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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『Michael Schenker Group / MSG』

MichaelSchenkerGroup_MSG.jpg マイケル・シェンカー・グループのアルバムをもうひとつ。これは「ASSAULT ATTACK」の前の1981年発表のアルバムで、セカンドになるのかな?邦題が「神話」…中学生の時、友人たちと、「MSGって邦題がクソダセえよな」なんて言ってたのを思い出しました(^^;)。ビートルズの「ヤアヤアヤア!ビートルズかやってくる!」といい勝負です。

 音が70年代のハードロックと違ってきていて、かなりメタル。ドラムが「ズドン」じゃなくて「スパ~ン!」って抜けるのとか、うっすらデジタルシンセを入れてある所とか、コーラスがLAメタルみたいに綺麗だったりするところで、そう感じるのかな?ああ、ドラムはコジーパウエルなんですね、2曲目の最後のフィルとかカッコよかった(^^)。1曲目が同じリフを何の工夫もなく繰り返すだけでひたすら退屈で聴くのをやめたくなりましたが、そこで聴くのをやめちゃいけない。2曲目以降は曲に色々と工夫があって、なかなかでした。ギターうまいなあ。

 子どもの頃は、MSGはプレイどうこうの前に音楽が普通すぎて、苦手だったんです。でもいま聴くと、それって狙ってやってるんだな、と感じます。じゃなかったら1曲目にアルバムで一番単純な曲を持ってこないと思います。あれを最初に持ってくるのは「わかりやすく」という意図以外にちょっと考えられません。アレンジや音作りも、狙って分かりやすく、ポップにしてあるんだなあ、みたいな。何を狙っているのか…セールスでしょうね(^^;)。売れ線狙いのポップなハードロックでも、たまに出てくるロックなギターが適度なアクセントになっていて、それはそれで悪くないんじゃないかと。1曲目だけは単純だしみんなで「Are you ready!」とかハモっちゃって恥かしいけど(^^;)、2曲目から聴けばかなりイケるアルバムかも?!



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『Michael Schenker Group / ASSAULT ATTACK』

MichaelI Schenker Group ASSAULT ATTACK ロック・ギターのマイケル・シェンカー率いるマイケル・シェンカー・グループ、1982年のアルバムです!とかいって、僕はマイケル・シェンカー絡みのレコードを、MSG何枚かと、UFO数枚と、スコーピオンズ1枚ぐらいしか聴いた事がないんですが(^^)。

 ハードロックの王道を押さえつつ、演奏も曲も工夫があってカッコいい!転調にしても何にしても、取ってつけたようにならずに音楽がきれいに繋がるんですが、それって曲というより演奏がそう聴かせるレベルにあるという事なのかも。80年代以降のロックって型にはめる傾向があって、このアルバムも例外ではないですが、それでもこのアルバムは型の中にありつつも工夫もあって飽きさせず、完成度が高かったです。特に、ギターとヴォーカルがいいんですね。この頃にはRATTもモトリークルーもデビューしてたはずだし、メタルの波が押し寄せてた時期だと思うんですが、これはメタルじゃなくてハードロックと呼びたい。好きだなあ(^^)。

 そして…フライングVって、友人たちの間では「この上なくカッコ悪い」「お金を貰ってもこれだけは持ちたくない」「便座を抱えてる方がまし」などなど、なぜか大不評(^^;)。でもマイケル・シェンカーが持った時だけはやけにカッコよく感じていたガキの頃の僕でした。でも馬鹿にされそうで友達には言えなかった。フライングVどうこうじゃなくってマイケル・シェンカーがカッコよかったんだな、きっと( ̄ー ̄)。



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『サン=サーンス:交響詩集 デュトワ指揮、フィルハーモニア管弦楽団』

SaintSanes_DankeMacabre_Dutoit.jpg 同じくデュトワによるサン=サーンスの演奏を…って、オケが違いますが。サン・サーンスの交響詩全曲といくつかの管弦楽を集めたCDです。ガイコツの踊ってるジャケットが素敵。交響詩というのは標題音楽のひとつで(クラシックは「交響曲第1番」とか、曲に標題をつけないのが常)、たいがい単一楽章です。サン=サーンスが書いた標題音楽は全4曲で、「死の舞踏」がいちばん有名です。

 1曲目に入っている「死の舞踏」、これは標題音楽として素晴らしかった。夜中に墓場でどくろが踊り出し、夜が終わりに近づくと墓場にまた帰るという光景を音楽化しているのですが、そういうムードが出まくり、シーンの作り方はさすがプロ。
 そして、交響詩の中では一番演奏時間の長い「ヘラクレスの青年時代」、これは古典派的な曲想を交えながら、見事なドラマ展開でした。このCDの解説には「そのすべての作品にほぼ共通している古典主義的な作風」と書いてありましたが、それってこういう曲の曲想の事を言ってるのかな?全体として典型的なロマン派音楽に思えたのですが…。

 現代人の僕には、標題音楽って、今の映画音楽みたいであまりに俗っぽくて食傷ぎみなのですが、サン=サーンスの曲はよく出来ていて、筆致がいかにも職人的。作曲職人としてプロ中のプロという感じでした。19世紀後半にサン=サーンスがいなかったら、フランスの作曲家はグノーとかビゼーとか、オペラ・コミック書きばかりで、器楽は全滅状態だったかも知れませんね。サン=サーンスは超保守派の上にものすごい毒舌で、ドビュッシーストラヴィンスキーもバッタバッタと批判して切り捨てていたそうですが、保守で意固地でさえなければ、もう少し歴史に残る曲を書き上げられたかも。でも、フランス不毛の時代だったので、一足とびでいきなり最前線の創造的なところに行くのは難しく、誰かがサン=サーンスみたいな地ならしをやらなくちゃいけなかったのかも。サン=サーンス、軽く見ていましたが、これは見事な作曲職人。でも…音楽自体は普通のロマン派かな(^^;)。



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『サン=サーンス:交響曲第3番《オルガン付き》、組曲《動物の謝肉祭》 デュトワ指揮』

SaintSanes_Symphony3_Dutoit.jpg サン=サーンスを聴きなおしていたのは、最近こんなCDを買ったからでした(^^)。これはいい意味で予想を裏切られました。交響曲3番のあまりの音の良さに感動してしまった。サン=サーンスの音楽にここまで感動したのは初めての体験、僕の中ではロマン主義保守派のひとりという程度の認識だったのがまったく変わってしまうほどの衝撃、素晴らしかった!

