『The James Cotton Band / Live & On The Move』

The James Cotton Band - Live On The Move ジェームズ・コットンのリーダーアルバムで僕が最初に聴いたのはこのアルバム。大学だったんじゃないかな、ブルースハープを吹いている友人がいまして、彼が「ジェームズ・コットンとリトル・ウォルターがおすすめ」といって、貸してくれました。さすがリーダーバンドというわけで、ジェイムズ・コットン吹きまくってます(^^)。ただ、音楽とバンドがですね…ソウルというかファンクというかロックというか、エレクトリックバンドで、ベースもエレキでブイブイいってるし、エレピまで入ってるし、サックスソロまで入ったりして。1976年のアメリカの黒人音楽という事もあるんでしょうが、ショーやエンターテインメント全開、しかも作り込みが甘くてバックバンドは「バイトでやってるだけ」という匂いプンプン(^^;)。こういうやっつけ仕事感って、この超チープなジャケットからも伝わりますよね。このあと、マディ・ウォーターズのバンドに参加していた頃のコットンさんのプレイを聴かなかったら、僕はきっとジェイムズ・コットンを好きにならないままだったんだろうな…。
 でも、ブルースハープのテクニックはさすがにホンモノで、マディ・ウォーターズのバンドに参加していたときはバンドやバンマスを立てて控え目に吹いていたのが、このアルバムでは自分の技術の限界まで出し切っているかのような熱いハープが聴けます!1曲目のイントロのハープソロとか、マディ・ウォーターズ・バンドでもやっていた18番「Got My Mojo Workin'」でのうねりまくるハーモニカとかは一聴の価値あり!もし自分がハーモニカ奏者だったら、ブルースハープのテクニックの教科書にしたくなるような演奏でした(^^)。


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『Muddy Waters / At Newport 1960』

Muddy Waters At Newport 1960 チャック・ベリーの陰に隠れて、ブルースハープ奏者のジェームス・コットンさんも他界していました(;_;)。ハーモニカ音楽が大好きな僕ですが、ブルースハープ奏者はけっこう好みが分かれます。白人ではフーやビートルズみたいな「ついで」の人は、オカズとしては雰囲気あるけどハーモニカってこんなもんじゃない…という意味でイマイチ。でもポール・バタフィールドみたいな「マジ」の人の演奏は大好き!両者のレベルって大人と子供ぐらいに違うので、ホンモノのブルースハープをはじめてきいた時にはビビりました。本職の黒人ブルースのばあいヘタな人はまずいないんですが、サニーボーイはどっちも苦手(上手い下手じゃなくって、明るめで軽い音楽を好む所が肌に合わない;_;)、でもリトル・ウォルターは「ブオ~~~ン」ってものすごいブロウの仕方をして死ぬほどカッコいい!そしてジェイムズ・コットンは…思いっきりリトル・ウォルター系、めっちゃ好きでした。
 僕にとってのジェームス・コットンは、とにかくマディ・ウォーターズのバンドに参加していたとき。リトル・ウォルターもそうですが、マディ・ウォーターズのエレクトリックバンドはハーモニカ奏者が絶品なんですよね。そして、ジェイムズ・コットン参加のマディー・ウォーターズのアルバムといえばこれ。1960年のライブアルバム、めっちゃ有名な1枚ですが、ヴォーカルのオブリを取るジェイムズ・コットンのブルースハープがとにかく目立ちます。1曲目のスロー・ブルース「I Got My Brand On You」からして、コットンのブルースハープ全開!!戦前のアコースティック・ブルースが大好きな僕にとって、エレクトリックなバンド・ブルースはあんまりツボじゃないんですが、ジェームズ・コットン参加時のマディ・ウォーターズのバンドは別。エレクトリック期のマディ・ウォーターズのアルバムでは、これが一番好きで、それってピアノとブルースハープによるところが大きいんじゃないかと。
 ちなみにこのバンド、メンバーは… Muddy Wataers (vo, guitar), Otis Spann (piano), Pat Hare (guitar), James Cotton (harmonica), Andrew Stevens (bass), Francis Clay (drums)。有名人ばかりですね…というか、マディ・ウォーターズのバンドに参加したから有名なのか(^^)。僕自身がそうだったのですが、バンドブルースって、古臭い、単純、つまらない、ワンパターン…と感じる人が少なくないと思うんですが、当たりを引くとマジでハマります。落語やモノクロ映画みたいなもんで、一見地味だけど実は深い世界。このレコードは、個人的にはバンドブルースの中では大推薦の1枚。そして…ジェームズ・コットンさん、若い頃の僕に、やさぐれたカッコいいブルースを聴かせてウキウキさせてくれてありがとう。ご冥福をお祈りしますm(_ _)m。。


