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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『小坂明子 / あなた -小坂明子の世界』

KosakaAkiko_anata.jpg 宮川泰さん生涯の最高傑作は宇宙戦艦ヤマトでしょうが、弦アレンジの編曲家として売れっ子になったのは、このポップスの管弦アレンジからだったと聞いた事があります。ピアノ弾き語りのシンガーソングライター小坂明子さんの大大大ヒット曲!ピアノ弾き語りにフォーリズムと管弦のアレンジがつけてあって、このアレンジが200万枚の大ヒットにつながる要因のひとつだったんでしょうね。
 でも、宮川さんのアレンジは、今聴くと「ダンダンダンダン…」みたいな盛り上げ方とか、さすがにダサすぎる(^^;)。あくまで70年代初頭の日本の音楽シーンや、テレビ番組のビッグバンド想定のアレンジという状況も考慮に入れないといけないんでしょうね(^^)。逆に言うと、音大を中退してこういう作曲やアレンジで食っていた人が、よくここから宇宙戦艦ヤマトのあのシンフォニーを作り上げる所まで行ったな、というところに感動。その間には、相当な努力があったんじゃないかと。素晴らしい才能があってプロになったというより、音楽が好きでプロになって、それ以降も努力をして成長した人なのでしょう。つべこべ言う事は誰だって出来るけど、実際に努力して成し遂げる事が出来る人はなかなかいないし、それを成し遂げたんだから、本当に素晴らしい!

 そして主役の小坂さんと、「あなた」という曲。まだすごく小さな子供のころにテレビで耳にした時、よく分からないながらも、なんていい曲なんだと思いました。母がこの曲が好きで、この曲がテレビやラジオから流れるたびにウルウルしてました。また、テレビタレントのケント・デリカットさんが日本に来て間もない時に、ホームシックになるわ文化の違いに苦しむわで大変な思いをしていたときに、テレビから流れてきたこの曲を聴いて涙が止まらなくなり、日本にはなんて美しい歌詞の歌があるんだと感激、日本で生きる決心をしたなんて話もきいたことあり。なんといっても詞が素晴らしく、その詞を支えるメロディーや歌唱が詞の内容と実にマッチしていて、これで心を動かされない人なんて滅多にいないんじゃないかなあ。これ、べらぼうに歌のうまいオペラ歌手が歌おうが、大人気のアイドルが歌おうが、胸に来ないんじゃないかと思います。そんなに歌もうまくない作詞者本人が、自分の言葉で語っているように思えるから、200万人もの人が心を打たれたんじゃないかと。

 小坂さんといえば「あなた」ですが、実はアルバムに入っているほかの曲も、素朴でいいです。特に詞がいい!「六月の子守唄」とかもそうですが、こういう詞って、今の産業ポップスからは出てくることができないんじゃないかなあ。今の日本のポップスは美辞麗句ばかりで本音を言葉にする事も出来ず、その技術もすたれちゃって駄目だ…。。こういう歌があったというだけでなく、それをみんなが聴いていた70年代という時代には、まだ日本の流行歌の中にも歌が生きていたんでしょうね。



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『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』

Yamato Symphony 風の谷のナウシカ以降、宮崎駿監督のアニメ映画の音楽を担当した事で管弦のアニメサントラの第一人者といえば久石譲さんになった感じですが、それ以前の管弦アニメサントラの巨匠といえば、宮川泰さんじゃないでしょうか。アニメサントラに限らず、宮川さんは小坂明子さんの「あなた」とか、70年代の絵がらみの仕事やポップスの弦アレンジなどでは売れっ子の管弦アレンジャーでした。その宮川さんの音楽面での生涯の傑作といえば、テレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」のサントラじゃないかと。テレビの「宇宙戦艦ヤマト」をみると、劇中BGMに限らず、バージョン違いのいくつかの主題歌、木管と男声コーラスの美しさが絶品のエンディングテーマ「真っ赤なスカーフ」など、とにかく音楽のクオリティが高くて驚きます。2~3のテーマとそのバリエーションではなく、多くのテーマを作曲し、それぞれの管弦アレンジも入魂。これは、ご当人も作曲家生命をかけて取り組んだ大仕事だったんじゃないかと。

