロバート・フリップが立ち会って行われたリマスター盤CDで、それってモバイル・フィデリティ・サウンド・ラボが絡んだやつだと思うんですが、とにかく当時は「なんて音がいいんだ」と感じて驚きました。今では色々と思うところもあるんですけどね。。
 
というわけで、はじめて聴いた頃の感慨は、壮大なシンフォニックなロックという所に感動の多くが集まっていた気がします。

 さて、時は流れて大学時代。はじめて聴いてから6年ほど経ってから耳を奪われたのは、7割方はマイケル・ジャイルズの凄すぎるドラムでした。なんでこんなにスネアやキックの音をミュートしてしまうのかとは思いましたが、あの時代のロックのスタジオ録音って、かなりの確率でレコーディング・エンジニアにキックとスネアの音を止められたらしいですね。バスドラには毛布を突っ込まれて、スネアにはガムテープを貼られて、みたいな(^^;)。昔は「なんてすごい良い音の録音なんだ」と思っていたものが、自分が作り手側に近づくにしたがってそれなりに不満点も感じるようになってきたわけですが、それにしてもドラムのプレイ自体は強烈、凄すぎでした。ほら、「21st century…」と謳った直後に、ドラムが1小節だけフィルのソロを貰うじゃないですか。あそこのフィルの組み立て、異常だと思いません?普通なら、3拍めにシンバル叩くか、16分でタムを回すか、スネアをロールするか、このへんだと思うんですが、32分を3つ1組にして、休符で区切りを入れる形にしてますよね。あんなの思いつくのだって難しいよ…。

 そして、同じく「精神異常者」でのグレッグ・レイクのベースライン。つまり、シンフォニックだと思っていた音楽の裏に、ものすごいジャズからの影響と高い演奏技術を感じたんですよね。クリムゾンの代表曲みたいに言われている「21世紀の精神異常者」って、実はそんなにいい曲じゃないと思いません?ユニゾン部分はいかにもハッタリにしか聴こえないし、そもそもユニゾンって演奏自慢のバンドがやりがちな実にダサい手だと思うんですよね。チック・コリアの「スペイン」とか、なんかいかにも子供だましじゃないですか。ただ、それが代表曲と思われるほどに評価されるのって、曲じゃなくて演奏の凄さだと思うんですよね。この曲って、実はジョン・ウェットンらが参加した時期の演奏が更にすさまじいんですが、このレコードのテイクの凄さは、8割方リズム・セクションの素晴らしさにあったのだと僕は思っています。

 というわけで、上の事を総合して言えば、オーケストレーションを含めた作編曲、作詞、驚異的な演奏レベル、そしてアルバムを構成力…と、ほとんどすべての面でそれまでのロックのアルバムを凌駕したわけですがから、そりゃ歴史的な名作にならないはずがないですよね。むしろ、これを理解できないのだとしたら、それは作り手側でなく聴く側に問題があるとすら思えます。
 これだけの名作はアルバムでオーバーダブを駆使したから出来たのだ…と僕はずっと思っていたんですが、実はこの初期ラインナップのキング・クリムゾンって、ライブがすさまじいんでっすよ!そして残念なことに、この驚異初初期ラインナップのクリムゾンは、このアルバム壱枚を残して空中分解。崩れかけたクリムゾンを何とか立て直そうとするロバート・フリップの戦いは、多くのプレーヤーから恨みを買いつつ、進んでいくのでした。。


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『Holly Cole / SANTA BABY Live in Toronto』