 若い頃、いいアンプとスピーカーを買いました。何食昼飯を抜いたことか(^^;)。オーディオに凝ったこともあって、いい音になるように色んな工夫をしました。電源ケーブルに何万円とか、そういうオカルト的なことはしてないんですが、スピーカーの角度調整とか、トランスをいいのに取り替えるとか、音の反射を考えてカーテンをつるすとか、そういうのはけっこうがんばったんです。そんなもんで、誰かが遊びに来ると、「いいオーディオってこんなにいい音するんだ、驚いた」みたいな事を言われる時があります。オーディオの真価が発揮されるのはやっぱりアコースティック楽器を使った音楽のときで、オーケストラ作品なんて、音楽以前に音に圧倒されて「生きてて良かった」なんて思う時すらあります。いいオーディオといい演奏&録音のコンビは、人生の幸福度に直結するほどの強烈な至福体験なので、ほんとに人に薦めたい趣味です。アンプとスピーカーはいいもの買えば一生モノなので(^^)。「いいヘッドホン」なんていう人が居ますが、ヘッドホンはどこまで行ってもいいアンプ&スピーカーの音には届きません。

 そしてこのCDです。サン=サーンスの交響曲3番はかなり特徴ある音楽で、交響曲なのに教会オルガン入り、2楽章形式(とはいえ実質4楽章ですが)、循環形式の使用というわけで、ど直球のロマン派音楽には違いないんですが、すごく新鮮です。第1楽章の最初に和弦がひっそりとクレッシェンドしながら鳴るんですが、ここがデュトワ&モントリオール交響楽団の演奏と、このCDの録音がメチャクチャよくって鳥肌もの!この音の凄さを言葉で伝えられないのがもどかしいです。さらにこの曲、いきなりバーンと来るんじゃなくて、少し悲壮感ある主題がひっそりと鳴って徐々に上がって行くんですが、この徐々に迫ってくる弦の音がまた強烈。さらにポコ・アダージョとなる第1楽章後半のオルガン大フューチャー部分のオルガンの音が美しすぎてやばい。あまりの音の素晴らしさに圧倒されてしまって、本当に涙が出てきてしまいました

 音楽もそうですが、それ以上に音の良さにやられた1枚でした。このCD、昔から「音がいい」と言われてたんですが、去年(2017年)安くなって再発されたので、狙っていて買ったんですが、録音自体は1982年。いやあ、オーケストラがこんなにいい音で響くCDを聴いたのは初めてかも。サン=サーンスもロマン派もそんなに好きでない僕ですら感動してしまった1枚、これは大推薦です!!

 あ、そうそう、ちなみにこのCD、「交響曲第3番」がモントリオール交響楽団演奏で、オルガニストはピーター・ハーフォード。「動物の謝肉祭」はロンドン・シンフォニエッタで2台ピアノはパスカル・ロジェとクリスティーナ・オルティス。録音やマスタリングを含めたオーディオ面での素晴らしさも勿論ですが、素晴らしい演奏あってのものであることは勿論でございます(^^)。。音楽っていうのは、歳相応のものを聴くべく挑戦した方がいいですね。うちにあるCDやLPの整理ばかりして知ってるものばかり聴いてるようではダメだと思いました。知らないところに踏み込んで素晴らしいものに出会った瞬間の感動って、けた違いでした(^^)。


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『サン=サーンス:交響曲第3番《オルガン付》 メシアン:昇天 マッテス(org)、ミュンフン指揮、パリ・バスティーユ管弦楽団』

SaintSaens_Symphony3_Messiaen_Lasension_MyungHun.jpg 19世紀中盤から後半にかけてのヨーロッパ音楽界は後期ロマン派全盛。その中心はドイツ・オーストリアで、フランスはドイツ音楽の物真似の亜流という印象があります。だって、ドイツ文化圏にはワーグナー、ブラームス、マーラー、シュトラウスがいるのに、フランスは…グノーにビゼーですか、これは厳しい(^^;)。そんな中、2歳でピアノを弾き3歳で作曲をして「モーツァルトの再来」と騒がれた天才がいました。サン=サーンスです!このCDに入っている「交響曲第3番 オルガン付」は、「死の舞踏」と並んで、サン=サーンスの代表作と言われている作品です。
 
 「オルガンつき」とはいうものの、この録音の場合、そこまでオルガンが前に出て聴こえません。スコア的にオルガンが思いっきりメインになる所もあるんですが、そこですらけっこう控え目でした。また、第1楽章前半は、マイナーで始まったのに急に遊園地みたいになったり、あっちこっち行ってしまう悪い方に出た時のロマン派音楽という印象を持ってしまいました。しかし、ポコ・アダージョとなった第1楽章後半が素晴らしい!なんという美しさ、こういう情景を描き出す時のフランス音楽はヤバいです、隠し味のようにうしろで鳴っているオルガンに背筋ゾクゾク。この楽章は、同時代のフランクや、その後についに花開くドビュッシーの方向性にも影響してるかも。そして、どの楽章も筆致が見事で、これは技術的な作曲プロフェッショナルだと感じました。ただ、交響曲3番に関しては、最近素晴らしすぎるCDを買ってしまったので、今後はそればかり聴く事になりそう。そっちのCDはいつか紹介しますね(^^)。
 そして、カップリングに入ってるメシアン「昇天」は…バッハフォーレという前例とはまったく違うサウンドですが、これはいかにもキリスト教音楽という感じの音楽。宗教曲なのでTPOを考えたのか、まだ自分の技法を確立してない時代の作品なのか、メシアンにしては意外と王道の和音。ちょっと僕には分からないですが、カップリングしたのは何かサン=サーンスの音楽とつながりがあるのかな?天に召されて救われ浄化されるような音楽、これは素晴らしいです。特に第4楽章がいい!

 もしサン=サーンスがいなかったら、19世紀後半のフランスって、本当にオペラ・コミックみたいな娯楽的で職業音楽なクラシックしか残らなかったかも。サン=サーンスで生き残ったフランス音楽が、メシアンのような見事な音楽にまで繋がるという所に、歴史というものの重さを感じました。フランス音楽の流れを感じる、いいCDでした。



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マウスの左クリック不調を直す!

mouse_bunkai.jpg ここ半月ほど、マウスの左クリックの反応が悪くてストレスたまってます。クリックできなかったり、逆に勝手にダブルクリックになったり、ドラッグ中に勝手に離してしまったり(`д´)ノムカツクゼ。アマゾンで一番安いマウスだったし、買い替え時かなと思ったんですが、買う前に直してみよう、そうしよう。

 まずはマウスを分解。ネジ1本で外せました。すごい工業デザインだ、耐久性よりもコストダウン優先なんだな…。すると…クリックするスイッチのパーツがハンダで固定されてる(>_<)。これはスイッチのパーツを購入して交換すれば治りそう。パーツの値段を調べたいが、そのためにはネットにつなぐ必要があるので、もう1回マウスを使いたい。というわけで、いったん蓋をしめて、PCにつないでみると…直った!メッチャ快適じゃないか!どういうこっちゃ…。

 推測するに、何かのはずみで、マウス外側のクリックする部分と、スイッチパーツの当たりが悪くなっていた模様。「カチカチ」というスイッチの音が依然と全然違います(^^;)。というわけで、左クリックの利きが悪くなったら…

  1. 買い替える前に、一度分解してから、スイッチの当たりを調節して元に戻してみましょう。私はこれで治った!
  2. 安く済ませたいなら、スイッチパーツを買って、自分でハンダして取り替えましょう。僕のLogicoolのマウスの場合、スイッチはOMRON製で@150円、これに送料です。
  3. ハンダがめんどくさかったら、すなおにマウスを買い替えましょう(^^;)。


 そうそう、僕は無線マウスに懲りたことがあって、今は激安の有線マウスを使ってます。マウスは消耗品だと思っているのでね( ̄ー ̄)。。


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『Woody Herman And His Orchestra ‎/ The 3 Herds』

