
ジャズのビッグバンドというと、デューク・エリントンと、このカウント・ベイシーのバンドのふたつが2大巨頭。これは1956年のカウント・ベイシーのヨーロッパ公演のライブ録音、僕は「50年代以降のベイシーの録音では最高傑作」という触れ込みで買ったのでした。いやあ、
ビートルズのデビューよりぜんぜん古いのに、音がいいです。さすがジャズの大手レーベルVerveですね~。50年代でビッグバンドをこんなにきれいに録音するのは、リバーサイドや
ブルーノートみたいな弱小レーベルでは無理だったかも(^^;)。。
1940年代のジャズって、ビッグ・バンドが演奏するスイング・ジャズ全盛のスイング期というのが大ブレイクして世界中に知れ渡って、その後
チャーリー・パーカーという天才サックス奏者の登場でモダン・ジャズの時代に入ります。モダン・ジャズはソロイストやスモールコンボ中心の音楽になって、しかも音楽がどんどん先鋭化していったので、モダン・ジャズからジャズに入った僕みたいな後追いの人間にとっては、
スイング期のジャズは、同じジャズとは思えないぐらいにエンターテイメントでビックリします。スイング・ジャズってサウンド的にあんまり難解な事はせず、聴き終わった後に爽快感が残るような音楽。その中でもカウント・ベイシー楽団というのはトゥッティがガッツンガッツン決まって、とくに爽快感が強いビッグバンド。これは56年のライブなので、カウント・ベイシー楽団の中でもニュー・ベイシー・バンドと呼ばれて40年代までのスイング期全盛のオールド・ベイシー・バンドとは区別されてるみたいですが(というのは、ベイシー・オーケストラは1950年に一度解散してるので)、それでもスイング・ジャズの匂いがかなり残ってます。
本当のことを言うと、若いころの僕は、カウント・ベイシー・ビッグ・バンドの音楽を良いとは思いませんでした。このレコードも体が受け付けませんでした(T_T)。ジャズならモダン・ジャズ、なんだったらフリージャズぐらい過激かサード・ストリームぐらい凝りまくった音楽であってくれればなお良しぐらいなもんで、このドッカンバッカンと音量だけで迫るようなビッグ・バンドが大の苦手、能天気に明るいスイング期のジャズも、エンターテイメントな音楽も苦手だったんです。でも、40代のいま聴くと…いや~これは爽快、楽しいっす!ソロがリレーされるうしろでデュナーミクの見事なブラスセクションがガッツリ決まる!ドラムがみごとなフィルを入れる!このトゥッティの決まり具合と切れ味、ここまでバンドが揃うと爽快です。。僕が思ってるジャズのビッグ・バンドのステレオイメージって、まさにこのアルバムなんですよね。モダン・ジャズやそれ以降のジャズをイメージするとギャップに苦しむかもしれませんが、元々ジャズってエンターテイメントでプロ楽団が奏でる音楽だったわけで、これが本来の姿だったんだと思います。いや~、こんなの聴いたらいやでも元気が出ちゃいます。キレッキレで全員がビシッと揃うビッグバンドが爽快、最高!あ、そうそう、ちなみのこのライブ録音、「ベイシー・イン・ロンドン」というタイトルなのに、スウェーデンでのライブなんだそうで(^^;)ナンダソリャ。
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