HollyCole_SantaBaby.jpg そんなわけで、軟弱と言われようともホリー・コールが好きな僕ですが(でも、昔の音大仲間の間では恥ずかしくって言えなかった。だって僕は音大では現代音楽好きの人で、夜は硬派なジャズ専門のバンドのピアニストでしたから…)、かといってじゃあ彼女が特別にうまいジャズ・ヴォーカリストかというと、おなじぐらいの人は1000人ぐらいいて、しかも明らかにもっとうまい人もいるわけで、こういう確立されたジャンルで売れる売れないというのは、ヒットに恵まれたかどうかとか、運とか、色んなものに左右されちゃうんだろうな…な~んて思って聴いていました。彼女の特徴と言えば、オケをドラムレスで通した事と、キャラのはっきりした透明感のある高品質録音を続けた点ぐらいなんでしょうが、そんなの音楽的に言えばほとんど微差ですしね。。でも、最近ブログ友達の方が、カナダの旅行記を写真付きで書いて下さっていて、カナダ出身のホリー・コールさんの透き通ったような美的感覚がちょっと理解できた気がしました(^^)。
 な~んて思っているうちに、クリスマスが近づいてきました!!これは、大昔、今の奥さんと結婚する前に、クリスマス前に「うちでケーキ食べるBGMになるCDでも買ってこうか」なんていって、TSUTAYAで平積みされていたものを手に取ったもの。「Calling you」のヒットからは何年も経っていて、ホリー・コール・トリオの事を忘れかけていた僕でしたが、「あ、あのドラムレスのトリオにストリングスつきなのか!」というわけで、軟弱と言われようとも買った次第(^^)。選曲も、「ホワイト・クリスマス」とかそういうのはやってなくって、相当にセンスが良い。いや~、売り方はメジャーレコード会社の下世話すぎるほどのゴリ押しだったグループですが、実際の音楽の内容は素晴らしいんです。そして、帰って聴いたら…予想どおり素晴らしかったです(o^▽^)o!超おススメは、6曲目「THE WILD WOOD CAROL」。普通ならオーボエで攻めそうなラインでバスクラを使っているんですが、これが効果絶大。息をのんで聴いてしまった…。
 どうもこのCD、「calling you」の大ヒットにのっかって作られた、日本限定発売みたいです。すばらしい内容なのに、もったいない。。そうそう、大変に素晴らしいCDなんですが、音楽がなかなか深く、これはデート用BGMじゃなくって、本格的なコンサート・プログラム。けっこう暗いアプローチの曲も多いので、単純にハッピーなBGMではないです。でも、まちがいなく素晴らしいCD!!これまた、アマゾンではタダ同然で投げ売りされている模様。いやいや、数百円なんて、そんな低い内容じゃないですよ。仮にこれが8000円だったとしても、僕は決しておかしくないと思います。だって、ストリングスでホールのステージにあがった音楽なんて、ふつう数百円で聴ける方がおかしいじゃないですか…。もうすぐクリスマスですが、恋人と過ごすためのいいクリスマスBGMを探してるけど、ガキくさいのじゃなくって、また狙ったようなステレオタイプじゃなくって、センスいい大人なものを探している人におすすめです(^^)。


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『Holly Cole Trio / Blame it on my youth』

HollyCole_BlameItOnMyYouth.jpg 僕が慣れ親しんでいた「calling you」は、バグダッドカフェのサントラではなく、このホリー・コールというカナダの女性ジャズ・ヴォーカリストの歌っていたバージョンでした(^^)。そして…このアルバム、タイトルのわりに、「BLAME IT ON MY YOUTH」は演奏してなかったりして(^^)。

 この綺麗な感じの音(録音?)が大好きなんです(^^)。昔のブルーノートみたいに、グチャッとした熱いジャズな音も好きなんですが、ちょっと冷たい感じもあるこの音が、ここにある音楽に凄く合ってる気がして、すっごく好き。4曲目の「smile」なんて、絶品です。音色だけでなく、音像を小さくした感じが綺麗。そして、ドラムレスでピアノとコントラバスだけで歌を支えるこの編成が好き。僕、歌の伴奏にドラムっていらないと思うんですよね。もちろんあった方が良いと思う曲もあるけど、メトロノームの役割ていどしか果たさない程度の8ビートや16ビートを叩くだけなら、シンコペーションの妙を消すという悪影響が大きすぎるので、歌伴奏にドラムは要らないと思う。
 そして、ピアノとベースが、あくまで歌を活かすためにどうするか、という所を見つめているのがすごく好きなんです。ジャズって、ソロパートになると、なんというのかなあ…それが、熱い感情や美しい何かを伝えていると思える時はいいんだけど、「僕、けっこううまいでしょ?」という練習発表会に聴こえてきちゃうと付き合いきれなくなる事が多くてですね…(^^;)。でも歌伴奏となると、ピアニストやギタリストが突如として音楽的になる事がけっこうあると感じます。歌のメロディをどう発展させるかとか、演奏披露大会じゃなくって、とつぜん音楽を見つめはじめる、みたいな。前にも書きましたが、オスカー・ピーターソンとかジョー・パスとかね(^^)。このCDも、指が速く動くとか、苛烈なソロを2コーラスぶっ通すとか、そんな事はまったくしませんが、音の選び方とか、アプローチが、すごく音楽的。自分のソロがどうとかでなく、音楽を見つめて音を選んでる感じなんですよ。大人だなあ。。