WoodyHerman_the3herds.jpg ビッグバンド・ジャズがそこまでに好きじゃない僕でも、このレコードだけは人に推薦したい、そんな1枚です。そんなに有名じゃない1枚と思うんですが音楽も演奏も見事、なんてったってウディ・ハーマン・ビッグバンド全盛期の演奏ですから!僕はスウィング期までの白人ビッグバンドで特に素晴らしいのは、ウディ・ハーマンとバディ・リッチのビッグバンドだと思っています。なんで伝説のグッドマングレン・ミラーよりも好きかというと、ひとえにこのアルバムによるのです。LPを持っていてお気に入りの1枚だったんですが、ボーナストラック14曲入りのCDがある事を発見し、つい最近買い直しました。そして…あまりに良くってヘヴィーローテーションです(^^)。

 クラリネット&サックス奏者であるウディ・ハーマンの作ったビッグバンドは、「ハード」と命名され、コンセプトやメンバーが大幅に変わるたびに「セカンド・ハード」「サード・ハード」と名前が変わっていきます。全盛期はファースト・ハードからサード・ハードまでで、中でもズート・シムズやスタン・ゲッツを擁したセカンド・ハードが音楽的最盛期なんて言われています。ところが僕が若い頃の80年代日本だと、ファースト~サード・ハード時代の録音が手に入れにくくて、中古盤屋にぜんぜん出ないしCDも全然復刻されない(T_T)。。60年代以降のアルバムは買おうと思えば買えたんですが、どうせなら1番いいと言われてる50年代前後から聴きたいじゃないですか。そんな時に見つけたのがこのLPでした。LP1000円まで、CD1400円まででゲッチュするのが自分的なルールだった若い頃の僕にとって、3000円以上の値がついていたこのアルバムの購入は二の足を踏みました。でも、1945年から54年までの録音でウディ・ハーマン楽団の全盛期だし、代表曲「フォー・ブラザーズ」も入っていたので、思い切って買ったのでした。当然、数日間昼飯は抜き(^^;)。しかし大当たりだった!

 2次大戦前後の白人ビッグバンドなので、陽気でエンターテイメントな分かりやすいポピュラー音楽なジャズを連想するじゃないですか。実際、グッドマンもミラーもベイシーも、「古い音楽」を聴く感覚で聴いてましたし、このアルバムもファーストハード時代はそうです。でも、セカンドハード以降はぜんぜん違う、もうほとんどクールジャズでした。コンボと言っても信じてしまいそうなぐらいに洗練されたアンサンブルとスコアで、思いっきり知的な音楽だったのです。この楽団を代表する曲「フォー・ブラザーズ」は、セカンド・ハード時代にバンドが誇った木管セクション在籍のズート・シムズやスタン・ゲッツのアンサンブルとソロを大フューチャーした曲なんですが、エンターテイメントだけでなくライティングが見事。大味えエンターテイメントなアメリカ音楽もここまで来たかという感じでしたが…おお~ジミー・ジュフリーのアレンジか!!他にも見事なライティングが随所にあって、やっぱりクラシックを修めた人が1枚噛んでないと、この時代のアメリカでこのアンサンブルは無理だよなと思う所が随所にありました。そういう意味でいうと、凄いのは、ウディ・ハーマンよりも影武者ジミー・ジュフリーや、そのアンサンブルを成立させるところまで成熟してきていたプレイヤーの音楽レベルかも。
 他にも素晴らしい曲とアレンジと演奏が満載で、クールジャズ色の強い曲の中では、ミドルナンバー「Early Autumn」が、コード・プログレッションも木管のアンサンブルも素晴らしくて、魅了されました。ほとんどコンボのような綺麗なアンサンブル、これをビッグバンドで実現してしまうのは、戦後間もなくでありながらすでにギル・エヴァンスジョージ・ラッセル登場一歩手前という感じです。

 けっきょく僕は、ウディ・ハーマン全盛期の録音はこの1枚で済ませてしまいましたが、少なくともこの1枚は、僕が聴いてきた40年代のビッグバンドの中で、音楽的に明らかに他よりも上を行くバンドだと思います。有名じゃないかも知れないけど、大推薦の1枚!アナログ盤の音にこだわらないなら、ボーナス14曲追加のCDが特におすすめです(^^)。



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『Glenn Miller / plays selections from The Glenn Miller Story and other hits』

Glenn Miller plays selections from The Glenn Miller Story and other hits 第2次世界大戦前後に活躍した白人ビッグ・バンドといって、僕がベニー・グッドマンと並んで思い浮かべるのが、グレン・ミラー・オーケストラです。「ムーンライト・セレナーデ」や「茶色の小瓶」「イン・ザ・ムード」あたりの曲は、ビッグバンド・ジャズをきかない人でも、聴けばメロディを知っているだろう大有名曲。ところが、これだけヒットを飛ばしておきながら、グレン・ミラーのオーケストラが活躍したのは1938年から1942年の間のわずか数年間。2次大戦中に慰問に渡った飛行機が行方不明、そのまま帰らぬ人となりました。このCDは、映画「グレン・ミラー物語」のサントラ盤で、アルバムタイトルからすると、映画に使われなかった曲も入ってるのかも。

 若い頃、グレン・ミラー・オーケストラのレコードを買うのに、ちょいと苦労しました。「ムーンライト・セレナーデ」から察するに、軽いエンターテイメント的な音楽である事は想像できるわけで、ベスト盤でも1枚聴いておけばいいやぐらいの軽い気持ちだったんです。ところが、活動期間の短いバンドなので、録音が少なく、これというベスト盤が見つからなかったんです。最初に掴んだ2枚組のベスト盤は、「あれ、これ、さすがに録音が新しすぎだろう。42年に死んだ人の録音がこんなにいいわけないぞ」。たぶん、グレン・ミラーのいないグレン・ミラー・オーケストラというビッグバンドがずっと存続していて、そのバンドが演奏したものだったんでしょうね。これは違う…。他にも、「未発表録音集」とか、ライブ盤とか、ベスト盤なのに「ムーンライト・セレナーデ」が入ってないものとか、とにかくいいレコードが見つからなかったのです。そんな時に中古盤屋で見つけたのがこの1枚で、ジャケットの下に書いてある「Glenn Miller’s original recordings」という文句に購入を決意したのでした(^^)。

 さすがは「グレン・ミラー物語」のサントラ盤、有名曲はみんな入ってます。逆にいうと、サントラ盤なので、ビッグバンドの醍醐味を堪能するというより、ラジオ放送かジュークボックス用に1曲3分ぐらいで曲のヘッドだけ演奏したようなものばかりで、実際のビッグバンドの音楽を聴くというほど聴けません。ただ、5曲目の「カラマズー」だけは8分超の演奏で、強烈なソリもトゥッティも炸裂、最後にはアッチェルしてぜんそくで駆け抜けて大団円!おお~カッコいい、ビッグバンドはこうでなくちゃ(^^)。そして、アルバム最後に入ってる「King Porter Stomp」の怒涛のソロと、トゥッティの強烈なきまり具合が見事!いや~この演奏から察するに、放送用に縮小してないライブでの演奏はすごかったんじゃないかな…。

 そんなわけで、グレン・ミラーの有名曲をとりあえずひと通り聴きたいという僕みたいな人には、このレコードはうってつけと思います。でもきっと、実際のステージでのグレン・ミラー・オーケストラの音楽はもっと違ったんじゃないかと思うんですよね。僕はそこまで深く入る前にスイング系ビッグバンドを卒業、以降はモダンビッグバンドしか聴かなくなってしまいましたが、このLPのA面5曲目やB面ラスト曲を聴いてしまうと、ライブ盤があるなら聴いてみたいと思ってしまいました(^^;)。いいバンドだったんだなあ、アメリカ人音楽家の飛行機事故の多さは、本当に残念だなあ。


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『Benny Goodman / Carnegie Hall Jazz Concert』

Benny Goodman Carnegie Hall フレッチャー・ヘンダーソンが自分のバンド解体後にアレンジャーとして参加したのが、クラリネット奏者ベニー・グッドマンのビッグバンドだったそうです。僕はベニー・グッドマン体験の方が先で、グレン・ミラーとかあのへんのビッグバンドをひと通り聴いていた時に手を出したのがこれ。ベニー・グッドマン・オーケストラのレコードでいちばん有名な1枚ではないでしょうか?!