 このレコードは、宇宙戦艦ヤマトの劇中音楽を組曲形式にアレンジし直した作品。たまにエレキギターやドラムのロック隊が入るけど、おおむねシンフォニー。そして…いや~~~素晴らしい!!宇宙戦艦ヤマトというアニメは、物語の主題もドラマも大変に素晴らしいと感じますが、地球滅亡寸前のギリギリの任務とか、生きるか死ぬかのギリギリの決断とか、演出面での盛り上げが、この物語の評価を左右していたと思います。そしてその演出面で一番効果を発揮していたのは、音楽じゃないかと。ソプラノの美しい曲とか、「回想」という悲劇性あふれる曲とか、たまらないっす。

 当時まだ子供向けと思われていたアニメーションの世界で、よくぞここまで音楽制作に気合いを入れられたものです、これは本当に心ふるえる壮大なシンフォニー。そして、どうしても映像とセットとなる劇音楽を、組曲形式に再アレンジして、音楽だけでも鑑賞に堪える独立したシンフォニーにした手腕は見事。以降、劇音楽をこういう形でまとめる事が増えました。嘘かと思われるかもしれませんが、マジで聴いていて素晴らしい音楽を体験する喜びに溢れてしまって、打ち震えてしまいました。宇宙戦艦ヤマトに感動した世代の人は勿論、それ以外の人もアニメサントラと舐めてはいけない。僕的には、ジョン・ウイリアムスのスターウォーズなどのアメリカ産管弦映画音楽の上を行く大傑作、絶対聴くべき!!


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『風の谷のナウシカ / サウンドトラック盤 はるかな地へ・・・』

KazenoTaninoNausica_HarukanaCHihe.jpg 宮崎駿監督の代表作・アニメ映画「風の谷のナウシカ」のサウンドトラック盤です。僕はLPを持ってるんですが、昔は中古盤屋に大量に出回ってまして、500円ぐらいでゲットした記憶が(^^;)。音楽は久石譲さん。久石さんって、僕は宮崎駿さんの映画の音楽監督としてしか知らないんですが、羽田健太郎さんみたいなクラシックあがりの硬派管弦作編曲家というより、DTMやポップスもかじったライトクラシック寄りの作編曲家という印象があります。
 このサントラ、なんといっても映画のメインテーマが素晴らしい!!このタイトル曲、大好きです!!和声でいえば、パッと聴きではハ短調で、特にムズカシいオルタレーションもないシンプルなものなんですが、それでもすごく良いと思ってしまうのはなぜなんでしょうか。素朴なメロディ、正統的な管弦のアンサンブル、BパートのA♭△→E♭→D♭→Gsus→Cm (tonic) という普通のプログレッション…こういう普通さの積み重ね。王道がどれだけ強力であるかを痛感させられます(^^)。あと面白いと思ったのは、この映画って、どこか西アジア~東ヨーロッパのムードが漂ってますが、 それを意識してか中近東っぽい楽器&旋法が出てくるところ。映画で地域や時代を表現する時って、音楽って実に効果を発揮する時がありますよね。
 しかし残念な事に、このサントラが聴いていて楽しいかというと、つまらない時間がけっこう長かったりして(^^;)。管弦ものは素晴らしいんですが、打ち込みでほとんどシンセに演奏させたような曲も半分ぐらい入ってまして(映画でいうと、空飛ぶムカデみたいのに襲われるシーンで掛かってた曲とか)、これが管弦と並べて聴くと超チープ(^^;)。生演奏の中にシンセ音をさりげなく混ぜるぐらいならいいけど、ここまで1から10まで打ち込みだと、昔のファミコンの音楽みたい。ライナーを読むと、映画封切まで時間的余裕が全然ない中で作曲や録音がされたそうなので、苦肉の策で打ち込みのままで録音したのかも知れません。でもサントラって、メインテーマ以外は予算や時間との戦いで、バリエーションや即興で間に合わせる事も多いみたいだし、こんなものでしょうか。あ、あと、LPのライナーに、ハミングする曲で歌ってる子は、宮崎さんの娘さんだと書いてありました(^^)。

