サイケデリック・ロックの名盤というと、絶対に取りあげられる1枚、アイアン・バタフライが1968年に発表したアルバム「ガダ・ダ・ヴィダ」です!サイケ好きの友人の影響を受けた中学生の時の僕が、サイケ名盤と言われているCDに手を出さない筈もなく、ロックの旧譜名盤が安く再発されたタイミングで、小遣いはたいて買った思い出の1枚です。いや~レコード屋から家までワクワクして帰ったあの日の気持ちがよみがえるようです(^^)。
サイケうんぬんの前に、ビート・バンドとしてまとまりのいいバンドと思いました。飛び抜けたプレイヤーがいるわけじゃないんですが、コーラスは綺麗だし、曲も良く出来てるし、楽器もみんな平均以上、キーボードとギターに至っては
聴かせどころが分かってる感じ。ただ、ヴォーカルがファルセットもブレンディングもしないで地声で歌う男性ヴォーカルなので、そこだけがちょっと苦手でした。声を作れないヴォーカルって、アマチュアみたいで僕はどうもダメなんです(^^;)。ハードロック以前のアメリカのロックバンドって、こういうヴォーカルが多くてちょっと残念。ステッペン・ウルフもヴォーカルさえファルセットを使えてたらと思うし、
フランク・ザッパも、
ジミヘンも、みんなそう。一方のイギリスは、
スモール・フェイセスに
ディープ・パープルと、いいヴォーカリスト持ったバンドが多いです。ジャズやブルースやロックンロールの文化を持っていながら、ロックに関してのアメリカはイギリスの後塵を拝した感じ。ああ、ヴォーカルさえ良ければ、アイアン・バタフライをもっと好きになってたかもしれない…って、想い出補正も込みでかなり好きなんですけどね(^^)。
そして、音楽。いや~、
独創的な曲のなんと多いことか!基本的に1曲3~4分の曲がズラッと並ぶ感じですが、その曲想が多彩!インドっぽいのもあれば、妙なヤバさを感じるのもあれば、お花畑なフラワーロックも。
そしてこのアルバムの看板曲「ガダ・ダ・ヴィダ」は、曲中で長いアドリブパートを含む17分の曲。サイケお得意の長尺曲です。サイケの長尺曲って、
グレイトフル・デッドみたいに単にダラダラやられると僕はちっと苦手なんですが、ドラマチックに構成されたものは逆にすごい好きなんです。
ドアーズの「ジ・エンド」とか、クイックシルヴァーの「愛の組曲」とか、イッツ・ア・ビューティフル・デイのB面メドレーとか。この「ガダ・ダ・ヴィダ」は、そこまで届かないものの、やっぱりかなり好きです。アドリブパートに突っ込んで、ギターがセンスいいソロを聴かせて、キーボードが怪しい世界を作り出しながらクライマックスを作って、
15分後ぐらいに主題に戻ってきた時の快感と言ったらないっす(^^)。そうそう、アドリブ・パートの前半はギターのアドリブで、ほとんどペンタトニック一発なんですが、単旋律ではなく分散和音使ったり5度を混ぜたりしてけっこう立体的な組み立てをします。このギターを弾いてるのは当時17歳のエリック・ブランで、うまいという感じじゃないんですが、ツボを押さえてる感じで、カッコいいです。このバンドの看板のひとつじゃないでしょうか!
もしヴォーカルさえファルセットやミックスヴォイスを使えたら、素晴らしい1枚になってた気がします。そこだけが残念ですが、それ以外は確かにサイケの名盤のひとつといわれるだけの事はある1枚じゃないかと思いました。あ、あくまで60年代アメリカのロックという範囲ですので、過剰な期待は禁物ですが(^^;)、やっぱりサイケ好きな僕にはたまらない1枚なのでした。あ~懐かしかった!
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