書籍『精神と音楽の交響 西洋音楽美学の流れ』 今道友信・編

SeisintoOngakunoKoukyou.jpg ひとつ前の日記で紹介した本『音楽の原理』は、音の科学や作曲技法や身体まで、音楽に関する何もかもを体系づけた壮大な本でしたが、えらく論理的なので、ただでさえ難解な美学方面がかなり難しかったです(^^;)。僕の場合、美学というのは、音大の授業で習ったヘーゲルが最初の出会いで、面白そうなので自分でいろんな本を買ってきては読んだもんでしたが、ちょっと哲学が入るんで、むちゃくちゃムズカシイんですよね。音楽に限らなければ、いろんな哲学者が有名な美学書を書いてますが、けっこう美術系が多くって、音楽は少な目だったりもするし。アホなボクにとっては、今まで読んだ音楽に関する美学書の中では、この本がすごく分かりやすかった!!この本がなかったら、美学系はお手上げだったかも。
 
 この本は、西洋音楽に関する美学の流れを、古い時代から現代まで、各時代で有名な音楽論を書いた人の考えを紹介していきます。各章につき一人という感じで、いちばん古いのは2世紀の天文学者プトレマイオス、いちばん新しいのはマイアーという現代の音楽学者。ぜんぶで15章ですが、アドルノという社会学者は2回でてくるので、合計14人かな?やっぱり古い時代の人の音楽論は科学が追いついてないので、かなり抽象的になってしまって同意できなかったりしましたが、でも当時の人が世界をどうやって見ていたかとか、音楽をどういうものだと感じていたのかとかが分かって面白かったです。そしてやっぱり「おお~すげ~」ってなるのは近現代。ワーグナーやニーチェが信奉しまくったショーペンハウアーの音楽美学あたりから、一気に面白くなります!!「芸術は理念(Ideen)を再現したものである」(ショーペンハウアーの章P.296から抜粋^^)とか、すごいと思いましたね~。。

 この本、それぞれの章は、違う専門家が書いてます。そして500ページ近いので、色んなものの観方が出来るようになってる半面、論点がぼやけて見えがちでしたが、こういう本というのは論文の持ち合いが普通。というわけで、読む側が「これは音楽の美学について書いてある本なんだ!」という所を見失わないように気を付けておかないと、迷子になるかも。逆にいうと、そこさえ見失わなければ、音楽美学の入門書として、これほど分かりやすい本もないかと思いました。むずかしい音楽の美学書についていけなかった経験がある人はけっこういると思うんですが(僕がそう^^;)、そんな人にもおすすめです!!

書籍『音楽の原理』 近藤秀秋

OngakunoGenri.jpg ひとつ前のパーカー本の紹介で、「重要な音楽書って年に1冊ぐらいのペースで出る」なんて書きましたが、2013年が『チャーリー・パーカーの技法』、2014年が『調性音楽のシェンカー分析』がそういう本だとしたら、ここ1~2年で出た最高の音楽書って、これじゃないでしょうか?!ぶ厚いのでビビってましたが、読み始めたらおもしろすぎて一気に読んじゃいました(^^)。
 この本ですが、パーカー本やシェンカー分析本と違って、音楽のある一分野の研究書じゃなくって、音楽そのものを解明しに行ってます。分野別の音楽理論じゃなくって、ほんとに音楽自体の解明。だから、今ある音楽理論や音楽学も出てくるんですが、もっと根本的な所から掘り下げていて、その過程で物理学とか人体学とか、いろんな話がバンバン出てきます。そしてそういうところがメッチャ面白くって(自分がどれだけたんなる音楽馬鹿だったのか痛感させられた(- -*))、読んでてひきずりこまれる。。でも、あつかう分野が広いので、自分がどこにいるかを見失うと「あ、あれ?なんの話だっけ?」となっちゃう事もあるかも。というわけで、パーカー本とまったく同じで、主旨を捉えきれるかどうかが重要な所かと思うので、その辺を自分なりにまとめておこうかと思います(^^)。