 ミュージシャンでギリギリ食べさせていただいてた頃、久石さんがオーナーだというレコーディングスタジオに行ったことがあるんです。東京の代々木の、山手線の線路の真横にあるビルで、ビルの中にはアニメの会社(あれ?専門学校だったかな?)とか、他のレコーディングスタジオとか、いろいろい入ってました。子供のころには東京に憧れた事なんてなかったんですが、夢を膨らませてミュージシャンとして東京にたまに行くようになった20代の頃は、こういう経験を何度もしているうちに、東京はすごい、ぜんぜん違うと思うようになっちゃった。このビルの一階の入り口横には、ものすごく高そうなジャガーが止まってて、あれは久石さんの車だったんじゃないかなあ。まだ若かった僕は、「自分のレコーディングスタジオを持っていて、ジャガーを乗り回してるなんていいな~、いつか自分もこうなれるのかな~」な~んてあこがれたり。東京のほかのレコーディングスタジオに行った時なんて、ロビーに井上鑑さんや金子飛鳥さんがいたりして(いくつもスタジオが入っていて、色んなレコーディングをやっている)、「わ、すごい」なんて思ったり。関西と違って、ミュージシャンも有名人が多く、また有名じゃない人でもみんなうまいんですよ…。

 あ、あと一つ書き忘れてました、僕が持っているLPには、音痴過ぎて宮崎監督からNGにされてしまったという問題の安田成美さんが歌った曲は入ってませんでした。あの曲、僕はけっこう好きなんですが(^^)、CDだと入ってるんですかね?


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コミック『風の谷のナウシカ』

KazenotaninoNausica_comic1.jpg 「風の谷のナウシカ」の原作コミック。僕が小学生の頃、「アニメージュ」というアニメ専門雑誌がありまして(今もあるのかなあ…)、それに連載されてました。当時のアニメというと松本零士さんのSF作品やガンダムなどのロボットアニメ、そしてうる星やつらあたりの美少女ものがメジャーで、その中にあって「風の谷のナウシカ」は、コミックも映画も異質でした。特にコミックは、独特の絵柄に、大人が読んでも難しいテーマやストーリー展開。僕はアニメージュという雑誌をたまに立ち読みしていたんですが、ナウシカの連載は内容がまったく理解できずに読まなくなってしまいました(^^;)。全部読んだのは、もう30歳を超えたぐらいの時。古本屋で全巻セットを見かけ、「あ、そういえば子供のころにアニメージュに連載されていたな、懐かしいな」な~んて軽い気持ちで手に取ったのです。そして…いや~~~~深かった!!

 映画に描かれていたのは物語の序盤も序盤、ほんのさわりだけで、設定も少し違います。映画は、背景にうっすらと色んなメッセージがあるものの、あくまでナウシカという主人公の描き出しがメインで、あくまでストーリーを追う娯楽映画という所を崩さずに作られていたと感じるんですが、このコミックはメッセージが思いっきり前。テーマは、命、人間、自然…ザックリ言ってしまえばこういう所で、それが自然賛美とかそういうのではなく、現代人に対する警鐘として描かれている所がグサッときます。僕の印象では、ナウシカというのは宮崎駿さんの作家としての生涯のテーマを凝縮したもので、「生命」とか「人間」という所に向いていると思います。人間というのも、心とか感情とか、主人公がどう感じたかとか、そういう小さい所じゃなくて、生命としての人間というところ。このテーマって、正直言って芥川賞や直木賞の受賞作品なんかの作品が取りあげているテーマなんかより、よっぽど重要なものと感じます。けっきょく、小説であるかマンガであるか音楽であるかなんていうものはあくまでも手段の違いであって、素晴らしいものというものは扱っているテーマが素晴らしいんだな、と思わされました。映画に大感動した僕だったので、映画とはずいぶん趣の違うコミックは最初は違和感だらけ、内容もちょっと複雑で、最初に読んだ時は「???」と理解できないところも結構あったんですが(ストーリーすら追い切れなかった(^^;ゞ)、何度も読んでいるうちに、「これはとんでもなくすごい本だな」と思うようになりました。極端に言うと聖書みたいな本で、こういう人類に対する重要なメッセージを正面から扱った本は絶対に読まないといけないと思ってしまいます。コミックだから、先入観でそう思われる事は少ないんでしょうが…。これは映画とは別の意味でとんでもなく重要な本、コミックだなんて軽く見たらいけない、現代人が一度は読まないといけない重要な本。映画しか見た事のない人は、ぜひ!