 たぶん、このCDは、ジャズというよりポップスに近いと思うんですが、でも決してイージーな事はやってないと思います。凄く音楽的で、良い意味で歌手や聴き手に寄り添っていて、やってる事が大人。…って、やっぱりピアニストの目線で音楽を聴いちゃうんだなあ、僕は(反省)。このCD、売れすぎて市場に大量に余ってるみたいで、アマゾンだと1円とか、馬鹿みたいに安く売ってるみたい。でも、内容が低くて安いというわけではないし、素晴らしいヴォーカルアルバムだと思うので、聴いた事のない方は、ぜひ!!大おススメです(^^)。



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グレッグ・レイク逝去

GregLake.jpg この前の火曜日(12/6?)、キング・クリムゾンやエマーソン・レイク&パーマーで活躍したベーシスト/ヴォーカリストのグレッグ・レイクさんが逝去なさったようです。ああ…。
 僕にとってのグレッグ・レイクさんといえば、クリムゾンの「21世紀の精神異常者」や「クリムゾン・キングの宮殿」のヴォーカル&ベース。これに若い頃やられました。ヴォーカルにディストーションをかけた「21世紀の精神異常者」は、グレッグ・レイクさんの美声を狂気じみたものにするための処置だったんでしょうね、やる事がロックです。
 僕にとってのキングクリムゾンは、最初の解散までがすべて。ところが最初の解散まででもメンバーの入れ替わりが激しくて、デビューアルバムから最初の解散のラスト作まででメンバーが変わってないのはリーダーのロバート・フリップだけ。そこに出入りしたミュージシャンの数はすごい事になっていて、そこにはキース・ティペットをはじめ素晴らしいプレイヤーの名前がいっぱいありますが、グレッグ・レイクさんもそのひとり。「精神異常者」の間奏部分では、ベースが素晴らしい下降ラインを作る所がありますが、あれはたぶんグレッグ・レイクさんの即興が最初で、それが素晴らしいものだからメンバー交代後も歴代ベーシストみんながそれを踏襲する事になったのでしょう。ご冥福をお祈りします。。



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『BAGDAD CAFE -SOUNDTRACK-』

BagdadCafe_Soundtracks.jpg 「バグダッド・カフェ」の映画は見てなかったくせに、サントラは持ってたのでした(^^)。音楽もヒットしてましたからね~。でも僕のお目当ては有名な"calling you"…じゃなくって、劇中で使われるハーモニカ独奏。映画を観てないのに、なんでそんなの知っていたかというと…「シェルタリング・スカイ」というポール・ボウルズの小説を映画化した作品がありまして、若い頃、それをレンタルビデオで借りてきて観た事があったんです。VHSビデオって、昔は本編が始まる前に他の映画の宣伝が延々と入ってたじゃないですか。そこにこのハーモニカ演奏が入っていて、シビれたんです!!「うわあ、これはいいなあ」と。いま聴いても、やっぱり良かった!!でも、僕はハーモニカ系の楽器にあんまり詳しくなくって、これがどういう種類のハーモニカなのかはまったく分からず。ダイアトニックとクロマチックの種類があることぐらいは知ってはいるんですが、ハーモニカ系の楽器って音色がすごくいっぱいありませんか?たとえば、ジョン・レノンの吹くハーモニカの音色はあんまり好きじゃないんですけど、サニーボーイ・ウイリアムソンⅡの吹くハーモニカの音は大好き、みたいな。これ、本当に同じブルースハープなの?絶対違うよね?みたいな。これはなんという種類のハーモニカなんだろう…。

 また、ハーモニカ以外では、やっぱり"calling you"はムードがあって良いですね~。詞の中に"a desert road from Vegas to nowhere"(ラスヴェガスからどこかへの砂漠の道)、"a coffee machine need some fixin'"(コーヒーメーカーは修理が必要)なんて一節があって、情景が浮かぶすごく良い詞だな…なんて思ってました。映画を観たら、まさかストーリーそのままの詞だったとは(^^)。でも意外だったのは、当時ボクがよく耳にしていた"calling you "は、このオリジナルじゃなかったという事。このサントラを買ってきて、「あれ?こぶしを回して歌ってるし、ピアノ伴奏じゃない!なんか違うぞ」と思ったのです。違うもなにも、これがオリジナルなのに(^^;)。で、当時の僕がよく耳にしていた"calling you"は…ここまで書いたら分かっちゃうと思いますが、その話はまた次回に!