 この本、大きく原理編、コンテクスト編、実践編の3つに分かれてます。最初は気づかなかったんですが、実はこの章立てそのものがすごく大事なんじゃないかと。最初の原理編には「音楽っていったい何なの」という原理そのものが書いてあって、そこから読み進めていくにしたがってどんどん実際の具体的な音楽に近づいていく・・・みたいな構成(たぶん)。そしてボクの理解でいうと、とくに最初の原理編、ここはミュージシャン必読じゃないかと思います。第1章は、音楽を、人と音とがクロスする所に生まれるものとして、人という現象と音という現象を成立から説明。人と音を物理的に解明していくので量子力学や生物学まで飛び出してくるんですが、それが最後に「だから人間はこういう成立をしていて器官がこういう役割を持つようになっていて、この働きの中で音の知覚というのは・・・」みたいなところにたどり着いた時は、ちょっと震えてしまいました。前に『音楽行動の心理学』という本を紹介した事がありましたが、あれより深いっす。。このへんの音楽が起きる原理の解明はとても書き切れないので、興味ある方はぜひこの本に直接あたってください(^^)。そして音楽が意味として把握されるというところまで進んだところで、原理編はオシマイ。そうそう、音楽を意味として捉えるというところは、むかし『音楽記号学』という本を読んだ事がありまして、いずれその本も紹介しようと思います(^^)。

 第1部の最後に書かれていた「意味」っていったいなんなのかという説明が、第2部。音楽の意味なんてその音楽によって千差万別なので、意味というものの原理と、いろんな音楽の意味の様式がいろいろ提示されてる感じ。この本は、意味づけにはその基準になっているものが意味を作る原理になっていて、場合によってはそれが意味そのものとなってる事もある、みたいな事を言ってます。というわけで、文化様式の例として、宗教や哲学や資本主義や化学などの自然科学思想をあげ、それを音楽と関連付けられて説明されてます。なるほど日本でクラシックやジャズやAKBを聴くだけならそんな知識はいらないのかも知れませんが、もっと相対化して音楽を眺めようと思ったら、その価値基準となっているもの自体を理解しないと音楽の意味なんて分からん、ということなのかも。

 最後の実践編。音楽理論の紹介もありますが(しかもメッチャ詳しい^^;ジャズのところと対位法のところは専門書より詳しい上に分かりやすいので、ジャズと対位法の理論で苦しんでる人は一読を薦めます^^)、主旨はなぜそういう事になるのかという、やっぱりメタなところ。というわけで、世界中の音楽の構造原理に触れて、西洋音楽だけじゃなくってあらゆる音楽に共通する音楽の原理を引き出しに行ってます。ただ、僕がこの本で唯一もの足りないと思ったのは、作曲原理でアフリカだけが抜けてる気が(^^;)。クラシック、ジャズ、フラメンコ、インド音楽、イラン音楽、日本音楽、インドネシア音楽などなど、世界の音楽の作曲技法が詳細に述べられているのはすごいと思います。イランの音楽理論の本なんて、日本で出てない気がしますし。でも、ここまでやったなら、アフリカにも触れて欲しかったなあ。作曲原理の解明が目的なら、あらゆる地域の作曲法を調べる必要はないとか、ぜんぶ語るなんてどのみち不可能なのでどこかで見切りをつける必要があるとか、そういう事なのかも知れませんが。実践編で個人的にスゴイと思ったのは、作曲法以上に演奏法に関する記述。筋と骨の同調とか、プロしか知らない奥義みたいなもんがギッチリ書き込まれてて驚きでした。こういうのって、僕は音大の実技でしか触れた事がないんですが、それだって「こういう時は鍵盤を押さえるんじゃなくって落とす感じ」とか、部分論のケーススタディでした。それが、演奏の身体法が体系化された書って、実はあんまりないんじゃないでしょうか。そして最後に、実践を含めた上での音楽の意味というところにまでたどり着きます。