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映画『風の谷のナウシカ』

KazenotaninoNausica_movie.jpg 数日前に、テレビでアニメ映画「風の谷のナウシカ」の何十回目かの再放送をしてました。子供のころに見て大感動、激しく心揺すぶられた映画で、うちにもどこかにVHSがあるはず。それにしてもさすがにもう何回目の放送だよ、よっぽど視聴率が取れるんだろうな…な~んて思いながら何となく見ていたら…やっぱり感動してしまいました(ノω・、) ウゥ。。いつの間にか、映画自体にあるメッセージや内容を見ようともせずに、そういう変な所の勘繰りばかりするようになっていた自分が恥ずかしい。。アニメと思って馬鹿にしちゃいけない、これは映画の大傑作のひとつだと思います。

 「風の谷のナウシカ」は、日本のアニメーション映画を代表する監督/アニメーターの宮崎駿さんの監督作品。僕的には、「ルパン三世カリオストロの城」と並んで、宮崎さんの代表作だと思っています。核戦争(?)か何かで地球がボロボロになって、人を蝕む毒の森に囲まれて生きるようになった人類のハナシ。主人公は、その中で生きる森の中の小さな村のお姫様ナウシカ。数えきれないぐらいに見たのに何度見ても感動してしまうし、またその感動ポイントは幾つもあるのですが、あえてそのうちのひとつを挙げるとすれば、主人公ナウシカの行動に心揺すぶられます。自分たちで自然や地球を滅ぼしかけておきながら、まだ愚かな行動を繰り返す人々の中にあって、全身全霊で世界が良い方向に向かうよう行動します。正しく判断し、救う為なら自らの命も損得も後まわし。口でいうのは簡単ですが、自分の得の為には悪事なんてお構いなしの大人たちで溢れかえり、そのために超貧困層が生まれようが原子力事故が起きて取り返しのつかない事になろうがそれを修正しようとも正対しようともしない今の社会を見ると、いま人間に問われているのは、なにより先に正しい判断力や倫理観なんじゃないかと思えてしまいます。それをズバっと言われている感じで、全身全霊で正義を果たそうとする主人公に涙が出てしまいます。子供の教育がどうとかじゃなくって、まずは大人たちが見なきゃいけない映画なんじゃなかろうか。

 あとは、部分的にこの映画の好きな所。音楽は、メインテーマになっている協奏曲が秀逸。音楽に関しては、そのうちサントラでも取り上げて、まとめて書こうかな(^^)。アニメーションとして優れていると思った所は、風に乗って飛ぶグライダーが、すごく高い所から飛ぶシーン。これは、映画の内容と関係なく、動く絵画として、いつも「おおっ!!」と思ってしまいます(^^)。
 ただ、絵として宮崎監督の映画を見て毎回思うのは、色が下手だなあとは思います。物語のテーマとかアニメーションとかキャラクターの表情とか、色々な所が世界一のアニメ監督だと思うのですが、西洋画や色の勉強はしてないんだろうなと思ってしまいます。この映画でいうと、服や虫なんかの色遣いを見ると…ね(^^;)。そこが完璧だったら、さらにスゴいアニメ―ション映画になってたと思います。
 な~んて言ってますが、しかしこんなに素晴らしい映画を作ってくれて、本当にありがとうと言いたい気持ち。素晴らしい映画と改めて思いました!



