
僕の目が、作品としてのウルトラセブンだけでなく、そのバックステージにも目がいくきっかけとなったテレビドラマです。放送は1993年、スペシャル番組の形でした。ウルトラセブンの大ファンだった僕は、放送から何十年も経っていきなりウルトラセブンを題材にしたテレビドラマが作られた事に大興奮、夢中で観ました。名作のリメイクとか続編って外すことが多いですが、これは感動するほどに素晴らしかったです!
ウルトラセブンの制作現場にスポットライトが当たっていて、半分フィクション、半分ノンフィクションという感じです。いいものを作ろうと夜通し奮闘するスタッフ、仕事以外にも青春の葛藤があるまだ若い俳優たち、実社会への疑問を脚本にぶつけるシナリオライター陣…いやあ、感動しました。
ウルトラセブンとか抜きにして、とても見事なドラマでした。そうそう、ウルトラセブン・ファンにとっては、
本編で没になった脚本の映像化もされています。最初観た時は「こんな話セブンになかったよな」と思ったんですが、没ストーリーだと後で知って感涙もの。この話のタイトルは「300年の復讐」、300年前に妹を人間に殺された宇宙人が復讐をしようとするが、復讐する時に妹とそっくりの顔をしたアンヌ隊員に出会って…というストーリー。いやあ、セブンって没台本まで素晴らしいわ。。
僕はセブンのリアルタイム放送時には生まれていないんですが、再放送されるたびに何度も見ていたので、本放送が終わった10年後でも20年後でも、ウルトラセブンが過去のものという感覚がなかったんですよね。でも、制作サイドからすると、ビデオのない時代のテレビドラマは、放送されたらあとは消え去るものだったんだそうです。それが、このドラマ放送でセブンが再ブレイク。セブンでヒロイン役を務め、すでに女優を引退していた菱見百合子さんにスポットが当たったり(このドラマの主役はアンヌ。アンヌさんの書いた
「わたしの恋人ウルトラセブン」なんて、明らかにこのドラマからタイトルを借用してます)、翌年からセブンの続編が制作されたりしました。でも僕は、あれだけ好きだったセブンなのに、続編と言われてもまったく興味がわかず。大人になっていたというのが理由のひとつですが、それ以上にセブンは「史上最大の侵略」でのダンとアンヌの別れで終わって欲しかったですし。しかし、このドラマだけは別。安保闘争に世間が揺れ、人類初の月面着陸が間近に迫り、
テレビも音楽もマーケティングやら費用対効果やらではなく製作者側のダイレクトな思いが熱く感じられた60年代後半という時代の熱気が伝わる、素晴らしいドラマでした!
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