 ここ数年で一番すごい音楽本だろうことは間違いないでしょう。音楽という現象が発生するまでのメカニズムと、それを理解するために必要な様々な分野の知識の体系化、これは他の音楽本ではちょっとお目にかかれないものなので、これに代わる本はないんじゃないかと。ボクは音大で音楽を学んだんですが、それって誰かが作った技術や方法論を後追いしただけなんですよね。この本は、そうじゃなくって、もっと普遍的なものを見出そうとしていて、僕みたいな音楽馬鹿が当たり前と思ってる前提から検証し直して、そしてひっくり返します。クラシックとかジャズとかそういう狭い理論じゃなくって、なんで人間に音楽が発生するのかという本をえぐってて、音楽そのものの検証をメチャクチャ丁寧にやってる感じでした。だから、研究の舞台が既存の音楽学の範囲じゃなくって、人間とか物理とか認知科学とか、そういうところになってるんだと思います。普通の大学に行かずに音大で音だけを学んでしまったボクにとっては、はじめて地球が丸い事を教えられたときの子供のおどろきに近くって、自分の音楽観が変わるほどの衝撃でした。ある意味、せまい音楽観にこり固まっちゃった専門家の人ほど、読む価値がある音楽書じゃないでしょうか。音楽の先生でも音大の生徒でもミュージシャンでも、音楽に関わる仕事をしている人は絶対に読むべき本と思うなあ。今後の音楽学の底本になる一冊かもしれないです。


書籍『チャーリー・パーカーの技法』 濱瀬元彦

CharlieParker no Gihou チャーリー・パーカー関係の本をもう一冊。音楽についての重要な専門書って、年に1冊ぐらい出ていると思うんですが、2013年に出版されたこの本も、そうした重要な本のひとつだと思います。この本が出てからしばらくは、炎上といっても良いほど、ネット上に批判があふれてました(^^;)。「自分をアタマ良く見せたいだけ」「パーカーはもっと直感的」「こじつけ」…まあ、ひどい書き込みが色々ありました(^^;)。人間って、匿名だとひどい事を書けるもんだ。でも、こういう誹謗中傷ほどではないとしても、僕にも不安はありました。というのは・・・パーカーやビバップをリスペクトしている人&この人の音楽や過去の著作を知ってる人なら、不安を持っちゃう人も少なくないと思うんですが、実際にはメッチャいい本でした!パーカーに限らず、これに匹敵する管楽器のソロアドリブ分析本が日本にあるかというと、僕は知りません。これだけたくさんのパーカーのアドリブを譜面に起こしたというだけでも、素晴らしい仕事!というわけで、この本って、読まれる以前に変な情報がいっぱい出ていて誤解されているようなので、自分にとってのまとめもかねて、簡単なガイドをしてみようかと(^^)。

 この本は、モダンジャズの創始者チャーリー・パーカーのサックスのアドリブ演奏の分析書です。いまだにチャーリー・パーカーの演奏は難解だと言われる時があります。僕も難しいと思う。。そんなコムズカしいチャーリー・パーカーのアドリブ演奏を、この本では大ざっぱに「装飾音」「リニア・ライン」「Relative Major」「Tonic Major」「Relative Minor」「Tonic minor」の6つに分けて分析してます。でもって、アッポジャトゥーラとかモルデントみたいな装飾音については、この本を読むレベルの人だったら解説しなくても分かると思うので、ここでは省略。リニア・ラインもジャズのリハーモニゼーションをひと通り学んだ人なら解説不要と思うのでここでは省略。というわけで、残る4つ「Relative Major」「Tonic Major」「Relative Minor」「Tonic minor」が、この本の価値という事になるんじゃないかと。

 著者の濱瀬さんは、チャーリー・パーカーのアドリブ演奏を、トニックとドミナントのふたつだけに還元して捉えてます。セカンダリーですら、そう。アメリカ音楽であるスイング時代のジャズは長調と短調のふたつの調しかないので、音楽をトニックとドミナントのふたつだけと捉えると、アドリブの時に問題になるのは「Tonic Major」と「Tonic minor」とドミナント・セブンス・コードだけ。そしてこの本では、ドミナント・コードを「Relative Major」と「Relative minor」のふたつに分けてます。これで、この4つの状況でアドリブ演奏が出来れば、ジャズの曲中では常にアドリブ演奏が出来る事になる・・・これが、この本のおおまかな骨子で、実際チャーリー・パーカーはそうやった、というわけです。おお~分かりやすい、いい本だ(^^)。
 
