ビートルズのメンバーだったジョン・レノンのソロ第2段アルバムです。71年発表。アルバムタイトルにもなっている「イマジン」は、いちどは誰でも聴いたことがある曲じゃないかと。中学生の時に友人と一緒に中古盤屋で買った1枚で、たぶん聴くのはその時以来だろうから、30年ぶりぐらい?!うわあ懐かしい、涙が出そうです。
バンドはアメリカ南部のバンドじゃないかというぐらいに泥臭くって、お世辞にもうまいとは言えません。ジョン・レノンの歌にいたっては、ピッチは悪いし声はふらつくし、聴けたものじゃないです。ビートルズ初期のシャウトを決めまくってたジョンはもうここにはいない…。でも、訴えてくるものがあります。詞です。「Jealous Guy」なんて、昔は何とも思わなかったのに、ちょっとジンと来ちゃいました(・_・、)。
ジョン・レノンって、小野ヨーコと付き合って、色々と変わったんでしょうね。ロックンロールバンドやって、ポップスの世界で大成功して何でも買える大富豪のポップスターになって、何が大事かもわからなくなっちゃって、そして小野ヨーコの詩集を読んで大感銘を受けてしまったという。昔、テレビでビートルズのドキュメンタリー番組を見ていて、オノヨーコの書いた「グレープフルーツ」っていう、ジョンが感銘を受けてしまった詩集の一部が紹介されたんです。その一節をちょっときいただけで、僕も感動してしまいました。ビートルズが作ってきたものより、オノヨーコの詩の方が全然すごいじゃないかと思うほどの衝撃。オノヨーコは、ビートルズ解散のきっかけなんて言われてますが、僕としては何が正義かもわからなくなっちゃってるポップスターが、こういう素晴らしい言葉に出会えて感動できたのは幸せな事だったんじゃないかと思います。そして、ただ音楽が好きでやっていたビートルズの頃と違い、自分の言葉で世界を捉えはじめたのが、ジョン・レノンの1枚目と2枚目のアルバムなんじゃないかと思います。
「イマジン」の詩って、オノヨーコの詩とほとんど同じ構造ですよね。それぐらい、影響を受けたんだと思います。曲は良い悪いではなく好き嫌いの問題という事もあるので何とも言えませんが、単純に曲や演奏やヴォーカルのクオリティだけでいうと、決してほめられたアルバムじゃないと思います。でも、この私的な詩の世界は、持ち上げて崇め奉るようなものじゃないとは思いますが、生きがってカッコつけてロックンロールやって、金持ちになって鼻持ちならない奴になっていた不良少年が、やっと飾らないで自分の言葉で話す事が出来るようになった誠実さ、みたいなものを感じました。
と、ここまで褒めておいてなんですが、歌唱と演奏はやっぱりちょっとね…(^^;)。
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