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映画『バグダッド・カフェ 完全版』

BagdadCafe_movie.jpg 映画は大好きなんですがライトユーザー、名画といわれるものでも「外しそう」と思ったものは観てなかったり(^^)。この「バグダッド・カフェ」(1987年制作)も超有名なのに観てませんでした(&p゚ω゚*)。ところが、ポスター作りの仕事で「バグダッド・カフェみたいなムードで」というオーダーが来まして、約30年遅れでトライ!(スイッチポチー)…「バグダッド・カフェ」といっても、イラクが舞台というわけじゃないんですね、知らなかった(^^;)。ラスベガスに近い砂漠の街道筋にある「バグダッド・カフェ」という名のカフェ&モーテル&ガソリンスタンドが舞台。ここに、ドイツから来た太った中年婦人が泊まりに来て、色んな人生が交錯し始める…みたいなストーリー。

 雰囲気は、作家もの映画というか、映画というより舞台の芝居を見ている気分。昔でいえばセゾンあたりが推しそうなライトなアート系かな?というわけで、映画にハマり始めの若い人が観たらオシャレに感じるかも。単純すぎず難しすぎずで、丁度いいぐらいかも知れませんね。
 僕的には…う~~ん、無理してアート風にしてみた…みたいな感じかな?「アートフィルム」という言葉があるじゃないですか。あれって、カレーもウンコもゴッチャにしちゃってる区分けに感じてます。タルコフスキーの「サクリファイス」あたりなら文句なしでアートフィルムといっていいと思うんですが、じゃあこういうのは?水平を狂わせたカット、ブーメランを空中に投げるシーンの繰り返し、物語の唐突な切り方…これらが、低予算映画に箔をつけるためだけに、そっち系の研究をしたことがない人が、それ風にカッコつけてみただけに見えちゃいました。例えば、画面の上にシャドウを入れる映像処理。これで空を淀んだように見せて、それを登場人物の感情表現にもしているんだと思うんですが…安っぽい。この映像処理って、80年代のアメリカのテレビドラマとかでたまに見かけますが、ちょっといただけないなあ。この処理でうまくいっていると思えた例を、あんまり見た事がないです。他にも、全編で貫かれた、赤を強くしたハイコントラストもちょっとイージー。音楽に例えれば、ゲートをかけたスネアの音とか、チャチなコンパクトエフェクターのディレイでループさせた音の上でのソロを取る、みたいなもんで、安易すぎてクソダセえな、みたいな(^^;)。アートっぽい事をゴチャゴチャやる割に、構図も色バランスも洗練されているとはお世辞にも言えないから、アートのふりをしているだけにしか見えなくなっちゃったんでしょうね。。80年代のポップな音楽やアート独特の、掘り下げの浅さが出てしまったもののひとつという気がします。ただ、バグダッドカフェの音楽はけっこう好きで…その話はまた次回(^^)/!



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『死刑台のエレベーター オリジナル・サウンドトラック』

SikeidainoElevator_BGM.jpg 前回の松田優作さん主演のハードボイルド映画のサントラの紹介で、「マイルス・デイビスみたいに映画を見ながら演奏したのかも」なんて書きましたが、その元ネタがこれ。「死刑台のエレベーター」というフランス映画のサントラ盤です!音楽はもちろん、モダンジャズの大御所マイルス・デイビスのカルテットです!

 私はこの映画を見た事があるんですが、かなり記憶がぼんやりしちゃってます(^^;)。カーチェイスみたいなシーンがあって、そこにあてられた音楽が、アップテンポなリズムの上で、マイルス・デイビスのトランペットがアドリブを取るものでした。その演奏が「フィルムを見ながらバンドが即興で演奏したもの」って、ジャズか何かの本に書かれていたんですよ、昔。たしかにこのサントラは、すごくシンプルなコード進行だけ決めてあって、あとはアドリブみたいな曲がけっこうあります。ところが今日、ネットを眺めていたら、「それは評論家がでっち上げたウソ」な~んて書き込みもあったりで、実情を知らない私は大パニックです。フィルム見ながら演奏したというのがガセネタだとしたら、今日書きたかったことが全部無くなっちゃうじゃないか。。…まあいいや、どっちが真実でもたいした問題じゃないし。

 えっと、映画はフレンチノワール調のモノクロ映画で、これにジャズを使うことで雰囲気を出してます。ジャズは王道のモダンジャズで、映画のダークなムードにピッタリ。映画のテーマ曲も、いかにもフィルムノワールのテーマ曲にぴったりという哀愁漂うものだし。ただ、やっぱりBGMなので、曲そのものでひとつの完成したドラマを作るという事はなく、それぞれの曲はあくまで何らかのムードを作り出すに留まってます。だから、このサントラを聴きこむというより、仕事のBGMで流しておく、ぐらいが一番気持ちいなあ、やっぱりマイルス・デイビスのミュートしたトランペットっていいなあ…な~んていう子供のような感想ばかりが浮かんでくる私でした(^^)。でも、仕事中にBGMで流しておくと、確かに落ち着いて気持ちいい(^^)。。



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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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