 次に、なぜチャーリー・パーカーがこういうシステムを作って演奏したかというところ。大昔のジャズの管楽器奏者は、ソロ・アドリブの時にほとんどコードの構成音しか使いません。でも、チャーリー・パーカーは、構成音よりも多くの音をアドリブの中で使いたかった。そこで考えたのが、書かれているコードシンボルには含まれてない音がいっぱい入ってるコードシンボルにめまぐるしく進行させてしまえばいいんじゃね?という発想・・・みたいなことをこの本は言っていて、チャーリー・パーカー自体がそう発言した文献もあるらしいです。例えば、ドミナント・セブンス・コードG7の構成音は、G/B/D/Fで、スケール的な言い方をすれば1度/3/5/♭7。これをダイアトニックから外れすぎない範囲でもっと拡張しようとするならその後の9/11/13も使えればいいわけで、これを含んで、でも不協和に陥らないようなコードシンボルって何かというと・・・強拍に何を持ってくるかとか言うのはさておき、仮にオリジナルのⅤ7に対していうと、Ⅳ△、Ⅱm7、Ⅶφ、なんかがセブンス・コードの時に使える可能性がある、みたいな。そんで、Ⅴ7に対してⅣ△コードを中心としたこの可変的なコード群がRelative Major。これと同じ理屈で、Ⅳmコードを中心とした可変的なコード群がRelative minor、トニックはメジャーがTonic Major、マイナーがTonic minor(この本では、丁寧にナチュラル・マイナー系とメロディック・マイナー系を分けて書いてます^^)。まあ、ざっとこんな感じです。ここさえ分かれば、この本は格段に読みやすくなるんじゃないでしょうか?!あ、そうそう、僕は便宜を図ってドミナント・セブンス・コードをⅤ7と書きましたが、この本にはそうは書いてません。だから、□7というコードシンボルが来たら、その短7度の位置に来るメジャーセブンス・コードがレラティブ・メジャーという事になるのかな?なぜこうするかというと、こうして考えれば、楽曲全体の和声機能をアナリーゼしなくても、またそのセブンスコードがオリジナルであろうがセカンダリーであろうが、セブンスコードに対するアプローチだけでアドリブできるから、じゃないでしょうか(ここは僕の勝手な解釈(^^))。

 まあそんなわけで、部分的な分析と研究が実に素晴らしい本ですが、サラッと書いてある大事な所を読み逃がすと「で、何が言いたいんだっけ」と分からなくなっちゃうことがあって、それが誤解や批判につながってるんじゃないかと思います。でも、上に書いた論旨さえ押さえれば、誤解は避けられるんじゃないかと。あとはチャーリー・パーカー自身のアドリブ演奏を引き合いに出して「このアドリブはこういう風にRelative Major が使われてて・・・」という検証が延々と続いているということなので、この構成さえ分かっていれば、むしろ大変に読みやすい本なんじゃないかと。ビバップを深く研究した事のない僕にとっては、ものすごく為になった本でした。ビバップのソロ・アドリブ演奏をマジメに研究したい人には大推薦!あと、ジャズやロックでアドリブ演奏をする時に、いつもスケールをバラバラ演奏してるだけで、カッコいい音を挟んだり独創的なアドリブラインがどうしても作れないという人には、すごく参考になる本だと思います。これはまちがいなく良書です(^^)。


楽譜『Charlie Parker Omnibook』

CharlieParkerOmnibook.jpg チャーリー・パーカーのソロを勉強する時にお世話になった本です。ジャズの人というのはクラシックみたいに綺麗に演奏してくれないので、聴きにくい微妙な音というのも結構あって、ましてパーカーやコルトレーンというのは演奏が超絶に速いので、聴音が意外と面倒です。聴音もそうですが、それ以上に書いても書いてもどんどん音が出てくるので、だんだんめんどくさくなるんですよね(^^;)。というわけで、有名プレイヤーのソロを研究する場合は、ソロを写した本があるんだったら、買ってきて楽するのも手だと思います。これはチャーリー・パーカーの演奏を拾って楽譜に起こした超便利本です。ちょっと、拾った音が怪しい所もありますが( ̄ー ̄)、1から自分で拾うよりは100倍ぐらい捗ると思います(^^)。

