
宮崎駿監督の代表作・アニメ映画「風の谷のナウシカ」のサウンドトラック盤です。僕はLPを持ってるんですが、昔は中古盤屋に大量に出回ってまして、500円ぐらいでゲットした記憶が(^^;)。音楽は久石譲さん。久石さんって、僕は宮崎駿さんの映画の音楽監督としてしか知らないんですが、
羽田健太郎さんみたいなクラシックあがりの硬派管弦作編曲家というより、DTMやポップスもかじったライトクラシック寄りの作編曲家という印象があります。
このサントラ、
なんといっても映画のメインテーマが素晴らしい!!このタイトル曲、大好きです!!和声でいえば、パッと聴きではハ短調で、特にムズカシいオルタレーションもないシンプルなものなんですが、それでもすごく良いと思ってしまうのはなぜなんでしょうか。素朴なメロディ、正統的な管弦のアンサンブル、BパートのA♭△→E♭→D♭→Gsus→Cm (tonic) という普通のプログレッション…こういう普通さの積み重ね。
王道がどれだけ強力であるかを痛感させられます(^^)。あと面白いと思ったのは、この映画って、どこか西アジア~東ヨーロッパのムードが漂ってますが、 それを意識してか中近東っぽい楽器&旋法が出てくるところ。映画で地域や時代を表現する時って、音楽って実に効果を発揮する時がありますよね。
しかし残念な事に、このサントラが聴いていて楽しいかというと、つまらない時間がけっこう長かったりして(^^;)。管弦ものは素晴らしいんですが、打ち込みでほとんどシンセに演奏させたような曲も半分ぐらい入ってまして(映画でいうと、空飛ぶムカデみたいのに襲われるシーンで掛かってた曲とか)、これが管弦と並べて聴くと超チープ(^^;)。生演奏の中にシンセ音をさりげなく混ぜるぐらいならいいけど、ここまで1から10まで打ち込みだと、昔のファミコンの音楽みたい。ライナーを読むと、映画封切まで時間的余裕が全然ない中で作曲や録音がされたそうなので、苦肉の策で打ち込みのままで録音したのかも知れません。でもサントラって、メインテーマ以外は予算や時間との戦いで、バリエーションや即興で間に合わせる事も多いみたいだし、こんなものでしょうか。あ、あと、LPのライナーに、ハミングする曲で歌ってる子は、宮崎さんの娘さんだと書いてありました(^^)。
ミュージシャンでギリギリ食べさせていただいてた頃、久石さんがオーナーだというレコーディングスタジオに行ったことがあるんです。東京の代々木の、山手線の線路の真横にあるビルで、ビルの中にはアニメの会社(あれ?専門学校だったかな?)とか、他のレコーディングスタジオとか、いろいろい入ってました。子供のころには東京に憧れた事なんてなかったんですが、夢を膨らませてミュージシャンとして東京にたまに行くようになった20代の頃は、こういう経験を何度もしているうちに、東京はすごい、ぜんぜん違うと思うようになっちゃった。このビルの一階の入り口横には、ものすごく高そうなジャガーが止まってて、あれは久石さんの車だったんじゃないかなあ。まだ若かった僕は、「自分のレコーディングスタジオを持っていて、ジャガーを乗り回してるなんていいな~、いつか自分もこうなれるのかな~」な~んてあこがれたり。東京のほかのレコーディングスタジオに行った時なんて、ロビーに井上鑑さんや金子飛鳥さんがいたりして(いくつもスタジオが入っていて、色んなレコーディングをやっている)、「わ、すごい」なんて思ったり。関西と違って、ミュージシャンも有名人が多く、また有名じゃない人でもみんなうまいんですよ…。
あ、あと一つ書き忘れてました、僕が持っているLPには、音痴過ぎて宮崎監督からNGにされてしまったという問題の安田成美さんが歌った曲は入ってませんでした。あの曲、僕はけっこう好きなんですが(^^)、CDだと入ってるんですかね?