
ロックにも色々ありますが、若いころに一番ハマったのはサイケとプログレでした。プログレは当然のように
ピンクフロイドや
キングクリムゾンあたりのイギリス勢から手を出して、次はアメリカに行かずヨーロッパ、しかもドイツでした。英米のポップすぎるプログレには興味がなかったなあ…。ドイツのプログレって、最初の頃の
ASH RA みたいなドロッドロのサイケデリックや、Faust みたいなアヴァンギャルドで実験的なのものが多くて、めっちゃカッコ良かった(^^)。でも、そうじゃないドイツのプログレもあるとはじめて知ったのが、このノヴァーリスでした。これは76年発表のアルバム。
バンド名がロマン派を代表する詩人の名前で、ジャケットがこれですから、聴く前からロック版のロマン派音楽みたいなんだろうな、と想像してました。そして聴いてみると…そうでもなかった(^^;)。ドイツとかそういう事はあんまり分からず、むしろ
EL&Pとかダリオ・アルジェントのホラー映画に使われてるプログレみたいだな、と。転調を含めて曲がどんどん展開するロックで、シンセサイザーが雰囲気づくりにひと役買って、バンドの演奏は平たい、みたいな。いや、それよりさらにポップかも。
要所要所のモチーフは、プログレ的な魅力があってけっこう好きです。でも、それを発展させ構成する技術がもう一声…プログレらしく、いきなりリズムの形や調が変わったりするんですが、経過句を使うという事を知らないので、やみくもに繋いでいるだけの稚拙な作曲に聴こえちゃったのです(T_T)。他では、あるパターンを作って、コードが変わるとそのコードで同じパターンを演奏して…これは伴奏の技法なんですが、主旋律がいないところで延々とそれをやられると、アレンジ前の音楽に思えてしまいました。もうひとついうと、動機に変化つけずに繰り返すという事をやるのですが、これをやられると待っている感じになってしまって、その瞬間は音楽が停滞するというか、演奏される前から先が全部見えちゃって退屈でつらい(>_<)。これらをまとめて言うと、つまり編曲技術がもう一声というところなのかな、と。
けっきょく、ロックで大楽節を繋いて大形式を作る作曲技術があるバンドって、キング・クリムゾンとかタンジェリン・ドリームとか数が限られていて、ほとんどいないのかも。テーマやモチーフは魅力的なだけに、ちょっと惜しい感じがしました。こういう経験を何度かして、ポップなプログレやシンフォニックなプログレは深入りしないまま卒業してしまいました。いいものもあるんでしょうが、今からそこを漁る元気がない(^^;)。。というわけで、初期のジャーマンロックみたいなものすごいものを期待していると肩透かしを食らうかも知れません。ポップス好きな方が、もう少し踏み込んだ音楽を聴いてみたいぐらいの需要に合っているのかも。
ちょっと進んだポップスぐらいの感覚で聴くと、いい感じです(^^)。
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