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『Dave Brubeck Quartet / Time Out』

Dave Brubeck Time Out ポール・デスモンドのソフトなサックスの音色が大好きです。僕はサックスにまったく詳しくないんですが、演奏はもちろんなんでしょうが、根本的に楽器が違う気がします。これって、マウスピースの違いなんでしょうか…。いつも思うんですが、サックスでもピアノでも、なんでみんな同じメーカーの同じ傾向の音の楽器ばかり選びたがるんでしょうね。ジャズのサックスだって、こういう音もあったのに、今はみんな右へ倣えで東海岸のハードでピーキーな音ばかり。音楽なんだから、もっと個性を大事にして良いと思うんだけどな~。音楽ですら個性より画一的なものが好まれる時代なんでしょうか。

 僕が最初にポール・デスモンドのアルト・サックスに出会ったのは、このレコード。"TAKE FIVE"収録(聴けばぜったい知っている曲だと思います^^)で超有名な、デイブ・ブルーベック最大のヒットアルバム!このアルバムも、ウエストコースト・ジャズの心地よい室内楽的な傾向満載の一枚なんですが、よく聴くと変拍子を色んな所に挟み込んだり(1曲目"Blue Rondo a La Turk" の出だしからして9/8拍子、"Take FIve"は5拍子)、テーマの交換をして展開させたり、調の入れ替えを巧みに挟みこんだり、ピアニストアレンジャーのデイブ・ブルーベックさんのアレンジや作曲がいい!こういうことをやっていながら、ムズカシくしてしまわないところが、とっても大人だし^^。いや~、ウエストコーストジャズの心地よさと知的さは、一度ハマると抜け出せません。こういうのを聴くと、ヘッドだけでろくにアレンジもせずにアドリブばかりを繰り返しているジャズマンがアホに見えてくる。。ウェストコーストジャズの超名作です!!
 それにしても、アメリカって昔はこんなに知的な音楽を生み出してたのに、どうして今はあんなになってしまったんだろうか。映画だって、素晴らしいものを作っていたのに。今のアメリカには全然あこがれないけど、50年代から70年代初頭あたりまでのアメリカには、都市部にも田舎町にも住んでみたい、ついそう思ってしまうほどの素晴らしい音楽!!

*追記:コメント欄から、このアルバムの1曲目に収録されている「トルコ風ブルーロンド」という大名曲についての書き込みをいただきましたので、そこでの僕の返答を以下に引用しておきます。「トルコ風ブルーロンドは、評論家もジャズファンも誰も指摘しないですが、ドビュッシーの第1狂詩曲からの影響を強く感じます。展開部の仕掛けのアイデアも似てますし、モチーフなんてそっくりです。テンポがデイブ・ブルーベックの方が速いし、色々といじってあるので「盗作」ではなく、あくまでリスペクトという感じ。エマーソンになると更に早くなるので、クラシックとジャズとロックのタイム感覚やテンポと表現の相関性が分かる気がして、面白いです。」



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『Paul Desmond Quartet / East of the Sun』

PaulDesmondQuartet_EastOf TheSun ジャズ・ギターのジム・ホールさんは、スタンダード・ジャズのハーモニゼーション&アドリブのトッププレイヤーだと思いますが、あれは本人にしたら簡単なのかも。もちろんあそこまで行くのは大変なんでしょうが、あのプレイスタイルを身につけてしまえば、あとはどの曲も同じやり方で演奏出来てしまうでしょうからね。そんな事もあって、僕的には、ジム・ホールさんがいちばん音楽的な貢献をした仕事は、スタンダードのアドリブ演奏じゃなくって、室内楽ジャズのアンサンブルに加わった時なんじゃないかと思います。ジム・ホールさんのデビューの切っ掛けにもなった、ジミー・ジュフリーのグループに参加した時の音楽の素晴らしさはもちろん、以前にピアノのビル・エバンスとの素晴らしい室内楽作品集なども紹介しましたが、それらに匹敵するほどに素晴らしいレコードがこれ。サックスのポール・デスモンドのグループに加わった時の作品で、1959年のレコードです。