 1938年のライブなので、世界大戦直前のジャズそのままです。当時、アメリカ音楽の一番人気はジャズだったと思うので、これこそアメリカの音だったんでしょうね。日本の太平洋戦争前後を描いたテレビドラマを見かける事がありますが、そこでよくラジオからジャズが流れてくるシーンってありませんか?まさにあの音楽です。フレッチャー・ヘンダーソンの頃のジャズ・エイジなジャズと、デューク・エリントンあたりのモダン・ビッグバンドの中間で、アレンジも簡明で分かりやすい、1曲も短い、ムーディーでもあり楽しくもある軽音楽という感じ。若いころはジョン・コルトレーンあたりのモダン・ジャズの洗礼を受けた僕だったので、こういうジャズは「ヒップなおじいちゃんが聴く古いジャズ」という印象だったんですが、いま聴くとこれぞエンターテイメントで楽しいです。ジャズはもとより、アメリカのブラスバンドの歴史も、コープランド当たりのクラシックも、映画音楽も、その背景に見えて、アメリカ音楽がギッチリ詰まってると感じます。
 ベニー・グッドマン自身のクラリネット・ソロは意外と多くないんですが、「ボディ・アンド・ソウル」あたりで聴く事の出来るソロは、シャルモーが美しく、クラシックの教育を受けた経験があるんじゃないかと思ってしまいました。ルイ・アームストロングやガレスピーの演奏がいかにも「ジャズバンドに入ってから成長した叩きあげ」という感じなのに、グッドマンはアーティキュレーションのつけ方とか、とってもクラシックなんですよね。
 他では、ボディ・アンド・ソウルのピアノがメッチャ味があっていい…クレジットを見ると、テディ・ウイルソンかライオネル・ハンプトンあたりみたい。バド・パウエル登場以前のジャズピアノって、ラグタイムとかブルース的で気持ちいです(^^)。それから2枚目3曲目「ロック・ロモンド」での女性ヴォーカルが、ジャズのようなカントリーのような感じですごく良かったです。マーサ・ティルトンという人みたいですが、これは落ち着いていいなあ。

 アメリカのエンターテイメントの花形だった時代の古き良きジャズ。それが、カーネギー・ホールというアメリカのクラシックのメッカに進出したという歴史的なコンサートでもあったのかも。僕にとって合衆国が素晴らしく見えるのって、開拓時代からこのあたりまで。以降の病んだアメリカに沸々と出てくるサブカルチャーのパワーも好きですが、聴いていてホッコリできるのはやっぱりこの辺までかなあ(^^)。


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映画『ア・ホーマンス』 松田優作監督、松田優作・石橋凌出演

A hormance_movie この映画も、実は狩撫麻礼さん原作。しかし僕は原作漫画を読んだ事なし。昔、古本屋に行くたびにチェックしてたんですが、とうとう見つからなかったのです(^^;)。マンガを読んだ友人によると「原作と映画はぜんぜん違う」んだそうで。この映画、僕はかなり好きです。好きなんですが、オチですべてぶち壊し(^^;)。。

 松田優作さんが大好きな僕ですが、この映画は、石橋凌さんの芝居がスバラシイ!石橋さんは日本のロックバンドARBのヴォーカルですが、立ち姿良し、声良し、さらに雰囲気が抜群にいいです。カッコだけつけてる人っているじゃないですか。カッコだけつけてナヨナヨしてると、僕は人間的な魅力を感じなかったりします。線の細い弱そうな男が嫌いなんですよね。眉毛とか剃ってるひまあったら腕立て伏せやれ、みたいな。一方で、胆の据わってる人には、すごく惹かれます。ルックスじゃなくて、貫録が重要なのです。調子乗った事やっといて、いざ叩かれると泣いて謝罪会見しちゃう人とか、甲高い声して子供みたいにすぐ逆切れするわりにヤバくなると人のせいにして自分だけ逃れようとするどっかの総理大臣とか、ぜんぜん駄目。いい時は誰だっていいわけで、苦しい時にそれを越えられるかどうかが人間の実力だと思うんです。胆の座り方で言えば、勝新みたいな胆のすわり方していてほしいわけです。あ、もちろん、やってる事がいいかどうかは別ですよ、あくまで胆のすわり方の話。そしてこの映画での石橋さんの立ち居振る舞い、すべてがいいです。松田さんが俳優にスカウトしたのも分かる。この映画、石橋さんと松田さんの立ち居振る舞いを観るだけで元を取れると思います。

 この映画のもうひとつの魅力は、匂いです。映画は、やくざの抗争を題材にしていますが、60年代の任侠映画や70年代の実録暴力団映画と雰囲気が違って、独特のセンス。音楽に例えると、80年代に出てきたニューウェイブとかテクノみたいにどこか非人間的で無機質、非現実的で、どこまでも芝居や幻想のようなムードがあります。東京の新宿の西口の高層ビル群の中に入っていくと、こういう無機的な雰囲気を感じる事がありますが、そういうムードをこの映画から感じて、惹かれる自分がいました。

 ただ、映画の落ちだけがちょっとね(^^;)…この落ちを良いという人ってほとんどいないと思うんですが、制作の段階で誰か止める人はいなかったんでしょうか。この落ちゆえに今も駄作扱いされてる映画と思いますが、でもそこ以外は本当にいいんですよ。オチだけ撮り直したら、良作になってた可能性もあるんじゃないかなあ。。



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コミック『ハード&ルーズ』 原作:狩撫麻礼 画:たなか亜希夫

Hard and Loose 探偵ものの漫画「大川端探偵社」を読んですぐに思ったのは、「あ、これは『ハード&ルーズ』の焼き直しだな」ということ。そっくりのモチーフの話がいくつもありました。そして個人的には、「ハード&ルーズ」の方が圧倒的に好き。たんに話が面白いだけでなく、その背景にある思想に魅了され、そして熱気が凄い!こういう熱さをいいと感じるか鬱陶しいと感じるかは、時代や世代によって違ってくると思うんですが、僕は冷めて分かったような態度を取る人より、全身でぶつかってくるもののほうが好きなのです。なんでもしたり顔で語れるほど分かってる人なんて、そうはいないと思うのでね。