 ジャズの理論書をいっしょうけんめい勉強したけど、演奏が出来るようにならないという人って結構いるとおもいます。ご多分に漏れず、僕もそうでした(゚ω゚*)。けっきょく、ジャズを演奏したいなら、楽理は演奏できる最低限は必要だけど、そこから先は自分の大好きな演奏家の演奏を真似しまくった方がぜんぜん速いという事に気づきました。楽理ってそれだけでは実践的じゃありませんし、演奏してる最中に深く考えてる暇なんてないですからね。そして、自分でカッコいいフレーズを作るのはメッチャ大変ですが、メッチャかっこいいフレーズをコピーするのはそれに比べればぜんぜん楽。僕はピアノですが、ビバップの勉強のためにパーカーのソロは一生懸命研究したものでした。僕がもしジャズのサックス奏者だったら、チャーリー・パーカーとジョン・コルトレーンとエリック・ドルフィーの演奏は絶対に目標にするだろうなあ。この本、C調(青い本)のほか、管楽器奏者のためにE♭(黄色)とB♭(赤)も出てます。もし買う時は、調を間違えないように気をつけて下さいね(^^)。ジャズでサックス吹く人ならマストアイテム


『Charlie Parker / On Dial Completed』

CahrliParkerDialComplete.jpg チャーリー・パーカーはダイアル、サヴォイ、ヴァーブという3つのレーベルに録音を残してますが、一番古いのがダイアルでの吹き込み。10インチ盤全盛のころなので、LPやCD時代になると収録時間の都合なんかから再編集されることになって、これで色んな編集がいっぱい出てきて、どうやって聴いたら良いかがよく分からない事態に(;_;)。音大生の頃の僕も混乱しました。LP時代でいちばんいいのは1から7までナンバリングされた全集を買う事だったんでしょうが、それだと何番が一番いいのかとか、買い始めたら結局全部買う羽目になるんだろうけどそれは嫌だなとか、ダイアルのセッションが一番古いから一番音が悪いだろうから後にすべきなんじゃなかろうかとか、ジャケットがあまりに古臭くって購買意欲が削がれたとか(^^;)、色々考えたもんでした。結局、ジャズバンドで一緒になって仲良くしていただいたアルトサックスの先輩ミュージシャンから、7枚ばら売りの完全盤のなかの1枚を聴かせてもらったのが最初。録音こそモノラルでしたが、意外と音がつぶれてなかったのは驚きで、しかもウッドベースもちゃんと聴こえるバランスの良さにビックリ。

 これはダイアルの録音を全部収録したCD4枚組。中古なら、今はそんなに高くないみたいなので、よく分からないんだったらこれを買っちゃうのが確実かも。僕はそのクチで、先輩から聴かせて貰った1枚が良かったので、「これは全部聴くべきだな」と思ってゲットしたのでした。4枚組のCDとかって、買った後に家に持って帰る時のワクワク感がスゴイですよね(^^)。演奏は、初期パーカーだからまだ発展途上・・・という事は全然なくって、完成されてます。完璧です。いや~これはすごいわ。。よく、「チャーリー・パーカーの演奏はムズカシイ」「よくわからない」なんて言われますが、音楽そのものはいかにもエンターテイメントなジャズなので、難しいという事はまったくないです。むしろ、アドリブの肥大したハード・バップ以降のモダンジャズよりはよっぽど親しみやすい音楽だと思います。じゃあ、なんで昔の日本のジャズ評論家たちが口をそろえてそう言ったかというと、ジャズ喫茶文化に生きていたモダンジャズの日本のリスナー特有の「ソロをエラそうに語るために聴く」みたいな視点で聴くと、とってもシステマチックだから、歌うより先にバカテクが前面に来る時があって「何を考えてこういうソロをしてるんだろう」と思っちゃうんじゃないかと思うんですよね。それは、メロディを口ずさむように歌い上げるタイプのアドリブ演奏とは違います。僕的には、パーカーの演奏はすごく歌ってると思いますが、同時にジャズでのアドリブのシステムを完成させたパイオニアという側面もあって、時としてこのシステムの中でどれだけ高速に演奏できるか、というところに行く時もたしかにあります。ここが評論家さんを困惑させると同時に、ジャズマンたちをいまだに熱狂させ続けてるんだと思います。「チュニジアの夜」のオープンパート頭で無伴奏で一気に吹き倒すところがあるんですが、ビバップでよく聞かれるこういう所でもあまりにすごくって「うわ、すげええええ」ってなっちゃいます。暗いキャバレーで演奏していた天才が、レコードを通じて世界的有名になる事になったのが、このダイアル録音なんだと思います。ジャズ好きな人なら、マストです!!

