
もう1冊、音楽の形式に関する本を。白水社という出版社が、「文庫クセジュ」という新書サイズのシリーズを出しています。これはフランスで刊行されている文庫のシリーズで、現代に必要な基礎知識を整備しようという、なんともすばらしい文庫なのです。日本でいうと岩波文庫とか講談社学術文庫に近いかな?でもって、この
文庫クセジュというシリーズ、錬金術だったりフリーメーソンだったり、かなり怪しく魅力的な本が満載で、僕は大好き(^^)。あと、音楽系も多いところが日本の文庫と違うところで、フランスだと音楽というのは重要な知だと思われているのかなあ、なんて思ったりして。日本での音楽の評価って、娯楽とか癒しぐらいにしか思われてないみたいですしね。このへんは、黒船に2次大戦と連続で文化を破壊されて一からやり直しとなった日本とは、文化の成熟度に差があるんでしょう。というわけで、この本は文庫クセジュのなかの1冊です。
クラシックって、CDを買ってきて聴いても、ちょっとムズカシイ単語が並んでてよく分からなかったりしませんか?CDを買ってきても、解説に「第3楽章はメヌエット形式」とか書いてあったりして、でも若いころの僕は「え?メヌエットって何?」みたいな。フーガとかソナタならまだ何とかわかったんですが、マドリガルとかパッサカリアとか、名前はよく聞くけど意味はぜんぜん分かりませんでした(T_T)。それで、中学生の時に、怪しさ満点で大好きな文庫クセジュを本屋で眺めていた時にこの一冊を発見、飛びついて買いました!そして、なんども読んだんですが、分かるようになったものもあったし、理解できないものもありました。
なんで分からなかったかというと、多分こういう事です。歴史順で書いていなくて、事典的に書いてあるから。でもこれ、ある意味では仕方ないと思うんですよね。歴史順とか様式ごとにまとめるという本も必要だと思うけど、ちょっと調べたい時に目次見てパッと理解したい本もあって欲しいじゃないですか。この本は後者という事です。
この本は、これで音楽の形式を学ぼうとする人が読むべき本じゃないです。言葉だけでサラッと説明されても、メヌエットがどういう感じの音楽なのかなんて絶対に分かりませんし。そうじゃなくて、「あれ、カッサシオンてなんだっけ」みたいに、
ひと通り音楽の形式を勉強した人が、ちょっと調べる時に役立つ本だと僕は思ってます。あとは、クラシックの聴く専の人が、よく分からないクラシックの形式に関する用語をチョロッと調べる時に使う感じなら、けっこう便利かも。
それにしても文庫クセジュ、魅力的なタイトルがいっぱいあるんです。僕のうちにあるものだけでも、「幻想の美学」、「フランス古典音楽」「世界演劇史」「薔薇十字団」…怪しさ満点の上にメッチャ面白いんです(^^)。
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