 探偵ものの漫画なのですが、その背景には生き方や人生に対する問いが常にあるように感じました。話は一話完結で、齢をとってもステージにあがりつづけるストリッパーの話、ハンデを隠してリングに立つボクサーの話、余命宣告をされた詩人の話、自分を押し殺して実業で成功した男が自分に復讐される話…どの話も、「どう生きるか」が問われているように感じました。こういう所に真正面から切り込む事を「ダサい」「クールじゃない」と思う事の方がダサいと思うんですよね。実は逃げているだけというか。20歳ぐらいの多感な頃に、この漫画を読んで大いにゆすぶられました。読んだ事のない人には、「これは読まないといけない」と本気ですすめたい漫画のひとつです。

 漫画原作者の中で、僕は梶原一騎さんと狩撫麻礼さんのふたりがダントツで好きです。日本の漫画文化のいちばん熱い時代って、梶原一騎さんから狩撫麻礼さんあたりまで繋がっていった劇画の背景に横たわっている、60~70年代の戦後日本思想史を描き出した時だったと思っています。それは、文学や詩よりもダイレクトに本音を語れていたと思います。それ以降の日本は、思想と言えるほどのものを人が考えなくなりましたし。どう生きて行けばいいかを真剣に悩んでいた頃、むさぼるように読んでいた漫画のひとつでした。



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コミック『リバースエッジ 大川端探偵社』  原作:ひじかた憂峰 画:たなか亜希夫

riversEdge.jpg 狩撫麻礼&たなか亜希夫の名コンビによるコミックをもうひとつ。『リバースエッジ 大川端探偵社』、私立探偵ものの漫画です。あ、ひじかた憂峰というのは、狩撫麻礼さんのペンネームのひとつです。なぜそれに気づいたかというと、話の中に狩撫麻礼さん原作の探偵ものコミック「ハード&ルーズ」とそっくりの話がけっこうあるのでね( ̄ー ̄)。そうそう、いつぞやEGO WRAPPIN’ が主題歌を歌ったテレビドラマを紹介しましたが、その原作がこの漫画です。

 話は探偵ものなんですが、トリックを解くような推理ものではなく、ある不可解な調査依頼の裏にある人間ドラマにスポットが当たっています。たとえば、こんな感じ。あるぼったくりバーに、サラリーマンがつかまり、ビール1本で10万円ぐらいを支払わされます。しかしこのサラリーマン、ぼったくられたバーに毎月来るのです。それを不審に思ったやくざが探偵に依頼。そして真相を知り、胸を打たれたやくざが最後に「おい、今後その方からはぼったくるんじゃねえぞ」といってエンド…みたいな。ね、推理というよりも人間ドラマでしょ?!素晴らしいドラマなんです。
 そして、1話完結のこのドラマの背後には、狩撫麻礼さんが伝えたいたったひとつのメッセージがあるように思えます。生きるためにいちばん大事なもの、これを訴えたいんじゃないかと。狩撫さんは、恐らく意味や信念や意地を大事にしてます。でも今の時代は、意味や信念なんかよりも、お金とか目先の得とか楽とか、そういうものを大事にしているように見えます。これに反抗したいのでしょうね。そういう意味で、この漫画は、狩撫さんの傑作「ボーダー」や「ハード&ルーズ」とまったく同じ路線の漫画といえると思います。

 ただし…「ボーダー」や「ハード&ルーズ」に比べると、ちょっとクールで、伝える熱気をあまり感じません。かつて狩撫さんが書いたストーリーとそっくりな話も、いくつも出てきます。そういう意味でいうと、人に何かを伝えるという熱さが枯れてきてしまい、プロの漫画原作作家としてのテクニックだけが残ってしまったのかな…という気もします。それでも、テレビドラマ化されるほどによく出来た人間ドラマ。そこらの漫画よりずっと面白いことは確実!ところでこの漫画、僕は9巻まで読んだんですが、そこで終わりなのかな。原作者が死んで未完のままという事なのかも(・_・、)。



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コミック『迷走王ボーダー』 原作:狩撫麻礼 画:たなか亜希夫

MeisououBorder.jpg うあああああ、漫画原作者の狩撫麻礼さん、今年の1月に亡くなってたのか?!これは言葉が出ない…。「ボーダー」も「ハード&ルーズ」も、自分の多感な青春時代に心を動かされた、素晴らしい漫画でした。安保闘争の頃の大学生たちがバリケードの中でフォークミュージックを聴いたり「あしたのジョー」を読んでいたように、優等生でもなく将来どう生きればいいか分からなかった20歳の頃の僕は、この人の漫画を何度も読みふけっていました。20歳ぐらいの時にマンガに人生を考えさせられた…な~んてなかなか恥ずかしくって言いにくいんですが、僕は社会に出る直前の時期に、このマンガに「どう生きるか」を真剣に考えさせられたのでした。それぐらいスバラシイ漫画です。
 
 漫画週刊誌に連載されていたマンガなので、読者に人気がなければ打ち切られるでしょうし、その辺は読者をひきつけるような事件やドラマも起これば、ギャグも色々とぶっこんであります。でも、このマンガの一番の主張と魅力は、生きていくうえで人間は何を判断基準にしていくべきなのか、これをテーマにしている所だと思います。主人公は蜂須賀という、定職に就かずに安いぼろアパートに住んでいる40歳の男です。でも彼は若いときからやる気なくだらしなく生きてきたわけではなく、色々な事を考え、もがきながら最後にこのアパートに行きついています。
MeisououBorder_137.jpg彼は、女にもてるためにチャラい恰好をして何の考えもなく流されている若者を見て怒り、工事現場で働く女性を見たり、地下ボクシングで生きぬいている老人を見たりすると共感します。とてつもないセレブでセックスアピールの強い美人姉妹に愛されても、彼女らに傲慢さを見ると切り捨てます。若いころに、意味なんて問わなくなって金や私欲ばかりに浮かれ始めた日本の社会に、違和感を覚えながら葛藤する姿は他人事ではなく、そこに共感を覚えました。色々なエピソードがある中で、最後に彼の下す決断の理由に共感するのです。

 マンガだと思って馬鹿に出来ない、「ルパン三世」や「じゃリン子チエ」といった大人の鑑賞に堪える漫画をたくさん生み出した「漫画アクション」に連載されていただけあって、大人の鑑賞に堪える内容でした。高校生ではこの漫画の真意が分からないかも知れませんが、大学生以上の人には、ぜひ読んで欲しい素晴らしい漫画です!子供向け漫画ではなく青年向けに作られた日本の劇画って、生半可な小説よりすばらしいと思える名作がけっこうあると思ってます(^^)。そしていまさらですが、狩撫麻礼さん、ご冥福をお祈りいたします。


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『Carole King / Super Hits』

Carole King Super Hits キャロル・キングのベスト盤です。71年発表のアルバム『つづれおり』から75年発表『サラブレッド』までの6枚のアルバムから各1~2曲ずつ、そしてヒット曲「I Feel The Earth Move」は96年に行われたカーネギーホールでのライブ録音で、「つづれおり」とのダブりを巧妙に避けてあります。というわけで、このベスト盤はたぶん『つづれおり』を持っている人も持ってない人も不満に思わないように作ってるんじゃないかと。でも、デビュー作『ライター』からはセレクトされないんですね。あれは無かったことにしたいのか(^^;)。