『Charlie Parker / Now's The Time -the genius of Charlie Parker #3-』

charlie parker nows the time チャーリー・パーカーのレコードで僕が最初に買ったのはこれでした。チャーリー・パーカーが凄いと思って買ったんじゃなくって、モダンジャズという音楽を聴いてみたかった(^^;)。中学生の時、今もある『CDジャーナル』という本で「ジャズ入門者に推薦する最初の30枚」みたいな特集が組まれてまして、その中でこれが「モダンジャズの創始者の代表作」みたいに紹介されてた、というわけ。でも中学生の頃の僕は、このレコードを聴いて、正直あんまりピンと来なかった(;_;)。

 このレコードは、ひとつ前の記事で紹介したサヴォイ・レーベルの時期のチャーリー・パーカーの録音よりちょっと後で、ヴァーブ期の録音です。時代でいうと、「Genius of Charlie Parker」が1945~48年の録音で、こっちは1952~53年。せいぜい5年ぐらいしか空いてないようにも思うんですが、この間にパーカーさんにとって大ダメージになる出来事があったみたい。ドラッグやら酒やらやりたい放題のパーカーは結婚も何回もしてるみたいですが、最後の奥さんとの間にはパーカーが可愛いがりまくった女の子が生まれたのに、この子が肺炎で死んじゃった(;_;)。ここからパーカーは人が変わったみたいになって、ステージに行くと言って家を出たままステージに来ずに楽器も無くなってる、ステージで泥酔、自殺未遂などなど、グッチャグチャ。パーカーは1955年に心不全で死にますが、晩年はドラッグを含め心身ともにボロボロ。パーカーが好きなサックス奏者の友人が、「50年代のパーカーはダメ」といっていたのを覚えてます。
 このアルバムは、そんなボロボロな50年代のパーカーの録音ですが、そういう情報を知った上で改めて聴くと・・・いや~、とてもそんな状態とは思えないっす(^^;)。でも、こういうパーカーの演奏がジャズのサックスの手本となって以降のジャズの歴史が発展していったもので、王道に聴こえちゃうというか、普通に聴こえちゃうところはあるかも(^^;)。あと、パーカーの代名詞の超高速テンポの曲が入ってないので、全体的にまったりして聴こえます。でも、BGMとして聴かずに、パーカーのソロだけをきちんと追って聴くと・・・いや~曲がミドルテンポでもパーカーのソロ自体は16分なんて当たり前にガンガン入ってくるので速度感があるし、かといってアーティキュレーションも見事だし、やっぱりうまいわ。。別テイクとかもいっぱい入ってるので聴いてて多少ダレるかも知れませんが、アルバム最後の2曲「Now's the Time」と「Confirmation」は今も良く演奏されるビバップの大名曲、しかもサックスのアドリブソロは見事としか言いようがないです。ワンホーン(パーカー以外の管楽器奏者の参加がない)、パーカーにしては新しい時代の吹きこみなので録音がいい、共演者がマックス・ローチやハンク・ジョーンズなどの名プレイヤー揃いなんていうあたりが、このアルバムが評価される理由なのかも。ジャズの中でも永遠に語り継がれる天才チャーリー・パーカーが残した最後の好演がこのアルバムなんでしょうね。


『Charlie Parker / The Genius of Charlie Parker』

Charlie Parker Genius of ロックンロールばかり聴いてたら、アメリカの古い音楽が聴きたくなってしまった(^^)。もう4年ちかくもブログを続けてるくせに、しかもジャズ好きだと公言してるくせに、この人の事を書いてなかった・・・モダンジャズの創始者チャーリー・パーカーです!!いや~、アップテンポの曲でのこの人のサックスはすごいです、最初に聴いた時は鳥肌が立ちました。以降ジャズは70年近い歴史が続きましたが、それでもここまですごいサックスはなかなかいません。一種の天才だったんでしょうね。

