
指揮の教科書です。たぶん、日本で「指揮法」というと、まずはこの本なんじゃないかと思います。
指揮法を学ぶと、それがナンチャッテでも、オーケストラの演奏を見たり聴いたりしながら指揮者ごっこが出来てメッチャクチャ楽しいです(^^)! 僕は指揮者になりたかったわけじゃないんですが、いちおう指揮の授業も履修しました。大ホールでオーケストラを振るなんていう大それたものじゃなくって、合唱やブラスバンド部ぐらいは指揮できるようになれたらな、ぐらいの軽い気持ち(^^;)。本格的な指揮者志望の人はどうなのか分かりませんが、僕みたいなライトな人は、この本の著者の斎藤秀雄先生の指揮法をベースにしたものを教えられることが多いと思います。というのは、日本で指揮法を授業として最初にちゃんと教えてメソッド化した人が斎藤先生らしいので(^^)。あ、そうそう、斎藤秀雄先生というのは、東京フィルの指揮者やったり、桐朋学園の音楽クラスの設立に関わったりした人で、レジェンドらしいです(^^)。最近(2016年)出た
アルテスパブリッシングの指揮法の本
も、斉藤メソッドの流れにある指揮法なんじゃないかと。というわけで、「ちょっと指揮の勉強してみたいな」という人は、最初に手にするべき本はこれなんじゃないかと(^^)。
ただ…物わかりの悪い僕には、ふたつ不満がありました。
ひとつは、指揮棒の運動が分かりにくい事です。指揮って運動じゃないですか。これを文章で書かれても分かりにくい、もう少し気の利いた図を入れて欲しかった。。この本の図って、他の指揮に関する本に比べても、わかりやすい方じゃないと思います。たとえば「撥ね上げ」とか「先入」とか「ひっかけ」というタクト捌きなんか、もしこの本だけで学ぼうと思ったら、ここに書かれている文章と図だけでどういう運動なのかを理解するのは至難の技なんじゃないかなあ…。
もうひとつは、ちゃんとぜんぶ書いてない事です。初心者向けの本でも、いちおう指揮が出来るところまでは全部書いてないとダメだと思うんですよね。上級者テクニックとかは書かなくていいけど(というか、この本にはたぶん書かれてないです)、いちおう1曲通して問題なく指揮できる、ぐらいまでは書いて欲しかったです。。たとえば、指揮を始める最初って、アウフタクトでなければ4拍目から振りはじめると思うんですが、それって最初の一振りはどうやって始めればいいの?というのが、「一拍前から振る」みたいにひと言書かれてるだけで、その軌道が書かれてないです(+_+;)。。あと、左手の使い方とかも、さいごに「附記」としてちょっと書いてあるだけ。つまり、せっかくこの本をひと通りやっても最初の出始めのタクトの振り方の時点で戸惑ってしまう、ディミネンドの左手で戸惑ってしまう…などなど、学生の合唱の指揮ですら満足に指揮できない可能性があるんじゃないかと。う~ん、僕の理解が浅いだけなのかなあ…。
というわけで、かゆい所に手が届く本とは言えないとは思いますが、弱点があろうがなかろうが
指揮を学びたければ何はともあれこの本から!ああ、あと、独学の人のために、この本の補助としてDVDも出てるみたいです。DVDの方はボクは見てないんですが、たしかにタクト捌きに関しては映像で見ればものすごく分かりやすいんでしょうね(^^)。