 最初に感じたのは、70年代なかばまでのキャロル・キングの曲の作りって、80年代以降の日本の歌謡曲~ポップスと同じ作りということでした。コードとメロディだけ作って、それをスタジオ入ってバンドに適当にヘッドアレンジして演奏してもらって、歌唱力はそんなに気にしない、みたいな(^^;)。同時代のポップスでも、カーペンターズやサイモン&ガーファンクルやABBAのアレンジの丁寧さ、プロっぽさはないです。『つづれおり』の頃は、音楽のプロじゃない都会に住んでる子が自分の生活を歌にしている、みたいでいいなと思ったんですが、そこからもプロとしてアルバムを4枚も5枚も作るなら、さすがに作曲も歌も上達して欲しかったなと思ってしまいました。いつまでもコードとメロディだけのものを作曲と言われてもね(*゚∀゚)アハハ。というわけで、耳の肥えた音楽ファンがマジメに聴くには、ちょっとしんどい音楽かも。

 ベスト盤として。曲は少なめです。でもベスト盤って、シングル盤だけ抜き出したこれぐらいのボリューム感がちょうどいいのかも知れません。ベスト盤って、CDの時間いっぱいまでパンパンに入れてあると疲れませんか?もちろんヒット曲が10曲も20曲もある人なら話は別と思うんですが、僕はベストって、シングルや有名曲だけ入ってればいいと思っちゃいます。昔、H2Oというグループのベスト盤を買ったら、知らない曲だらけなのに70分ぐらいギッチリ入ってて、ちょっとしんどかった。。というわけで、「つづれおり」以外のキャロル・キングを1枚で済ませたいという僕には、ちょうどいいボリュームのベスト盤でした(^^)。



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『Carole King / Music』

Carole King music 大ヒットした「つづれおり」と同じ71年にキャロル・キングが発表したサード・アルバムです。「つづれおり」を意識したのか、ジャケットがそっくり。ちょっと違うのは、「つづれおり」には猫が写ってましたが、こっちは内ジャケに犬(^^;)…でもこの犬がかわいい。。

 1曲目「Brother, Brother」ですが、詞、曲想、トレモロの効いたエレピ、「NaNaNa」「Woo」というメリスマっぽい歌のダビング…マーヴィン・ゲイの「What’s Going On」とそっくり(^^;)。調べてみたら、どっちも71年発表、「What’s Going On」が5月発表で「Music」が12月発表。…たぶん大ヒットしていた曲のアレンジを参考にしたんだな( ̄ー ̄)。これと同じような事が随所にあって、A面最後の「夢見る世界」のブラスアレンジはカーペンターズ調。アルバム最後の曲は…これはだれが聴いてもビートルズの「ゲットバック」 (^^;)。たぶん、アレンジを自分でやってないので、作曲後にアレンジャーに丸投げして、アレンジャーはレコード会社からの指示で売れてる曲の何かに似せてこうなった…みたいな感じなんじゃないかと。曲じゃなくて、サウンドやリズムや編成をパクるんですね。というわけで、こういう70年代初頭の洋楽のポップスのアレンジの特徴が随所に出てます。
 良いと思ったのは曲で、これは60年代末から70年代初頭のアメリカのポップスの良さを引き継いでいると感じました。特にいいと思ったのが「Surly」「Carry Your Load」「Music」の3曲。メロディは綺麗だし、和声進行はクリエイティブだし、単純にツーハーフにしておしまいにせず、これはいいなあ、と。ただ、作曲以降のアレンジや録音の進め方が雑で、アレンジというほどのアレンジが施された曲は少なく、メロコード譜だけ作ったら、あとはスタジオに入ってヘッドアレンジでババッと録音して終わりみたいな曲でほとんど(^^;)。う~ん、せっかく曲がいいんだから、アレンジも頑張って欲しかったです。このへんの雑さがプロじゃないんですよね。こういうところがサイモン&ガーファンクルやカーペンターズ、ポール・マッカートニーロバータ・フラックあたりの同世代のポップスのクリエイターに届かないところ。

 そうそう、僕はこのアルバムを日本盤LPで持ってるんですが、それは見開きジャケットで、見開いた内側の写真がすごくいい!グランドピアノの前にキャロル・キングが座っていて、その足元にシベリアン・ハスキーが座って彼女を見上げてます。そしてこのジャケットが光沢仕上げではなくマット紙を使って、かつエンボス調でボコボコ。う~んこれはジャケットが素晴らしい。というわけで、もしこのアルバムを買うなら、出来れば廉価盤でない当時のLPでの入手をお薦めします!


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『Carole King / Tapestry』

Carole King Tapestry アメリカの女性シンガー・ソングライターと言って僕が最初に思い浮かべるのはこの人、キャロル・キングです!邦題は「つづれおり」、71年発表のセカンドアルバムで、アメリカでは15週連続1位、チャートには6年近く入っていて、400万枚以上を売りあげたそうです。歌唱印税6%でアルバム単価2000円として…すげえ、それだけで4億8000万か、これに作詞作曲の印税も入るから軽く10億は行くな。アルバム1枚で10億越え、ライブなんてやった日には…人口が多いだけに当たったら桁違い、アメリカの音楽産業ってすごい。

 キャロル・キングはニューヨーク生まれ、田舎の素朴な歌ではなく、都市部に住んでる人が作りそうな音楽です。曲はリート形式。メロディは覚えやすく、コードワークとメロディの関係だけに作曲の意識が特化されているのでフォークソングのようで、都会で生きてるごく普通の女性が思いそうな詞。都会的といっても、セレブじゃなくってアパート暮らしでがんばってる感じの詩やジャケット写真。歌があまりうまくないのが、逆に歌というより話し言葉みたいに聴こえてくる効果があるし、メロディとコードしか作ってないのが、逆に商音楽ではなくフォークソングのように聴こえてきます。こういう音楽を聴いていて僕がいいなと思うのは、プロが作った音楽ではなくて、ミュージシャンを目指している女性が、非常階段が錆びついたニューヨークのアパートにアップライトピアノを持ちこんで、一生けんめい曲を書いてるんじゃないかと思えてしまうところ。このCDもピアノの音はアタック音しか聴こえなくてまるでアップライトピアノみたいだし、歌も演奏も下手ですが、ピアノを弾きながら、譜面台に置いた5線紙に鉛筆でいっしょうけんめいメロディとコードを書き込んでるのが目に浮かぶよう。ピアノパートを聴く限り、和音ぐらいしか書いてないんでしょうが、でも歌を作りたくてピアノに向かって…みたいな。うまい下手でいったら、7曲目に入ってる大名曲「You’ve Got A Friend」なんて、ダニー・ハサウェイとロバータ・フラックが歌ったものの方が断然プロフェッショナルですが、こっちはアマチュアの一生懸命さみたいなものがにじみ出ていて、それはそれですごくいいな、と思ってしまいます。

 このレコード、演奏こそバンド形式ですが、都会のフォークソングのように聴こえてきました。ニューヨークにアパート住まいで、日常生活があって…都会の素朴な日常が音になったようです。サイモン&ガーファンクルからこのあたりまでのアメリカのポップスって、素朴さが素敵だなと思います。


