
リドリー・スコット監督の映画をもうひとつ。松田優作の遺作として話題を呼んだ映画「BLACK RAIN」!この映画、学生の頃に見て、めっちゃくちゃにはまりました!同じ監督の映画としては、僕的には、
ブレードランナーの3倍、エイリアンの10倍は好き(^^)。
映画の内容は、こんな感じ。少しあらすじを書きますので、白字にしておきます。読んでも問題ない程度に留めたつもりですが、読みたくない人は見ないでくださいね。
海外で起きた日本のやくざ同士の抗争現場にたまたま居合わせたふたりのアメリカ人刑事(ミッキー・ローク&アンディ・ガルシア)が、殺人犯佐藤(松田優作)を逮捕。その日本送還中、日本の空港で逃げられる。逃げた佐藤は、自分を捕まえた二人のアメリカ人刑事を狙い、ひとりを刀で首を切り落として殺害。残されたもうひとりの刑事は次第に事件の真相に近づいていき、佐藤と対立するやくざ組織の組長(若山富三郎)に接触。そこで組長から語られたのは、アメリカが日本に落とした原爆によって破壊されたのは町だけではなく、それが佐藤のような人間を生んだと語る。 さてこの映画、背景にあるテーマは、さっきあらすじのところに書いた、敵親分役の若山富三郎さんが語ったセリフと思います。「佐藤が信じるのはアメリカ人と同じで、金だ」「お前らアメリカは自分たちの価値を押し付け、俺たちは自分を見失った。そして、佐藤のような人間がたくさん生まれた」異文化衝突や価値の押し付けによって破壊された欧米以外の国々の正義や価値観。それを比喩的にひと言であらわすと、原爆が降らせた黒い雨「ブラックレイン」なんでしょうね。このテーマ、日本とアメリカの関係に限らず、二十世紀の世界大戦から現在までの世界情勢の根底にあるものと思うので、実は重要なテーマだと思います。娯楽映画ではありますが、しかし背後にあるテーマはなかなかヘビー(^^;)。

でもテーマ以上に、ぼくがこの映画にグッと来たのは、松田優作さんの迫真の演技です!
この映画、松田さんのための映画といっても過言じゃないぐらいに松田さんがスゴイ。松田さんが凄すぎて、主役のマイケル・ダグラスがかすみまくり(^^;)。ここまで役者がすべてを持っていってしまう映画って、なかなかないんじゃないかと。松田さんは、やくざ連中も震え上がる恐怖の人物を演じているんですが、サングラスを取る仕草や車から降りる仕草など、演技のどこをとっても、見ていて震え上がってしまいます。いやあ、これはすごい…。松田さん、この撮影中に病気だったそうですが、しかし撮影のために入院を拒絶して撮影を続け、そして他界してしまいました。でも、どれだけ演技を作りこんでいたかは、この映画を見るとよく分かります。演技の迫力が段違いですから。あと、松田さんまでは届かないですが、若山さんの演技もすごい。日本の俳優陣が、ハリウッド俳優を完全に食ってしまった映画なんて、ちょっと他には思いつきません。
そんなわけで、あくまで娯楽ハリウッド映画という枠内なので、芸術映画や作家映画と比較出来るような映画じゃないですが、その枠中では大好きな映画のひとつ。ハリウッド映画って、巷でいわれるほど馬鹿に出来ないというか、どこまで深く見るかという段階があるように見える作品がそれなりにありますよね。この映画だって、犯人逮捕の刑事ドラマとか、アクション映画という見方で留めても十分面白いですが、「どうせ娯楽映画だろ」なんて軽くいえないところがあって、深く見たい人には、それはそれでテーマ部分がちゃんと作りこまれてると思います。見たことのない方はぜひ!
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