 この人のとんでもない高速アドリブの中でも、僕が一番すごいと思うのは、このアルバムに収められた「Bird gets the worm」という曲の演奏。もうね、口では伝えきれません、強烈に速い!しかも速いだけじゃなくって音がいい!音が強い!強烈な疾走感、もう信じられませんでした。フュージョンみたいに速いだけで平坦という事はなくって、うねるように音がドライブします。ジャズが好きな人は、死ぬまでに絶対に「Bird gets the worm」のテイク3は聴いておくべし(^^)。ジャズといってもマイルス・デイビスどまりだった僕にとって、モダンジャズのスタートになったビバップなんて古いだけの音楽だと思ってたんですよ。ロックの世界でロックンロールなんて古色蒼然と決めつけてた時とおんなじパターンです(^^;)。ところが実際に聴いてみると、古いどころか、以降のハードバップやら何やらよりもテクニシャン揃い!思いっきり技術が高い人たちだらけだったのです。中でもパーカーは異常なレベルで、仮にパーカーが現代にいても余裕でトッププレイヤーだったでしょう。

 さて、パーカーの全盛期は40年代後半~50年代なので、LPで作品発表という時代じゃないです。というわけで、LP時代以降になって、チャーリー・パーカーの録音はLPやCDに見合った形で整理されるようになりました。パーカーはダイアル、サヴォイ、ヴァーヴという3つのレーベルに録音を残してるんですが、サヴォイの頃はパーカーの最盛期、強烈な演奏がめじろ押しです。ただ、あまりに有名なジャズマンなので、NGテイクも含めて資料的に整理して発表される傾向もあって、これは研究家には嬉しいかも知れませんが、音楽を楽しもうと思うと、そういうCDやLPは同じ曲のNGテイクが延々と続いたりして聴きにくいんですよね。。サヴォイ期のパーカーのCDは、そういう資料的な編集をされて発表されたものと、LP発表時にアルバムのバランスを考えて編集・発表されたもの(全部で5枚)があります。これは後者のうちの1枚で、僕的にはサヴォイ期のパーカーはこれがベスト。チャーリー・パーカーの録音って、やたらめったらたくさんあるので、最初にどれに手を付けていいのか分からないと思うんですが、僕的には、パーカーの最初の1枚としては、絶対にこれをおすすめします。古い割には録音が良くて聞きやすいし(CD化の時に大がかりなリマスタリングをしたらしいです)、なにより演奏が凄いっす(^^)。モダンジャズのスタートとなった怪物の快演、やっぱりすごい!

『Little Richard / vol.2』

Little Richard vol2 ロックンロール最高のヴォーカリスト、リトル・リチャードのLP第2集です。有名ぐあいでいったら1枚目の『Here's Little Richard』の方が有名だと思うんですが、内容はこの『vol.2』も負けてません。というか、まったく同じ事をやってるので、比較しようがないっす(^^)。収録曲も、こちらには「Keep A Knockin'」、「Good Golly, Miss Molly」、「Baby Face」、そしてとんでもなく素晴らしいシャウトが聴ける大名曲「Lucille」も入ってる!どっちかだけだけなんて無理だわ、聴くならどっちも聴かないと(^^;)。。

 とにかく、バラード調の曲まで大熱唱するのでバラードに聴こえません。「Baby Face」なんて、プラターズがやったらめっちゃいいバラードに仕上がりそうですが、リトル・リチャードがやると超ヒップ(^^)。そして、色んな曲調の曲を揃えてアルバムの構成を考えるなんて事もしてないみたいでひたすらロックンロールに疾走するので、聴いていてテンションあがりっぱなし。元気を出したい時にこれほどいいアルバムもないっす。あまりに狂った熱唱なので、プレスリーやエディ・コクランみたいに「カッコいいなあ」なんていう段階は通り過ぎて「あぶねえなあ」と思うほどっす(^^;)。リトル・リチャード、いいですねえ。アメリカの50年代を象徴する音楽であるロックンロールのなかでも、飛び抜けてすごい存在だったんじゃないかと思います。


プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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