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書籍『現代音楽を考える』 ピエール・ブーレーズ著

Boulez_GendaongakuwoKangaeru.jpg ブーレーズの作品に関する(じゃっかん否定的な?)事をあれこれ書いてしまいましたが、これは間違いなくかわいさ余って憎さ百倍の典型です。だって、若い頃、現音でいちばんすごい人ってこの人だと思ってましたし、実際にメシアン以降でいちばん研究したのもブーレーズでした。この本、現代音楽をまったく聴いたことのない人は、読んでも理解するのはむずかしいと思います。でも、シェーンベルクやメシアンや前衛三羽烏あたりの現代音楽の有名曲を聴いて「面白いなあ、でもどういう事をやってるのかまではちょっと分からん。ちょっとマジメに勉強してみようか」みたいな人にはジャストフィットじゃないかと!なんてったって、現音のなかの名著のひとつですからね(^^)、仮に苦手と思っても、現代音楽を勉強したいなら避けては通れない一冊だと思います。

 国内の二流コンクールですら4位入賞が精いっぱいだった僕は、クラシック・ピアニストになるのは無理だと痛感、自分なりにあれこれ考え、ピアノはクラシックのリサイタリストは断念してジャズに絞り、音大では作曲科への転科を目指しました。せっかく音大に入ったんだから、ピアノの道が無理なら、せめて大好きな現代音楽の作曲の勉強だけでもしてから卒業したい、願わくば作曲家の道が開けるかもしれない、みたいに考えたんです。その転科を目指した時期に、この本に出会いました。現代音楽の中心人物ブーレーズが書いたもので、新ウィーン楽派の作曲に触れながら、ブーレーズのセリー作曲に関する考えをザックリと書いてあります。セリーの概論を、音高、持続(分かりやすく言えばリズムやテンポ)、強度、音色に分けて、それがどのように組織化されていくか…という所を、分かりやすく大まかにかいてある感じです。

 この本を読んだ時、なんで現代音楽の作曲技法に教科書がないのか、その理由が分かった気がしました。たとえば、この本で書かれているセリーの音高に関していえば、その音高上での音列とそのグループ化のあり方によって、音を組織化するルール自体がおのずと変わっていくから…みたいな。バッハやベートーヴェンの頃のフーガやソナタなら、和声法も楽式も既定があって、その中で作曲します。そういう意味でいうと、今の産業ロックや産業ポップスに似てます。ところが現代音楽は、その和声法や楽式自体も半分自分で作曲するような世界だったのです。今は、「これはセリー」「これはミニマル」みたいな産業ロック的な職業現代音楽もあるんですが、当時の世界の最前線はそうじゃなかったように感じます。硬派だったんですよね。
 僕は「人生が掛かってるんだ、意地でも作曲科に転科したいんじゃ。基礎から教えてくれ!」と必死だったんですが、「セリーの基礎はこれだけ。この先は自分で作れ!」と、サッカーでいえば基礎的なルールだけ教えられて突っ返された感じ、パスやドリブルのコツすら教えてくれない(^^;)。教えてもらって当たり前という学生気分が抜けていなかった僕は、放り出された気分でした。「そうか、自分で研究して自分で作曲技法自体を創って切り開く世界なんだ」と分かっただけでも前進というほど、僕は無知だったんです。当時は実際に独学で原音を学ぶと言っても教科書が少なかったですし、それも仕方なかったかも。でも、本当の意味で自分で創るということをはじめて知った気がして(与えられた枠の中で創るポップスの作曲やジャズのアドリブは、実は作曲もアドリブ演奏もヴァリエーションを生み出してるだけで自分で創ってるわけではないんだと、この時にはじめて感じました)、ワクワクもしたし夢も勇気も沸いてきました。メシアンの「世の終わりの四重奏曲」や武満徹の「ノーヴェンバー・ステップス」という、今までまったく聴いたことのない衝撃の音楽世界を経験してから何年も経ち、いまやっとその舞台裏入り口が見つかった…そんな気持ちでした。この後、必死こいて勉強した甲斐あって作曲科への転科に成功(でも転科試験に現音はほとんど出なかった^^;)、限られた移調もセリーの基礎も無事授業で学ぶ事が出来ました(^^)。買い集めたCDやLPは売っても、作曲家一門だけに伝えられる門外不出のこの時のノートだけは一生手放さないぞ。

 当時、独学でセリーの技法を学ぼうとしたら、最初に音列技法メシアンの技法を学んで、そこから先はこの本を含めたブレーズやシュトックハウゼンの本、それに「20世紀の作曲」ぐらいしか突破口はないというほど、この本は重要でした。あとは、海外音大の現代音楽作曲家クラスのノートを何とかして手に入れるとか、僕にはそれぐらいしか道が見つけられませんでした。いまだと少しは状況が違うんかなあ…。どうしていいか分からずに途方に暮れていた僕の目の前に垂れ下がった一本の蜘蛛の糸、それがこの本でした。これ、メッチャいい本です。現代音楽が好きな人は、たとえ作曲をしない人でも、現代音楽の軸のひとつがどういうものなのかが分かりやすく理解できるので、とってもおすすめです!


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『ブーレーズ:レポン、二重の影の対話 ブーレーズ指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポラン』

Boulez_Repons.jpg ブーレーズの作曲した、電子音響を使ったシアトリカルな作品2つを収録したCDです。僕は解説を読まないとこの作品の意義の半分も分からなかったと思うので、英語がフランス語が分からない人は日本盤を買うのが賢明かも(^^)。

 「レポン」は、演奏者が3つのグループに分かれて、コール&レスポンス型で音楽が発展していく曲です。もしかしたら「レスポンス」という意味なのかな…フランス語分からん。3つというのは、6人のソリスト、24人のオーケストラ、そして電子音響システムです。音楽は、ソリストが音を提示して、オーケストラがそれに返答するという形をくりかえしながら発展していく感じ。電子音響システムの役割は、ソリストの音をリアルタイムで変形させる事。シアトリカルというのは、劇場内での楽器配置がそうで、オケは劇場の中央に位置、ソリストはそれぞれ劇場の隅に位置。というわけで、観客はソリストとオケの間に挟まれる事になるみたいです。ステージと客席という音楽の聴取関係を崩すとか、なにか意味があるんでしょうね。ただ、シンセと電子音響システムの違いが、CDだとよく分かりません(^^;)。M4なんかはピアノにディレイがかかってるので電気的な処理をし事はわかるんですが、「ピアノ+シンセサイザー」というソリストがいるので、ソリスト側で操作したのか、電子音響システムで操作したのか分かりませんでした。電子音響システムですが、たとえばロックやクラブミュージックみたいに「フィルターかけました!」「ピッチシフトしました!」みたいに露骨な音色処理はしていなくて、生の楽器と区別がつかないようにしてあります。では、どこに電子音響システムを使う必要があったかというと…この曲、音が増殖していく部分で、テンポ190ぐらいで、インテンポで8分音符の連続みたいなシーンが長く続くところがあります。これに演奏がどんどん折り重なってまるでミニマルみたいになるんですが、たとえばこういう所で電子音響システムを使ったのかも。たしかに「タタタタタタタタ…」みたいなものなら人間より機械の方がうまく演奏するでしょうし、その変奏が折り重なると、なおさら人間では演奏困難かも。ただ、そうやって機械に正確に演奏させた音楽が面白いかというと、それはまた別の話(^^;)。