 メンバーは、Paul Desmond (altosax)、Jim Hall (guitar)、Percy Heath (wb)、Connie Kay (dr)。ポール・デスモンドのアルトサックスは、リー・コニッツやスタン・ゲッツのサックスよりもさらにマイルドな音色だし、このアルバムでのコニー・ケイのドラミングはブラシプレイに徹していてまったくやかましくないし、なにより音が美しすぎる上品なジャズ室内楽!出だしのジム・ホールさんのギターの音なんて、風鈴の音みたいで美しすぎてゾワッと来てしまいます(^^)。そして、一曲一曲のアレンジが美し~!!ジャズって、今はドカドカ行くかポップスの亜流みたいなものかの2択みたいになってしまったイメージだけど、50年代のアメリカ西海岸のジャズって、クラシックのサロン・ミュージックみたいな上質のものが結構あったんですよね。すごく心地よく、そして知的(^^)。コール・ポーターの大名曲「I Get a Kick Out of You」の演奏の佇まいなんて、ため息が出てしまいます。50年代のウエストコーストジャズって、日本だとジャズファンしか聴かない特殊ジャンルみたいになってますが、いや~こんなに心地よい音楽なかなかないです(^^)。知的だけど難解すぎない。名盤ガイドでは全然取りあげられませんが、僕的には超名盤あつかいの一枚です。ああ~こういう素晴らしい音楽を聴いていると至福の時間が流れ続けて、労働意欲がどんどんなくなっていく(゚∀゚*)エヘヘ。



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『Jim Hall & Red Mitchell』

JimHall__RedMitchell.jpg ウェス・モンゴメリーのアルバムを聴いたら、ジャズギターが聴きたくなってしまいました。何を隠そう、うちには大量のジャズギターのアルバムがあるのです(^^)。管楽器よりもピアノやギターのアルバムをいっぱい持ってるのは、単旋律のアドリブだけじゃちょっと物足りなくって、アレンジやハーモニーも演奏して欲しいからなんでしょうね。ジャズギターは、50年代から生き残っている人たちの、あのくすんだ音色のものがたまらないです(^^)。

 これは1978年、ニューヨークのスウィートベイジルでのライブ録音。レーベルは「ARTIST HOUSE」というところですが、このレーベル、HORIZON レーベルの人が独立して作ったレーベルだそうです。見開きジャケットのLPで、裏っかえすとレッド・ミッチェルの写真、両方オモテみたいなジャケット。そして…ジム・ホールさんのジャズギターは、やっぱりベースとのデュオが一番いいなあ(^^)。前に、ロン・カーターさんとのデュオのアルバムを紹介した事がありますが、それに優るとも劣らない内容。難しいコードプログレッションの曲はなく、演奏もそんなに冒険的じゃなくって、単純なプログレッションをアドリブでリハーモニゼーションしながら、心地よく演奏している感じ。いいなあ、気持ちいなあ~。今回聴いて思ったのは、意外と単旋律でガ~っと弾いちゃうんですね、もっと和音と絡めまくっているイメージだったけど、メロディーの切れ目で和音を挟んでくる程度というのが大まかなスタイルでした。「Fly Me To The Moon」のヘッドなんか、和音は一回しか鳴らず、あとは単旋律。これで聴けちゃうのは、ベースのレッド・ミッチェルさんが良い仕事してるからなんでしょうね。ギターのどソロだと間が持たなくて、こうはいかないかも。

 さてこのアルバム、僕は大昔に中古で激安でゲット。それでも、ジャケットがダサい気がして買うのを躊躇したんですよ。でも管楽器やピアノが入ってないし(ジャズギターのアルバムって、ギターがリーダーでもピアノが入ってたり、管楽器が入ってたりするものがけっこうあるじゃないですか。ああいうのって、ギターの妙技が楽しめなくなっちゃうから嫌いなんです…)、すごく安かったので、ジャケットには目をつぶって買いました。内容は最高!そしてこの前、中古盤屋で見たら…なんか馬鹿みたいに高くなってました(・ω・ノ)ノヒョエ~。でも、これはいいレコードだから手放せないな(^^)。CDにもなってないみたいです。

1. Big Blues
2. Beautiful
3. Waltz New
1. Fly Me To The Moon
2. Blue Dove
3. Osaka Express

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『Lalo Schifrin / Insensatez』

Lalo Schifrin Insensatez ドン・セベスキーがアレンジを担当したウェス・モンゴメリーのアルバムを聴いていたら、ポピュラーのアレンジ物を聴きたくなってしまいました(^^)。なんていったって、子供のころはジャズピアニストや現代音楽の作曲をしたかったわけじゃなくって、ポップスのアレンジャーになりたかった僕なので、アレンジ物が嫌いなはずがないんですよね(^^)。これは、ラロ・シフリンによるボサノヴァ作品集。

