
久々に
バッハの平均律クラーヴィアをまとめて聴いたのは、あらたに楽譜を買ったからでした。この楽譜、バッハの演奏で有名なアンドラーシュ・シフの運指が書かれている事と、けっこう新しい校訂だったから、欲しくなってしまったのです。古い音楽の楽譜って、運指の記載や、何を原典としたのかなど、出版社や版によっていろいろ違うんです。ましてバッハの頃だと今とはけっこう楽譜の書き方も違って、表現記号もなかったりするので、楽譜の選択で難易度やら色々と変わってきます。フーガみたいないくつもの旋律が同時進行する系のピアノが大の苦手な僕は、運指が書いてあるものが有り難いのです。自分でいい運指を発見できればいいんですけど、そういう才能がぜんぜんなくって(T_T)。。
ヘンレ社の楽譜は、すごく読みやすくていい!いまだにパソコンじゃなくて手作業で作ってるらしいですね。楽譜って、写譜屋さんが作ったものはすごく読みやすいけど、それと似た感じでしょうか。
そして
バッハの平均律クラヴィーア曲集って、仮に声部を正確に聴き取れたとしても、それが逆行カノンだったのか拡大カノンだったのかオルゲルプンクトだったのかを、構造的に分析して理解できる人は多くない気がします。たとえば、「きすふのまし」と聴いて、なにかすぐ理解できますか?これ「シマノフスキ」の逆行ですが、この音バージョンを一発で聴き取れって、なかなか難しいです。フーガの技法を知ってるから、下向きの旋律になったから反行なんじゃないか…みたいな推理は出来ますが。まあそんな具合で、僕なんて22歳まで音楽を教えてもらえるという幸運に恵まれたのに、この曲集の4声フーガになると聴いてるだけではアナリーゼは厳しい始末なのです。でも、楽譜を見ると、どの旋律がどれに照応しているとかいうのが、グラフィカルに分かりやすい!今までまるで和音伴奏のように聴こえてしまった部分も、各声部ごとに聴こえるようになったりする!仮に楽譜が読めなくても、なんとなく似たような形な所とかはグラフィカルに分かるはずです。
平均律クラヴィーア曲集みたいな音楽って、その構造が重要と思うんですよね。だから、CDだけ聴いて印象だけ何となく捉えても、ぜんぜん音楽を聴いたことにならないんじゃないかと。というわけで、聴く専であったとしても、平均律クラヴィーアが好きという人が、スコアを持ってないというのは片手落ちな気がするのです。だから、楽譜が苦手でも、楽譜を見て聴いたほうがいいんじゃないかと。
あ、そうそう、2冊あるのは、平均律クラヴィーア曲集というのは、もともと第1集と第2集があるからです。しかしよくこんな曲書けるな、しかも「アマチュアの人が楽しみとして弾ける音楽として」とか言ってこんなの書くバッハは、やっぱり音楽の基礎レベルが高すぎる人だったんじゃないかと(^^;)。
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