 「二重の影の対話」は、クラリネットの演奏と、録音されたクラリネットの対話のような音楽。これもシアトリカルに、生演奏は劇場中央、録音されたクラリネットはステージを囲んだ後方のスピーカーから、という事みたいです。ぼうっとして聴いてると、最初のうちはクラリネットソロかと思ってしまうかも(^^;)。ただ、音の重なる所や、音が右や左から聴こえる時があって、だんだんどれが生演奏でどれが録音だか見当がついてきました。音楽的にはABCAみたいな構造で、僕的には影との対話というよりも、影との対話を含みつつあくまでクラリネット独奏と捉えた方が、構図がつかまえやすかったです。ところでクラリネット奏者のアラン・ダミアンという人、メッチャクチャうまいです、これはすごい…。

 現代音楽のうち電子音響系の音楽って、途中から「録音してそれを変調する」とか、そういう事をやるようになりましたが、これってどうなんでしょうね。50年代のエレクトロ系現代曲は面白かったんだけどな…。「レポン」も「二重の影の対話」も、面白くないわけではなかったんですが、なんか音遊びみたいに思えちゃうんですよね。どこまでいっても「面白いアイデアだね」というだけで、感動する事がぜんぜんないのです。頭で考えただけの音楽というか…音そのものだけでなく、なんで人間が演奏するのか、音楽ってどういうものが最善なのかとか、いろいろと考えさせられたCDでした。


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『ブレーズ:婚礼の顔、水の太陽、フィギュール・ドゥブル・プリスム ブレーズ指揮、BBC交響楽団』

Boulez_Le Visage Nuptial, ずいぶん昔に、ルネ・シャールという詩人のテキストに音楽をつけたブレーズ「主のない槌」の感想を書いた事がありましたが、このCDに入っている「婚礼の顔」と「水の太陽」も、ブレーズがルネ・シャールの詩に音楽をつけたものです。そんなわけで、この3曲は「ルネ・シャール3部作」なんて呼ばれてるんだそうで。そうそう、ブレーズの作品は何度も加筆修正がくわえられて常に現在進行形なもの(ワーク・イン・プログレス)が多いですが、このCDは1985年と89年の録音で、その時点での最新形が収められています。

 「婚礼の顔」は5つの詩から出来ていて、出会いから別れまでを表現してるそうですが、詩がけっこう抽象的なので、日本語訳を読んでも僕にはそう思えなかった(^^;)…シュールレアリスムは難しいですね。音楽はセリー的な響きですが、複雑なので僕では分析不可能。4曲目なんて同じ音を歌が繰り返しますが、音の数が12に聴こえるので、これらを12回で一巡してるとか、なんか仕掛けがありそう。この曲もやっぱりワーク・イン・プログレスな作品で、ブレーズ21歳の時の1946年版、1989年版、その中間版とあるみたいです。これはたぶん89年版なのかな?

 「水の太陽」は、放送劇用の詩が元だそうです。かなりトータルセリー的な作品という気がします。相変わらず分析が出来ないので申し訳ないんですが、声の色を変化させてるので、音色までセリーの対象にしている気がしてね( ̄ー ̄)。詩は、「恋をしているトカゲの嘆き」とかで、真剣に読んだんですがちょっと僕には難しすぎた_| ̄|○ウウ。。

 「フィギュール・ドゥブル・プリスム」は、このCDでは唯一声楽でない純粋な管弦楽曲。構造としては変奏曲の形式で、これもワーク・イン・プログレスで、時代によってどんどん拡大したみたいです。

 戦後トータル・セリー系の音楽では、ブーレーズのサウンドは清廉としていて好きです。ところが構造は難しすぎて追いつけない(TT)。細かい所にこだわりすぎてダイナミックさがない気もしちゃう…というのが、僕の正直な感想。でも、これをアナリーゼできるぐらいの能力がある人が聴いたら、きっと絶品なんでしょうね。ブーレーズは、ギャラがいい音楽監督や指揮ばかりやってないで、もう少し作曲家として頑張って欲しかったなあ。



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『ブーレーズ:ピアノ・ソナタ(全3曲) ユンパネンpiano』

Boulez_PianoSonatas.jpg 戦後のセリー系の現代音楽の中心人物ブーレーズの、ピアノ・ソナタ3曲が収録されたCDです。CD『ブーレーズ自作自演集』のエクラとミュルティプルのところで、ブーレーズの作品にはワーク・イン・プログレスという現在進行形の作品があると書きましたが、ピアノ・ソナタもそのひとつです。このCDがリリースされたのは2005年で、それ以前に出ていたCDに収録されていたピアノ・ソナタよりも曲が膨張しています(^^)。その後ブーレーズさんは死んでしまい(;.;)、これより新しい録音はないと思うので、これがピアノ・ソナタの最終形ということになるでしょうか。…って、3番の楽譜には続きが書きかけてる所があるらしいんですが。
 
 まず、ソナタの1番と2番は戦後のセリー音楽を代表する名作と言われていまして、1番を複雑にしたような2番は傑作と呼ばれています…が、僕には難しすぎてアナリーゼ不可能(T.T)。フランス音楽を専攻した当時、この曲が僕の前に大きく立ちはだかり、その時の挫折感といったらなかったです。「ああ、俺には現代音楽を扱うだけの才能はないのか」みたいな。現代音楽が大好きだったのに、その最重要作が分析できないという屈辱。でも今思えば…これ、聴いただけで音列やその反行を聴き分けられる人、なかなかいないんじゃないかなあ。ただし、響きはとんでもなく綺麗です。音列の初期設定が練りまくられて見事なんでしょうね。
boulez_sonata3.jpg そして、ソナタの3番。僕、このスコアを持ってるんですが、みじかい5線に音符が書き込まれ、そこからいくつかの矢印が枝分かれして、どちらにも進行できるようになっているという面白い楽譜です。これがいわゆる「管理された偶然性」というやつで、この曲が「管理された偶然性」の演奏初体験だった僕ですが、断片的なそれぞれの演奏が難しい。瞬時にどっちに行った方がいいかを判断するなんて無理、だから僕はどういう順で進むかを決めていました。演奏者や聞き手ではなく、作曲者にとてだけの偶然性なんですね(^^;)。

 理論ガチガチのトータルセリー系の音楽は、作曲家はいいだろうけど、最初の音列の原型ですら捉えるのも覚えておくのも至難の業…シェーンベルクみたいにいい感じの音型にしておいてくれる優しさもないので、聴く方も、かなり音楽能力が高くないと、構造を理解するのは困難じゃないかなあ。演奏もめっちゃ難しくて、これを演奏した後にリストにトライすると弾きやすいと思っちゃうほどです。指さえ届け場ですけどね(^^;)。すごく厳しい表情の音楽で、この空気感は好きなんですが、僕レベルの人間では、サウンドや大まかな展開を漠然と楽しむ以上のところに入りこむのは難しい音楽なのでした。でも音大のソルフェージュや楽曲分析の授業でトップクラスの成績の人にとってはメッチャクチャ面白い音楽なんだろうな…。そうそう、この超絶的に難しい曲をクールにパキパキ演奏しているパーヴァリ・ユンパネンというピアニストもタダものじゃないです。



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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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