 ラロ・シフリンといえば、僕にとっては劇伴作曲家アレンジャー。「燃えよドラゴン」や「ダーティー・ハリー」の音楽の感想を書いた事がありますが、どっちも大好き!しかし、アーティストとしてのラロ・シフリンは?実は僕、劇音楽ではないラロ・シフリンのアルバムって、これしか聴いた事がありません(^^;)。そしてこのアルバム、ほとんどボサノヴァ。しかも、3リズム&ストリングスのCTIレーベルのムーディー系ボッサみたいでした。このレコードのレーベルはジャズの名門ヴァーブですが、VERVEはゲッツ&ジルベルトなんかのジャズ&ボッサのレコードも結構出してましたっけ。ラロ・シフリンはピアノを演奏していますが、ピアノの演奏はリズムがけっこう重く、味があってカッコいいけど、やっぱりピアニストの腕としてはどうかな…みたいな( ̄ー ̄)。やっぱり才能を感じるのはアレンジで、特に弦アレンジはダーティーハリーや燃えよドラゴンみたいでした(^^)。そりゃそうか、同じ人が書いてるんだから。とくに1曲目"WAVE"の、モチーフのリピートと弦アレンジの絡みは見事でした!!

 やっぱり、アーティストやピアニストというよりも職人アレンジャーであって、またそのアレンジも腕は確かなプロだけど、進歩的な音楽を作るタイプではないのかも。このあたりは、セベスキーと似ているかも知れません。むしろ、ギル・エヴァンスみたいなアーティスト型のアレンジャーが珍しいんであって、ポピュラー音楽のアレンジャーというのはこういうものなんでしょうね。でも、プロのアレンジ術が聴けるし、アレンジはガッツあふれる所と気持ちい所が両方あって、久々に聴いてもなかなか良いアルバムでした(^^)。


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『Wes Montgomery / A Day In The Life』

WesMontgomery_AdayInThe Life あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします( ^-^)/゛さて、新年の最初に何を聴くかな、まだ正月のゆるい気分ではガツンとクラシックを聴く気になれないし、かといってあんまりハードなのもな…お、そうだ、ウィズ・ストリングスのアレンジ物のジャズでも聴こう!1967年発表、A&Mレーベルから出た1枚です(^^)。

 ウェス・モンゴメリーはジャズギタリスト、もしかするとジャズギターでは一番有名な人かも。しかしこのレコードは1967年というモダンジャズ全盛期を過ぎた頃に作られたので、アドリブバリバリのモダンジャズではないです。ウィズ・ストリングス作品。けっこうムードミュージック的なジャズやボッサの作品をいっぱい作っていたCTIというレーベルが作った企画ものっぽい。
 ストリングスまたは木管の気持ち良いアレンジ物が8割、モンゴメリー・カルテットを中心とした アドリブ中心のナンバーが2割、みたいなアルバムです。というわけで、主役はウェス以上に、アレンジのドン・セベスキーでしょう。モンダンジャズ的なアドリブパート重視の曲(8曲目"WINDY"と9曲目"Trust In Me"あたり)でも、ブレーキングコーラスは2回も回せばいい方で、あっという間に終わります(^^;)。もう、アルバムの方針がアドリブの妙技を楽しむとか、演奏の凄さを楽しむとかいうのじゃなくって、雰囲気重視なんでしょうね。しかしムードミュージックと侮れません、その短いアドリブのフレージングが絶妙、またアレンジ曲も、初めて聴いた時には「うわあ、気持ちいい…」と感激したのでした。弦アレンジとエレピの組み合わせが絶妙なんですよ(^^)。久々に聴いた今も、その感触は同じでした。ビートルズの"A Day in the Life"なんて、原曲はあんななのに、このレコードのアレンジを聴いて、「あれ?こんないい曲だったっけ?」と驚いてしまった(^^)。
 というわけで、聴くのに集中力の必要なアーティストものではないイージーリスニング系の1枚とは思いますが、しかし雑な手抜き仕事なんてまったくなく、子ども向けでなくて大人の鑑賞に堪えるアレンジや演奏のプ職人技が随所に光る、素晴らしいレコード。いや~、こんなの聴いてたら、ずっと正月休み気分になっちゃいます。そろそろ仕事モードにしないと(^^;)。。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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